前半のモーツァルトのピアノ協奏曲第24番はピアノ独奏のマーティン・ジェームズ・バートレットの切れが良く、粒立ちの美しい響きの演奏が冴え渡りました。ほぼ、無名のピアニストですが、なかなかやるなって感じです。それに適度の装飾音を織り交ぜて、心地よい演奏です。第1楽章のカデンツァはモーツァルトの弟子だったヨハン・ネポムク・フンメル作のものだとのことですが、これがなかなかの超絶技巧曲に聴こえます。見事なカデンツァの演奏に聴き惚れました。これからが楽しみなピアニストです。アンコールはバッハのノリのよい演奏が始まり、おっと思います。久しぶりに聴くパルティータです。saraiの愛聴する曲です。ジャズっぽい演奏ですが、これまた、聴き惚れました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:マーク・ウィグルスワース
ピアノ:マーティン・ジェームズ・バートレット
管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
《アンコール》
J. S. バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV 826 より 第6曲「カプリッチョ」
《休憩》
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲第24番を予習したCDは以下です。
クララ・ハスキル、ヴィクトル・デザルツェンス指揮ローザンヌ室内管弦楽団 1956年6月25日、ローザンヌ ライヴ録音
全編、哀しみ色に塗り込まれた深い詩情にただただ聴き入るのみです。ハスキルのモーツァルトの中でも最高の演奏です。デザルツェンスの指揮もそういうハスキルの演奏にぴったりと寄り添って、雰囲気を盛り上げてくれます。ピアノ、オーケストラ、共に素晴らしい協奏曲を作り上げてくれます。どの楽章をとっても素晴らし過ぎる演奏ですが、第1楽章のカデンツァは最高の演奏です。忘れられない究極の演奏です。
2曲目のマーラーの交響曲 第1番を予習したCDは以下です。
マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団 2001年9月19-23日、サンフランシスコ、デイヴィス・シンフォニー・ホール ライヴ録音
9.11同時多発テロの直後に演奏された記録。何と言っても、細部にわたって、神経が行き届いた丁寧な演奏が印象的ですが、凄いのは、その演奏に聴く者を引きこむ力です。こんなマーラーを聴いたら、ほかの演奏は霞んでしまいそうです。なお、実演で聴いたこのコンビのこの曲の演奏も凄いレベルの演奏で、最高のマーラーでした。決して、それほど上手いオーケストラとは思えませんが、演奏に打ち込む姿勢と集中力が並外れています。やはり、指揮者の力は大きいですね。マイケル・ティルソン・トーマスは真の意味でマーラー指揮者です。
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