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今日もシューマンの豊かなロマンの世界にうっとり ファウスト&メルニコフ@王子ホール 2021.1.27

昨日に引き続いて、イザベル・ファウストのヴァイオリン、アレクサンドル・メルニコフのピアノを聴きます。前半のプログラム、後半のプログラムのそれぞれ冒頭にシューマンがドレスデン時代に書いた短いけれども実に充実した作品が演奏されました。昨日のシューマンと同様に素晴らしい演奏でした。音楽的に深い内容の演奏にうっとりと聴き入りました。ファウストのヴァイオリンの音色はシューマンにぴったりで、彼女をシューマン弾きと呼びたいほどです。特に後半のプログラムで演奏された3つのロマンスの深い情感には強い感銘を覚えました。第2曲の抒情的なメロディーをファウストは柔らかいヴァイオリンの響きで歌い上げて、最高のシューマンの音楽を聴かせてくれました。本来、プログラム的には、シューマンの作品は前菜の位置づけですが、極上の前菜になっていました。2日間通して、こんな素晴らしいシューマンが聴けて、シューマン好きとしては最高の2日間になりました。

もちろん、メインの曲の演奏も素晴らしかったんです。前半のバルトークの緊張感の高い演奏も聴きものでした。第1楽章の夜を思わせる冷徹な表現、第2楽章の爆発的なエネルギー。素晴らしいバルトークでした。しかし、プログラム的にどうも落ち着きが悪かったのも事実です。せっかくだから、むしろ、シューマンの第3番のソナタを弾いてくれたほうがよかったかなと思っていたら、それはアンコールでプレゼントされました。

後半のメインのブラームスのクラリネット・ソナタ第1番のヴァイオリン版は昨日の第2番以上の素晴らしい演奏。第1楽章と第2楽章の爽やかなロマンはクラリネットで演奏する渋い世界とは別物のようで、ファウストのヴァイオリンの柔らかい響きが心を打ちます。そして、第4楽章の圧倒的なフィナーレ。ファウストのブラームスもいいですね。ヴァイオリン・ソナタも聴きたかったところです。リサイタルの3日目があれば、ブラームスのヴァイオリン・ソナタが聴けたでしょう。少々、残念です。

そして、最後のアンコールはシューマンで〆です。ヴァイオリン・ソナタ第3番の間奏曲というよりも『F.A.E.ソナタ』の間奏曲です。またまた、シューマンの世界にうっとり。ファウストの弾くシューマンの素晴らしさを堪能しました。

今でもシューマンのヴァイオリン・ソナタ 第2番の第3楽章のコラールの旋律が脳裏から離れず、ずっと、2日間、鳴り続けています。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
  ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ

  シューマン:幻想小曲集 Op.73
  バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 Sz76

   《休憩》

  シューマン:3つのロマンス Op.94
  ブラームス:クラリネット・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.120-1(ヴァイオリン版)

   《アンコール》
     シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 イ短調 WoO 27より 第3楽章 間奏曲(F.A.E.ソナタ第2楽章より転用)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューマンの幻想小曲集はヴァイオリン版のよいものがなくて、チェロ版の以下のCDで予習しました。

  ミッシャ・マイスキー、マルタ・アルゲリッチ 1999年12月 ブリュッセル セッション録音

マイスキーらしいロマンティックな演奏です。


2曲目のバルトークのヴァイオリン・ソナタ 第2番を予習したCDは以下です。

  パトリツィア・コパチンスカヤ、ポリーナ・レシチェンコ 2017年6月 グルノーブル、MC2 セッション録音

コパチンスカヤが弾くとこうなるのねっていう、自在で凄い演奏です。


3曲目のシューマンの3つのロマンスを予習したCDは以下です。

  イザベル・ファウスト、アレクサンドル・メルニコフ 2014年9月 セッション録音

今日のリサイタルで演奏するファウストとメルニコフのコンビでの演奏です。


4曲目のブラームスのクラリネット・ソナタ 第1番はヴァイオリン版のよいものがなくて、ヴィオラ版を中心に以下のCDで予習しました。

  ウイリアム・プリムローズ(ヴィオラ)、ルドルフ・フィルクスニー 1958年 セッション録音
  ヨゼフ・スーク(ヴィオラ)、ヤン・パネンカ 1990年 セッション録音
  イェルク・ヴィトマン(クラリネット)、アンドラーシュ・シフ 2018年5月14-16日 ドイツ、ノイマルクト、Historischer Reitstadel セッション録音

プリムローズは古い録音ですが、おおらかな演奏で楽しませてくれます。スークはとても美しい、清々しい演奏。ヴィトマンとシフはこれぞ真打ちという深い演奏です。


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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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