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マンハイム美術館:ホドラー、ムンク、マッケ、ピサロ、ウーデ、リーバーマン、ヴァロットン、ノルデ

2018年8月28日火曜日@ハイデルベルク~マンハイム/12回目

この旅の最後の目的地であるマンハイムMannheimで散策中です。まずはフリードリヒ広場Friedrichsplatzに面したマンハイム美術館Kunsthalle Mannheimで美術鑑賞中です。

フェルディナント・ホドラーFerdinand Hodlerの1906年、53歳頃の作品、《遠くからの歌声Das Lied aus der Ferne》です。50歳を過ぎたホドラーは画家としての名声を獲得します。とともに20歳も年下のヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルと結婚します。以後、ホドラーはヴァランティーヌをモデルにした絵と自画像ばかりを描いたそうです。この作品も妻のヴァランティーヌでしょうか。印象に残る作品です。

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フェルディナント・ホドラーFerdinand Hodlerの1910年、57歳頃の作品、《シュトックホルン山系を背景にしたトゥーン湖Thunersee mit Stockhornkette》です。ハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで同一のタイトルの同じ構図の作品を見たばかりです。違いと言えば、大きく2点。この絵ではシュトックホルン山系は色付けされていますが、ハンブルク市立美術館の作品では墨絵のようにモノトーンになっていました。また、この作品ではシュトックホルン山系がトゥーン湖の水面に映り込んでいますが、ハンブルク市立美術館の作品では映り込みはありません。そうすると、ハンブルク市立美術館の作品は習作だったように思われますが、あれはあれで素晴らしい作品でした。逆にこの作品が習作で、色彩や映り込みをなくして、シンプルにしたのかもしれないとも考えられます。いずれにせよ、姉妹作品でどちらも素晴らしい作品です。ホドラーの描くアルプスの風景は格別です。

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エドヴァルド・ムンクEdvard Munchの1900年~1901年、37~38歳頃の作品、《ノードストランドからの眺めUtsik fra Nordstrand》です。オスロのノードストランド地区からの眺めを描いた作品のようです。この頃、ムンクは故郷のノルウェーに戻り、オスロ近くのオースゴールストランのサマー・ハウスで暮らしていました。この作品は7年前に描かれた《叫び》ほどの強烈さはありませんが、幻想性では共通するものを感じます。

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アウグスト・マッケAugust Mackeの1914年、27歳頃の作品、《アフリカの風景Afrikanische Landschaft》です。アウグスト・マッケはミュンヘンの芸術運動、青騎士Der Blaue Reiterの創設メンバーの1人です。マッケはこの年、パウル・クレー等とともにアフリカのチュニジアを旅行します。わずか2週間の旅でしたが、クレーとともにマッケも充実した果実を得ました。結果、マッケの代表作となる数十枚の水彩画が描かれました。これもその1枚です。
しかし、この彼の転機ともなるべき充実した時代はこの年に勃発した第1次世界大戦の波に飲み込まれ、若干、27歳でマッケは戦死します。青騎士の仲間のフランツ・マルクと同様に過酷な運命にさらされるわけです。マッケとマルク、もう少し、彼らに時間を与えてやりたかった・・・。

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カミーユ・ピサロCamille Pissarroの1875年、45歳頃の作品、《ポントワーズの小さな橋Le petit pont, Pontoise》です。この作品はパリの近郊のオワーズ川の畔の町ポントワーズの風景です。この作品を描いた頃、ピサロはこのポントワーズのエルミタージュ地区に移り住んでいました。なお、この前年、ピサロも中心メンバーとなって、記念すべき第1回印象派展が開かれました。

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フリッツ・フォン・ウーデFritz von Uhdeの1906年、58歳頃の作品、《庭にいる画家の娘Die Töchter des Künstlers im Garten》です。ウーデはドイツの印象派を代表する画家の一人です。この作品も戸外の明るい色彩のいかにも印象派らしい作品です。

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マックス・リーバーマンMax Liebermannの1890年~1891年、43~44歳頃の作品、《ハーレムの豚の市場Schweinemarkt in Haarlem》です。リーバーマンもドイツの印象派を代表する画家の一人です。彼はオランダで絵画を学んだこともあり、当初はオランダ絵画風の作品を多く描いています。この作品もオランダのハーレムで描かれて、オランダ絵画、印象派の両方の側面をうかがわせます。

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フェリックス・ヴァロットンFélix Edouard Vallottonの1910年、45歳頃の作品、《モデルLe Modèle》です。ヴァロットンはスイス人の画家で、ナビ派に属していました。この作品を描いた頃はポスト・ナビ期の時代で、きっちりとした輪郭で来たるべき新即物主義を見据えたような作品を描いていました。その中で何か謎めいた雰囲気が醸し出されています。近年、何かと注目を浴びている画家です。特に2013年にパリで大回顧展が催されたことを機に一気に脚光を浴びることになりました。日本でも2014年に三菱1号館でヴァロットン展が催されたので、行かれたかたも多いでしょう。まさか、こんな美術館でヴァロットンに出会うとは思ってもいませんでした。

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エミール・ノルデEmil Noldeの1947年、80歳頃の作品、《異国の娘たちFerne Mädchen》です。ノルデはドイツ人の画家ですが、第2次世界大戦後は出身地はデンマークに割譲されました。彼は原色を多用した強烈な色彩と単純化された形態が特色の孤高の画風を貫きました。この作品もオセアニア美術の雰囲気が感じられます。

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エミール・ノルデEmil Noldeの1915年、48歳頃の作品、《馬Pferd und Füllen》です。牧場で草を食む馬の上空には茜色に染まった雲が広がっています。幻想的な風景です。ここでもノルデは原色を多用した強烈な色彩で画面を満たしています。

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まだまだ、絵画作品が続きます。お付き合いください。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
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07/08 18:59 sarai

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公演では小沢、ショルティだけ

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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