今日の注目すべき演奏は小菅 優の弾くラヴェルのピアノ協奏曲。がんがん弾くのかと思っていたら、意外に繊細で切れのある演奏です。素晴らしいタッチでラヴェルのノリのよい曲を弾いていきます。実に心地よい響きに聴き惚れます。第2楽章にはいると一転して、静謐で深い思いを秘めた音楽を抒情的に弾いていきます。ピアノ独奏にオーケストラが加わると、木管とピアノが見事に絡み合ったしみじみとした音楽に昇華していきます。何も言えない素晴らしさ。うっとりと聴き惚れるのみです。第3楽章にはいると、勢いにのって、ピアノとオーケストラがリズムに乗った音楽を展開していきます。小菅 優の素晴らしいリズム感と硬質のピアノの響きが冴え渡ります。エキサイティングなセッションを聴いている思いです。一気呵成に音楽が突進し、非常に感銘を覚えました。さらに迫力が加わると完璧でしたが、これはこれで見事な演奏でした。
後半はリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」。まさに音による絵巻物。ルイージとN響が一体になって、目の覚めるような演奏を聴かせてくれました。篠崎史紀の独奏ヴァイオリンも見事。精神的な内容のある曲ではないので、美しい演奏を受容するのみですが、まあ、たまに聴くのもいいですね。日本のオーケストラの水準の高さにも目をみはるものがあります。終始、気持ちよく聴けました。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:小菅 優
管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:篠崎史紀
メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」Op.27
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
《アンコール》ラヴェル:水の戯れ
《休憩》
リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」Op.35
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のメンデルスゾーンの序曲「静かな海と楽しい航海」を予習したCDは以下です。
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団 1986年11月 ロンドン、オール・セインツ教会 セッション録音
アバドがメンデルスゾーンの序曲集を録音しています。彼はメンデルスゾーンに思い入れがあるようですね。
2曲目のラヴェルのピアノ協奏曲を予習したCDは以下です。
アンナ・ヴィニツカヤ、ギルバート・ヴァルガ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団 2010年4月 セッション録音
かつてのアルゲリッチの名演がありましたが、今や、期待のアンナ・ヴィニツカヤ。素晴らしい演奏です。実演でも聴いてみたい!
3曲目のリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」を予習したCDは以下です。
セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル 80年代末~91,2年頃 ライヴ録音
伝説の録音。海賊盤ですが、素晴らしい音質です。ただし、チェリビダッケ特有の遅さに耐えて聴く必要があります。
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