娘夫婦宅で横浜中華街の聘珍楼のテイクアウトのグルメなディナーをいただいた後、みなとみらいホールに移動。
みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートは今年で第22回目。そして、saraiがジルヴェスターコンサートに通うのもこれで22回。全部聴いてます。しかし、これも今年までです。来年はみなとみらいホールが改修のために長期休館になるために、ジルヴェスターコンサートも途切れます。それに今年はコロナ禍のためにコンサート開始が2時間繰り上げの7時になり、10時半に終了。21回続いた年越しカウントダウンもできません。ただし、既述のとおり、粋なはからいでコンサートホールの中の時間は2時間、タイムシフトしました。ホールの巨大なパイプオルガンがR.シュトラウスの《ツァラトゥストラはかく語りき》の強烈な響きを挙げるとともに2時間、タイムジャンプしたことを宣言しました。これにより、仮想的に今回もカウントダウンが可能となったんです。めでたく今回もカウントダウンできました。もっとも声を挙げてのカウントダウンはできませんでしたけどね。まあ、仮想的にせよ、雰囲気は年越しコンサートになりました。
今回のプログラムは以下です。
《第1部》
池辺晋一郎:ヨコハマ・ファンファーレ
オッフェンバック:『天国と地獄』序曲
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』第1楽章
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58 第3楽章 ピアノ:仲道郁代
グルック:オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』より「精霊の踊り」 フルート:高木綾子
ヘンデル:オペラ『セルセ』より「オンブラ・マイ・フ」 ソプラノ:梅津碧
山本正美作曲・美智子上皇后陛下作詞:ねむの木の子守唄 ソプラノ:梅津碧
J.S.バッハ:2台のヴァイオリンの為の協奏曲ニ短調 BWV.1043 第1楽章 ヴァイオリン:藤原浜雄、水野佐知香
《休憩》
《第2部》
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.49 第1楽章 ヴァイオリン:徳永二男 チェロ:堀了介 ピアノ:仲道郁代
さだまさし:防人の詩 歌・バンドゥーラ:ナターシャ・グジー
木村弓作曲・覚和歌子作詞:いつも何度でも 歌・バンドゥーラ:ナターシャ・グジー
ラヴェル:ツィガーヌ ヴァイオリン:徳永二男
池辺晋一朗:影武者のテーマ
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 Op.78 第2楽章(後半) オルガン:三浦はつみ
レハール:喜歌劇《メリー・ウィドウ》より、ヴィリアの歌 ソプラノ:梅津碧
ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
【出 演】
音楽監督:池辺晋一郎、飯森範親(Cond)、徳永二男(エグゼクティブ・ディレクター/Vn)、朝岡聡(MC)
横浜みなとみらいホール ジルヴェスターオーケストラ(コンサートマスター:会田莉凡、犬伏亜里、扇谷泰朋、神谷未穂、藤原浜雄、高橋和貴)
ピアノ:仲道郁代
ソプラノ:梅津碧
歌・バンドゥーラ:ナターシャ・グジー
フルート:高木綾子
ヴァイオリン:藤原浜雄
ヴァイオリン:水野佐知香
チェロ:堀了介
今回のジルヴェスターコンサートは昨年同様、最前列の中央の席で聴きました。とってもよく響く最高の席でした。もっとも今年はコロナ対策で1列目が空けてあるので、2列目が最前列です。
ジルヴェスターコンサートはお祭りのようなガラコンサートですが、簡単に印象をまとめておきましょう。
みなとみらいホール前館長の池辺晋一郎によって、このジルヴェスターコンサートのために書かれたヨコハマ・ファンファーレで華やかに開幕。コロナ対策のためにステージ後方の2階席に陣取った金管奏者たちの演奏が見事に響き渡りました。金管奏者たちはいつもはステージの前に立ちますが、それと変わらぬような音響が響いたのに驚愕!
続いて、オッフェンバックの『天国と地獄』序曲です。何と言っても終盤のカンカンが華やかに響き渡ります。フレンチカンカンの踊りを見たくなりますね。
予習 ネーメ・ヤルヴィ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 2015年6月23日-24日、ヴィクトリア・ホール(ジュネーヴ、スイス) セッション録音
次はベートーヴェンの交響曲第6番『田園』第1楽章。ベートーヴェン生誕250年でしたね。明るいパステル調の響きが伸びやかに流れます。とても美しい演奏です。
予習 ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団 1958年 セッション録音
次はベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番 第3楽章。仲道郁代の素晴らしいピアノなんですが、最初、ピアノの響きがくぐもったような感じなのでえっと思ってピアノを見ると、スタインウェイではなく、YAHAMA。別にYAHAMAでもいいのですが、多分、CFXではなく、旧型のような気がします。ピアノ演奏は素晴らしかっただけに、スタインウェイを弾いてもらいたかったところです。
予習 アンドラーシュ・シフ、ベルナルト・ハイティンク指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1996年3,11,12月、ドレスデン、聖ルカ教会 セッション録音
次はグルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』より「精霊の踊り」。高木綾子のよくコントロールされた端正なフルート演奏が見事でした。下手に演奏すると退屈になる曲を魅力的に聴かせてくれました。とりわけ、中間部の演奏の美しかったこと。saraiも下手なフルートを吹きたくなりました。
予習 ジェイムズ・ゴールウェイ、チャールズ・ゲルハルト指揮ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 1975年、ロンドン、キングズウェイ・ホール セッション録音
次はヘンデルのオペラ『セルセ』より「オンブラ・マイ・フ」。ソプラノの梅津碧がお伽の国から抜け出たようなお姫様ドレスで登場したのにびっくり。その梅津碧は初聴きですが、とても高音がよく出ます。コロラトゥーラだそうですが、スープレットを目指したほうがよいような声の響きです(これは誉め言葉です)。なお、予習で聴いたケルメスはピリオド楽器のアンサンブルをバックに歌っていましたが、そのイメージが脳裏にあり、モダンオーケストラの演奏は違和感を覚えました。
予習 ジモーネ・ケルメス、ボリス・ベゲルマン(コンサートマスター)、アミーチ・ヴェネツィアーニ(ピリオド楽器アンサンブル) 2018年5月28日~6月2日、ベルリン、イエス=キリスト教会 セッション録音
次はJ.S.バッハの2台のヴァイオリンの為の協奏曲。楽しい演奏です。
予習 寺神戸亮、若松夏美、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 1998年7、9月 神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
ここで休憩です。
休憩が終わり、第2部がスタートします。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。曲よし、演奏よし。間然として聴き入ります。
予習 ヨーヨー・マ(チェロ)、エマニュエル・アックス(ピアノ)、イツァーク・パールマン(ヴァイオリン) 2009年3月28-29日 ニューヨーク セッション録音
次は歌・バンドゥーラをナターシャ・グジーが奏でます。バンドゥーラはウクライナの民俗楽器でツィターのような楽器で素晴らしい音色です。グジーの歌声も高く澄み切ったものです。意外に心に沁みました。
次はラヴェルのツィガーヌ。ムターのような名人級の演奏に比べると、まあ、こんなものかなという演奏。
予習 アンネ・ゾフィー・ムター、ジェイムズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1992年11月 ウィーン セッション録音
いよいよ、カウントダウン曲のサン=サーンスの交響曲第3番 第2楽章(後半)です。今年もカウントダウンはきっちり見事に成功!! 最後のバンという響きとともにぴったり2時間早めの仮想新年を迎えました。いやはや、飯森範親の指揮は見事の一語。こんなに失敗なしにカウントダウンできることは驚異的です。みなとみらいホールのパイプオルガン、通称ルーシーも素晴らしい響きで華を添えました。
予習 ベルイ・ザムコヒアン(オルガン)、シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団 1959年4月5,6日 ボストン、シンフォニー・ホール セッション録音
新年に聴く最初の音楽はレハールの喜歌劇《メリー・ウィドウ》より、ヴィリアの歌です。ソプラノの梅津碧は美しい歌声で魅了してくれました。でも、コロラトゥーラなら、モーツァルトの魔笛の夜の女王のアリアが聴きたかったな・・・。
最後のおまけは例年通り、ラデツキー行進曲を手拍子してコンサート完了。
今年も音楽で新年が始まりました。コロナ禍で、これから、コンサートがどうなるのか、不安です。いずれにせよ、ヨーロッパ遠征は無理でしょうね。
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