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素晴らしい昇天祭オラトリオ:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2022.5.22

15日連続コンサートの3日目です。まだまだ始まったばかりです。

今日もバッハ・コレギウム・ジャパンは見事なバッハを堪能させてくれました。カンタータ全集の録音という金字塔を打ち立てた彼らのカンタータ演奏の一端を味わわせてもらいました。さすがのレベルの高さ。今日はコロナ禍とは無関係に全員、日本人のメンバーですが、みな実力があります。まったく隙のない演奏でカンタータの経験の少ないsaraiにもその演奏の素晴らしさが分かります。前半は比較的短いカンタータ第37番《信じて洗礼(バプテスマ)を受ける者》とカンタータ第87番《今までは、あなたがたは私の名によっては何も願わなかった》も、合唱、独唱、重唱、すべてが素晴らしいです。もちろん、名人揃いの管弦楽も素晴らしいです。若松夏美のオブリガートヴァイオリンの見事さにも魅了されます。なお、この独奏ヴァイオリンの譜面は失われているそうで、鈴木優人の復元譜による演奏だとのこと。ほかでは聴けない貴重な演奏ですが、まるでバッハが書いたかの如きオブリガートヴァイオリンでした(BWV37の第2曲)。 ソプラノの松井亜希とアルトの久保法之の2重唱はまことに美しい歌唱でうっとりしました(BWV37の第3曲)。合唱ではいつものように素晴らしいコラールに心が洗われる思いになりました。

後半は今日の一番の聴きもの、昇天祭オラトリオ《神を讃えよ、その諸々の国において》BWV 11です。現在残っているバッハのオラトリオは3曲のみで、今日の昇天祭オラトリオ以外は、クリスマスオラトリオ、復活祭オラトリオだけだそうです。全部で9つの楽章からなります。まず、冒頭合唱はトランペット3本とティンパニが加わる華やかなもので、BCJの合唱と管弦楽の素晴らしさを満喫します。第2曲では、テノールの櫻田 亮が福音史家として、最高の歌唱を聴かせてくれます。第3曲はバスの加耒 徹がフラウト・トラヴェルソ(菅きよみ、前田りり子)の美しい伴奏で見事な歌唱を聴かせてくれます。第4曲はヴァイオリン群の演奏とアルトの久保法之が有名な旋律を奏でます。このオラトリオの一番の聴きものです。後に《ミサ曲ロ短調》BWV232のアニュスデイに転用された音楽です。ヴァイオリンの美しい演奏、そして、アルトの久保法之が最高の歌唱で魅了してくれました。第5曲はまた、福音史家。第6曲はとても美しいコラールで心が癒されます。第7曲は3つのレシタティーボ。第8曲はソプラノの松井亜希が器楽伴奏で美しいアリアを歌います。第9曲はコラール合唱。再び、トランペット、ティンパニが加わり、圧巻の終曲です。

指揮の鈴木雅明が見事であったことは言うまでもありません。また、冒頭では、豪快なオルガン独奏、プレリュードとフーガ イ短調 BWV 543も聴かせてくれました。このホールのパイプオルガンは実によく響き、感銘を覚えます。鈴木雅明のバッハのオルガンコンサートを聴いてみたいものです。
BCJの次の公演はハイドンの天地創造。楽しみですね。


今日のプログラムは以下です。

  初夏のカンタータ〜昇天祭オラトリオ〜

  指揮:鈴木雅明
  ソプラノ:松井亜希
  アルト:久保法之
  テノール:櫻田 亮
  バス:加耒 徹
  オルガン:鈴木雅明*
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


  J. S. バッハ:
  プレリュードとフーガ イ短調 BWV 543
  カンタータ第37番《信じて洗礼(バプテスマ)を受ける者》BWV 37
  カンタータ第87番《今までは、あなたがたは私の名によっては何も願わなかった》BWV 87

 《休憩》

  昇天祭オラトリオ《神を讃えよ、その諸々の国において》BWV 11


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のプレリュードとフーガ イ短調 BWV 543は以下のCDを聴きました。

 トン・コープマン 1986年2月、マーススライスの大教会、オランダ セッション録音

曲の性格もあるかもしれませんが、実に豪快な演奏です。


2曲目のカンタータ第37番は以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2001年6月、7月 セッション録音
  野々下由香里(ソプラノ)
  ロビン・ブレイズ(カウンターテノール)
  櫻田 亮(テノール)
  ステファン・マクラウド(バス)

我が国の団体による貴重なカンタータ全集の一枚です。


3曲目のカンタータ第87番は以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2006年 セッション録音
  野々下由香里(ソプラノ)
  ロビン・ブレイズ(カウンターテノール)
  櫻田 亮(テノール)
  ペーター・コーイ(バス)

同じく、我が国の団体による貴重なカンタータ全集の一枚です。


4曲目の昇天祭オラトリオは以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2004年5月、神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
  野々下由香里 (ソプラノ)
  パトリック・ファン・フーテム(カウンター・テナー)
  ヤン・コボウ(テノール)
  浦野智行(バス)

これは素晴らしい演奏です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 

《あ》さん、コメントありがとうございます。
ライヴストリーミングをやっていたんですね。気が付きませんでした。

明日から4回目が始まりますが、これから、ますます、

03/18 21:44 sarai

行けなかったのでオンライン視聴しました。

しっとりとした演奏。弱音はやはり美しいと思いました。
オンラインも良かったのですが、ビューワーが操作性悪くて困りました

03/18 12:37 

aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai
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