やはり、久しぶりに聴く、このホールは実によく響きます。初めて聴く澤クヮルテットはその響きを使って、美しいアンサンブルを聴かせてくれます。あまりの心地よさにモーツァルトが生きた頃のウィーンの貴族の屋敷で室内楽に耳を傾けている錯覚に襲われます。実際、今日はたった50人ほどで聴いているのですから、そう思えても当然でしょう。在りし日のウィーンにタイムスリップしているうちにふっとsaraiの意識も飛んでしまい、モーツァルトの名曲もジ・エンド。これ以上の感想は書けません・・・。
換気のためにここで短い休憩。まだまだ、コロナの影響は免れませんね。
2曲目のドビュッシーの名曲もただただ、心地よい響きに身を委ねて、在りし日のパリにタイムスリップ・・・で、感想なし。
ちゃんとした休憩後、後半のプログラム。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第9番 「ラズモフスキー第3」です。これも在りし日のウィーンのラズモフスキー伯爵邸にタイムスリップしますが、今度は何とか意識は持続します。これも澤クヮルテットの美しい響きが光ります。もちろん、世界の一流のカルテットと比べると完璧でない部分もありますが、このベートーヴェンの傑作の、傑作たる所以は十分過ぎるほど、心に響きます。saraiもベートーヴェンの弦楽四重奏曲の後期作品を愛する者の一人ですが、この中期のいわゆる傑作の森に書かれた作品の素晴らしさに今更ながら、驚嘆します。イ短調の第2楽章の奥深い抒情・・・残念ながら、今日の演奏は少しあっさりしていて、うっとりというわけにはいきませんが、そこは想像力を働かせながら、鑑賞します。そして、第4楽章の物凄い迫力のフーガに感嘆します。
やっぱり、ここで聴く弦楽四重奏曲は最高です。こんな響くホールで、コロナ禍ゆえのたった50席の贅沢。主催者のご苦労は分かりますが、ただただ、そのご努力に感謝するのみです。
次回は最愛のロータス・カルテットですが、日本人以外の入国は認められないために一人欠けて、ロータス・トリオ。これもコロナ禍ゆえの特別プログラム。楽しめそうです。既に50席は完売だそうです。
今日のプログラムは以下です。
弦楽四重奏:澤クヮルテット
澤 和樹 vn 大関博明 vn 市坪俊彦 va 林 俊昭 vc
モーツアルト: 弦楽四重奏曲 第19番 K.465「不協和音」
《短い休憩》
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 Op.10
《休憩》
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第9番 Op.59-3「ラズモフスキー第3」
《アンコール》
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458『狩』 より、第3楽章 Adagio
最後に予習について触れておきます。
1曲目のモーツアルトの弦楽四重奏曲 第19番「不協和音」は以下のCDを聴きました。
アマデウス弦楽四重奏団 1966年5月録音 ベルリン、UFAスタジオ
素晴らしい演奏とそれに音質が最高。何も言うことがありません。
2曲目のドビュッシーの弦楽四重奏曲は以下のCDを聴きました。
エマーソン・カルテット 1984年録音
エマーソン・カルテットらしい美しい響きと最高のテクニックでドビュッシーの素晴らしさを満喫させてくれます。
3曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第9番 「ラズモフスキー第3」は以下のLPレコードを聴きました。
ブダペスト弦楽四重奏団 1958年録音
このLPレコードは今年、全集盤を購入し、全曲聴き通したばかりですが、また、聴いてみました。第2楽章の深い味わい、第4楽章の圧倒的な迫力、凄いですね。匹敵するのはブッシュ四重奏団の演奏くらいなものです。この予習を終えて、バルトークの弦楽四重奏曲第1番(ハンガリー四重奏団)を聴きましたが、バルトークがベートーヴェンの後期作品のように思えてしまいました。弦楽四重奏曲では、ベートーヴェンとバルトークが圧倒的に素晴らしい!
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