今日はまず、5日前に引き続いてのN響のコンサート。指揮はヤノフスキからルイージに変わります。指揮陣も豪華ですね。今日のお目当てはピアノのアレクサンドル・メルニコフが弾くモーツァルトのピアノ協奏曲 第20番。
メルニコフを聴いたのはイザベル・ファウストとのデュオの時だけですが、そのピアノは注目に値するものでした。で、今日は彼のモーツァルトを聴いてみることにしました。
期待以上の素晴らしい、いや、凄い演奏でした。まず、切れのよいタッチがとてもいいんです。そして、音の響きのピュアーな美しさ。さらに即興的な雰囲気の遊びのあるピアニズム。これなら、モーツァルトのピアノ協奏曲のどの曲だって、完璧に弾きこなせそうです。ともかく、メルニコフの心地よいピアノのサウンドにうっとりと聴き入ります。第2楽章も美しい演奏に魅了されます。第3楽章もさらに楽興が高まります。最近、日本人ピアニストの素晴らしいモーツァルトを聴いてきましたが、メルニコフはさらにその上をいっています。まあ、音楽性で言えば、比較は難しく、それぞれの美点はありますけどね。
ルイージ指揮のN響も美しいモーツァルトを聴かせてくれて、見事なサポートでした。
アンコールの幻想曲ニ短調はあっけにとられるような凄い演奏。自由闊達で曲の本質に迫るような超名演。そもそもsaraiの大好きな曲なので、曲が始まると心の中でおおーっと叫んでしまいます。デモーニッシュさも十分に表現されて、モーツァルトがいかに凄い音楽を創造したのかを感じさせてくれる究極の演奏でした。そう言えば、今日の開演前に室内楽の演奏のサービスがありましたが、それがモーツァルトの最高傑作のひとつ、クラリネット五重奏曲でした。それもモーツァルトの天才ぶりを感じさせてくれました。本編中のピアノ協奏曲 第20番、歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲、今日はモーツァルトの最高傑作のオンパレードでした。
休憩後、後半はベートーヴェンの交響曲 第8番。地味な存在の作品ですが、今日は指揮台の上で躍動するルイージの熱演もあり、N響が素晴らしい演奏を聴かせてくれました。指揮者コールがあってもおかしくなかった演奏でしたが、曲が地味過ぎでしたね。でも、天才ベートーヴェンの傑作のひとつだとは思うんですけどね。実際、予習で聴いたフルトヴェングラーの演奏は神がかっていました。
とてもよいコンサートでした。満足して家路につきました。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ
管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:篠崎史紀
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K. 466
《アンコール》モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397/385g(未完の最後の10小節抜きの演奏)
ベートーヴェン:交響曲 第8番 ヘ長調 Op.93
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲を予習したCDは以下です。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1953年7月27日、フェルゼンライトシューレ ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音
1953年のザルツブルク音楽祭の全曲盤の冒頭の序曲のみを聴きました。したがって、演奏会用の序曲終結部はありません。フルトヴェングラーは1950年・1953年・1954年の3シーズン、ザルツブルク音楽祭でこのオペラを手がけていますが、まあ、凄いとしか言えません。
2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲 第20番を予習したCDは以下です。
イヴォンヌ・ルフェビュール、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1954年5月15日、ルガーノ ライヴ録音
普段はクララ・ハスキルの色んな録音を聴くだけですが、たまには別の演奏を聴いてみます。ここでもフルトヴェングラーの凄い演奏が聴けます。イヴォンヌ・ルフェビュール嬢は巨匠に臆せずに力強い演奏を聴かせてくれます。ハスキルとは別の曲を聴く思いです。
3曲目のベートーヴェンの交響曲 第8番を予習したCDは以下です。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1953年4月14日、ベルリン、ティタニアパラスト ライヴ録音
結局、すべて、フルトヴェングラーの録音で予習してしまいました。さすが、フルトヴェングラーのベートーヴェンは何とも素晴らしい。
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