今日はハンブルクHamburgでゆったり散策。まずはハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで名画鑑賞。
2階の常設展示室で20世紀の作品の展示から古典的な絵画の展示に移りました。オランダ黄金時代の作品を見た後は、いよいよお待ちかねのフリードリヒです。既に地下の特別展示で数枚の作品は見ましたが、これから、本格的にフリードリヒの展示室です。フリードリヒと言えば、ベルリンの博物館島の旧ナショナル・ギャラリーAlte Nationalgalerieの3階のフリードリヒの部屋で見た合計15枚のフリードリヒの傑作群が圧倒的に素晴らしかったです。その感動は今でも忘れられません。そのときの記事はこことここです。しかし、このハンブルク市立美術館でも10枚を超えるフリードリヒのコレクションに出会えるとは望外の喜びです。ドレスデンDresdenのノイエ・マイスター絵画館Galerie Neue Meisterですら、フリードリヒのコレクションは6枚だけでしたからね。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《オイビン、教会の遺跡》。1812年頃、フリードリヒ、38歳頃の作品です。1810年、『海辺の修道士』『樫の森の中の修道院』がプロイセン王室に買い上げられ、ベルリン美術アカデミーの在外会員になって、2年後の作品です。世の中に認められて、フリードリヒのロマン主義の作風はますます磨き上げられます。本作もフリードリヒの自然の中に朽ち果てる廃墟の森閑とした静けさを美しく描き上げています。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《自由の戦士の墓(古代の英雄の墓)》。1812年頃、フリードリヒ、38歳頃の作品です。上の作品と同じ頃に描かれた作品です。

フリードリヒの傑作『雲海の上の旅人』がベルリンに貸し出し中だったのは残念。とても楽しみにしていた作品でした。やはり、フリードリヒはベルリンで見ろというご託宣でしょうか。この美術館でフリードリヒの最高の傑作の筈です。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《流れる雲》。1820年頃、フリードリヒ、46歳頃の作品です。雄大な大自然が描かれています。珍しく人影も人の営みもありません。ただ、大自然を眺めるフリードリヒの視線のみがあります。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《グライフスヴァルト近くの草原》。1821/22年頃、フリードリヒ、47/48歳頃の作品です。今日でも、グライフスヴァルト市の西にある、この絵が描かれた場所を訪れることができます。そこからフリードリヒは、多少の理想化はあるものの、故郷の町のシルエットを正確に描き出しています。聖マリア教会、聖ニコラス大聖堂、聖ヤコビの塔、市庁舎の尾根は容易に認識できます。彼の作品の多くと同様に、フリードリヒは正確に風景を描いています。この作品の原型はおそらく1806年に地元で既に描いていたものです。ただし、彼の絵画は町の景色を忠実に再現することだけに限定されていたわけではありません。むしろ、グライフスヴァルトの町を対称的な構図の中心に配置しているようです。この町は地平線の上に置かれ、霞でおぼろげな印象にぼかされて、静かで青々とした緑の風景と、雲のない、光に満ちた空との間をつなぐものになっています。このように、2つの根本的に異なる存在である陸と空を相互に町の存在が仲介しています。フリードリヒにとって、自然と人間が創造したものを心象空間の中に再構成することが彼の絵画の中心的な関心事であったわけです。それこそがロマン主義のアプローチそのものでした。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《ドレスデン近郊の丘と耕した畑》。1824/25年頃、フリードリヒ、50/51歳頃の作品です。一見、自然の風景だけが描かれたように見えます。しかし、そこには人間が耕した田園が広がり、ここでも自然と人間の調和が歌い上げられています。これがフリードリヒの理想とする風景なのでしょう。

まだまだ、フリードリヒの素晴らしいコレクションは続きます。
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