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ルツェルン散策:ローゼンガルト・コレクション~クレーの名作 1939年-1940年(最晩年)

2019年9月14日土曜日@ルツェルン/15回目

ルツェルンLuzernの街歩き中で、ローゼンガルト・コレクションSammlung Rosengartに立ち寄っています。現在、クレーの作品をピックアップして、ご紹介しているところです。ここまで、1913年から1938年までの作品を見てきました。
最後に、1939年と最晩年の1940年の作品を見ていきます。なお、制作年の後ろの括弧の中の数字はその年の作品番号です。

《登山鉄道》。1939年(556)、クレー60歳頃の作品です。クレーは晩年を迎えますが、彼の創作力は絶頂を極め、この1939年には何と制作総数(デッサンも含めて)は1253点にのぼります。特に多くなったのは線画の作品です。有名な天使シリーズもこの年に描かれます。この作品は木炭と水彩で描かれていますが、一種の線画とも言えます。スイスの山岳観光には欠かせない登山鉄道が几帳面に描かれています。丸、三角、直線、矢印といったシンプルな幾何学的要素だけで描かれていますが、まるで具象画のように鮮やかに登山鉄道のフォルムを表現しています。見事な作品です。

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《もう一度希望すること》。1939年(1003)、クレー60歳頃の作品です。これはクレーの自画像なのでしょうか。自分の死期を悟りつつも希望を捨てない画家の姿に心が痛みます。水彩で描かれていますが、自分を天使に昇華させようとするようにも思えます。

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《魚の視線》。1940年(8)、クレー61歳頃の作品です。いよいよ、クレーの最晩年です。魚シリーズの集大成のようなシンプルでありながらも、深い表現の凄い作品です。水中の魚の視線の先には何が見えているのでしょうか。もう希望ではないでしょう。永遠の光を見ているのでしょう。

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《呪いの直後の聖書の蛇》。1940年(319)、クレー61歳頃の作品です。クレーは最晩年にも400点ほどの作品を制作しました。この作品はその中でも最後に近い時点で描かれたものです。黒い太線の線画ですが、天才画家にふさわしい芸術的な完成がみられますね。上からの矢印で強調した蛇の姿には邪悪な雰囲気はかけらもありません。生きとし生けるもの、すべて、世界は美しい・・・クレーの魂よ、永遠なれ!

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ローゼンガルト・コレクションのクレーの作品は1913年から亡くなる年の1940年まで、125点が収蔵され、そのほとんどすべてが地下の展示室で公開されていました。こんなに一挙にクレーの作品に接したのは初めての経験です。クレー好きの配偶者とsaraiは夢中になって、この膨大な作品群に見入っていました。こんな素晴らしいクレーのコレクションを収集したローゼンガルト父娘に感謝と尊敬の念を抱きました。

このブログで一緒にクレーの作品鑑賞にお付き合い願った読者の方々にも感謝します。終わってみれば、何と12回にわたる記事連載になってしまいました。



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たまには、旅ブログも書きます。

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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