第9の第1楽章と第2楽章は熱の入った力強い演奏でアンサンブルも美しいです。第3楽章に入ると、しみじみと美しいメロディーが最高の弦で奏でられます。第1ヴァイオリンだけでなく、対向に配置されたヴィオラの響きが素晴らしいです。木管で演奏されるパートも美しいのですが、東響の弦楽アンサンブルの素晴らしさが心に響きます。うーん、今日はこの第3楽章が聴けただけでもよかったと納得します。しかし、今日の東響、そして、合唱の新国立劇場合唱団は第4楽章で燃え上がるような演奏を聴かせてくれます。行進曲風のパートあたりからが素晴らしいです。声楽パートが収まって、オーケストラだけの演奏に移るとまたしても弦楽アンサンブルが究極の美しい響きを奏でます。その後、合唱も加わっての凄絶な演奏に深く感動します。感動にレベルがあるとすれば、フルトヴェングラー級の感動です。そのまま深い感動を保って、圧巻のフィナーレ。日本人のオーケストラと合唱団がこんな素晴らしい第9を聴かせてくれるとは・・・凄い時代になったものです。指揮の秋山和慶も見事でした。フルトヴェングラーのようにロマンに満ちた音楽表現でした。
この後、28日のジョナサン・ノットの指揮による第9に向けて、リハーサルが始まるのでしょう。今日の最高の第9がどのように変容するのでしょうか。これ以上の演奏は難しいような気もします。不安と期待の入り混じった気持ちで28日の今年の〆となるサントリーホールの公演に臨みます。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:秋山和慶
ソプラノ:森野美咲
メゾソプラノ:鳥木弥生
テノール:小原啓楼
バリトン:大山大輔
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:河原哲也)
管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷 晃
ベートーヴェン:「エグモント」序曲 Op.84
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱付」
《アンコール》
蛍の光 AULD LANG SYNE
最後に予習について、まとめておきます。
ベートーヴェンの「エグモント」序曲を予習したCDは以下です。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1947年5月27日 ベルリン、ベルリン英占領区ソ連放送局スタジオHaus des Rundfunks (略称 Funkhaus) 放送録音
フルトヴェングラーの戦後復帰の記念すべきコンサートシリーズの放送用録音です。もちろん、雄渾でロマンにあふれた名演です。
ベートーヴェンの交響曲 第9番を予習したCDは以下です。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、ルツェルン音楽祭合唱団
エリーザベト・シュヴァルツコプフ、エルザ・カヴェルティ、エルンスト・ヘフリガー、オットー・エーデルマン
1954年8月22日 ルツェルン音楽祭 ライヴ録音
auditeから出たハイレゾ録音で聴きました。フルトヴェングラーが指揮した最後の第9です。第3楽章のしみじみとした表現に心打たれます。バイロイトの第9と並ぶ最高の名演です。
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