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小菅優の矢代秋雄(ピアノ協奏曲)の熱演に深い感銘! 東京交響楽団も絶好調!@サントリーホール 2020.11.15

矢代秋雄のピアノ協奏曲は初めて聴きましたが、大変、感銘を覚えました。日本人の作曲家の作品でこのように感情の昂ぶりを感じたことはありません。恥ずかしながら、あまり、日本人の作品を聴いていないので、強くは言えませんが、日本人の作品としては最高のものだと確信しました。こういう才能が日本にもいたんですね。それにしても、saraiにそう感じさせた小菅優のピアノ演奏の素晴らしさには賛辞をいくら重ねても足りないほどです。彼女のものに取り憑かれたような、作品への集中、さらには没入ぶりは恐ろしくなるほどでした。そして、彼女の演奏の熱い昂ぶりにsaraiも深く共感しました。
矢代秋雄のピアノ協奏曲は夜の音楽です。第1楽章は夜の初めの喧騒感も漂わせますが、第2楽章は深夜の静寂や熱っぽさ、そして、第3楽章は夜明けに向かう前触れを予感します。夜の音楽を描いたバルトークに精神の深い奥底の核の部分で共鳴したのではないかとsaraiは秘かに感じました。そして、バルトークのバルバリズムさえも感じます。無論、この曲がバルトークに似ているというつもりはありません。精神の深い部分でつながりを感じるというだけです。それにしても、この音楽が発する強烈なエネルギーには無茶苦茶インスパイアされます。自分の精神がどこかに吹き飛ばされそうな恐ろしさも感じます。うーん、今日、聴いたばかりですが、また、聴きたくなりました。小菅優のピアノ、そして、矢代秋雄の音楽・・・素晴らし過ぎました!
書き忘れそうになりましたが、広上淳一が指揮した東響の演奏も凄まじかったです。ピアノに遠慮なしに大音量での演奏でしたが、この曲の本質に迫る素晴らしい演奏でした。ピアノも熱かったのですが、オーケストラも実に熱かった。夜の闇の深い静寂と狂奔する精神の混在。実に狂おしい音楽が見事に表現されました。
ところで、小菅優の弾いたアンコール曲がショパンとはね・・・うまく、いなされました。

後半のプログラムのベートーヴェンの交響曲第4番は東響のアンサンブルが見事に機能した素晴らしい演奏でした。それにしてもこの曲は第3番と第5番という凄い曲に挟まれているのに、ある意味、軽いノリの音楽にしたベートーヴェンの意図はどこにあったのかと自分に問い続けながら、聴き入っていました。ベートーヴェンの心に浮かぶ楽想は熱く燃え上がるものばかりでなく、穏やかで軽みのあるものもあったということでしょうか。第9番の前の第8番も然りです。シューマンが評したという「ギリシャの可憐な乙女」は果たして褒め言葉なのか・・・そうとしか表現できなかったのでは? saraiがこの曲を今日の演奏のように楽しむことはあっても、第3番や第5番のように感動することは決してないでしょう。ちなみにsaraiはこの曲は好きですよ。終演後、大いに拍手を送りました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:広上淳一(ジョナサン・ノットの代演)
  ピアノ:小菅優
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  ベートーヴェン:序曲 ハ長調「命名祝日」Op.115
  矢代秋雄:ピアノ協奏曲
   《アンコール》ショパン:ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 Op.60


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの序曲「命名祝日」は以下のCDを聴きました。

 クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1990年10月 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

この曲は希少な録音しかない中、このCDはとても貴重な録音です。演奏は何も文句ない見事さです。



2曲目の矢代秋雄のピアノ協奏曲の予習は以下のYOUTUBEで聴きました。

  河村尚子、山田和樹指揮NHK交響楽団 2019年4月20日 NHKホール

河村尚子のピアノは切れ味のある素晴らしい演奏ですが、なぜか、オーケストラ、特に弦の響きが浅いのが気になります。演奏の問題か、録音の問題かは分かりません。気持ちが悪いので、別の演奏を聴き直します。

  岡田博美、湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団 2001年6月 アルスター・ホール、ベルファスト、北アイルランド セッション録音

これはピアノもオーケストラも素晴らしい演奏です。俄然、コンサートで実演を聴くのが楽しみになります。


3曲目のベートーヴェンの交響曲第4番は以下のCDを聴きました。

 カルロス・クライバー指揮バイエルン国立管弦楽団 1982年5月3日、バイエルン国立歌劇場 カール・ベーム追悼コンサート ライヴ録音
 
意外にきっちりした古典的とも言える演奏です。むしろ、昔聴いたバーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの溌剌とした演奏が懐かしく思い出されます。



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金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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