最初のシューベルトのアルペジオーネ・ソナタはまず、伊藤恵の素晴らしいピアノの響きに魅了されます。このまま、彼女のシューベルトのピアノ独奏を聴いていたいと思わせるほどの最高の響き。そして、今井信子のヴィオラの演奏が始まります。豊かな響きで明快に旋律線を描き出します。実にロマンティックな音楽が展開されていきます。ヴィオラ版を聴くのは初めてですが、何の違和感もなく、特に自然な高域の響きがよいですね。
次はブラームスのヴィオラ・ソナタ 第2番。この曲は原曲がクラリネット・ソナタですが、ヴィオラ版を聴くのは初めてです。第1楽章の第1主題のロマンにあふれた演奏の素晴らしいこと。何度も繰り返しあらわれますが、すっかり魅了されました。第2楽章もロマンにあふれる熱情が素晴らしいです。ブラームスの作曲した最後の室内楽作品を堪能させてもらいました。
後半はシューベルトとシューマンの歌曲の代表作をヴィオラで演奏します。冬の旅は有名な曲を2曲、演奏します。心の中で歌をくちずさみながら、楽しく鑑賞します。ここでも伊藤恵のシューベルトは見事です。今井信子は実に明快に旋律線を歌い上げます。
続いて、シューマンの詩人の恋。第1曲の《うるわしき5月に》の伊藤恵のピアノの素晴らしいこと。美しい演奏に心を奪われます。第12曲の《まばゆい夏の朝に》も素晴らしい演奏です。今井信子のヴィオラもシューマンの夢心を見事に表現します。そして、終曲の最後のピアノのソロが圧巻でした。伊藤恵はやはり、シューマンが似合います。
アンコールの2曲も素晴らしい演奏でした。シューマンの《夕べの歌》は初めて聴きましたが、シューマンのロマンがいっぱい詰まった素晴らしい演奏でした。最後のシューベルトの《春の夢》はsarai、そして、昨年亡くなった母も大好きだった曲です。何とも素晴らしい演奏に胸が熱くなりました。
ようやく、念願の今井信子さんのヴィオラが聴けました。期待通りの演奏に満足しました。それにしても、伊藤恵さんのピアノのサポートの素晴らしかったこと、感銘を受けました。素晴らしいデュオですね。
今日のプログラムは以下です。
ピアノ:伊藤 恵
ヴィオラ:今井信子
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821
ブラームス:ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 Op.120-2
《休憩》
シューベルト:冬の旅 Op.89, D911 より 第1曲 おやすみ、第5曲 菩提樹
シューマン:詩人の恋 Op.48
《アンコール》
シューマン:夕べの歌~ピアノ連弾曲集「小さな子供と大きな子供のための12のピアノ曲集」Op.85 第12曲
シューベルト:冬の旅 Op.89, D911 より 第11番 春の夢
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のシューベルトのアルペジオーネ・ソナタは以下のCDを聴きました。
ミシャ・マイスキー、マルタ・アルゲリッチ 1984年 セッション録音
とてもロマンティックで繊細な演奏です。いつもはロスポロポージッチ&ブリテンの演奏を聴くことが多いのですが、甲乙つけがたい演奏です。
2曲目のブラームスのヴィオラ・ソナタ 第2番は以下のCDを聴きました。
ヨゼフ・スーク、ヤン・パネンカ 1990年 セッション録音
スークのヴィオラが素晴らしいです。パネンカのピアノがもうひとつなのは残念ですが・・・。
3曲目のシューベルトの冬の旅は以下のCDを聴きました。
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、ジェラルド・ムーア 1962年11月10,14日、ベルリン セッション録音
saraiにとって、これは永遠の名盤。この録音でシューベルトの歌曲のとりこになりました。
4曲目のシューマンの詩人の恋は以下のCDを聴きました。
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、クリストフ・エッシェンバッハ 1974~76年 セッション録音
フィッシャー=ディースカウはもちろん、完璧な歌唱ですが、エッシェンバッハのピアノも素晴らしい。
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