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事前収録映像のノットが指揮した東響、感動のドヴォルザーク@東京オペラシティコンサートホール 2020.7.18

コロナのお陰で実現した凄いコンサートでした。事前に収録したジョナサン・ノットの映像が指揮する東響は、リアルなジョナサン・ノットが指揮する東響と遜色ない豊かな響きと音楽性の高い表現で聴衆を感動の渦に引き込みました。間違いなく今年聴いたコンサートの中で最高のコンサートでした。映像で指揮するノットは暗譜で見事な指揮。彼の頭の中で東響のサウンドが鳴っていたんでしょう。その映像を見ながら演奏した東響も見事でした。ある意味、ひとつ間違えたら破綻するというハラハラドキドキ感でその演奏に聴き入りました。終楽章のコーダの盛り上がりは極上の出来で、ドヴォルザークのこの曲でこんなに感動したことはありません。最後は感動の涙でした。映像で挨拶を送るノットに最高の拍手を送りました。本当はスタンディングオベーションすべきでしたが、コロナ禍の中のコンサートなので、自粛しました。すると、映像が事前収録したものから、オンラインでスイスにいるジョナサン・ノットの画像に切り替わります。彼もこの演奏をオンラインで聴いていたようです。我々が耳にした演奏を数秒遅れで聴いていたんでしょう。まるで奇跡のようなコミュニケーションです。ノットもきっと満足の演奏だったでしょう。また、彼のオンライン映像に大いに拍手を送りました。
今日の貴重な体験で音楽とは何かということを深く考えさせられました。きっちりした演奏技術が必須であることは大前提ですが、その上でいつも音楽性とか、精神性ということだけを重視してきました。しかし、本当に重要なのはそういうことではなく、“愛と信念”が音楽を至上のものに引き上げるということが初めて分かりました。“愛と信念”を指揮者、オーケストラ、聴衆が共有することこそ、音楽の奥義であると実感しました。コロナのために音楽を聴く機会は不自由になりましたが、音楽に対する“愛と信念”を持って、諦めずに遠いヨーロッパから映像出演という信じられないような形でのアプローチをしたノット、そのノットの心意気に反応して、“愛と信念”の演奏を聴かせてくれた東響のメンバー、そして、“愛と信念”でこの場に集まった聴衆、3者の“愛と信念”が一体化したことでありえないような素晴らしいコンサートが実現しました。

今日の素晴らしい演奏について、細部への言及は不要でしょう。ただ、熱い感動がありました。

来週のサントリーホールでの演奏、ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》はこれ以上の歴史に残るようなものになるかもしれません。お昼と夜の2回公演ですが、最初の昼の部のほうがより“愛と信念”を感じられるような気がします。東響のメンバーが最初の演奏で燃え尽きるかもしれませんからね。ちなみにsaraiが聴くのは夜の部。うーん、間違えたかな・・・。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット(ドヴォルザークに映像にて出演)
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲 Op.10 (指揮無し)

   《休憩》

  ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 Op.88


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のブリテンの《フランク・ブリッジの主題による変奏曲》は以下のCDを聴きました。

 ベンジャミン・ブリテン指揮イギリス室内管弦楽団 1966年12月 ロンドン、キングスウェイホール セッション録音

作曲家自身の指揮による美しい演奏です。


2曲目のドヴォルザークの交響曲第8番は以下のCDを聴きました。

 ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィル 1966年 ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音
 
期待以上の素晴らしい演奏。ベルリン・フィルの美質を引き出したクーベリックの指揮が光ります。チェコ・フィルの演奏に並び立つレベルの演奏です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,
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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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