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ヴァイグレによる、激しく燃え上がるフランツ・シュミットの奇想の音響世界 読売日本交響楽団@サントリーホール 2021.6.29

ヴァイグレが素晴らしい音楽を放ち続けています。
今日、前半は読響の素晴らしいアンサンブルと美しい響き、とりわけ、弦のゴージャスな響きに耳を奪われます。ヴァイグレの堂々たる指揮姿も見事です。音楽の内容そのものよりも、余りの音響美に驚嘆しました。

後半のプログラムは注目のフランツ・シュミットです。何とも奇妙な演奏の展開が始まります。冒頭から金管が実に不安定。つられて、弦のアンサンブルもあまり、よくありません。しかし、次第に音楽の質が上がってきます。そして、第1部の後半では音楽が目くるめく魅惑的に響いてきます。素晴らしい弦楽アンサンブルの響きです。後期ロマン派的なんでしょうが、濃厚なロマンというのではなく、熱狂の底に不安感が見え隠れしているような音楽です。ファンタスティックと言えば言えなくもありませんが、どこか、翳のある美しさです。その本質が明確に現れてくるのは第2部です。チェロの美しい独奏に先導されるように始まった音楽は弦楽アンサンブルに引き継がれて、魅惑的な頂点に達します。葬送行進曲の哀調のある美しさは独特の感覚で聴くものを魅惑します。思わしくない金管ですが、ヴァイグレは美しい弦楽を引っ張って、フランツ・シュミットの奇想の音楽の本質に切り込んでいきます。フランツ・シュミットの音楽はとても音楽表現が難しそうですが、ヴァイグレは見事にフランツ・シュミットの何たるかを提示してくれます。頭に浮かぶ言葉は“奇想”しかありません。音響美は凄まじいのですが、妙にねじ曲がったところがこの音楽の魅力です。まるで綱渡りのような音楽表現を示してくれるヴァイグレの手腕に脱帽です。そのしなやかな剛腕で、フランツ・シュミットの奇想美を十分に味わわせてくれました。これまで、CDや実演でも何となく分からなかったフランツ・シュミットの音楽を体感させてくれたヴァイグレの実力に驚嘆しました。いやはや、凄い演奏でした。読響の弦の圧倒的な力にも恐れ入りました。それにしても、新ウィーン楽派と同時代に生きたフランツ・シュミットの音楽は、ウェーベルンの極限まで切り詰めたような音楽とは何と対極にあるような音楽なのでしょう。ある意味、フランツ・シュミットは孤高の存在(あるいは孤立した存在)だったのですね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:長原幸太

  グルック(ワーグナー編):歌劇「オーリードのイフィジェニー」序曲
  フランツ・シュミット:歌劇「ノートル・ダム」から間奏曲と謝肉祭の音楽

   《休憩》

  フランツ・シュミット:交響曲第4番


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のグルック(ワーグナー編)の歌劇「オーリードのイフィジェニー」序曲は以下のCDを聴きました。

 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団 1960年9月 セッション録音

迫力があり、スケールの大きな演奏です。


2曲目のフランツ・シュミットの歌劇「ノートル・ダム」からの間奏曲と謝肉祭の音楽は以下のCDを聴きました。

 ヤコフ・クライツベルク指揮ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団 2002年8月29-30日、アムステルダム セッション録音
 
美しい演奏です。


3曲目のフランツ・シュミットの交響曲第4番は以下のCDを聴きました。

 パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団 2018年4月26、27日 フランクフルト セッション録音

無理のない美しい演奏です。父親のネーメ・ヤルヴィと父子2代でフランツ・シュミットの交響曲全集の録音を完成しているのは凄いですね。



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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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06/18 12:46 sarai

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 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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