FC2ブログ
 
  

飯森範親&東京交響楽団、会心のラヴェル@東京オペラシティコンサートホール 2020.3.21

ドイツの現代のレアもので新境地を開いている飯森範親が今度は何と、オール・ラヴェルのプログラムに挑戦。ラヴェルのような純粋なフランスものはフランス人指揮者、さらにはフランスのオーケストラに限るというのがsaraiの偏見です。日本人指揮者が日本のオーケストラでというのは余りに敷居が高過ぎると思うのですが・・・。特にドイツものを得意にしていると思われる飯森範親にとってはとてもリスキーだと思われます。ところがです! まず、1曲目のラ・ヴァルスが出色の出来です。冒頭の低弦の暗雲の到来を告げるようなピアニッシモの音からゾクゾクします。次いで、明快なウィンナーワルツの響きがストレートに表現されて、実に魅惑的です。いわゆるフランスのエスプリは感じられませんが、もしかして、ラヴェルの音楽にはそういうことはそう重要ではないのかもしれないと思わせるような、すっきりした演奏です。この曲、ラ・ヴァルスはヨハン・シュトラウスへのオマージュがもととなっているので、ラヴェルの音楽も単純にフランス音楽と区切るべきではないのかもしれません。実に説得力のある音楽が最後まで展開されます。美しいウィンナーワルツの調べとおどろおどろしい低弦の暗い響きが交錯する見事な演奏でした。日本人指揮者がここまでのレベルのラヴェルを演奏するのは初めて聴きました。飯森範親はラヴェルを攻略したのでしょうか。実は残りのラヴェルもすべて、高次元の演奏でした。もちろん、東響の素晴らしいアンサンブルがあってのことです。ジョナサン・ノットのもとで東響は飛躍を続けていますが、飯森範親も東響から素晴らしい響きを引き出すことができるのを聴いて、東響はもう次の段階に進みつつあることを確信しました。
最後に演奏されたボレロですが、聴いていて、先日亡くなった母のことを思い出しました。大阪の中之島のフェスティバルホールだったと思うのですが、多分、20年ほど前、母と配偶者と一緒にパリ管を聴いた折、このボレロが演奏されました。パリ管の管楽器の響きにいたく感銘を受けました。演奏内容に関係ありませんが、小太鼓奏者がどこで演奏していたのか、3人ともよく分からなかったと後で話題になりました。今日もそうですが、小太鼓はいつもの打楽器の場所ではなく、弦楽器パートの中に埋没して演奏していたんです。ともあれ、今日のボレロの終盤の物凄い音圧の高さに仰天しました。終盤は熱い演奏でした。パリ管の演奏にも匹敵する素晴らしい演奏でした。東響は弦楽パートだけでなく、木管セクションも素晴らしく充実してきました。飯森範親と東響で《展覧会の絵》を演奏すると凄いことになりそうです。

そうそう、ラヴェル以外に異色ピアニストのファジル・サイの新作が新倉 瞳のチェロで初演されました。初演とは思えない新倉 瞳の見事な演奏でした。曲自体もトルコの音楽の旋律を織り交ぜた親しみやすく、楽しめました。私見ながら、ファジル・サイはピアニストよりも作曲家としての才能のほうに恵まれているような気がします。ファジル・サイのピアノのファンの方にはゴメンナサイ。
新倉 瞳のチェロも初めて聴きましたが、なかなか、やるものですね。音楽には関係ありませんが、白と黒の大胆な配色で背中が大きく見えるドレスも素晴らしかったです。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:飯森範親
  チェロ:新倉 瞳
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  ラヴェル:ラ・ヴァルス
  ファジル・サイ:「11月の夜想曲」チェロと管弦楽のために (新倉瞳による委嘱作品)

   《休憩》

  ラヴェル:道化師の朝の歌(ピアノ曲集《鏡》第4曲のラヴェル自身の管弦楽編曲)
  ラヴェル:スペイン狂詩曲
  ラヴェル:ボレロ


最後に予習について、まとめておきます。

 シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団 1968年9~10月
   ボレロ、スペイン狂詩曲

 ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィル 1973,74年録音
   ラ・ヴァルス
   
 ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団 1969,70年録音
   道化師の朝の歌

 アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1961~62年録音
   ボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス

ミュンシュのボレロの終盤の熱い高まりに感銘を受けました。最後のテンポアップも凄まじい! クリュイタンスは流石ですね。素晴らしいラヴェルです。ブーレーズはアメリカのオーケストラのせいか、もう一つ、心に迫りません。結論としては、ミュンシュは別格として、クリュイタンスが最高です。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!







テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR