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モン・サン=ミシェル島内散策:修道院の西のテラスから付属教会の内部空間へ

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/17回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelの中に入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestに上ってきました。
建物の見取り図では、上層階の3.の西のテラスです。

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西のテラスからは修道院付属教会Église Abbatialeの西側のファサードが見え、その後方に鐘楼の尖塔が聳えています。

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西のテラスから下を見下ろすと、サン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloと本土と島を繋ぐパセレル橋Pont Passerelle du Mont Saint-Michel、クエノン川Couesnonが見渡せます。

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再び、修道院付属教会のほうを眺めます。大勢の観光客が教会の内部に入っていきます。

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鐘楼の尖塔の頂点には銅製金メッキに輝く大天使ミカエル(フランス語ではミシェル)の像が異彩を放っています。

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教会の左手に視線を向けると、教会に連なる建物があります。教会からの回廊があるようです。実に複雑な構造の建造物です。

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これが西のテラスの様子です。教会前の広場のようになっています。島の岩山の上に築かれた石畳の広場です。

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さあ、我々も修道院付属教会の内部に入りましょう。天井の高いゴシック様式の身廊が厳かな雰囲気に包まれています。

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身廊の天井を見上げると、板張りのヴォールトになっています。珍しい構造です。島の岩山の上に大変な労力で築き上げたためでしょうか。

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内陣はもともとはロマネスク様式のものでしたがが、1421年に崩壊し、その後、現在のフランボアイヤンゴシック様式で再建されました。高窓からは明るい陽光が降り注いでいます。

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身廊の板張りのヴォールトと内陣の間には、クロッシングの天井があります。

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明るい光に包まれた内陣はまるで天上の世界のようです。

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しばし、内陣の前に立ちすくみます。



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モン・サン=ミシェル島内散策:修道院付属教会の内陣

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/18回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestから修道院付属教会Église Abbatialeを巡っています。。
建物の見取り図の上層階の部分をご覧ください。

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修道院付属教会の内陣の前で上から降り注ぐ光を受けて、何故か敬虔な気持ちに浸っています。

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目の前には簡素ながら清廉な主祭壇があります。

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振り返って、身廊の空間を眺めます。天井の板張りのヴォールトが印象的です。

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天使たちのレリーフがあります。素朴で暖かい雰囲気に満ちています。

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内陣の奥から、主祭壇を通して、身廊のほうを眺めます。この内陣からの光が身廊に柔らかく差し込んでいます。

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上から帆船が吊るされています。海の上の島にある修道院にふさわしいですね。

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聖人たちのレリーフです。素朴な装飾物が多いですね。

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内陣の高窓を見上げます。ステンドグラスを通して、あふれんばかりの光です。外は曇天の筈ですが、それでも、この豊かな光です。

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内陣から側廊を眺めます。アーチが連なっています。

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内陣から身廊のほうに出てきました。

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もう少しだけ、この内陣あたりを見学します。



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モン・サン=ミシェル島内散策:修道院付属教会から美しき回廊へ

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/19回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestから修道院付属教会Église Abbatialeを巡っています。
建物の見取り図の上層階の部分をご覧ください。

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また、内陣の前に立ちます。内陣の脇には十字架に架けられたキリスト像、そして、主祭壇の左手には聖ミカエルの像(写真の右下)がひっそりと置かれています。

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これがキリスト像です。

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身廊を眺めます。身廊の脇には側廊があります。側廊の窓、側廊の2階の窓からも明るい光が差し込んでいます。

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聖母子像です。うっすらと着色されています。これもまた、素朴な味わいがあります。13世紀に創られたものです。

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内陣の前から左のほうに進み、付属教会から出ると、美しい回廊Cloîtreに出ます。緑の中庭の周りを歩廊が巡らされています。ここはかつて、修道士たちの祈りと瞑想の場でした。

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この回廊は13世紀の初頭に建てられたラ・メルヴェイユと呼ばれる建物の最上階にあります。ここを通って、食堂Réféctoire、厨房、教会、共同寝室、古文書保管室、それに様々な階段に行くことができます。

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西側からはサン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloも望めます。

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回廊の教会に面している側を眺めます。

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こちらは食堂に通じる側です。

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窓から再び、サン・マロ湾を眺めます。天気がよければ、もっと素晴らしい眺望だったでしょう。

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ちょっと身を乗り出して、サン・マロ湾の干潟を見下ろします。素晴らしい景観です。

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西のテラスの北の端の部分も見えています。

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回廊をさらに巡っていきます。回廊の構造は重量を軽減するために木材を用いたものになっています。2列に並ぶ小さな柱は、わずかにずらせた形で組まれて、回廊を進むと、常に景色が変化するという視覚効果を産み出しています。

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修道士たちにならって、この美しい回廊でゆったりとした、心を開放する時間を持ちます。



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モン・サン=ミシェル島内散策:修道士の祈りと瞑想の場、回廊

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/20回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestから修道院付属教会Église Abbatiale、回廊Cloîtreを巡っています。

回廊は修道院付属教会に接しており、回廊の向こうに教会の鐘楼の尖塔と内陣の外部部分が見えています。

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緑の中庭を取り囲む回廊をほぼ半周して、教会側の反対側を歩いています。

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回廊の角の部分からの眺めです。回廊の2列の柱を通しての中庭の美しい緑は格別の眺めになっています。何故か、心洗われる思いになります。この静謐な空間に身を置いた、かつての修道士たちの思いはいかばかりだったのでしょう。

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東側の回廊に巡ってきました。ここからの列柱の連なりも見事な風景になっています。

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回廊にいる警備のかたもこの風景にマッチしていますね。ここは最初に入った南側の回廊です。

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南側の回廊からの眺めです。

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西側の回廊に入ります。これから回廊巡りの2周目です。きりがありませんね(笑い)。お気に入りのスペースなので、回廊周遊を止められなくなりました。

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何度見ても、2列に並ぶ小さな柱と中庭の緑の作り出す不思議な安息感に魅了されます。

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回廊の東側には、食堂Réféctoireのがっしりとした石造りの建物があります。

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回廊から教会の鐘楼の尖塔を見上げます。

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尖塔の尖端の大天使ミカエルの金色の像をズームアップします(残念ながら後ろ姿ですが、背中の天使の翼がよく見えます)。このモン・サン=ミシェルの象徴的存在ですね。モン・サン=ミシェルは西暦708年にアヴランシュの司教オベールが大天使ミカエルを奉る聖堂をモン・トンブと言われる岩山に建ててから、このモン(岩山)は重要な巡礼路のひとつとなりました。英国との100年戦争の時も不落の強固さをみせたモン・サン=ミシェルは中世の聖ミカエル崇拝の延長線上で伝説的な存在になり、民衆信仰のシンボルとなりました。このモン・サン=ミシェルはモン(岩山)の上にピラミッドの形をイメージして造り上げられたものですが、そのピラミッドの頂点にある32mの鐘楼の尖塔の尖端を象徴的な聖ミカエルの像で飾るべく、建築家ヴィクトル・プティグランの要請で、彫刻家のエマニュエル・フレミエによって、1897年に製作されました。意外に新しいものなんですね。現在のこの像は1987年に修復されたものです。

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結局、回廊を2周しました。回廊には案内板があります。驚くべきことにフランス語と併記して、日本語でも説明されています。よほど、日本人観光客が多いということでしょう。

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しばらく、この日本語の説明を読みふけります。

なお、モン・サン=ミシェルの建物の見取り図は以下です。

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案内板の日本語の説明で回廊の詳細な情報が分かります。それに従って、見落としていたものを再発見できました。それを子細に観察することにします。



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モン・サン=ミシェル島内散策:回廊のアーケードの美しい彫刻~食堂も聖なる場所

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/21回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestから修道院付属教会Église Abbatiale、回廊Cloîtreを巡っています。

回廊には日本語も併記してある案内板があります。ずい分、詳細な説明が書かれており、つい、読みふけります。ふむふむ、260平米ある回廊にはもともと中庭がありましたが、ラ・メルヴェイユという3層構造の建物の最上層にあるために下の階を守るために床は防水構造になっていました。19世紀になって、庭は取り除かれて、代わりに厨房に水を供給するために雨水取集弁が作られました。1965年になって、重い花崗岩の防水床に代えて、新構造の軽い防水床が造られて、薬草の庭が復活したそうです。現在、改修計画に従って、当時の庭が復活します。やはり、ここには庭があってこそ、祈りと瞑想の場にふさわしいですね。

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回廊は建物の最上層にあるため、常に軽量化の取り組みがされて、中世は回廊が鉛で覆われていましたが、1933年に鉛をスレートに取り換え、内側から、石膏で覆った木ずり下地の木組みで覆いました。その後も海からの影響を排除するための取り組みが続けられています。モン・サン=ミシェルは過去の遺産ではなく、今も成長を続けています。

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回廊は漆喰塗りや木構造を用いて、軽量化して、さらに5の目型に配置した2連の柱列によって、ヴォールトの推力を強め、アーチの安定性を高めています。その精巧な構造が見た目にも美の極致を感じさせます。

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明るい白が特徴のカーン産石灰岩で造られた回廊のアーケードの三角小間は葉飾り、葉装飾、葡萄の枝模様が巧妙に彫り込んであるそうです。それは見逃しました。よく見てみましょう。

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確かにアーケード上部にはびっしりと装飾が彫り込んであります。

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葉の装飾や葡萄の枝模様なんですね。美しい装飾です。

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白い石灰岩にびっしりと美しい模様が彫り込んであって、圧巻です。

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葡萄の模様の中には人の姿も彫り込んであります。草木の繁茂とキリスト教の象徴と調和が表現されています。

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この回廊は天空に通じる空間とされ、庭は天国を想起させる場所です。修道院の中で回廊は修道生活の中心となる場所で、大食堂、共同寝室、教会をつなぐ役割を果たしています。この回廊は1228年に完成し、修道士たちの祈りと瞑想の場となってきました。ある意味、モン・サン=ミシェルの修道院を代表する精神的な中心なんですね。

次は食堂Réféctoireの中に足を踏み入れます。食堂と言っても、修道士たちが一堂に会して、沈黙の中で食事をとっていた宗教的な場でもあったわけです。

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広々とした素晴らしい空間です。沈黙の食事の間、修道士の一人が南側の壁にある説教壇で読唱していました。

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奥の壁には、簡素な十字架が飾られています。

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振り返って、入口のほうを眺めます。側壁には、狭いスリットのような窓が並んでいて、光を取り入れています。天井は木製のアーチになっています。これも上層階を軽量化するためでしょう。

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なお、モン・サン=ミシェルの建物の見取り図は以下です。

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上層階の見学を終えて、次は階段を下りて、中層階に向かいます。



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モン・サン=ミシェル島内散策:中層階に下り、まず、迎賓の間

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/22回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階の西のテラスTerrasse de l'Ouestから修道院付属教会Église Abbatiale、回廊Cloître、食堂Réféctoireを巡りました。

食堂は修道士たちの聖餐の場。とても立派な宗教設備です。その広々とした空間に驚かされました。

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上層階の見学を終えて、階段を下りて、中層階に向かいます。

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階段の途中に素晴らしい彫刻があります。大天使ミカエルがオベール司教の額に指を触れ、このモン(岩山)に聖堂を建てるように命じています。有名な「この岩山に聖堂を建てよ」のお告げです。この夢のお告げがモン・サン=ミシェルのそもそもの発端でした。大天使ミカエルがオベール司教の額に指を触れたのは、オベール司教がなかなか、お告げを信じなかったので、3度目のお告げのときにしびれをきらして、オベール司教の額に指を触れ、稲妻を脳天に走らせたそうです。目覚めたオベール司教は自分の脳天に穴が開いていることに気づき、そのお告げが本物であるとようやく確信したとのことです。

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階段を下りると、中層階にある迎賓の間Salle des Hôtesに出ます。先ほどの上層階の食堂のちょうど下にあります。

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この迎賓の間はアーチと円柱が連なる美しい部屋で、巡礼に訪れた貴賓を迎えるために使われました。ルイ9世やフランソワ1世など、多くのフランス国王も訪れました。

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迎賓の間の端には大きな暖炉が2つあります。料理用兼暖房用に使われたようです。石造りの建物は寒いですからね。

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暖炉の中から上を見上げると明るい光が差しています。これは煙突の穴でしょうね。

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この部屋から外を眺めると、島の周りの干潟が見えています。何か殺伐とした風景です。

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迎賓の間の奥に進み、入ってきたほうの様子を眺めます。ゴシック様式の素晴らしい空間が広がっています。

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小さな礼拝堂があります。

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天上のアーチを見上げます。

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迎賓の間を出て、修道院付属教会Église Abbatialeの中層階部分に向かいます。巨大な石の建造物が聳えています。

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モン・サン=ミシェルの建物の見取り図は以下です。

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さらに中層階を巡ります。中層階の中心部分は岩山の岩石部ですから、その周りを取り囲む施設を巡ることになります。



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歌姫、松井亜希の清らかなソプラノと鈴木雅明の名解説によるバッハの名曲集:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2021.8.7

5月に予定されていたコンサートがコロナ禍のために延期されていました。今日、無事にコンサートが催されましたが、結局、今も緊急事態宣言下である皮肉。それも東京オリンピックの終盤と重なるとはね。
ともかく、今日はバッハの多彩な音楽が展開され、素晴らしい楽興の時を過ごしました。
前半は小編成のオーケストラによる管弦楽曲とアンナ・マグダレーナの音楽帖よりの歌曲集です。
冒頭は管弦楽組曲 第4番で華やかに始まります。弦が8名、トランペット3名、ティンパニ、オーボエ3名、ファゴット(通奏低音も兼ねる)、通奏低音(チェロ、コントラバス、チェンバロ)という編成ですが、響きの豊かさに魅了されます。長大な序曲の華やかな演奏に続き、比較的短いブーレ、ガヴォット、メヌエット、レジュイサンスがすっきりとした雰囲気で演奏されます。今日のコンサートの幕開けにふさわしいものでした。
この曲の演奏が終わると、指揮者の鈴木雅明がマイクを手に取り、軽妙洒脱な解説をしてくれます。今日のテーマはケーテンの愛と題されています。バッハのケーテン時代の作品に焦点を合わせています。
バッハは宮廷楽長として、アンハルト=ケーテン侯レオポルトとよい関係にあり、幸福な時代を過ごしたそうです。しかし、1720年5月に妻が急死するという突然の不幸に見舞われます。傷心のバッハでしたが、何と翌年には宮廷ソプラノ歌手のアンナ・マクダレーナ・ヴィルケと再婚します。有名な『アンナ・マクダレーナ・バッハのための音楽帳』は彼女のためにバッハが贈った楽譜帳です。次はその中にある歌曲が4曲演奏されます。いずれも短い小品で、これまで、バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会では取り上げてこなかったそうです。
《ジョヴァンニーニのアリア》は軽妙な世俗曲で、ソプラノの松井亜希とテノールの櫻田 亮が鈴木雅明のチェンバロの伴奏で掛け合いで歌います。松井亜希の透明な声に魅了されます。彼女の最近の好調さはとても印象的です。
《御身が共にあるならば》はその松井亜希がチェロとオルガンを伴奏にまたまた美しい歌声を聴かせてくれます。チェロとオルガンの演奏も素晴らしく、まるで、トリオソナタの風情です。うっとりと聴き入りました。今日一番の演奏に思えました。
《汝、汝、ヤハウェよ》は第1節と第8節が4重唱で、その間の第3節が松井亜希のソロで演奏されます。なかなか凝った構成の演奏ですね。ここでも松井亜希のソロが光ります。
レチタティーヴォ《私は、満ち足りた》~アリア《眠るがよい、疲れた眼よ》は小編成のオーケストラ(フラウト・トラヴェルソ、弦3名、チェンバロ、チェロ、オルガン)を伴奏につけて、また、松井亜希のソロです。レチタティーヴォはなんとなく、モーツァルトの《フィガロの結婚》のレシタティーヴォを思わせる雰囲気です。スザンナのレシタティーヴォですね。アリアはたっぷり、松井亜希の美声に魅了されて、うっとりです。今日の松井亜希は実に素晴らしい!

この歌曲を挟んで、前半の最後は有名なブランデンブルク協奏曲 第5番です。舞台にたつ演奏者たちを見て、そのあまりの小編成にあっと驚きます。これで演奏できるのって感じです。弦が3名、フラウト・トラヴェルソ、チェンバロ、チェロ、コントラバス(ヴィオローネ)という編成です。演奏が始まると、この編成でも十分であることがその響きの豊かさで分かります。不思議な感じです。最小限に切り詰めた編成で、室内楽的に美しい響きが満ちてきます。独奏楽器はフラウト・トラヴェルソの鶴田洋子、ヴァイオリンの若松夏美、チェンバロの鈴木雅明が担当します。いずれも名人級の演奏です。第1楽章の終盤にはチェンバロの長大なカデンツァが鈴木雅明によって、見事に奏されます。凄い演奏です。続く第2楽章はロ短調の美しい調べが独奏者3人で演奏されます。とても素晴らしい演奏にうっとりです。本当はフラウト・トラヴェルソは菅きよみに演奏してもらいたかったのですが、それは贅沢ですね。鶴田洋子も十分に見事な演奏です。もちろん、ヴァイオリンの若松夏美、チェンバロの鈴木雅明はこれ以上、望めないようなレベルの演奏を聴かせてくれます。いやはや、この第2楽章は素晴らしい演奏で陶然としてしまいました。第3楽章のフーガもさすがの演奏でした。

後半はカンタータ第120番a 《主なる神、万物の支配者よ》。結婚式用カンタータが華やかに演奏されました。オーケストラは小編成ながら、バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱隊が参加して、素晴らしい響きを味わえました。4人の独唱者たちも見事な歌唱を聴かせてくれました。コロナ禍以降は日本人の独唱ですが、全然、問題のない歌唱を聴かせてくれています。それでもそろそろ、海外の声楽家も来てもらいたいものですね。なお、第4曲のオルガンと管弦楽により奏されたシンフォニアは、何と「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調BWV1006」の前奏曲と同じ音楽でした。これだけ、構成が変わるとまったく別の曲のように聴こえます。これもバッハがよくやった曲の使いまわしですね。天才は曲を使いまわしても、単なる使いまわしに終わらないのが凄いところです。

すべての演奏が終わって、拍手が続く中、突然、鈴木雅明がマイクを手に取り、今日は十分に長いコンサートだったが、最後にもう1曲演奏しますというメッセージ。何とミサ曲ロ短調の第2部:ニケア信経からの合唱曲で、コロナ禍の鎮静を祈るとのことです。《死者のよみがえりと来世の生命を待ち望む》という名曲・名演奏でコンサートをしめくくってくれました。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木雅明
  ソプラノ:松井亜希
  アルト:青木洋也
  テノール:櫻田 亮
  バス:渡辺祐介
  オルガン:大塚直哉
  ヴァイオリン:若松夏美
  フラウト・トラヴェルソ:鶴田洋子
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. バッハ

  管弦楽組曲 第4番 BWV 1069

  アンナ・マグダレーナの音楽帖より歌曲集
   《ジョヴァンニーニのアリア》BWV518
   《御身が共にあるならば》BWV508
   《汝、汝、ヤハウェよ》BWV299から第1,3,8節
   レチタティーヴォ《私は、満ち足りた》~アリア《眠るがよい、疲れた眼よ》BWV82より

  ブランデンブルク協奏曲 第5番 BWV 1050

   《休憩》

  カンタータ第120番a 《主なる神、万物の支配者よ》BWV120a

   《アンコール》

    J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調 第2部:ニケア信経より 第9曲 合唱《死者のよみがえりと来世の生命を待ち望む》


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の管弦楽組曲 第4番を予習したCDは以下です。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団 1960~61年 セッション録音

昔から、この演奏がずっと定番でした。今回聴き直してみても、若干の古さは感じるものの実に精神レベルの高い演奏に襟を正す思いです。


2~5曲目のアンナ・マグダレーナの音楽帖よりの歌曲集を予習したCDは以下です。

 エリー・アメリング、グスタフ・レオンハルトほか 1966年 セッション録音

アメリングの清らかな歌唱がすべてです。


6曲目のブランデンブルク協奏曲 第5番を予習したCDは以下です。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2008年6月 ミューザ川崎シンフォニーホール セッション録音

寺神戸亮(Vn)、鈴木秀美(Vc)、菅きよみ(fl)、島田俊雄(tp)などが参加したブランデンブルク協奏曲全6曲のアルバムです。極めて小編成での見事な演奏です。


7曲目のカンタータ第120番aを予習したCDは以下です。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2011年6月 神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
  ハナ・ブラシコヴァ(Sop)
  ダミアン・ギヨン(C-T)
  クリストフ・ゲンツ(Ten)
  ペーター・コーイ(Bs)

鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのバッハ、カンタータ全集の一枚。高いレベルの演奏ですが、なかでも、ハナ・ブラシコヴァのソプラノの美しさが際立っています。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

モン・サン=ミシェル島内散策:中層階、地下礼拝堂~サン・マルタン礼拝堂~大車輪

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/23回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階から中層階に下りて、迎賓の間Salle des Hôtesを見学。

迎賓の間を出て、地下礼拝堂 (太柱の礼拝堂)Crypte des Gros Piliersの中に入ります。この礼拝堂は修道院付属教会の内陣を支えるために15世紀の中頃に造られました。なお、修道院付属教会の身廊部分は岩山の岩盤の上に直接造られています。

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仄暗い地下礼拝堂には上にある内陣を支えるための円周5mもある10本の円柱が並んでいます。壮観な眺めです。

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礼拝堂にはモダンな雰囲気の聖母子像が置かれています。多分、そんなに古いものではなさそうです。

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地下礼拝堂に続いて、サン・マルタン礼拝堂Chapelle Sant Martinがあります。この礼拝堂は修道院付属教会のクロッシングの南側の翼を支えるために造られました。この礼拝堂の丸天井は9mもの高さがあります。凄い土木技術というか、大変な労苦のもとにモン・サン=ミシェルの建物が造られたことが偲ばれます。

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ここから外への出口があります。ちょっと出てみましょう。

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出てみると、モン・サン=ミシェルの修道院に最初にはいってきたときの大階段の途中のところに出ます。下層階から上層階に上る途中にこの中層階のサン・マルタン礼拝堂の出入口があったんですね。

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再び、中層階の内部に入って、次のセクションに通り抜けます。上が抜けているところで見上げると、教会の側廊の窓が見えます。

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細い通路La Roueに入ると、巨大な車輪が見えます。

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木製の巨大な車輪がこの狭いスペースに収まっています。

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この大車輪は荷車を運搬するために使われていた中世の昇降機を復元したものです。ここはかつては修道僧の納骨堂でしたが、修道院が政治犯が幽閉されていた監獄になっていたとき、政治犯たちの食料を下から引き上げるために大車輪が1820年頃に設置されました。かつては6人の囚人が車輪の中に入り、人力で壁のレールに沿った荷車を上下させていたということです。

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壁の開口部から下を覗くと、大車輪に取り付けられた鉄の鎖が下の荷車まで伸びています。

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鉄の鎖の向こうには本土と島を繋ぐパセレル橋Pont Passerelle du Mont Saint-Michel、クエノン川Couesnonが見渡せます。

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大車輪の軸には鉄の鎖を引き上げるための太い縄が巻き付けられています。

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モン・サン=ミシェルの建物の見取り図は以下です。

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さらに中層階を巡ります。中層階の中心部分は岩山の岩石部ですから、その周りを取り囲む施設を巡っています。



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フェスタサマーミューザKAWASAKI2021 閉幕! カルテット・アマービレと東響の素晴らしい響きのジョン・アダムズ 原田慶太楼&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.8.9

今日のコンサートはフェスタサマーミューザKAWASAKI2021のフィナーレコンサートです。今年はオープニングとフィナーレだけを聴きました。

フィナーレは若きマエストロ、原田慶太楼の意欲に燃えた現代作品が並びました。後半のジョン・アダムズと吉松 隆は東響の素晴らしいアンサンブルもあって、素晴らしい演奏でした。とりわけ、最近、取り上げられることの多いジョン・アダムズは興味津々で聴きましたが、今日のアブソルート・ジェストは作品自体の魅力も演奏の質の高さも無類のものでした。今後、ジョン・アダムズの代表的な作品として、演奏機会も増えてきそうな予感がします。ソリストとして登場したカルテット・アマービレは今年、これでsaraiが聴くのは3回目。saraiはとみに贔屓としている若きカルテットです。今年はヤナーチェク、ピアソラの素晴らしい演奏を聴かせてくれましたが、今日も素晴らしい演奏に感銘を受けました。今後、目を離せない存在です。今日のジョン・アダムズのアブソルート・ジェストは日本語にそのまま訳すと絶対的冗談ということになりますが、原田慶太楼のプレトークによると、ジェストというのはインヴェンションという意味もあり、冗談よりももっと深い意味が隠されているようです。ジョン・アダムズと言えば、ミニマル音楽からポスト・ミニマルまで多彩な作風で知られますが、今日の作品はミニマル音楽を軸にベートーヴェンをオマージュして、巧みにミニマルの中にベートヴェン作品のフラグメントを織り込んだ凝った構成の音楽に仕立て上げていて、クラシック音楽ファンの気持ちをワクワクさせてくれるものになっています。とりわけ、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の素材がほぼそのままの形で提示されているのは嬉しいところです。ちなみにベートーヴェンの以下の楽曲が取り上げられています。このほかにもあるかもしれませんが・・・。

 ・弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 op.130
 ・弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 op.135
 ・交響曲 第7番 イ長調 op.92
 ・交響曲 第9番 ニ短調 op.125
 ・ピアノソナタ 第21番 ハ長調 op.53

上述したように弦楽四重奏曲 第13番と弦楽四重奏曲 第16番が重要です。フィナーレ部分では弦楽四重奏曲 第16番をカルテット・アマービレと東響が熱く歌い上げて、感動的な盛り上がりです。もちろん、底流ではミニマル音楽が流れているという現代と古典がアウフヘーベンしたような見事な音楽。現代音楽のひとつの方向性を示したとも思えます。
カルテット・アマービレはクラシック音楽では異例とも思えるピン・マイクをつけての演奏でしたが、原田慶太楼のプレトークによると、これは作曲者自身の指示だそうです。実際、大編成の東響がトゥッティで強奏しても、カルテット・アマービレの響きが埋没せずに実によいバランスで聴こえてきます。それにしてもカルテット・アマービレの4人個々の演奏レベルがとても高く、素晴らしい響き・表現で聴くものを魅了してくれました。もちろん、東響の美しいアンサンブルも最高に機能して、初演のサンフランシスコ交響楽団にも拮抗するような演奏を聴かせてくれました。指揮の原田慶太楼の音楽作りが見事だったのは言うまでもありません。実は彼の指揮を聴きたくて、このコンサートに足を運びましたが、その期待以上の音楽を聴かせてくれました。
東響ファン、カルテット・アマービレの贔屓、原田慶太楼へ期待しているsaraiには、これ以上もない音楽を聴かせてもらい、感動の一言です。あっ、もちろん、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を愛する者としても最高の音楽体験でした。そして、何とカルテット・アマービレがアンコールというよりもベートーヴェンの原曲紹介という感じでベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番から 第2楽章を演奏してくれました。しかし、これはいけませんでしたね。本番のジョン・アダムズの音楽が霞んでしまうくらい、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の素晴らしさを再認識させられたようなものです。実はカルテット・アマービレの演奏でベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を聴くのはこれが初めてでしたが、実に見事な演奏。今後、彼らのベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲、とりわけ、第13番~第15番を聴くのが楽しみになりました。今年聴いたベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番も素晴らしい演奏でした。

フィナーレコンサートの〆は吉松 隆の交響曲 第2番「地球(テラ)にて」。これは今年の東京オリンピックでの大阪なおみの聖火台点灯の後に流れたそうです。第4楽章のラスト部分だったようです。開会式の再放送があったら、注目して聴いてみましょう。テレビではその前の富田勲の曲の紹介はありましたが、多分、吉松 隆氏の紹介はなかったように思います。吉松 隆氏自身のお話によると、開会式の僅か1ヵ月前に音楽の使用許可の打診があったそうで、ご自身も本当に楽曲が使用されるか、半信半疑だったそうで、ご自身も聖火台点灯の場面は聴き逃がしたそうです。開会式演出のドタバタが推し量れるようですが、結果として、いい作品が使われたのはよかったですね。この曲は湾岸戦争のときに作曲し、地球の東西南北の地域をテーマにレクイエムをあえて調性のある音楽で作り上げたそうです。オリンピックで使われたのは、第4楽章のアフリカをテーマとした《賑やかなレクイエム》だったそうです。レクイエムらしくないレクイエムですが、その心はしっかりと伝わります。今日の演奏はとりわけ、第1楽章、アジアをテーマとしたものが東響の素晴らしい響きで歌い上げられて、大変、見事なものでした。作曲家の吉松 隆氏に大いに拍手しました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:原田慶太楼
  弦楽四重奏:カルテット・アマービレ
    篠原悠那(第1ヴァイオリン)、北田千尋(第2ヴァイオリン)、中恵菜(ヴィオラ)、笹沼樹(チェロ)
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  ヴェルディ:歌劇「アイーダ」から 凱旋行進曲とバレエ音楽
  かわさき=ドレイク・ミュージック アンサンブル かわさき組曲~アイーダによる(世界初演)


   《休憩》

  アダムズ:アブソルート・ジェスト
   《アンコール》ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 op. 135から 第2楽章

  吉松 隆:交響曲 第2番「地球(テラ)にて」(改訂稿/4楽章版)



最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のヴェルディの歌劇「アイーダ」からの 凱旋行進曲とバレエ音楽を予習したCDは以下です。

 クラウディオ・アバド指揮ミラノスカラ座管弦楽団、ミラノスカラ座合唱団 1974年-1981年 ミラノ・スカラ座 ライヴ録音

さすが、アバド。若い頃のアバドはこういうものをやらせると凄いですね。


3曲目のアダムズのアブソルート・ジェストを予習したCDは以下です。

 セント・ローレンス弦楽四重奏団、マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団 2013年5月4,5,9日 サンフランシスコ、デイヴィス・シンフォニー・ホール ライヴ録音

この作品はサンフランシスコ交響楽団創立100周年を記念して作曲された委嘱作品で、2012年のこのコンビでの世界初演後、世界初録音されたものです。さすがにマイケル・ティルソン・トーマスはこういう作品の指揮は素晴らしく上手いですね。


4曲目の吉松 隆の交響曲 第2番「地球(テラ)にて」を予習したCDは以下です。

 藤岡幸夫指揮BBCフィルハーモニー管弦楽団  1995年7月4/5日  セッション録音

これは1991年稿の3楽章編成の録音。なかなか素晴らしい演奏です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       カルテット・アマービレ,  

モン・サン=ミシェル島内散策:中層階、聖エティエンヌ礼拝堂~南北をつなぐ階段~修道僧の遊歩道~騎士の間

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/24回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelに入り、3層構造の上層階から中層階に下りて、迎賓の間Salle des Hôtes~地下礼拝堂 (太柱の礼拝堂)Crypte des Gros Piliers~サン・マルタン礼拝堂Chapelle Sant Martin~大車輪のある通路La Roueを巡ってきました。

大車輪のある通路はかつての修道僧の納骨堂でしたが、この先に進むと、聖エティエンヌ礼拝堂Chapelle St-Etienneがあります。この聖エティエンヌ礼拝堂は19世紀まで死者の安置所でした。その先には19世紀に崩壊した医務室がありました。聖エティエンヌ礼拝堂には、死せるキリストを抱く聖母マリアの像「ピエタ」が置かれています。

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その先に進むと、南北をつなぐ階段があります。ここは西のテラスTerrasse de l'Ouestの下に位置します。ロマネスク様式の教会の中心となる通路です。

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階段の途中には未公開の礼拝堂もあります。

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暗闇の通路を進んでいきます。

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やがて、中層階の北側に出ます。

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ここには修道僧の遊歩道Promenoir des Moinesがあります。19世紀になって、遊歩道と名付けられた、2つの身廊を持つ長い部屋は何のための部屋だったのは実のところ、解明されているわけではありません。建築様式は12世紀初めのゴシック芸術の誕生を告げています。

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下層階へ下りる階段がありますね。

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中層階の奥に進むと、そこは再び、ラ・メルヴェイユの建物に入ります。この騎士の間Salle des Chevaliersは回廊Cloîtreを支えるために建てられ、修道士たちの仕事場であり、勉強の場でもありました。

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回廊を支えるための太い円柱が立ち並びます。

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騎士の間という名称は、聖ミカエル騎士団にちなんでいます。しかし、円柱の並ぶ部屋はいかにも騎士の間という雰囲気を醸し出していますね。

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修道院の見学の最後はお決まりのお土産物売り場。ここは興味がないので、ささっと通り過ぎます。

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モン・サン=ミシェルの修道院の建物の見取り図は以下です。

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これで修道院の見学を終了。1時間ちょっとの見学でした。



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モン・サン=ミシェル島内散策:修道院の北側の城壁でヨーロッパセグロカモメと遭遇

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/25回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelの見学を終えたところです。

修道院の建物を出ると、サン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloの干潟が望めます。

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振り返ると、修道院の建物が堂々と聳え立っています。現在、修道院の北側にいます。

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城壁の上に鳥が一羽留まっています。後で調べると、これはどうやら、ヨーロッパセグロカモメEuropean Herring Gullの幼鳥のようです(間違っているかも・・・)。

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この鳥はずい分、人に慣れているとみえて、人が近づいても平気なようです。カップルとカモメとサン・マロ湾の取り合わせが似合っています。

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サン・マロ湾の干潟の雄大な景色に目を奪われます。

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西のテラスTerrasse de l'Ouestの下の先に周り込むと、ガブリエル塔La Tour Gabrielが見下ろせます。モン・サン=ミシェルの西の守りを固めるために16世紀に建てられました。その向こうには、クエノン川Couesnonが見渡せます。

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ここから再び、モン・サン=ミシェルの修道院を振り返ります。ずい分、高いところに見えています。

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修道院から、かなり下ってきたんです。北側の西の端までやってきました。

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ここは城壁の外側です。高い城壁が立っています。

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海側にはさらに城壁があります。こちらからは手摺ほどの高さですが、海からは高い城壁になっています。何重もの城壁でモン・サン=ミシェルは鉄壁の要塞になっています。その人工物の先には大いなる自然の美しさを湛えるサン・マロ湾が広がっています。

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おや、また、目の前に先ほどの鳥が近寄ってきます。ヨーロッパセグロカモメですね。

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おやおや、スマホの前でモデルを気取っています。人気者ですね。モデル料はいかほど?

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また、修道院の前に戻り、巨大な建物を見上げます。これはラ・メルヴェイユ(驚異なるもの)La Merveilleという三層構造の巨大な建物で最上層には祈りと瞑想の場、回廊Cloîtreがあります。

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これで修道院に別れを告げて、再び、島のメインストリート、グランド リュGrande Rueに戻ります。



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モン・サン=ミシェル島内散策:サン=ピエール教会、再び。そして、超有名なオムレツのお店へ

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/26回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelの見学を終えて、修道院の建物を離れました。

島のメインストリート、グランド リュGrande Rueに出て、先ほども訪れたサン=ピエール教会Église Saint-Pierre du Mont-Saint-Michelの前に立ちます。入口の横にはジャンヌ・ダルクの銅像が立っています。

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先ほどは信者の方たちが多くて、満足に教会内を見ることができなかったので、もう一度、戻ってきたんです。入口の左手の壁面には清楚な聖母子像があります。

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教会の中に入ると、ここにも聖母子像があります。周りの天使たちに囲まれています。後ろにはステンドグラスもあり、ちょっとした礼拝堂の雰囲気です。

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ここにもモン・サン=ミッシェルの象徴とも言える「大天使ミカエルの像」があります。モンサンミッシェル修道院の銅像とは異なり、これは銀で光っています。

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さきほどよりも地味な聖母子像があります。(これは聖アンナがマリアを教育している姿であるとのご指摘をいただきました。確かにに聖母子像ではなさそうですね。)

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これでサン=ピエール教会で見残していたものもすべて見ました。
ここからオムレツで有名なお店はすぐそこです。物凄く高い割にはあまり美味しくもないという意見をよく聞きます。でも、ここに来て食べないのも心残りだし、本当にそうなのかを自分で確認してみることにします。ラ メール プーラールLa Mère Poulardのお店の前に立ちます。

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店先には、オムレツを焼く暖炉、フライパンが綺麗にレイアウトされてます。

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たくさんの卵とたくさんのフライパンですね。

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暖炉で盛大に火が爆ぜています。この暖炉でオムレツを焼くんですね。

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卵とかき混ぜるボウルはありますが、あのシャカシャカと泡立てる音はありません。何故でしょう? 食事時を外したからでしょうか。今、午後4時半過ぎです。

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お店もそんなに混んでもいません。すぐにガラガラのテーブルに案内してもらえます。

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さあて、メニューをチェックしましょう。おおーっ、馬鹿高い!!! でも、ここで引き下がるわけにはいきません・・・。



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モン・サン=ミシェル島内散策:超有名なオムレツのお店、ラ メール プーラールのオムレツの味は?

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/27回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelの見学を終えて、次は名物料理をいただきましょう。

オムレツで超有名なレストラン、ラ メール プーラールLa Mère Poulardのテーブルに着きます。室内の壁にはびっしりとこのレストランを訪れた有名人の写真が並んでいます。

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テーブルからは、島のメインストリート、グランド リュGrande Rueが見えています。

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さて、料理の注文をしましょう。もちろん、まずはオムレツです。
メニューを見ると、確かに驚くほど高い(4000円~)。たかが材料は卵だけだし、どんなに立派な卵を多く使ってもね・・・。添え物により値段が違います。マッシュルームをお願いします(40ユーロ)。

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オマールエビのスープがあります。これが3000円くらい(26ユーロ)で、意外に安く感じてしまいます。

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そして、ワイン。おっ、ボルドーの白ワインがありますね。それとサンセール(ロワール川左岸)の白ワイン。いずれもグラスワインが8.8ユーロ。千円くらいです。

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店内の様子を眺めながら、料理を待ちます。

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1枚1枚、近くで写真を眺めたいところですね。ところで、まだ、片付いていないテーブルがあります。結構、混み合っていたのかもしれません。

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通りを歩く様々な人たちを眺めるのも楽しいものです。

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さて、まずはフランス産の白ワインで乾杯!

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さて、肝心のオムレツです。早速、頂いてみます。

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ム~ン、味がしない。塩・胡椒をしてみます。ふわふわ感は良いのですが、かえって軽すぎで卵の味も特別なインパクトはありません。スフレのような感じです。スフレならば、ノッケルンのようなお菓子の方が魅力的です。こんなに高価でなければ、別の感覚のオムレツとして美味しく感じるかもしれませんね。かえって、付け合わせのマッシュルームが超美味です。

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そして、オマールエビのスープが当たり! お代わりしたいくらいです。濃厚なエビの味がたまりません。

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なんか不完全燃焼の超豪華なお食事でした。



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クセノン河口堰からのモン・サン=ミシェルの絶景

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/28回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中です。モン・サン=ミシェルの修道院Abbaye du Mont-Saint-Michelの見学を終えて、次は名物料理のオムレツを超有名なレストラン、ラ メール プーラールLa Mère Poulardでいただきました。当初から懐疑していたように料金の割には今一つの味で残念でした。

レストランを出て、島の周りに広がる砂浜に出ます。と、さっきの鳥?、ヨーロッパセグロカモメEuropean Herring Gullの幼鳥が我々を待っていてくれます。可愛いですね。

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おっ、別の鳥も砂浜で遊んでいますね。セグロカモメの成鳥かな?

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さあ、いったんホテルに帰って、夜のライトアップに備えましょう。シャトルバスの乗り場のあるパセレル橋Pont Passerelle du Mont Saint-Michelの上を歩きます。前方にシャトルバスが停車しています。

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シャトルバスに乗り込むと、金髪の可愛い少女たちが乗っています。彼女たちはこの歴史あるモン・サン=ミシェルをどう感じたんでしょう。

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やがて、バスの車内はいっぱいになります。出発です。

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5分ほど走って、滞在中のホテルの前にあるバス停に到着。ほとんどの人がここで下ります。こんな夕方遅くにシャトルバスに乗った人はこのモン・サン=ミシェル近くのホテルに滞在しているばかりです。日帰りでパリに戻る人はほとんどいませんね。

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すぐ目の前が滞在中のホテル、ホテルガブリエルHotel Gabrielです。

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ホテルに戻る前に、モン・サン=ミシェルのヴューポイントの一つ、クエノン川Couesnonに造られたバラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelに向かいます。
5分も歩かないで、河口堰の前に着きます。

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河口堰の上から、モン・サン=ミシェルを眺めます。モン・サン=ミシェルまで、何も遮るものもありません。クエノン川と草原があるだけです。サン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloの上にぽっかりと浮かぶモン・サン=ミシェルの姿がくっきりと眺められます。

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モン・サン=ミシェルの姿をズームアップします。世界遺産の美しい姿です。

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美しい姿に魅了されて、時間を忘れてしまいそうです。しばらく、この絶景を楽しみましょう。



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クセノン河口堰からのモン・サン=ミシェルの絶景は見飽きることなし

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/29回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策中を終えて、ホテル近くに戻り、モン・サン=ミシェルのヴューポイントの一つ、クエノン川Couesnonに造られたバラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelからの絶景に見入っています。モン・サン=ミシェルはやはり、外から見た姿が最高ですね。超ズームアップして眺めます。

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少し引いたほうが明確に分かりますが、ピラミッドの形をイメージして、島の岩盤の上に修道院の建物を建てていますね。自然と人工物の融合で素晴らしい景色が形成されています。

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クエノン河口堰からはモン・サン=ミシェルの周りに広がる草原も相俟って、素晴らしい景色が眺められます。

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再び、マッシブな存在感のモン・サン=ミシェルに焦点を合わせます。どれだけ眺めていても、その美しい姿に魅了されます。

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河口堰から後ろを振り向くと、クエノン川の上流方向が眺められます。この河口堰は上流から流れてくる川砂をここで堰き止めて、モン・サン=ミシェルの島の周りが砂で覆い尽くされないように2015年に完成したばかりのものです。左側の岸辺の樹木に囲まれたあたりが滞在中のホテルです。

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クエノン河口堰の上から、クエノン川の先にあるモン・サン=ミシェルの美しい姿を鑑賞します。砂防用に作った河口堰ですが、モン・サン=ミシェルのヴューポイントとしても最高のものです。晴れた空の下でも素晴らしい景色でしょうが、こういうどんよりした曇りの空の下では、おどろおどろしい風景が迫力を増します。

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川岸には、黄色い花が群生しています。ロボウガラシでしょうか。

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川岸のロボウガラシを眺めながら、ホテルのほうに戻ります。

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部屋に戻り、外が暗くなるのを待ちます。ライトアップされたモン・サン=ミシェルの姿を見に出かけるつもりです。多分、8時半過ぎになるでしょう。今、6時頃ですから、2時間以上は時間があります。
それまでブログを書いて過ごします。今日はたくさん書くことがありますから、時間は足りないくらいです。



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モン・サン=ミシェルの夜景

2019年9月23日月曜日@パリ~モン・サン=ミシェル/30回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの島内散策を終えて、ホテルの部屋で夜になるまで待機していました。ライトアップしたモン・サン=ミシェルを眺めたいからです。
やがて、9時過ぎになり、外が真っ暗になります。出かけましょう。雨は降っていませんが寒いので、暖かくして出かけます。またまた無料シャトルバスに乗ります。モン・サン=ミシェルが見えてきます。バス停を下りたところでは、アレ~、遠くてよく見えない。お昼の明るい時は、その姿の威容に感銘を受けましたが、ボーっと浮かび上がるような明るさでは、はっきりその姿が見えません。

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ちょっと近づいて目を凝らしてみますが、やはり、暗いですね。曇り空のせいでしょうか。

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遠くから見るつもりでしたが、間近まで行ってみましょう。近づくと、なかなか雰囲気があります。

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写真を撮りまくりますが、それほど綺麗には写らないでしょうね。

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と言いつつ、なかなかの写真が撮れます。ライトアップで黄金に輝くモン・サン=ミシェルです。

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写真を撮り続けます。なかなか、撮るのをやめられません。

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同じような写真が続いて、ごめんなさい。

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このへんが限界でしょうか。もう、これ以上の写真は撮れませんね。

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本当にこれで撮り締めです。

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照明を持参して、ライトアップされた修道院をバックにして記念撮影をしているグループがいます。なかなか準備が良いですね。バス停のほうに戻りながら、最後の1枚。

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ライトアップされたモン・サン=ミシェルの修道院を眺めることができ、満足して帰ります。シャトルバスは待ってもなかなか来ません。海の中の吹きっさらし状態です。まだ今の季節であれば、耐えられますが、もう少ししたら凍えそうですね。

ホテルに戻り、久しぶりのバスタブに浸かり、ホッとします。明日の朝も早起きして、モン・サン=ミシェルの威容を眺めましょう。



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美しさを極めたかのような弦楽四重奏の妙なる響き チェルカトーレ弦楽四重奏団@鶴見サルビアホール 2021.8.17

チェルカトーレ弦楽四重奏団は日本の若手の四重奏団です。カルテット・アマービレ、カルテット・インテグラなどと並ぶ実力の持ち主に思えます。今回、初聴きですが、その響きのあまりの美しさにすっかり魅了されました。音楽を聴く以前にその響きの素晴らしさ自体にうっとりして、音楽そのものを聴き逃がしそうになります。このホールの素晴らしさもあるのでしょう。とりわけ、響きの底を支えるチェロの美しい音色に聴き入ってしまいました。そんな聴き方をしたのは初めての体験です。

最初の曲はヘンリー・パーセルのシャコンヌ。冒頭、その響きの素晴らしさに仰天します。ホール中に響きが満ち渡ります。バロックですから、本当は鄙びた音色がよいのでしょうが、あまりに美しい響きを聴き、バロックだとか、そんなことはどうでもよくなります。短い曲ですが、すっかり、堪能しました。この曲は最後に演奏するブリテンの作品の第3楽章のもとになった曲なので、あえて、プログラムを変更して、演奏してくれたそうです。

2曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第10番「ハープ」。ここでも彼らの美しい響きに魅了されます。第1楽章と第2楽章の演奏が素晴らしく、とりわけ、第2楽章の天国的な美しさにはうっとりするだけです。当初、予定されていたベートーヴェンの作品18も聴きたかったですね。

圧巻だったのは3曲目のウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章。こんな美しいウェーベルンが聴けるなんて、最高です。後期ロマン派の爛熟する果実の甘い香りに卒倒しそうになります。4人のソロも実に見事です。第2ヴァイオリンの戸澤采紀はさすがに素晴らしい。ソロ奏者でもある彼女が第2ヴァイオリンというのも凄いですね。今日はこれが聴けただけでも満足です。


休憩後、ブリテンの弦楽四重奏曲 第2番。今日のメインの曲です。もちろん、美しい響きが続きますが、もはや、saraiの体力は続かず、ほぼ、寝落ち状態。第3楽章の後半、チェロの独奏あたりから覚醒します。ヘンリー・パーセルのシャコンヌから作られた曲ですが、あまり、つながりは分かりません。予習ではしっとりした曲に思えましたが、なかなか、劇的な表現に満ちた音楽です。彼らの美しい響きを十分に味わいながら、フィナーレ。

アンコールは何とベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第16番。先日聴いたジョン・アダムズがアブソルート・ジェストで引用していた作品です。ただ、あれは第2楽章。今日は第3楽章が演奏されます。この楽章だけ取り出して演奏すると、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第16番とは別物に聴こえます。美しい響きで変奏曲が繊細に弾きこまれます。そして、しずかに終わります。うーん、とてもいいね。満足です。次は是非、カヴァティーナを聴かせてほしいものです。

日本の若手弦楽四重奏団の実力は凄いですね。このまま、みんな伸びていってほしいものです。日本は世界に冠たる弦楽四重奏団の大国になれるかもしれません。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:チェルカトーレ弦楽四重奏団
   関 朋岳 vn  戸澤采紀 vn  中村詩子 va  牟田口遥香 vc

   パーセル:シャコンヌ ト短調 Z730
   ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 Op.74「ハープ」
   ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

   《休憩》

   ブリテン:弦楽四重奏曲 第2番 ハ長調 Op.36

   《アンコール》
    ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op.135 より 第3楽章


最後に予習について触れておきます。

1曲目のパーセルのシャコンヌは以下のCDを聴きました。

 クリストファー・ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団 1977年 セッション録音

極めて小編成での演奏ですが、弦楽四重奏ではありません。古楽の典雅な演奏です。


2曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第10番「ハープ」は以下のCDを聴きました。

 ザ・リンジーズ(リンゼイ弦楽四重奏団) 2001年9月24日 聖トリニティ教会,ウェントワース、ヨークシャー、英国 セッション録音
 
このところ、ベートーヴェンはこのリンゼイ弦楽四重奏団の演奏にはまっていますが、このベートーヴェンも後期四重奏曲に肉薄するような深い演奏です。この録音はリンゼイ弦楽四重奏団の2回目のベートーヴェン全集のなかの1枚です。


3曲目のウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章は以下のYOUTUBEを聴きました。

 ベルチャ弦楽四重奏団 2014年3月26日 ウィーン・コンツェルトハウス、モーツァルトザール ライヴ映像
 
実に瑞々しい演奏でそのロマンティックな表現に魅了されます。https://www.belceaquartet.com/the-belcea-quartett-plays-anton-webern-in-the-mozart-saal-of-the-wiener-konzerthaus/


4曲目のブリテンの弦楽四重奏曲 第2番は以下のCDを聴きました。

 ベルチャ弦楽四重奏団 2003、2004年 ポットン・ホール,サフォーク、英国 セッション録音

全集盤のなかの1曲です。完璧に思える演奏ですが、彼らはその後、映像版で2014年に再録音しています。よほど、ブリテンへの思いがあるのでしょう。



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モン・サン=ミシェルの朝

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ

旅の21日目、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの2日目です。

一晩中、ザアーザアーという雨音を聞いていたような気がします。早朝散歩をするつもりで、7時に目覚ましをかけて起きてみると、しっかり雨が降っていて真っ暗です。これでは散歩どころではないので、またまた布団に逆戻り。8時に起きだすと、雨はまだまだ降っていますが、少しは明るくなっています。モン・サン=ミシェルの島に向かうシャトルバスは満員で、走って行きます。雨でもここに来た以上は観光はしないとね。我々はとりあえず朝食を頂いてきましょう。今日のホテルは朝食付きです。ま、普通のメニューです。しっかりいただきます。

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朝食ルームは広々と清潔で、そんなに混み合っていません。気持ちよく食事できます。

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と、食事を終える頃には雨が上がります。それでは、急いでチェックアウトして、もう一度モン・サン=ミシェルの眺めを見てきましょう。ホテルの裏手に出ると、クエノン川Couesnonの川岸に出ます。遠くにモン・サン=ミシェルの修道院が見えています。

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クエノン川の流れを見ると、上空は曇っていますが、向こうには雲間に青空も見えています。天候がだんだんと回復しそうです。

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地元のかたが川縁を犬を連れて、お散歩です。長閑ですね。

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我々は川に沿って、バラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelのほうに向かいます。

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だんだん、河口堰に近づきます。

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河口堰の横を過ぎ、モン・サン=ミシェルの姿も次第に大きくなります。

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少しズームアップしてみます。曇り空の下でもモン・サン=ミシェルのピラミッド形の姿は美しいですね。

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通り過ぎた河口堰を眺めます。川では土木工事が続けられています。

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再び、モン・サン=ミシェルを大きくズームアップしてみます。実にマッシブで均整がとれた姿です。

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モン・サン=ミシェルのすぐ近くまで行くつもりはありませんが、散策しながら、遠くからの眺めをしばらく楽しみます。



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モン・サン=ミシェルの朝:草原からの絶景

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/2回目

一晩中降っていた雨が止み、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めるための散策に出かけたところです。クエノン川Couesnonの川岸を歩いて、バラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelの横を過ぎます。まっすぐ前方に何ものにも邪魔されずにモン・サン=ミシェルの威容が眺められます。

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モン・サン=ミシェルの手前は左手がクエノン川。右手が草原。モン・サン=ミシェルの先にはサン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloが広がっています。

空には雲の間がだんだん青くなってきます。もう、雨はすっかり上がったようです。

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モン・サン=ミシェルの美しい姿に見入ります。モン・サン=ミシェルはこのあたりからの眺めが最高です。

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モン・サン=ミシェルの姿に魅了されながら、クエノン川に沿って、ゆっくりと歩を進めます。

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今度は川岸を離れて、草原からの風景を楽しみます。草原の先にポツンと見えるモン・サン=ミシェルの姿も絵になります。

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草原とモン・サン=ミシェルの取り合わせも素晴らしいですね。

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モン・サン=ミシェルに向かう木道の上に出ます。雨が上がったので、多くの人がぞろぞろと歩いています。

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木道の横の自動車道路はシャトルバスが忙しく走っています。

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シャトルバスはモン・サン=ミシェルに向けて、ゆっくりと走っていきます。車内はそんなに混んでいませんね。

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シャトルバスと歩く人が一心にモン・サン=ミシェルを目指しています。モン・サン=ミシェルは実に求心力のある存在です。

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再び、草原の上から、モン・サン=ミシェルの姿を眺めます。

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ますます、空の輝きが増してきて、モン・サン=ミシェルの姿もくっきりと浮かび上がります。

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これ以上、モン・サン=ミシェルには近づかずに、あたりを散策しながら、この絶景を心の中にしまいましょう。



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モン・サン=ミシェルの朝:木道に佇んで、絶景に目が釘付け

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/3回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を続けています。一触即発の空模様ですが、もう雨が降ることはなさそうです。

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モン・サン=ミシェルの上には青空が広がりつつあります。安心して、朝のゆったりとした散策を続けます。

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モン・サン=ミシェルは朝の明るくなった光でくっきりと見えています。

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観光客の人たちはモン・サン=ミシェルに続く木道を歩いていきます。私達もその中に加わりますが、その場に立ち止まり、ただ、モン・サン=ミシェルの姿に見入っているだけです。みなさんは次々と我々を追い抜いてモン・サン=ミシェルに向けて、黙々と歩いていきます。

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木道はここからまっすぐにモン・サン=ミシェルのほうへは続かずに本土と島を繋ぐパセレル橋Pont Passerelle du Mont Saint-Michelのほうに迂回しています。で、ここからは何も邪魔されないでモン・サン=ミシェルの眺めを楽しむことができます。

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モン・サン=ミシェルの完全無欠な姿をズームアップしてみます。3層に積み上がった修道院Abbaye du Mont-Saint-Michel、その頂点をなす鐘楼の尖塔がすべて見えています。尖塔の尖端の大天使ミカエルの姿も小さく見えています。

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実際に見えている風景は、クエノン川Couesnonと草原の先にかなり小さな姿のモン・サン=ミシェルです。

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佇んでいた木道を横切って、草原の中に下りていきます。視界よりも高くなった木道越しにモン・サン=ミシェルの姿が見えます。これも素晴らしい景色ですね。

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木道を歩いている人たちの向こうにモン・サン=ミシェルの姿が見えます。モン・サン=ミシェルに向かう木道を歩く人々は、巡礼のようにも見えます。シャトルバスも見えています。

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再び、モン・サン=ミシェルの姿に焦点を合わせ、ズームアップ。見飽きることがありません。

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モン・サン=ミシェルの前に広がる草原の散策を続けましょう。



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モン・サン=ミシェルの朝:再び、草原からの絶景

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/4回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を続けています。木道を越えて、草原に下りて、木道越しのモン・サン=ミシェルを眺めています。と、木道をカップルが通り掛かり、モン・サン=ミシェルの前を通り過ぎていきます。世界遺産の風景です。

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モン・サン=ミシェルの前に広がる草原の中を1台のシャトルバスが走っていきます。少し青空も顔を覗かせています。

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小高くなっている木道越しのモン・サンミシェルです。

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草原の中の道から離れて、周り中、草原の中に身を置きます。やはり、ここからのモン・サン=ミシェルの眺めはとても美しいですね。

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草原の中の古城という雰囲気が漂います。手前の木道を若いカップルが手をつないで歩いていきます。

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草原には黄色い花が咲いています。ヤコブボロギク(サンティアゴハーブ)です。雑草ですが、可愛いですね。

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白い花も咲いています。クイーンアンズレースに見えますが・・・違うかな。

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ともあれ、美しい草原の先にモン・サンミシェルです。

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少しずつ、草原の中を進み、結果的にモン・サン=ミシェルから離れていきます。

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それでもズームアップすれば、いつまでもモン・サン=ミシェルの美しい姿が大きく見えます。

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もうしばらく、草原の中の散策を続けます。草原からのモン・サン=ミシェルの眺めは最高です。



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才人、鈴木優人のモーツァルトに隙なし・・・福川伸陽&鈴木優人&東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第46回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2021.8.22

鈴木優人は何と、チェンバロを弾きながらの指揮です。最初は歌劇『フィガロの結婚』序曲。東響をよく響かせて、そのため、チェンバロの音はほとんど聴こえません。早過ぎない、泰然自若とした指揮ですが、瑞々しさは十分に表出されています。せっかく、チェンバロを弾いているのだから、誰か歌手を連れてきて、レシタティーボのひとつでも聴きたい雰囲気です。

ホルン協奏曲は福川伸陽の角の取れたまろやかなホルンで美しい演奏。東響の弦の響きも最高です。ホルンのカデンツァに鈴木優人のチェンバロが即興的に絡んだのにはびっくり。彼の言うように、モーツァルトもそうしたかもしれませんね。日本に鈴木優人のような才人が出現したからこそ、こういう音楽が聴けて、幸せです。才人、鈴木優人は日本の音楽シーンに新たな歴史を刻みそうです。やりたい放題にやっていただきたいものです。

最後にメインのモーツァルトの交響曲 第35番 「ハフナー」。終始、東響の素晴らしいアンサンブルが鳴り響き、陶然とするばかりです。鈴木優人のバランス感覚に優れた指揮も立派です。こういうコンビでモーツァルトの初期交響曲を演奏してくれないかな・・・。できれば、全曲チクルス。是非、企画してほしいものです。10回シリーズくらいでできる筈ですね。

幸せで充足した気持ちになったコンサートでした。おっと、今日はまだ、別のコンサートがあります。急いで移動します。期待の若手カルテット、カルテット・インテグラを聴きます。それは別稿で記事をアップしますね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木優人
  ホルン:福川伸陽
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  <オール・モーツァルト・プログラム>
   歌劇『フィガロの結婚』序曲 K.492
   ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K.447
   ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412
   交響曲 第35番 ニ長調 K.385 「ハフナー」

   休憩なし


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトの歌劇『フィガロの結婚』序曲を予習したCDは以下です。

 テオドール・クルレンツィス指揮ムジカ・エテルナ 2012年9月24日~10月4日 ペルミ国立チャイコフスキー・オペラ&バレエ劇場 セッション録音

これしかないでしょう。一昨年のヨーロッパ遠征で聴いた究極のモーツァルトです。脳裏にまざまざと演奏が蘇ります。


2~3曲目のモーツァルトのホルン協奏曲を予習したCDは以下です。

 ギュンター・ヘーグナー、カール・ベーム指揮ウィーン・フィル 1978~79年 セッション録音

ウィーンの香り高い演奏。素晴らしい演奏です。


3曲目のモーツァルトの交響曲 第35番 「ハフナー」を予習したCDは以下です。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1960年 セッション録音

セルの残した演奏はみな素晴らしいですが、とりわけ、モーツァルトは陶然とする演奏です。



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精妙で美しさを極めたモーツァルトとリゲティ、クァルテット・インテグラ@上大岡ひまわりの郷 2021.8.22

前回聴いたこのカルテットの演奏はあまりにも響きが悪すぎて、少々がっかりでした。しかし、それはどうやら、ホールの響きが悪かったようです。今日のホールは特別に響きが凄いわけではなく普通の響きのホールですが、それでも、このクァルテット・インテグラの演奏は際立って素晴らしいものでした。

冒頭のモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番はハイドンセットの最初の曲。saraiとしては特に好みの曲ではありませんが、最初の弾き出しから、その精妙でニュアンスの深い演奏に惹き込まれます。古典派として、抑えた演奏ですが、そこかしこに微妙な揺らぎのある高度な演奏です。ずいぶんと弾き込んできたようです。単に精度が高いだけの演奏では退屈することもありますが、高度なテクニックと音楽性に満ちた演奏に驚嘆します。ハイドンセットの中にはもっと有名な曲はありますが、あえて、この作品を選んで、チャレンジャブルな演奏をしているようです。ちょうど、近くの席にこのコンサートを企画したプロデューサーのかたがいたのですが、彼はこのホールの聴衆のことをことを考えて、なるべく分かりやすい曲をプログラムしてほしいと依頼したそうです。このモーツァルト。次のリゲティ。そして、最後のドヴォルザークは有名な《アメリカ》ではない第14番。えらく凝ったプログラムですねって言うと、苦笑して、彼らは来年、海外のコンクールに挑戦するので、その準備も兼ねての選曲だと明かしてくれました。ですから、このコンサートのためだけではなく、この曲もずい分、練習を重ねてきたんでしょう。大変、レベルの高い演奏を聴かせてもらいました。予習した有名カルテットの録音をはるかに上回る素晴らしい演奏でした。4人の個性が活かされて、その上でアンサンブルも素晴らしく、室内楽の奥義を極めたような演奏に深い感銘を受けました。

続くリゲティの弦楽四重奏曲第2番はその素晴らしかったモーツァルトを上回る、あり得ないようなレベルの会心の演奏。彼らが聴衆の前でリゲティを弾くのは初めてのことだそうです。とてもそうは思えない、まさに手の内にはいったような見事な演奏です。何と表現したらいいのか、分かりませんが、宇宙の時空の中の響きを思わせるリゲティの個性が十分に表現された演奏です。持続音のような静の響きが弱音で緊張感高く演奏されている中、突如、激しく動きのある猛烈なパワーの響きが炸裂します。その静と動のどちらも素晴らしい響きで、まさにパーフェクトな演奏。第5楽章(終楽章)の途中で、急に美しい和声が登場しますが、その美しさに思わず身震いする思いに駆られます。何とも凄いリゲティを聴かせてもらいました。今後、彼らはリゲティのスペシャリストを名乗れそうです。それにこんな演奏をすれば、どんな海外のコンクールでも制覇できるでしょう。いやはや、こんな凄いものを聴けるとは思っていませんでした。

後半はドヴォルザークの弦楽四重奏曲第14番。第1楽章は第12番《アメリカ》と同様に、ドヴォルザークがアメリカ滞在中に書いたそうです。美しいメロディーがクァルテット・インテグラの素晴らしいアンサンブルで歌い上げられます。そのまま、第4楽章まで素晴らしい響きが続きますが、あまりに素晴らし過ぎて、saraiは緊張感の持続が困難になり、ぼーっとして聴いてしまいました。耳に素晴らしい響きだけが聴こえてきて、音楽そのものに集中できずにもったいない聴き方になっていまいました。まあ、前半のモーツァルトとリゲティが素晴らし過ぎて、後半の体力が持たなかったということです。ですから、響き以外については論評できません。

むしろ、アンコール曲のハイドンの精度の高い演奏の抜群さに聴き惚れました。素晴らしいコンサートでした。昨日はダブルでコンサートを聴いたので、1日遅れの記事になってしまいました。実は今日もヴァイグレ指揮の読売日本交響楽団のコンサートをサントリーホールで聴きました。驚異的なオーケストラサウンドのショスタコーヴィチの交響曲でしたが、この感銘のコンサートの記事も明日、1日遅れでアップする予定です。真夏にこんなに素晴らしい音楽が聴けて、幸せ、そのものです。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:クァルテット・インテグラ
   三澤響果 vn   菊野凜太郎 vn   山本一輝 va   築地杏里 vc

   モーツァルト :弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K.387「春」
   リゲティ :弦楽四重奏曲第2番

   《休憩》

   ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第14番 変イ長調 op.105

   《アンコール》
    ハイドン:弦楽四重奏曲第78番(第63番)変ロ長調op.76-4 Hob.III.78「日の出」 より、第2楽章

最後に予習について触れておきます。

1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番は以下のCDを聴きました。

 アマデウス四重奏団 1963年6月 ハノーファー、ベートーヴェンザール セッション録音

アマデウス四重奏団のモーツァルトですから、よいことは間違いありませんが、それでも最高の出来とは言えません。


2曲目のリゲティの弦楽四重奏曲第2番は以下のCDを聴きました。

 ラサール四重奏団 1969年6月 ミュンヘン セッション録音
 
この作品を献呈されたラサール四重奏団は初演も行い、すぐさま録音も手がけました。最高の演奏であることは言うまでもありません。


3曲目のドヴォルザークの弦楽四重奏曲第14番は以下のCDを聴きました。

 エマーソン四重奏団 2008年12月2-12日 アメリカ文学芸術アカデミー、ニューヨーク セッション録音
 
素晴らしい響きの演奏です。



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       クァルテット・インテグラ,  

圧倒的なオーケストラサウンドのショスタコーヴィチ第5番 ヴァイグレ&読売日本交響楽団@サントリーホール 2021.8.23

このところ、素晴らしい音響を聴かせてくれている読響が最高のオーケストラサウンドで超ド級のショスタコーヴィチの交響曲第5番を聴かせてくれました。どっしりと腰の据わったヴァイグレの指揮もまた、見事なものでした。このヴァイグレと読響のコンビの演奏は聴き逃がせません。ドイツ・オーストラリアもの以外でも大変な演奏を聴かせてくれます。思い切って言うと、あのシカゴ響にも匹敵するような音の響きでした。一部、金管が弱音で不安定だったことを除けばですが・・・。第1楽章から弦が素晴らしい響きを聴かせてくれます。特に低弦の素晴らしいこと! 時折、第1ヴァイオリンが最高の響きを聴かせてくれます。やはり、聴きどころは第3楽章。弦はもちろん、各パートの響きの美しいことにうっとりとして聴き入ります。若い頃は苦手だった第3楽章もこの歳になると、心に沁みます。フルートの倉田優がとても素晴らしい独奏を聴かせてくれました。第1楽章でも素晴らしかったのですが、この第3楽章での透明な音色には参りました。オーボエの独奏も素晴らしい音色を聴かせてくれます。この楽章はまるでコンチェルト・グロッソみたいです。第4楽章のスロー気味の堂々たる演奏も評価できます。何やら政治がらみの解釈が一時、騒がしい時期もありましたが、今や、この曲も純粋に音楽的な美しさだけで鑑賞できる時代になったようです。ある意味、マーラー的な演奏が似合う音楽に思えます。ヴァイグレの指揮は実に音楽的です。こういうインターナショナルな表現がこの曲にはふさわしいとさえ納得させられました。それにしても読響の圧倒的なサウンドは凄かった。

前半のショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番ですが、ここでもヴァイグレ指揮の読響の美しい響きに魅了されますが、何と言ってもチェロ独奏のイサン・エンダースの美音が素晴らしかったです。こういう暗い曲で美しいチェロの音が似合うとは想像できませんでしたが、ただただ、聴き惚れるだけでした。冒頭は実に沈痛な音楽が始まりますが、次第にその沈痛さよりもチェロが表現する魂の叫びのようなものに心を捉われていきます。時として、その魂の叫びは痛烈にもなりますが、何か、暗い独白に聴くものの心が調和していきます。第3楽章に入り、行進曲風に何とか自身を前に推し進めるようになりますが、その奥には苦い内心が見え隠れします。イサン・エンダースの深いチェロの響きでこの素晴らしい協奏曲の奥深さを感じることができました。
アンコールのバッハの無伴奏はイサン・エンダースの美しいチェロの響きを堪能しました。チェロの世界に素晴らしい逸材が登場しました。バッハの無伴奏チェロ組曲の全曲演奏を聴いてみたいものです。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
  チェロ:イサン・エンダース
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:長原幸太

  カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲
  ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番 ト短調 Op.126
   《アンコール》バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番よりアルマンド

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 Op.47


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のカバレフスキーの歌劇「コラ・ブルニョン」序曲は以下のCDを聴きました。

 フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 1959年 セッション録音

ライナー指揮シカゴ響はステレオ初期の録音とは思えない素晴らしい音質です。演奏の質は申し分ありません。


2曲目のショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番は以下のCDを聴きました。

 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、小澤征爾指揮ボストン交響楽団 1975年8月 ボストン セッション録音
 
初演したロストロポーヴィチがチェロを弾き、しかも共感に満ちた演奏を繰り広げます。一押しの一枚sです。


3曲目のショスタコーヴィチの交響曲第5番は以下のCDを聴きました。

 エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル 1984年4月4日、レニングラード・フィルハーモニー大ホール ライヴ録音
 
ムラヴィンスキーによる規範ともなるべき演奏。青白い炎に包まれた静謐さが当時の鍛え上げられたレニングラード・フィルの美しい弦によって実現しています。



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モン・サン=ミシェルの朝:草原からの絶景を満喫しながら、クエノン川の河口堰へ

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/5回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を続けています。木道を越えて、草原に下りて、木道越しのモン・サン=ミシェルを眺めています。草原をゆっくりと歩いていきます。少しずつ、モン・サン=ミシェルが遠くなっていきます。

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草原から眺めるモン・サン=ミシェルはこの世の最高の眺めに思えます。

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草原の向こうに見えるモン・サン=ミシェルの背後には、朝日に輝くサン・マロ湾Golfe de Saint‐Maloもかすかに見えています。

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また、1台のシャトルバスがモン・サン=ミシェルのある島に向かっていきます。シャトルバスは頻繁に観光客をモン・サン=ミシェルに運んでいます。

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突如、草原の中に運河のようなものが出現します。その運河の向こうにはホテルの方に戻る道が続いています。このあたりで、草原から抜け出ないと大変なことになりそうです。

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このあたりからは草原の深い茂みの向こうに小さくモン・サン=ミシェルが見えています。かえって風情がありますね。

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茂みを抜けると、また、草原の中に美しいモン・サン=ミシェルの眺めが見えます。

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どんどん、草原の中を木道に向かい、ホテルの方向に戻っていきます。しっかりとモン・サン=ミシェルの眺めを目に焼き付けながら歩いていきます。

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ここからでもズームアップすれば、素晴らしいモン・サン=ミシェルの絶景を撮影できます。これが草原からのモン・サン=ミシェルの最後の1枚になります。

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シャトルバスの走る車道と木道を横断して、クエノン川Couesnonの川岸の道に戻ります。河口堰もすぐ近くに見えています。

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クエノン川の川岸から望むモン・サン=ミシェルの眺めも素晴らしいです。先ほどよりも空からの光が強くなってきて、モン・サン=ミシェルも存在感を増してきています。

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ここからズームアップして、モン・サン=ミシェルの威容を拝見しましょう。

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もう一度、バラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelの上に上がって、そこからのモン・サン=ミシェルの眺めを楽しんで、朝の散策を終えることにしましょう。



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モン・サン=ミシェルの朝:クエノン川の河口堰からの絶景でモン・サン=ミシェルのしめくくり

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/6回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を続けました。草原からのモン・サン=ミシェルの眺めは格別でした。そして、最後のビューポイント、バラージュ・デュ・モン・サン=ミシェル(クエノン川河口堰)Barrage du Mont St Michelに戻ってきました。ここからは何にも邪魔されずにモン・サン=ミシェルが見通せます。
クエノン川Couesnonの先にモン・サン=ミシェルがくっきりと見えています。

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河口堰の上は板張りのデッキになっていて、ゆっくりとモン・サン=ミシェルの絶景を楽しむことができます。

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河口堰の先のクエノン川には砂が堆積しています。この流出する砂がモン・サン=ミシェルの島の周りを埋め尽くし、世界遺産の風景を台無しにしたので、その対策に数年前にこの河口堰が砂防ダムとして造られたんだそうです。

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ここから見えるモン・サン=ミシェルの姿を大きくズームアップしてみます。何とも均整のとれたピラミッドの形になっています。

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少しズームを引くと、こういう風景になります。

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そして、これが肉眼で見える風景です。

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モン・サン=ミシェルを十分楽しみました。そろそろパリに戻りましょう。
最後にもう一度、モン・サン=ミシェルの姿を脳裏に刻みつけます。

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ホテルに戻って、預けてある荷物を受け取り、ホテルの前にあるシャトルバス乗り場でバスに乗り込みます。さすがにこの午前中にモン・サン=ミシェルとは反対方向へのバスに乗っている人はいませんね。

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がらがらのシャトルバスを我々二人で貸し切って、バスターミナルに向かいます。

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バスターミナルに着き、レンヌRennes行きのバスに乗り込み、一番前の席をゲット。

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定刻にバスは発車して、モン・サン=ミシェルの駐車場エリアから出ていきます。

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これで完全にモン・サン=ミシェルに別れを告げます。モン・サン=ミシェルにあまり乗り気でなかった配偶者はどういう感慨を抱いたのか、saraiはあえて尋ねることはしませんでした。
これからはしばらくバスからの眺望を楽しみます。



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バスは田舎道を一路、レンヌへ

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/7回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を楽しみました。
その後、モン・サン=ミシェルに別れを告げ、レンヌRennes行きのバスに乗り込みます。一路、レンヌに向かいながら、最前列の席に陣取って、車窓を楽しみます。
まずはどこまでも続く草原の中を走っていきます。

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この田舎道はまっすぐに続いています。そして、ほとんど車が走っていません。順調にバスは走っていきます。

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雲間に青空が増えてきます。だんだん、好天になっていきそうです。

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滑り台付きの遊戯施設の横を通ります。村の教会も見えています。

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また、農地の中のまっすぐな道が続きます。

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バスが高速で走り、前の車に追いつきます。何せ、まっすぐな道ですから、バスはどんどん飛ばします。

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このあたりは放牧地で牛が草を食べています。その上は青空が広がり、美しいです。この青空の下のモン・サン=ミシェルが見たかったですね。

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そう思っていると、ますます青空が綺麗になっていきます。

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ますます前の車に接近していきます。

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対向車もいないので、バスは前の車を追い抜いて、前に出ます。これで前を走る車はまったく見えません。

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青空の下、どこまでも農地が広がっています。農業大国フランスです。

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驚くほど、まっすぐな道がどこまでも続き、バスは気持ちよく走っていきます。

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それでもレンヌまでは1時間近くノンストップで走っていきます。バス旅をのんびり楽しみます。



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腰の据わった重量感のあるベートーヴェンの交響曲第5番 ヴァイグレ&読売日本交響楽団@東京芸術劇場 2021.8.28

今週、2回目のヴァイグレ&読響のコンサート。

最初のモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲はオペラ指揮者であるヴァイグレは安定した演奏で終盤の盛り上がりが素晴らしいです。序曲だけではもったいない。

2曲目のドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は若手の戸澤采紀のソロ。彼女は先日、チェルカトーレ弦楽四重奏団の一員としての演奏を聴いたばかりですが、ソロを聴くのは初めてです。この曲にしては若干、線が細い感じですが、なよやかな高域の音色の美しさに魅了されました。音楽的な表現力はまだ、それほどの個性が感じられません。第3楽章のノリのよい演奏はなかなかだったので、これからの成長を見守りたい逸材の一人です。読響の響きの美しさは相変わらずです。
アンコールのバッハの無伴奏ソナタはとても美しい響きで聴き惚れました。

後半は前回のショスタコーヴィチの交響曲第5番に引き続いて、今度はベートーヴェンの交響曲第5番。古典派を代表する傑作にふさわしく、ヴァイグレの指揮する読響はショスタコーヴィチの交響曲とは違って、分厚い響きを聴かせてくれます。さすがにドイツの指揮者だと感心します。音の塊の重量感が凄く、低弦がよく鳴ります。音楽としてはオーソドックスに安定感のある表現です。地味と言えば、地味ですが、まあ、これでよいのでしょう。第3楽章、第4楽章と音の響きもよくなり、音楽的にも高潮しました。前回のショスタコーヴィチが凄かったので、ずい分、期待しましたが、正直、そこまでの演奏ではなかったのが残念でした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
  ヴァイオリン:戸澤采紀
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:長原幸太

  モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
  ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53
   《アンコール》バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005 より ラルゴ

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67「運命」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲は以下のCDを聴きました。

 カール・ベーム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団 1968年3月 ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音

クルレンツィスの凄い演奏を聴いたばかりですが、今度はかつての名盤、ベーム指揮の録音を聴きます。有名な全曲盤からの抜粋ですが、実に安定した演奏です。綺羅星のような歌手が揃った全曲を聴きたくなります。フィッシャー・ディースカウ、プライ、ヤノヴィッツ、マティス、トロヤノスという面々ですからね。もっともsaraiが愛聴していたのはベームの映像版です。スザンナがフレーニですからね。


2曲目のドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は以下のCDを聴きました。

 ヨセフ・スーク、カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル 1961年 セッション録音
 
スークが珍しく、熱い演奏をしています。ドヴォルザーク直系の曾孫だからでしょうか。いずれにせよ、素晴らしい演奏です。


3曲目のベートーヴェンの交響曲第5番は以下のCDを聴きました。

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1947年5月27日、ベルリン、旧帝国放送局 ライヴ録音 DG UCCG3696
 
フルトヴェングラーによる極め付けの演奏です。熱く燃え上がる演奏は誰も追随できません。



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バスは田舎道や高速を抜けて、無事、レンヌへ到着

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/8回目

雨上がりの朝、モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelをじっくり眺めながらの散策を楽しんだ後、モン・サン=ミシェルに別れを告げ、レンヌRennes行きのバスに乗り込み、一路、レンヌに向かっています。
最前列の席に陣取って、車窓を楽しみます。
早朝の雨が嘘のように、晴れ上がった青空が広がっています。朝日のモン・サン=ミシェルを楽しみにしていたのに、恨めしいようなお天気の変貌ぶりです。

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時折、村の中を抜けていきます。先ほどはアントランAntrainの村を抜け、ここはトロンブレTremblayの村です。レンヌまでは3分の1以上は過ぎたところです。

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村を抜けると、小さな黄色い花が咲く美しい草原が広がっています。牧草地でしょうか。

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どこまでも黄色い草原が広がります。

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やがて、大きな牧場があります。遠くには牛たちが群れています。

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大きな牧場の前を通り過ぎていきます。

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今度は別の牧場です。間近に牛たちが草を食んでいます。

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いつのまにか高速道路D175に入って、バンバン飛ばして、やがて、レンヌの郊外にやってきます。

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道路の横をメトロB線の高架橋が走っています。これはまだ開業していません。近く開業予定です。

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レンヌの街中に入ってきました。車の量も一気に増えます。

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市街地です。もうすぐ駅でしょう。

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やがて、レンヌ駅前のバスターミナルに到着。パリ、モンパルナスMontparnasse行きのTGVの出発までまだ、1時間ほどの余裕があります。レンヌの真新しい駅舎と駅周辺をチェックしてきましょう。



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ド派手な音響と演出の大序曲1812年でチクルス閉幕・・・ 小林研一郎80歳記念チャイコフスキー交響曲チクルス@サントリーホール 2021.8.30

小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念チャイコフスキー交響曲全曲チクルスの5回目、最終回です。

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このコンサートは遂にコロナ禍を乗り越えて、最後のガラはとてもお元気なコバケンが大序曲、1812年でまるでコロナ退治のような大演奏を繰り広げました。音楽的にどうだ、こうだという野暮な話はなしにしましょう。

今日のガラコンサートの開幕は歌劇《エウゲニ・オネーギン》から、お馴染みのポロネーズで華やかに始まります。名曲をメロディーを立てて歌わせることには長けたコバケンが見事な曲作り。

続いて、名曲、弦楽セレナード。弦楽セクションの素晴らしい日フィルが大編成で臨んだ演奏は美しさの限りを尽くします。これもコバケンが見事に歌わせます。どうのこうの言うような演奏ではありません。文句なし。

休憩後、期待の神尾真由子をソロに迎えたヴァイオリン協奏曲です。10年以上も前に聴いた神尾真由子のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はとても素晴らしかったことを覚えています。当時、彼女は協奏曲の女王と呼ばれていました。チャイコフスキーコンクール優勝後の活躍は目覚ましいものがありました。そして、最近、久しぶりに聴いた彼女のリサイタルは素晴らしかったので、今日はとても期待していました。しかし、残念ながら、神尾真由子のヴァイオリンがあまり響いてきませんでした。それでも、彼女は独自の世界を展開し、何故か、惹き付けられる演奏でした。最近の彼女の演奏は弱音の品格の高さが特筆されますが、協奏曲ではそういう美点が表れにくくなりますね。まあ、彼女も新しい世界を模索しているのでしょう。暖かい気持ちで見守っていきましょう。

最後の〆はこれまた有名曲の序曲「1812年」。ステージからこぼれんばかりの大編成のオーケストラに左右の最上階の客席に立たせた金管も含めて、ド派手な演奏。コバケンは80歳を超えても枯れることなく若々しく健在です。この曲は上品さを欠くのでsaraiの好みではありませんが、終結部分の何とも勇ましい音楽には思わず興奮してしまいます。これぞ、「1812年」ですね。

最後のコバケンの挨拶では、これまで、このサントリーホールで450回も指揮をしたのだそうです。凄いですね。さらに500回を目指すのだそうです。サントリーホールはsaraiのホームグラウンドでもありますが、せいぜいsaraiが通った回数は200回くらいでしょうか。saraiも300回を目指してみましょう(笑い)。


今日のプログラムは以下です。

  小林研一郎80歳(傘寿)記念&チャイコフスキー生誕180周年記念チャイコフスキー交響曲全曲チクルス

  指揮:小林研一郎 
  ヴァイオリン:神尾真由子
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:木野 雅之

  チャイコフスキー:オペラ『エフゲニー・オネーギン』から「ポロネーズ」
  チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48

   《休憩》

  チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
   《アンコール》パガニーニ:24のカプリーズより第5番 イ短調

  チャイコフスキー:序曲「1812年」 Op.49

   《アンコール》
    チャイコフスキー:序曲「1812年」 から 終結部分

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のチャイコフスキーのオペラ『エフゲニー・オネーギン』から「ポロネーズ」は以下のCDを聴きました。

 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1970年12月 ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音

こういう曲はさすがにカラヤンはうまいし、ベルリン・フィルも実力を発揮します。


2曲目のチャイコフスキーの弦楽セレナーデは以下のCDを聴きました。

 レオポルド・ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団 1973年 セッション録音
 
実にしなやかで美しい演奏です。録音も優秀です。


3曲目のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は以下のCDを聴きました。

 ダヴィッド・オイストラフ、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月24日、フィラデルフィア、Broadwood Hotel セッション録音

子供のころから愛聴している演奏です。これを聴くと、ほかの演奏が聴けなくなります。オイストラフの繊細なヴァイオリンの美音は最高です。


4曲目のチャイコフスキーの序曲「1812年」は以下のCDを聴きました。

 レナード・バーンスタイン指揮イスラエル・フィル 1984年 セッション録音
 
バーンスタインの晩年の一連のチャイコフスキーの名演のひとつ。4枚組のCDアルバムにまとまっています。



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超モダンなレンヌ駅

2019年9月24日火曜日@モン・サン=ミシェル~パリ/9回目

モン・サン=ミシェルMont Saint-Michelの朝の散策を楽しんだ後、モン・サン=ミシェルに別れを告げ、レンヌRennes駅までバスで移動。レンヌからTGVでパリ、モンパルナスMontparnasseに戻ります。
レンヌ駅に着いた時、モンパルナス行きのTGVの出発時刻まで1時間ほどあります。まずは真新しい駅舎を見て周りましょう。広々として、明るく、天井も高く、まるで空港ロビーみたいです。

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駅舎内にはお店も整然とお洒落に並んでいます。

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外部からの採光もよく、明るい日差しが差し込んでいます。

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天井を見上げると、こんな構造になっています。素晴らしいデザインですね。

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ちょっと外に出てみましょう。あれっ、駅前は再開発の工事中ですね。こちらは南側の駅裏のようです。

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再び、駅舎の中に戻り、複雑な構造の駅舎の中を駅の北側の表のほうに向かいます。これは南北の通路で、その下にホームが並んでいます。

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駅の表に出ると、それなりにお店も並んでいます。

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フランスらしく、クレープ店Crêperieもありますね。

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レンヌ駅を眺めると、超近代的な建物になっています。フランスらしいお洒落なデザインです。

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もう、TGVの出発時刻も迫ってきましたので、駅の中に戻り、待合室に入ります。大きな荷物も引っ張っているので、行動も制限されます。

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窓から覗くと、駅のホームの一部と線路も見えています。

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駅のTGVのホームに出るためには改札を抜ける必要があるようです。ヨーロッパも高速鉄道では日本のような改札方式が導入されてきていますね。

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そろそろ、ホームに出て、TGVの到着を待ちましょう。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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