fc2ブログ
 
  

ジョナサン・ノットの情熱あふれるモーツァルトのレクイエム・・・東京交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2021.10.22

今日のジョナサン・ノットは以前のように、冷静に音楽を精密に美しく表現するのではなく、あふれ出る情熱を露わに表出して、モーツァルトのレクイエムをダイナミックに演奏しました。とても素晴らしい演奏で最後には感動しました。今日の演奏では、終曲の前にリゲティの「ルクス・エテルナ」を挿入するという珍しいアイディアの演奏でしたが、これはまあ、成功したのでしょうね。リゲティのスペシャリスト、ジョナサン・ノットならではの音楽構成です。未完のレクイエムの完全補筆部分に挿入したので、これも新手の補筆みたいなものですね。終曲と同じ歌詞の「ルクス・エテルナ」ですが、現代音楽の香りを混成してもモーツァルトのレクイエムがびくともしないというのが根本にあります。リゲティの後に聴く終曲(これも補筆ではありますが、モーツァルトの自作の第1曲後半部分と第2曲を組み合わせたものなので、ほぼ、真作です)は新たな生命を与えられたようにとても新鮮に感じて、感動しながら聴きました。
全曲の感想は、ジョナサン・ノットのぐいぐいと推進する圧倒的、かつメリハリのある指揮による演奏、その躍動感と東響の素晴らしいアンサンブル、そして、新国立劇場合唱団の美しい合唱、独唱陣の見事な歌唱と文句の付け所のないものでした。ソプラノの三宅理恵は出だしこそ、抑えめの歌唱でしたが、第6曲のレコルダーレあたりから、透明感のある声が響き渡り、今日のレクイエムで最高の華を歌い上げました。
問題のリゲティの「ルクス・エテルナ」ですが、これは何とも美しいア・カペラ合唱でした。16声で歌う超絶技巧曲ですが、今日の演奏はファンタスティックな幻想に包まれた合唱で完璧とも思えるものでした。第1に新国立劇場合唱団の能力を讃えるべきですが、指揮のジョナサン・ノットの卓抜な音楽表現も凄かったです。

前半のデュティユーの交響曲第1番はフランス的なお洒落な演奏ではなく、実にダイナミックで激しさを表現した演奏でした。現代の不安を表出した音楽として、交響曲の形式を借りながら、実のところ、管弦楽のための協奏曲的な面を多く感じました。コンチェルト・グロッソと言ってもいいかもしれません。ノットの明確なヴィジョンの演奏はストレートに音楽のむき出しの情熱を露わにする感じの素晴らしい演奏です。ノットの新たな一面を見た思いです。コロナ禍の中、ノットの音楽アプローチが少し変わってきたように思えます。次回、12月の来日ではどんな演奏を聴かせてくれるでしょう。楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:三宅理恵
  メゾソプラノ:小泉詠子
  テノール:櫻田亮
  バス・バリトン:ニール・デイヴィス
  合唱:新国立劇場合唱団
  合唱指揮:冨平恭平
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  デュティユー:交響曲第1番

  《休憩》

  モーツァルト:レクイエム k.626
  (リゲティ:「ルクス・エテルナ」を含む)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のデュティユーの交響曲第1番を予習したCDは以下です。

  ジャン=クロード・カサドシュ指揮リール国立管弦楽団 2016年7月18-21日 オーディトリアム・ドゥ・ヌーヴォー・シエクル、リール、フランス セッション録音

フランスの本場ものの色彩感ある演奏です。


2曲目のモーツァルトのレクイエムを予習したCDは以下です。

  テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ、ニュー・シベリアン・シンガーズ
   ジモーネ・ケルメス(S)、ステファニー・ウゼール(A)、マルクス・ブルッチャー(T)、アルノー・リシャール(B)
      2010年2月、ノヴォシビルスク劇場 セッション録音

クルレンツィスは日々進化しています。これは少し古い録音ですが、やはり、新鮮な響きが聴けます。賛否あるでしょうが、聴いておくべき演奏だと思います。ソプラノをナデージダ・パヴロヴァにして、再録音してほしいです。


モーツァルトのレクイエムに挿入したリゲティの「ルクス・エテルナ」を予習したCDは以下です。

  テリー・エドワーズ指揮ロンドン・シンフォニエッタ・ヴォイセズ 1994年4月 セッション録音

1997年にリゲティ生誕75年を記念して発売されていた「リゲティ・エディション」の中の1枚、ア・カペラ合唱作品集に含まれている美しい合唱です。上のモーツァルトのレクイエムの中に挿入して聴きました。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!








テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,
人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR