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カウンターテノール、ローレンス・ザッゾの素晴らしいオルフェオと鈴木優人の見事な指揮 《オルフェオとエウリディーチェ》@新国立劇場 2022.5.21

15日連続コンサートの2日目はダブルヘッダー。まずはオペラ。新国立劇場初のバロックオペラ、《オルフェオとエウリディーチェ》を見ます。

グルックの改革オペラと言われ、過剰な装飾を排した音楽になっています。全編、歌手は3人だけで、とりわけ、オルフェオが歌いっぱなしです。今回はカウンターテノールのローレンス・ザッゾが素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。終始、安定した美声を聴かせてくれましたが、とりわけ、第3幕、再度死んでしまったエウリディーチェに対して、悲嘆にくれながら歌う「エウリディーチェなしにどうすればいいのか?」のアリアはしみじみとした絶唱で、涙を誘います。このまま、悲しみのうちに終われば、このオペラももっと評価が上がるでしょうが、その後、エウリディーチェが再度生き返り、ハッピーエンド。誰しも鼻白みますね。しかし、【エウリディーチェ】役のヴァルダ・ウィルソンは舞台映えのする容姿と美しい声のソプラノなので、甘々のハッピーエンドも許しましょう。3人目の歌手は【アモーレ】役の三宅理恵。彼女の美しい声を期待しましたが、今日は不発に終わりました。これだけが残念です。いつもは綺麗な声で好きな歌手なのですが・・・。
鈴木優人指揮の東フィルはまるでバロックアンサンブルのような感じの好演。期待以上の演奏でした。今後のバロック公演、期待できそうです。次のバロックオペラは《ジュリオ・チェーザレ》ですね。
新国立劇場合唱団の合唱は今日も見事でした。欲を言えば、バロックにしては歌い過ぎの感もありましたが、それほど美しい合唱だったということです。【合唱指揮】は冨平恭平でしたが、実はこの日、次のコンサートの東響定期公演の東響コーラスの【合唱指揮】も彼でした。結局、彼もsaraiと一緒にサントリーホールに移動したんですね。

公演全体の印象は舞台がとても美しかったことです。シンプルな構成の舞台ですが、映像も多用して、色彩美にもあふれた空間になっていました。ダンスシーンもほどほどの踊りで音楽にマッチしていました。音楽最優先の演出は好感が持てました。総合的に静謐な雰囲気のオペラに仕上がっており、非常に楽しめました。

そうそう、今回の公演はウィーン版でイタリア語上演でしたが、しっかり、パリ版も組み込んでいて、ちゃんと精霊の踊りも入っていました。押さえるべきところはちゃんと押さえた公演で大満足です。


今日のキャストは以下です。

  クリストフ・ヴィリバルト・グルック オルフェオとエウリディーチェ

【指 揮】鈴木優人
  【演出・振付・美術・衣裳・照明】勅使川原三郎
  【アーティスティックコラボレーター】佐東利穂子
  【舞台監督】髙橋尚史
  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【エウリディーチェ】ヴァルダ・ウィルソン
  【オルフェオ】ローレンス・ザッゾ
  【アモーレ】三宅理恵
  【ダンス】佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ、高橋慈生、佐藤静佳

最後に予習について、まとめておきます。

以下のヴィデオを見ました。

 1762年ウィーン版全曲(映画版)
  オルフェオ:ベジュン・メータ(カウンターテノール)
  エウリディーチェ:エヴァ・リーバウ(ソプラノ)
  愛の神:レグラ・ミューレマン(ソプラノ)
  コレギウム・ヴォカーレ1704
  コレギウム1704
  ヴァーツラフ・ルクス(指揮)

  演出:オンドレイ・ハヴェルカ
  装置:ズデニェク・フレミング
  収録場所:チェスキー・クルムロフ城、バロック劇場

チェスキー・クルムロフ城、バロック劇場で収録された素晴らしい雰囲気の映像です。オルフェオ役のCTのベジュン・メータ、いいですね。エウリディーチェ役のエヴァ・リーバウも清楚でいいです。完全なウィーン版なので、パリ版で追加された精霊の踊りがないのがちょっと残念です。



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凄いとしか形容できないウォルトンのベルシャザールの饗宴 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.5.21

15日連続コンサートの2日目はダブルヘッダー。新国のオペラに続いて、サントリーホールに移動して、ジョナサン・ノット&東京交響楽団の期待のコンサート。疲れますね。なお、今日一つ目のオペラの記事は以下のリンクをクリックして読んでください。ここでは2つ目のコンサートの記事を書きます。

https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4366.html

しかし、これが凄かった!! 大オーケストラ、大合唱団を駆使してのジョナサン・ノット渾身の指揮で日本では滅多に聴けないウォルトンのベルシャザールの饗宴です。今年の目玉公演のひとつですね。演奏時間は30分ほどですが、サントリーホールのステージ後方の客席3面に配置した東響コーラスの大合唱団がコロナのうっぷんを晴らすような壮大な合唱を聴かせてくれます。大編成の東響のオーケストラと2組のバンダ(トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)と大合唱団をジョナサン・ノットが八面六臂の活躍で見事にドライブ。その大音響は凄いとしか言えません。ただただ、圧倒されました。音楽的な迫力も凄く、ひれ伏して聴き入るのみでした。CDでの予習も何の役にも立ちません。こんな凄い音響が再現できるオーディオなんてありっこないですからね。バリトンのジェームズ・アトキンソンはその恵まれた体格にものいわせて、強烈な歌唱。日本人歌手には絶対真似できないでしょう。東響コーラスの指揮は冨平恭平。さっき、新国のオペラの合唱指揮で聴いたばかり。大活躍ですね。
音楽はユダヤ人を強制的にバビロニアへ連行したバビロン捕囚、旧約聖書のバビロニア王ベルシャザールの謳歌した享楽と繁栄、そして、神の裁きによるバビロニアの崩壊とユダヤ人の解放が実にダイナミックに表現されています。それをジョナサン・ノットがこれまで積み上げてきたものを一挙に駆使して、究極の音楽に盛り上げました。正直に言うと、saraiはその音圧に負けて、ほとんど、音楽を理解するレベルに達しませんでした。まあ、そんなこともあってもいいでしょう。ただただ、凄かったのですからね。終演後の会場の盛り上がりは凄いものでした。本来なら、ブラボーの嵐だったでしょう。

前半のプログラムも素晴らしかったんです。最初のR.シュトラウスのドン・ファンは冒頭から、ジョナサン・ノットの自在な指揮に東響のメンバーがぴったりと反応して、実に有機的な演奏を繰り広げます。高度なレベルのオーケストラのアンサンブルに高揚していきます。この1曲だけでも、十分に今日のコンサートは満足でした。ところで今日もオーボエの荒木奏美の演奏にうっとりと聴き惚れます。オーボエはオーケストラの肝ですね。
続くショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番はペーター・ヤブロンスキーの豪快なピアノに聴き惚れました。そう言えば、彼のピアノは初聴きかもしれません。ノリのよいリズム感の演奏、強烈なタッチのピアノの響きは圧倒的です。東響の弦楽アンサンブルも最高の演奏です。ショスタコーヴィチの若き日の新古典主義的なノリのよい音楽、そして、軽いユーモアを100パーセント、表現した見事な演奏でした。
ところで、ヤブロンスキーのアンコール曲、ポーランドの女流作曲家グラジナ・バツェヴィチの作品です。1週間ほど前にヴァイオリンのバーエワがアンコール曲に弾いたポーランド奇想曲もグラジナ・バツェヴィチの作品でした。最近、流行っているのでしょうか。saraiは初めて、この作曲家の名前を知ったばかりです。

やはり、ジョナサン・ノットと東響のコンビは素晴らしい! 次は7月にマーラーの交響曲第5番です。楽しみです。11月のサロメ(演奏会形式)はもっと楽しみです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:ペーター・ヤブロンスキー
  トランペット:澤田真人(東京交響楽団首席奏者)
  バリトン:ジェームズ・アトキンソン
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  R.シュトラウス:ドン・ファン Op.20
  ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 Op.35
  《アンコール》グラジナ・バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番 第3楽章トッカータ

  《休憩》

  ウォルトン:ベルシャザールの饗宴


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR.シュトラウスのドン・ファンを予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1954年3月2日 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

このドン・ファンが大変な名作であることをまざまざと実感させてくれる凄い演奏です。音質も素晴らしいです。


2曲目のショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を予習したCDは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノと指揮)、トビアス・ヴィルナー(トランペット)、クレメラータ・バルティカ 2014年 ドイツ、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学ホール ライヴ録音

ヴィニツカヤの豪快で繊細さも兼ね備えた素晴らしい演奏です。


3曲目のウォルトンのベルシャザールの饗宴を予習したCDは以下です。

  サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、ピーター・コールマン=ライト(Br)、ロンドン交響合唱団 2008年9月28&30日 ロンドン、バービカンホール ライヴ録音

初演したロンドン交響楽団の演奏。指揮はイギリス音楽のスペシャリストのサー・コリン・デイヴィス。悪かろう筈がありません。合唱がとりわけ、素晴らしいです。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ミケランジェロさん、saraiです。

遅レスで申し訳けありません。敬愛するジョナサン・ノットをご評価いただき、ありがとうございます。

相変わらず、独自の音楽探求を続

06/23 23:50 sarai

こんにちは。

ジョナサン・ノット氏の公演鑑賞を拝読したく参りました。毎回とても沢山の公演記録を私達に届けて下さり、ありがとうございます。

マエストロは数年前のイ

06/14 08:27 michelangelo

えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん
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