fc2ブログ
 
  

弦の美しく、分厚い響きで新境地・・・ビシュコフ&チェコ・フィルハーモニー管弦楽団@横浜みなとみらいホール 2019.10.20

ビエロフラーヴェク亡き後、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の新首席指揮者はセミヨン・ビシュコフになったんですね。驚きました。てっきり、若手のチェコ人指揮者が登用されると思っていました。フルシャとかネトピルとかです。でも、フルシャはバンベルク交響楽団の首席指揮者、ネトピルはエッセン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督。まだ、チェコ・フィルの重責を担うのは早いんでしょうか。ビシュコフはビエロフラーヴェク在任中(つまり、生前)から、チェコ・フィルとチャイコフスキー・プロジェクトに取り組んでいたそうです。そのあたりの関係から、彼が首席指揮者になることになったのでしょうか。キャリアは十分以上ですからね。最近では、昨年のバイロイト音楽祭でビシュコフ指揮の《パルジファル》を聴きました。とても清澄な音楽作りで、うっとりと聴き惚れました。

後半のチャイコフスキーの交響曲第5番が聴きものでした。音楽としてはオーソドックスな演奏ですが(それが悪いと言っているわけではありません)、チェコ・フィルのオーケストラの鳴らし方が凄い。今までチェコ・フィルがこんな響きで鳴った覚えがありません。もともと素晴らしい響きのオーケストラで大好きなんですが、もっとシャープな響きだったような印象があります。今日のチェコ・フィルの響きは高弦の美しさはもちろんですが、低弦の分厚い響きが凄い。まるでドイツのオーケストラの重心の低い響きのようです。いや、ちょっと違うかな。むしろ、コンセルトヘボウ管弦楽団みたいかな。いえいえ、違いますね。ロシアのサンクトペテルブルク・フィルみたいかな。ともかく、もともと素晴らしかった弦のアンサンブルが別次元の響きになったみたいで、音楽そっちのけで弦の美音に聴き惚れていました。音楽的には、第2楽章の美しいメロディーに聴き惚れ、第4楽章のフィナーレの大迫力に圧倒されました。ちょっと鳴らせ過ぎのきらいもありますが、これだけ鳴らせられるのも見事です。指揮者でこうもオーケストラの響きが変わるのか、驚きでした。

一方、前半の「わが祖国」はチェコ・フィルの十八番。ビシュコフもこのオーケストラを振るからには避けられない演目です。楽譜を置いての指揮です。後半のチャイコフスキーは暗譜だったので、それだけでも意気込みの違いが分かります。基本的にチェコ・フィル任せの演奏に思えました。と言うことは間違いない演奏ではありました。オーケストラの響きも従来のチェコ・フィルの響きでした。“ヴィシェフラト(高い城)” “モルダウ”は素晴らしい演奏でしたが、かって、ビエロフラーヴェクが指揮した“ヴィシェフラト(高い城)”の素晴らしさには及びません。

アンコールはチェコのお国ものの定番。ドヴォルザークのスラヴ舞曲です。ここでもチェコ・フィルの弦の響きの素晴らしいこと! 今日の最高の演奏だったかもしれません。それにsaraiはこのスラヴ舞曲第2集の第2番が子供のときから大好きなんです。うっとり、満足して聴きました。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:セミヨン・ビシュコフ
  管弦楽:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

  スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より “ヴィシェフラト(高い城)” “モルダウ” ”シャールカ”

   《休憩》

  チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64

   《アンコール》
     ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第2集 Op.72, B.147 第2番 アレグレット・グラツィオーソ ホ短調
     ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1集 Op.46, B.83 第1番 プレスト ハ長調

最後に予習について、まとめておきます。

スメタナの連作交響詩「わが祖国」を予習したCDは以下です。

  ラファエル・クーベリック指揮指揮チェコ・フィル 1990年5月12日、スメタナ・ホール 「プラハの春」音楽祭オープニングコンサート ライヴ録音

やはり、チェコ・フィルの演奏を聴いておきましょう。とすると、クーベリックかアンチェルが指揮したものになります。ここはあの記念すべき年の「プラハの春」で特別にクーベリックが指揮した伝説の演奏を聴きます。一言で言って、とても熱い演奏です。音楽以外の何かがあります。いいえ、音楽としても素晴らしい演奏です。


チャイコフスキーの交響曲第5番を予習したCDは以下です。

  セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィル 2017年 プラハ

ビシュコフ&チェコ・フィルが最近取り組んだチャイコフスキー・プロジェクトをまとめた交響曲全集からのCDを聴きます。チャイコフスキーの憂愁がたっぷりと味わえるロマンティックな演奏です。それでいて、実にオーソドックスな演奏でもあり、力強い迫力もあります。ビシュコフがこんな演奏をするとは予想外でした。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!








テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR