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晴れ後曇り、最高のハイドンとウェーベルン、ベートーヴェンはあれっ? アミティ・カルテット@鶴見サルビアホール 2020.11.4

今日の100席限定の鶴見サルビアホール(音楽ホール)も席数を半減して50席だけでの公演です。今回ももちろん日本人カルテットによる演奏です。極めつけの室内楽ファンが集結して貴重な公演を楽しみます。

若くて優秀な4人がいきのいい演奏を聴かせてくれます。前半のハイドンは冒頭の響きで素晴らしい演奏になることを確信しましたが、リッチな響きで4人が自発性のある演奏を繰り広げます。ハイドンの最後期の名曲を堪能しました。とりわけ、第1楽章の跳ねるような勢いの演奏が印象的でした。
前半の2曲目はウェーベルン。初期の作品で後期ロマン派の香り高く、その後の無調作品とはまったく別物です。実演で聴くのは初めてかもしれません。若い4人は思いっ切り、美しさを際立てる演奏です。そのメローで抒情的な演奏に魂が揺れてしまいます。彼らの演奏は本当に上手い。常設の四重奏団ではないようですが、かえって、その利点、新鮮さが際立ちます。

後半のプログラムはベートーヴェンの最高傑作、弦楽四重奏曲 第14番 Op.131です。このホールでは、ロータス・カルテットの素晴らしい演奏が響き渡りましたが、今日の彼らはそれに迫るような演奏が期待できそうです。ところが、冒頭の第1ヴァイオリンのソロ演奏が始まり、あれっ・・・。まあ、趣味の問題もあるでしょうが、まったく心に響かない演奏です。ベートーヴェンが己の芸術の集大成とした音楽とは異なる表現に思えます。対位法的に第2ヴァイオリン、ヴィオラと受け継ぎ、少し、音楽表現的に挽回しますが、やはり、第1ヴァイオリンの表現がはまってきません。そう言えば、この曲の名演はすべて第1ヴァイオリンの名手がリードする弦楽四重奏団ばかりです。ブッシュ四重奏団、ブダペスト四重奏団、リンゼイ四重奏団・・・。彼らが表現したのはベートーヴェンが長い芸術創造の果てに辿り着いた境地、苦難を乗り越えた先の諦念や祈り、そして、それでも生き抜くという人間の雄々しさがあるとsaraiは思っています。そういう深い精神性に満ちた音楽表現が必須だと思いますが、そういう面で物足りない演奏に終始しました。演奏技術は素晴らしいのですが、それだけで満足できる音楽ではありません。これからの彼らの熟成を待ちたいと思います。常設の弦楽四重奏団ではないので仕方がない面もあるのでしょう。これからを期待しています。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:アミティ・カルテット
   尾池亜美 vn 須山暢大 vn 安達真理 vn 山澤 慧 vn

   ハイドン:弦楽四重奏曲 第66(81)番 ト長調 Op.77-1 Hob. III: 81「ロプコヴィッツ」
   ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 Op.131

   《アンコール》
    なし

最後に予習について触れておきます。

1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲 第66(81)番 Op.77-1は以下のCDを聴きました。

 アマデウス弦楽四重奏団 1964年3月 ドイツ、ハノーファー セッション録音

アマデウス弦楽四重奏団らしい明快な演奏です。素晴らしいハイドンを満足して聴きました。


2曲目のウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章は以下のCDを聴きました。

 エマーソン・カルテット 1992年10月  ニューヨーク州立大学パーチェス校、パフォーミングアーツセンター セッション録音

こういうロマンティックな曲を演奏させると、エマーソン・カルテットの美しい響きと最高のテクニックが光ります。手元に置いておきたい一枚です。


3曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第14番 Op.131は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団(リンゼイズ) 1983年録音

ステレオなら、このリンゼイズ(旧録音)、モノラルなら、ブッシュ四重奏団がこの曲の最高の演奏だとsaraiは確信しています。その深い味わいには感銘を覚えるのみです。予習ではなく、楽しみで聴きました。



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テーマ : クラシック
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Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
私は今まで、後期の4曲はブダペスト四重奏団できまり!と思っておりました。
ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

09/16 13:52 たかぼん

ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai
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