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旅の後遺症・・・トホホ

帰国当初は順調に眠れていましたが、だんだんとおかしくなって、今や、完全に昼夜逆転。これって、ジェットラグ、すなわち、時差ボケ状態ですね。昨夜はそこそこの時間に寝ましたが、早朝に目覚め、朝食後、2度寝に入り、午後まで寝ていました。コンサートの往復の電車での眠りこけています。もちろん、コンサートでも眠くて、少し気を許すと寝落ちします。いやはや、今日も一応、早く寝るようにしましょう。

さらに帰国寸前から、少し喉を傷めて、今は小康状態ですが、まだまだ、喉は痛くて、安心できません。

その上、今日になって、腰が痛くなってきました。ここ何年もなかったことです。やはり、長期の旅は体に負担があったようです。旅の間に何ともなかったことに感謝しましょう。

でも、よいこともあるんです。ヨーロッパ遠征前よりも体重が1㎏ほど落ちて、体脂肪率も20を切りました。毎日、随分、歩きましたからね。そのためか、帰国後は足が重くて、軽やかに歩けていません。どこかに疲れがあるようです。

今日のコンサート、ハーゲン・クァルテットのバルトークの第6番は素晴らしい演奏でしたが、それは明日書くことにしましょう。

さあ、寝るぞ!



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

こんなバルトークを聴くのは痛々しくて辛い:ハーゲン・クァルテット@トッパンホール 2019.10.3

今年のハーゲン・クァルテットの〈ハーゲン プロジェクト 2019〉、3夜連続のハイドンとバルトークのコンサート・シリーズの第3夜、最終回です。

今日のバルトークは第6番。ナチスの圧力でヨーロッパを去ることになるバルトークがヨーロッパで最後に完成させた作品です。バルトークにしては少しメローな作品。ハーゲン・クァルテットならば、第4番か第5番を選ぶと思っていました。しかし、ハーゲン・クァルテットの演奏は決して、そういう女々しい表現に陥ることはありません。あくまでも綺羅星のように並ぶ、バルトークの6曲の弦楽四重奏曲の1曲として、真摯に向かい合った演奏です。第1楽章冒頭のヴェロニカ・ハーゲンのヴィオラソロのメストはまなじりをきっとあげた演奏。かっこいいね。第1楽章はもっと強く突っ込んだ演奏がほしかったところですが、バルトークらしい複雑な線で織りなす音楽の妙を味わえます。第2楽章はクレメンス・ハーゲンの素晴らしいチェロソロでメストが演奏された後、付点音符の行進曲風のメロディが諧謔的に演奏されますが、これは素晴らしい。さらにトリオでの奇妙なパートも、ヴェロニカのギター風のピチカートを織り交ぜた演奏が見事。こういう演奏は耳だけでなく、目でも楽しめます。第3楽章の精度の高い演奏を経て、第4楽章はリトリネロ主題のメストが全面に浮き立つ哀歌です。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲はベートーヴェン個人の諦念に満ちたものですが、バルトークの場合、個人的な思いは時代を象徴するような音楽表現に昇華します。《絃と打とチェレスタの音楽》では限界状況を浮き彫りにするような恐ろしい音楽になりましたが、この弦楽四重奏曲では、時代を弔うようなペーソスと、さらに言うならヨーロッパ文明への絶望感に満ちた音楽になります。そんなネガティブ感に満ちた音楽をハーゲン・クァルテットは精妙なアンサンブルでパーフェクトに歌い上げます。saraiはこんなバルトークは嫌いです。バルトークはアグレッシブで先鋭的であってほしい。こんなバルトークにした時代を憎みます。同様にシュテファン・ツヴァイクを自殺に追いやったのもこの同じ時代。そんな時代が再来する予感がする今の時代にも大いなる危惧を抱いています。
最後は音楽以外の何かわけのわからないことを思いながら、ハーゲン・クァルテットの演奏に耳を傾けていました。やはり、今回のツィクルスのシメは第5番あたりがよかったとも思いました。何故なら、色んな意味で未来への展望がなくなるからです。

一方、最初と最後に演奏されたハイドンの《エルデーディ四重奏曲》は今日も典雅で美しい演奏です。ハイドンの時代には悩みはなかったのか、それとも古典主義の音楽は、そういうネガティブな概念を音楽に持ち込まなかったのか、変なことに頭を捻ってしまいます。これも今日のバルトークの第6番という選曲が悪かったからではないでしょうか。
それにしても最初に演奏された弦楽四重奏曲第79番《ラルゴ》の完成度の高い演奏には圧倒されました。美し過ぎて、天国に連れていかれた思いです。それに名曲ですね。ピログラムノートにもありましたが、過小評価されて、それほど演奏機会がないのが残念です。いずれ再評価されて、ハイドンのブームがやってくるのかな・・・。

ハーゲン・クァルテットは見栄えも成熟して、音楽もいい意味で成熟して、これからがますます楽しみです。来日するのはまた、2年後でしょうか。バルトークの残りの3曲を演奏することをで忘れないでくださいね。 → 関係者各位

今日のプログラムは以下のとおりでした。

 〈ハーゲン プロジェクト 2019〉ハイドン&バルトーク ツィクルス Ⅲ

ハーゲン・クァルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  ハイドン:弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 Op.76-5 Hob.III-79《ラルゴ》
  バルトーク:弦楽四重奏曲第6番 Sz114

   《休憩》

  ハイドン:弦楽四重奏曲第80番 変ホ長調 Op.76-6 Hob.III-80

   《アンコール》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第13番 イ短調 D804《ロザムンデ》より 第3楽章 メヌエット


最後に予習したCDです。

=======ここは昨日と同じ===============
 バルトーク:弦楽四重奏曲(第3番、第6番)
  ハーゲン・カルテット 1995~1998年録音

 ハイドン:弦楽四重奏曲 エルデーディ四重奏曲 Op.76
  ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 1950年-1954年 ウィーン、コンツェルハウス、モーツァルトザール セッション録音

ハーゲンのバルトークは文句なしですが、もっと弾けるような気もします。昔実演で聴いたバルトークはもっと個性豊かで迫力がありました。第6番は素晴らしい演奏でした。この録音から20年を経た今、彼らはどんなバルトークを聴かせてくれるのでしょう。

ハイドンは意外によい録音がありません。結局、古いウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の落ち着きます。彼らの力強い演奏に驚かされます。昔日のウィーンの郷愁を呼ぶという演奏ではありませんが、ハイドンの高い音楽性を表現してくれます。モーツァルトでも素晴らしい演奏を聴かせてくれたハーゲン・カルテットはハイドンでも精度の高い演奏を聴かせてくれると信じています。

=======ここまでは昨日と同じ===============

バルトークの弦楽四重奏曲第6番は追加予習をしました。

 手持ちのLPで予習しました。予習したのは以下のLP2枚です。

 LP:ハンガリー四重奏団(1961年)、ジュリアード四重奏団(2回目録音、1963年)

LPコレクションはsaraiの宝物。すべて名演で素晴らしい演奏です。ちなみにsaraiがこの曲を最初に聴いたのはハンガリー四重奏団でした。人間の記憶はあてにならないもので、ハンガリー四重奏団の演奏はもっとしっとりとしたものだと思っていました。しかし、その力強い表現に驚かされました。この曲は今回のハーゲン・クァルテットの演奏もそうですが、多様な音楽を内包していて、色んな表現が可能だということを痛感しました。一方、ジュリアード四重奏団は、これは超名演です。この時代のジュリアード四重奏団のバルトーク演奏は全6曲、バイブルみたいなものであることを今更ながら、強く感じました。このジュリアード四重奏団の2回目の録音が旧約聖書、エマーソン・カルテットの録音が新約聖書でしょうか。そして、成熟したハーゲン・クァルテットが再度、録音すれば、その2強に割ってはいれるのではないかとひそかに思っています。



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       ハーゲン・カルテット,  

圧倒的なフィナーレ バッハ:イギリス組曲第4番~第6番ほか The Bach Odyssey Ⅹ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2019.10.4

アンジェラ・ヒューイットの“バッハ オデッセイ”の10回目。前回(10月1日)と今回(10月4日)でイギリス組曲全曲演奏という嬉しい機会が続いています。

今日の演奏は、アンジェラ・ヒューイットが最後の第6番で実に素晴らしい演奏を聴かせてくれました。今回のイギリス組曲で最高の演奏でした。前奏曲の冒頭では分散和音の美しい響きで魅惑的な演奏。続くフーガも勢いに満ちた深い響き。この前奏曲だけで十分に感銘を受けました。
次のアルマンドがとびっきりの素晴らしさ。その真珠のような煌めきにただただ魅了されるだけです。何でしょう、この美しさ! 次のクーラントはテンポよい切れのある演奏。
そして、サラバンド。アンジェラ・ヒューイットの思いのたけを込めた、渾身の演奏。スローで思いっ切りルバートをかけた演奏が永遠の時を刻んでいくようです。何という演奏でしょう。いつしか気が付くと、ドゥーブルのインテンポの美しい演奏に変わっています。何と素晴らしいのでしょう。うっとりと聴き惚れるだけです。
次はガヴォット。耳慣れたメロディーが心地よく響きます。少しずつ旋律線を変えながら、綺麗な演奏が続いていきます。
そして、最後のジーグ。対位法を織り交ぜながら、圧倒的な演奏が高潮していきます。何という見事な演奏でしょう。高度なテクニックに基づいて、スケールの大きな音楽を展開していきます。ファツィオリのピアノも美しい響きをホールに充満させていきます。音楽が最高潮に達し、フィナーレ。
最高の演奏に強い感銘を受けました。

長く続いたアンジェラ・ヒューイットのThe Bach Odysseyも来年5月の2回を残すのみになりました。フランス風序曲、フーガの技法が楽しみです。


今日のプログラムは以下です。

ピアノ:アンジェラ・ヒューイット
 
J.S.バッハ・プログラム Odyssey Ⅹ

 イギリス組曲第4番ヘ長調BWV809
 イギリス組曲第5番ホ短調BWV810


 《休憩》


 ソナタ ニ長調BWV963
 イギリス組曲第6番ニ短調BWV811

《アンコール》

 クープラン:クラヴサン曲集 第3巻 第14組曲 1. 恋するナイチンゲール


最後に予習したCDですが、もちろん、アンジェラ・ヒューイットのCDを軸に聴きました。

 バッハ:イギリス組曲等
  アンジェラ・ヒューイット 2003年頃 ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン ピアノ:スタインウェイ

バッハのイギリス組曲は少し前のスタインウェイでの演奏です。第2番と第3番と第6番は見事な演奏。曲によっては物足りない演奏もあります。実演ではきっと、最高の演奏を聴かせてくれるでしょう。ファツィオリでどんな響きになるかも楽しみです。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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