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事前収録映像のノットが指揮した東響、ベートーヴェンも会心の演奏@サントリーホール 2020.7.25

事前収録した映像版のジョナサン・ノットが再び、登場。今回はベートーヴェンの交響曲、「英雄」です。映像の間近に陣取って、しっかりと聴かせてもらいました。もう、前回のような緊張感はありませんが、その代わり、自然に聴くことができました。

第1楽章は幾分早いテンポのせいか、少し演奏が固い感じですが、それでも高揚感にあふれる演奏です。終盤の盛り上がりに感銘を覚えます。第2楽章に入る前に異例のチューニング。オーケストラのメンバーも気合を入れ直すようです。
第2楽章の冒頭の葬送行進曲の主題は何というか、弦楽パートの魂の入った弱音の美しい響きがまさに悲愴な雰囲気を醸し出して、心に響きます。オーボエは少し響かせ過ぎの印象はありますが、美しいソロではあります。深い精神性に満ちた演奏が続き、ノットとベートーヴェンが一体化したような音楽にただただ聴き入ってしまいます。圧巻の演奏に魅了されました。
第3楽章はとても切れのある演奏。あのホルンのパートもパーフェクトです。あっという間に次の終楽章に突入。
第4楽章は最高の演奏。ノットの指揮は満を持していたかの如く、微妙にテンポを揺らしながら、オーケストラをインスパイアします。リズムの乗りも素晴らしく、saraiも浮遊感を覚えます。行進曲での推進力は素晴らしく、高揚感に浸ります。対位法パートでの弦楽セクションの素晴らしい響きにも魅了されます。いったん、沈静化した音楽が最後に爆発し、輝きに満ちたコーダの高潮は最高でした。

素晴らしいベートーヴェンでした。ただ、これが生のノットの指揮なら、さらなる感動があったでしょう。10月の来日はなんとしても実現してほしいものです。生のノットで最高の《トリスタンとイゾルテ》を聴きたい!


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット(ベートーヴェンに映像にて出演)
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  ストラヴィンスキー:ハ調の交響曲

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調op.55 「英雄」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のストラヴィンスキーのハ調の交響曲は以下のCDを聴きました。

 サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル 2007年9月20-22日 フィルハーモニー、ベルリン ライヴ録音

いかにもラトルらしい切れのある演奏。ベルリン・フィルの流石の実力です。


2曲目のベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」は以下のCDを聴きました。

 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル 1964年1月27日 ニューヨーク、マンハッタン・センター セッション録音
 
最近、あまり、世評にのぼることがないCDですが、saraiにとっては思い入れのある演奏です。子供のころ、あまり、お小遣いがなく、初めて、この曲のLPを買うに当たって、カラヤン&ベルリン・フィルを買うか、バーンスタイン&ニューヨーク・フィルを買うか、レコード屋さんのお兄さんにお願いして、比較試聴をさせてもらい、選んだのが、カラヤン盤。痛恨の選択でした。あのとき、買っておくべきはバーンスタイン盤でした。お陰でこの曲の何たるかがずっと分からずにいました。今回、久しぶりにこの演奏を聴き、あのカッコいいバーンスタインの若さにあふれる突っ込んだ演奏の素晴らしさに感動しました。もう子供時代には戻れませんが、その頃の気持ちでこの演奏を聴くと、甘酸っぱい思い出に浸れます。もっともこの曲はフルトヴェングラーの残した12の録音に優る演奏は何もありませんけどね。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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