昨日からはオペラ・コンサートの予習開始。今回の旅ではオペラを7回、バレエを1回、コンサートを3回聴きます。ヨーロッパの旅の原点に返って、オペラが主体です。で、予習もオペラを優先的にしましょう。
まずは、クルレンツィス&ムジカエテルナのモーツァルトのオペラ、ダ・ポンテ3部作を聴いていきましょう。もちろん、クルレンツィス&ムジカエテルナのCDを聴きます。昨日は《フィガロの結婚》を聴いたので、今日は《ドン・ジョヴァンニ》です。これは凄い演奏です。噂にはきいていましたが、これほどの演奏とは・・・絶句です。
キャストは以下です。
モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』 K.527 全曲
ディミトリス・ティリアコス(バリトン/ドン・ジョヴァンニ)
ヴィート・プリアンテ(バリトン/レポレッロ)
ミカ・カレス(バス/騎士長)
ミルト・パパタナシュ(ソプラノ/ドンナ・アンナ)
ケネス・ターヴァー(テノール/ドン・オッターヴィオ)
カリーナ・ゴーヴァン(ソプラノ/ドンナ・エルヴィーラ)
グイード・ロコンソロ(バリトン/マゼット)
クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ/ツェルリーナ)
ムジカエテルナ
テオドール・クルレンツィス(指揮)
録音時期:2015年11月23日~12月7日
録音場所:ペルミ国立チャイコフスキー・オペラ&バレエ劇場
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
クルレンツィス&ムジカエテルナのモーツァルトのオペラ、ダ・ポンテ3部作の第1弾の《フィガロの結婚》の録音は2012年9月でしたから、3部作の締めくくりになる、この《ドン・ジョヴァンニ》はその3年後ということになります。この3年の間のクルレンツィス&ムジカエテルナの躍進ぶりがこの録音に現れています。きびきびした序曲の開始は同じですが、その演奏精度の向上がはっきりと分ります。妙にデモーニッシュになり過ぎず、その明快ですっきりした演奏に魅惑されます。序曲が終わり、ドン・ジョヴァンニとレポレッロが登場しますが、その明暗がくっきりとした上質とも思える演奏に驚愕します。モーツァルトでこんな演奏が可能なんですね。ドン・ジョヴァンニは終始、ソット・ヴォーチェを駆使して、その色男ぶりを強調します。ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオの美男美女を思わせる美声コンビの歌唱も見事。《フィガロの結婚》では若干、違和感を感じたフォルテピアノもこのオペラでは実に有効に機能します。そう言えば、一昨年のザルツブルク音楽祭で聴いた《皇帝ティトの慈悲》でもフォルテピアノが見事でした。記憶が蘇ってきます。こんなに繊細さを極めたような《ドン・ジョヴァンニ》は初めて聴きます。実に新鮮で、かつ、このオペラの本質を突いているように感じます。第1幕のフィナーレの7重唱?を聴いていると、saraiの頭が混乱してきます。えっ、こんな曲だったっけ? 何という発想の演奏でしょう。複雑かつ究極の精度の恐るべき演奏です。結局、この高い精度を保って、第2幕も素晴らしい演奏が続きました。これまで聴いてきた《ドン・ジョヴァンニ》とは、一線を画す演奏です。というよりも、モーツァルトのオペラで、こういう演奏が可能だったとは予想だにできなかった演奏です。一昨年のザルツブルク音楽祭での《皇帝ティトの慈悲》でsaraiの音楽の価値観がひっくり返された意味がじわっと分かってきたような気がします。やはり、これまでの音楽演奏とは、まったく次元の異なる演奏です。やはり、クルレンツィスの音楽の原点はモーツァルトのオペラにこそ、ありそうです。今更ながら、今年、saraiがルツェルン音楽祭にまで足を運び、ダ・ポンテ3部作を聴く意味は間違いなく、あるという確信を得ました。今日は真の意味での予習ができました。
ルツェルン音楽祭及びウィーン・コンツェルトハウスでのキャストは以下です。(日本語のみの表示はCDと同一キャスト)
ディミトリス・ティリアコス(バリトン/ドン・ジョヴァンニ)
Robert Lloydロバート・ロイド Commendatore
Nadezhda Pavlovaナデージダ・パヴロヴァ Donna Anna
ケネス・ターヴァー(テノール/ドン・オッターヴィオ)
Federica Lombardiフェデリカ・ロンバルディ Donna Elvira
Kyle Ketelsenカイル・ケテルセン Leporello
Ruben Droleルーベン・ドローレ Masetto
クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ/ツェルリーナ)
新たに加わった歌手ではドンナ・エルヴィーラを歌う若手ソプラノのフェデリカ・ロンバルディが注目されます。ほかの歌劇場でもこの役を持ち役としているようです。一方、ドンナ・アンナを歌うナデージダ・パヴロヴァは未知数です。クルレンツィスが抜擢したのですから、期待してみましょう。
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