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岡田奏のモーツァルトは絶美 川瀬賢太郎&神奈川フィル@神奈川県立音楽堂 2022.1.22

当初予定の北村朋幹が新型コロナウイルス感染症対策による入国制限措置緩和の見通しが立たないため、急遽、岡田奏に代わったことを彼女のTwitterで知り、急遽、チケットを購入しました。北村朋幹が弾くことを知っていたら、それも聴きたかったので、やはり、チケットを買っていたでしょう。岡田奏と北村朋幹の2人の若手ピアニストのモーツァルト演奏は高く評価しています。

で、やはり、期待通りの岡田奏のモーツァルト演奏でした。以前、読響との共演でモーツァルトのピアノ協奏曲第25番を聴き、その美しいピアノの響きに驚愕し、そのときのブログ記事で「是非、第21番や第23番も聴いてみたいところです。できれば、全協奏曲すら聴かせてもらいたいものです。」と書きましたが、ほぼ、1年後に夢が叶いました。第1楽章はやや、ピアノの響きが重く、ちょっと残念な感じで聴いていました。ところが、有名な第2楽章に入ると、彼女のピアノの響きがとても美しくなり、思い描いていたイメージ通りの演奏です。この曲も相当聴きましたが、多分、最高の演奏でしょう。単純な音が連なるだけですが、どうして、こんな素晴らしい響きになるのでしょう。うっとりというレベルではなく、忘我の境地で聴き入ります。鍵盤の上の彼女の手も美しい形です。時折、右手がクロスして、低音部を奏でますが、やはり、右手の奏でる高音部の響きの美しさは圧倒的です。かみしめるように聴いているうちに第2楽章はあっという間に終わります。もっと聴いていたかったという感です。しかし、続く第3楽章の切れの良くて、素晴らしいタッチの演奏は第2楽章以上に圧倒的です。早いパッセージのめくるめく動きは完璧で一音一音の粒立ちのよさが心地よく感じます。思わず、初演したときのモーツァルトの演奏はどうだったんだろうと想像してしまいます。当時のフォルテピアノは鍵盤が軽いので、こういう風に切れのよい演奏だったんでしょう。しかし、岡田奏が今弾いているのは現代のスタインウェイです。それでこんなに軽やかに弾けるとは驚異的です。音楽表現も見事の一語。これ以上の演奏はありえないと思えます。短いカデンツァも万全の演奏で爽やかな涼風のように第3楽章を弾き切ります。心の内でブラボーコール! こんな凄いピアニストがさほど評判にならないことが不思議です。アンコールのトルコ行進曲も素晴らしい演奏でした。

saraiにとって、モーツァルトのピアノ協奏曲の規範はクララ・ハスキルですが、テクニック、音の響きでは、岡田奏は既にハスキル以上かもしれません。あとは格調の高い音楽性だけですね。それに今日のピアノ協奏曲 第21番はハスキルは録音を残していません。貴重な演奏を聴きました。次はハスキルが得意にしていた第19番と第20番を聴かせてほしいものです。とてつもない逸材が日本にいることが分かったのはコロナ禍のお陰ですから、皮肉なものです。

なお、前半のプッツのフルート協奏曲は上野星矢の美しいフルートが印象的でした。第2楽章はモーツァルトのピアノ協奏曲 第21番をオマージュしたもので、ふんだんに聴き慣れた旋律が登場します。音楽としてはもうひとつでしょうか。古典派の音楽をオマージュした作品と言えば、ジョン・アダムズのアブソルート・ジェストを昨年の8月に聴きましたが、あれはベートーヴェンをオマージュしつつ、ミニマルミュージックを融合させた傑作でした。どうしても比べてしまいます。ところで上野星矢のアンコール曲はよく知っている曲で何だったっけ・・・。saraiも昔、よく愛奏していたモーツァルトのフルート四重奏曲第1番の第2楽章でした。懐かしい・・・。

最後のアンコールのおもちゃシンフォニーはサプライズだらけの楽しい演奏でした。まるで、ニューイヤーコンサートみたい。みなさん、ありがとうございました。特に石田泰尚さんの熱演が凄かった!


今日のプログラムは以下です。

  指揮:川瀬賢太郎
  フルート:上野星矢
  ピアノ:岡田奏(おかだ かな)
  管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団  コンサートマスター:石田泰尚(隣席:崎谷直人)

  武満徹:波の盆
  プッツ:フルート協奏曲 (日本初演)
   《アンコール》 モーツァルト:フルート四重奏曲第1番 ニ長調 K. 285 から 第2楽章の冒頭から一部をフルート独奏で演奏

   《休憩》

  モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
   《アンコール》 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K. 331 から 第3楽章「トルコ行進曲」

   《アンコール》
    エトムント・アンゲラー(レオポルド・モーツァルト?):おもちゃの交響曲


最後に予習について、まとめておきます。

1~2曲目の武満徹の波の盆とプッツのフルート協奏曲は適当なCDがなかったので予習なし。


3曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲 第21番は以下のCDを聴きました。

 アンドラーシュ・シフ、シャーンドル・ヴェーグ指揮ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ 1989年12月 ウィーン、コンツェルトハウス大ホール セッション録音
 
シフが若い頃に同じハンガリー出身のヴェーグとともに録音したモーツァルトのピアノ協奏曲集(ピアノ協奏曲第5番、第6番、第8番、第9番、第11番~第27番の21曲)の中の1曲です。シフの演奏は既に完成の域に達しています。ベーゼンドルファーの美しい響きはこの頃も素晴らしいです。



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金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
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07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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