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マンハイム美術館:ココシュカ、ベックマン、ヤウレンスキー、リーバーマン

2018年8月28日火曜日@ハイデルベルク~マンハイム/10回目

この旅の最後の目的地であるマンハイムMannheimで散策中です。まずはフリードリヒ広場Friedrichsplatzに面したマンハイム美術館Kunsthalle Mannheimで美術鑑賞中です。

オスカー・ココシュカOskar Kokoschkaの1910年、24歳頃の作品、《アウグスト・フォレル教授の肖像Auguste Forel》です。アウグスト・フォレル教授はスイスのイヴローヌという土地に住む自然科学者であり、彼の研究活動に支障のない夕食時にのみ、絵画制作が許されるという環境でこの肖像画が描かれました。老いを迎えた科学者の緊張感を緩やかに描き上げたココシュカの絵画制作は相当の苦労があっただろうと察することができます。しかし、見事に人物の肉体と精神面に肉薄した肖像画となっています。ところでこの時代のココシュカは建築家のアドルフ・ロースの助力によって、スイスを旅して、肖像画の仕事も得られたそうです。ロースはいわば恩人とも言える存在だったのですね。なお、ココシュカがアルマ・マーラーに恋して、不滅の名作《風の花嫁》を描くのはこの3年後のことです。

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マックス・ベックマンMax Beckmannの1947年、63歳頃の作品、《ヘルベルト・タンネンバウムはニューヨークへ行くTannenbaum geht nach New York》です。画商のタンネンバウムは1920年から、ベックマンと長い付き合いをし、1937年のアムステルダムへの亡命も行動を共にしています。戦後の不安な状況の中でも、タンネンバウムはベックマンを支持し、この自身の肖像画を始め、他の作品も購入しています。この作品の題名の通り、タンネンバウムはアメリカに移住しますが、そのことがベックマン自身のアメリカ移住に大きな影響を与えました。もっとも、ベックマンは移住先のマンハッタンでこの3年後に死去します。この作品は極めて縦長のキャンバスに大胆な構図で肖像画を描いています。ドイツ表現主義による素晴らしい作品に仕上がっています。

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アレクセイ・フォン・ヤウレンスキーAlexej von Jawlenskyの1920年、55歳頃の作品、《救世主の顔HEILANDSGESICHT. WÄCHTER》です。この作品はヤウレンスキーが1917年から描き続けていた「不思議な頭部」の連作の発展形です。顔を描いていますが、これは抽象的な作品と捉えるべきものかもしれません。キリストの顔ですが、そうでないとも思えます。不思議な絵です。

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マックス・ベックマンMax Beckmannの1919年、35歳頃の作品、《チューブ夫人の肖像Bildnis Frau Tube》です。ベックマンが当時、結婚していた最初の妻、ミンナ・ベックマン・チューブの母親の肖像画だと思われます。この作品はベックマンの表現主義らしさが微塵も感じられません。印象派風の描かれ方のようです。チューブ夫人が牧師の妻であることを感じさせる落ち着いた真摯さが見事に描き出されています。

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マックス・リーバーマンMax Liebermannの1918年、71歳頃の作品、《右向きに座る、スモックを着た自画像Selbstbildnis im Malkittel, sitzend nach rechts》です。リーバーマンは当時、ベルリンの画壇の重鎮として君臨していました。その矜持がはっきりと表れている自画像です。ユダヤ人だったリーバーマンはその後、ナチスによって、その栄誉をはぎ取られて、寂しく世を去ることになります。先日、ハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleでも、このほぼ10年前に描かれた同じような構図の自画像を見たばかりです。違いと言えば、座像ではなく、立像であることくらいです。

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マックス・ベックマンMax Beckmannの1940年、56歳頃の作品、《オウムと横たわっている大きな女性(休息;女性の世界)Große liegende Frau mit Papagei (Ruhende; Frau Welt)》です。大胆な構図で女性が横長のキャンバスいっぱいに描かれています。一瞬、絵の向きが縦横間違えているかと思います。女性はおそらく娼婦だと思いますが、その疲れ切った体をいっときの休息で癒している姿に見ているこちらがはっとします。画家の視線は冷徹でありながら、暖かさも感じます。

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オスカー・ココシュカOskar Kokoschkaの1912年、26歳頃の作品、《ソニア・ドゥジエルスキ(って読むのかな? ハンガリーの人名?) Ⅱ》です。アルマと交際が始まった1912年の作品です。少女の可愛さが実に見事に描き出されています。画風はあの名作《風の花嫁》を思わせるタッチです。この美術館で一番、心を惹かれた作品です。うーん、素晴らしい!! こういう作品を収集した学芸員の審美眼の高さに感服します。

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まだまだ、この美術館の質の高い作品が続きます。どんどん、素晴らしい絵の世界に惹き込まれていきます。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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