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ショスタコーヴィチの交響曲の重く、感銘深い演奏 ユーリ・テミルカーノフ&読売日本交響楽団@サントリーホール 2019.10.9

テミルカーノフはにこりともせずに気難しい顔をして、ショスタコーヴィチの交響曲を演奏しました。お得意の第7番《レニングラード》とは隔絶したような厳しい演奏です。
正直、saraiはこのメッセージ性に満ちた音楽をどう聴けばいいのか、戸惑います。そもそも、こんなにメッセージを込めてしまっては芸術作品というよりも、政治主張です。それがいけないわけではなく、内容も人間性に満ちた正当なものですから、単純に聴けばいいのかもしれません。でも、へそまがりのsaraiは色んなことを考えてしまいます。

そんなことを別にすると、大変、感動的な演奏でした。さすがにテミルカーノフは読響をまるでロシアのオーケストラのようにドライブして、分厚い響きを引き出していました。それでいて、読響の弦楽アンサンブルの透明な響きも残していたのは流石です。第1楽章と第2楽章の演奏がとりわけ素晴らしかったです。終楽章は少し、気持ちが入り過ぎてしまったかもしれません。バス独唱のピョートル・ミグノフと男声合唱の新国立劇場合唱団は見事な歌唱を聴かせてくれました。迫力も歌いまわしも文句ありません。メッセージ性を音楽芸術として、容認すればですが・・・。まあ、それは演奏者の問題ではなく、この作品そのものが内包する問題なので、素晴らしい演奏だったと評価しましょう。
読響はコンミスの日下紗矢子の確信と自信に満ちたリードのもと、素晴らしいオーケストラ演奏でした。彼女もソロも見事でした。いつも思いますが、日下紗矢子が率いたときの読響は素晴らしい演奏をします。もっと彼女が公演に参加してくれることを願います。

テミルカーノフは存在感のある指揮者です。指揮がうまいとかではなく、彼が振ると、音楽の深みが凄いです。やはり、80歳を過ぎた指揮者は貴重です。来年のサンクトペテルブルク・フィルとの来日演奏は楽しみです。

この5日間で、東響、都響、読響をたてつづけに聴きましたが、オーケストラ能力の高さに舌を巻きました。一流指揮者が振ると、鉄壁です。在京オケの実力を再認識しました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ユーリ・テミルカーノフ
  バス:ピョートル・ミグノフ
  男声合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮=冨平恭平)
  管弦楽:読売日本交響楽団 日下紗矢子(コンサートミストレス)

  ハイドン:交響曲第94番 ト長調「驚愕」

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 変ロ短調「バビ・ヤール」

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のハイドンの交響曲第94番 ト長調「驚愕」は時間がなくて、予習できませんでした。まあ、有名曲ですからいいでしょう。


2曲目のショスタコーヴィチの交響曲第13番 変ロ短調「バビ・ヤール」を予習したCDは以下です。

 キリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィル、ロシア共和国合唱団、アルトゥール・エイゼン(バス) 1967年
 
大変な爆演です。初演者としての矜持があったのでしょうか、いずれにせよ、強烈なインパクトがあり、感動してしまいます。正確に言えば、圧倒されます。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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