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カーチュン・ウォンの描き出したマーラーの音楽世界は・・・ 読売日本交響楽団@サントリーホール 2021.4.6

今、注目のシンガポール出身の気鋭の指揮者、カーチュン・ウォンの登場です。彼は2016年のマーラー国際指揮者コンクールで優勝して頭角を現してきました。今日は得意とするマーラーですから、期待されます。それに今日のプログラムはマーラー初期の幻の作品、交響詩「葬礼」と遺作の交響曲第10番の“アダージョ”という超意欲的なものです。よほどの自信があるものと思えます。

実際、素晴らしい演奏でした。見事に読響をドライブして、マーラーの真髄に迫る演奏でした。交響詩「葬礼」は正直、交響曲第2番《復活》の第1楽章とさほどの違いは感じられませんが、マーラーが若い頃から意識していたテーマ、《人間の死(己自身の死)》、さらには輪廻転生に思いを込めた真正面からのアプローチは聴き応え、十分でした。カーチュン・ウォンの指揮の見事さと読響の流石のアンサンブル力に魅了されました。

交響詩「葬礼」に続き、間を置かずに交響曲第10番の“アダージョ”の演奏を開始します。まるで、マーラーの全交響曲作品をこの2曲で一気に俯瞰するような感じです。マーラーの死生観をこの2曲で垣間見る思いにもなります。とりわけ、交響曲第10番はアルマへの愛、そして、その破局で、狂おしいほどの自身の死への思い、美しい世界との別れの絶望感や、それでも愛にしがみつきたい甘い感情がないまぜになるという真情が素晴らしく表出されていました。素晴らしい音楽表現でした。終盤の読響の繊細過ぎるほどの響きに強い感銘を覚えました。曲が終わってもしばらくは金縛りにあったような感覚に陥りました。
素晴らしいマーラーでした。カーチュン・ウォンはこれを皮切りに日本でマーラーの交響曲を順次、演奏してくれるんでしょう。交響曲第9番がどのあたりで登場するのか、注目していましょう。

冒頭の細川俊夫の冥想はとても素晴らしい演奏で、細川俊夫の作品としても最高の音楽に思えました。3.11をテーマとした作品では、以前聴いた《嵐のあとに》の世界初演も素晴らしかったですが、それ以上にも思えました。オーケストラの扱いがとても斬新です。

デュティユーのヴァイオリン協奏曲「夢の樹」ですが、諏訪内晶子の素晴らしいテクニックと美しい響きには敬服しましたが、デュティユーが描いた実存やファンタジーという音楽的本質に切り込めていないという印象が残りました。この作品はとても演奏が難しいですね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:カーチュン・ウォン
  ヴァイオリン:諏訪内晶子
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:小森谷巧

  細川俊夫:冥想 -3月11日の津波の犠牲者に捧げる-
  デュティユー:ヴァイオリン協奏曲「夢の樹」

   《休憩》

  マーラー:交響詩「葬礼」
  マーラー:交響曲第10番から“アダージョ”


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の細川俊夫の冥想は予習なし。


2曲目のデュティユーのヴァイオリン協奏曲「夢の樹」は以下のCDを聴きました。

 アモイヤル、デュトワ、フランス国立管弦楽団 セッション録音
 
これはファンタジックな素晴らしい演奏です。


3曲目のマーラーの交響詩「葬礼」は以下のCDを聴きました。

 ピエール・ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団 1996年12月12日 シカゴ、オーケストラ・ホール セッション録音

ブーレーズは緻密な演奏です。シカゴ響も素晴らしい響きの演奏です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
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これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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