マーラーを聴くのも久しぶりです。コロナ禍でマーラーのような大規模なオーケストラ作品は演奏機会がありませんでした。これも一昨年の12月に聴いて以来です。そのときも都響でした。アラン・ギルバートの指揮で素晴らしい交響曲第6番でした。
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今回の都響の演奏とは比べ物にならないレベルの見事な演奏でした。指揮者が変われば、こうも変わるものでしょうか。オーケストラは美しい音響でしたが、内容に乏しい演奏に終始しました。第3楽章だけは美しい演奏でうっとりと聴けたのが救いです。それに第4楽章は中村恵理の美しい声が聴けたので、後半はよかったんです。
冒頭の武満 徹の《夢の時》はとても素晴らしい演奏でした。パースペクティヴとも言える音響の広がりがまるで夜空の星のきらめきを感じさせます。こんな閉鎖空間のコンサートホールではなく、自然の雄大な野原の中で聴きたい音楽です。ホールの屋根が開けばいいのになあと思いながら聴いていました。武満の幽玄な音響の音楽もよいですが、こういう方向性の音楽もいいですね。大野和士の音楽作りも見事でしたし、都響の美しいアンサンブルも素晴らしかったです。
ブラームスのアルト・ラプソディは藤村実穂子の美声をたっぷりと聴かせてもらいました。とりわけ、後半の男声合唱をバックに従えた歌唱が冴え渡りました。オペラの勇壮な場面を聴く思いでした。
そう言えば、藤村実穂子を聴くのも久しぶりです。一昨年の4月以来ですから、ほぼ2年ですね。そのときも大野和士指揮の都響との共演でシェーンベルクの《グレの歌》で素晴らしい森鳩の歌を聴かせてくれました。
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久しぶり尽くしのコンサートでした。今日は本来ならば、マーラーの交響曲第2番《復活》が演奏される筈でしたが、さすがにコロナ禍が続く現在、あのような大規模の合唱を伴う作品の演奏は無理のようです。まだ、コロナ禍からの《復活》は無理ですね。座席配置も市松模様で50%の聴衆だけでのコンサートです。でも、こうして、徐々にコンサートも復活していくでしょう。いつの日か、本当にマーラーの交響曲第2番《復活》でコロナからの復活を祝いたいものです。ちょうど10年前、saraiが仕事をリタイアした直後に聴いたのがマーラーの交響曲第2番《復活》でした。インバル指揮の都響で素晴らしい演奏でした。
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今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:大野和士
ソプラノ:中村恵理**
メゾソプラノ:藤村実穂子*
男声合唱:新国立劇場合唱団* 合唱指揮:富平恭平
管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉
武満 徹:夢の時(1981)
ブラームス:アルト・ラプソディ ゲーテ「冬のハルツの旅」による Op.53*
《休憩》
マーラー:交響曲第4番 ト長調**
最後に予習について、まとめておきます。
武満 徹の《夢の時》を予習したCDは以下です。
山田和樹指揮日本フィルハーモニー交響楽団 2017年5月14日 東京・Bunkamuraオーチャードホール ライヴ録音
美しい演奏です。ちょっと外面的な表現に思えます。
ブラームスのアルト・ラプソディを予習したCDは以下です。
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、クリスタ・ルートヴィヒ 1962年 セッション録音
安定した演奏です。ちょっと面白味に欠けるでしょうか。
マーラーの交響曲第4番を予習したCDは以下です。
マイケル・ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団、ラウラ・クレイコム 2003年9月24日-28日、サンフランシスコ、デイヴィス・シンフォニー・ホール ライヴ録音
マイケル・ティルソン=トーマスらしい精密な演奏です。聴き応え十分。
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