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プラジャーク・クァルテットのベートーヴェン・チクルス、その縮小版・・・ベートーヴェンは弦楽四重奏曲が一番だ!@上大岡 ひまわりの郷 2022.5.29

15日連続コンサートの10日目です。ようやく、終わりが見えてきました。

プラジャーク・クァルテットのベートーヴェン・チクルスが鶴見・サルビアホールで進行中ですが、その合間を縫って、上大岡 ひまわりの郷でも、そのエッセンスを聴かせてくれました。もちろん、ベートーヴェン・チクルスとも曲目が重なっていますが、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はいくら聴いても聴き飽きることはありません。むしろ、もっともっと聴きたいという感が増すのみです。

今日のまず、最初の曲、弦楽四重奏曲 第4番はやはり、傑作です。初期の弦楽四重奏曲ですが、もう、後期の作品にも引けを取らないものです。ベートーヴェンの高邁な精神性に満ち溢れています。それはこの作品がハ短調で書かれていることと無縁ではありません。第1楽章からパッションに満ちた演奏が繰り広げられます。低域をチェロのミハル・カニュカががっちりと押さえ、高域を第1ヴァイオリンのヤナ・ヴォナシュコーヴが美しく飛翔していきます。これこそベートーヴェンの精神世界です。圧巻の第1楽章が終わり、次は精神性に満ちた第2楽章が始まります。哲学的な瞑想に満ちた音楽をプラジャーク・クァルテットの4人が弾き進めていきます。軽やかな第3楽章を経て、第4楽章は前進性に満ちた肯定的な世界観の音楽が胸を打ちます。素晴らしい演奏でした。

続いて、中期の最後の作品、弦楽四重奏曲 第11番 「セリオーソ」です。もう、半分ほどは後期に足を踏み入れていますね。これまた、ベートーヴェンの精神性の高さを感じさせられます。第1楽章は激しく奏でられます。4人の息もぴったりです。第2楽章は素晴らしいフーガが展開されます。まるでバッハのフーガの技法を聴いているみたい・・・フーガ主題も雰囲気が似ています。ここでもベートーヴェンの高邁な精神性にインスパイアされます。見事な演奏に聴き入ります。そして、アタッカでそのまま第3楽章へ。短い楽章を経て、第4楽章へ進みます。序奏の後、情熱的なパートに入って、圧巻の演奏です。最後は明るく曲を閉じます。これまた、素晴らしい演奏でした。

休憩後、中期の傑作、弦楽四重奏曲 第8番 「ラズモフスキー第2」です。うっとりするほど素晴らしい第1楽章です。長大な音楽に聴き惚れます。素晴らしい演奏に聴き入っているうちにこの楽章も終わります、実に堪能しました。第2楽章も同じく長大です。深く瞑想的な音楽です。ベートーヴェンしか作れない天才的な内省の音楽です。プラジャーク・クァルテットの表現力も素晴らしいです。ただただ、魅了されながら、素晴らしい音楽を心に刻みました。この第2楽章が終わったところでsaraiの集中力もさすがに落ちてきました。ここまで高い緊張感で音楽を聴いてきて、今日の音楽受容力もパンクします。第3楽章も美しい音楽が奏でられますが、途中、ふっと心に空白が生じ、音楽への集中が途切れます。それでもプラジャーク・クァルテットの素晴らしい演奏は続きます。第4楽章は凝縮した音楽が続きますが、もはや、saraiは集中できません。いつしか、音楽は加速して、コーダに突入します。ここで最後に集中して、一緒にフィナーレ。今日、最高に素晴らしい演奏でした。

いずれも再度、鶴見・サルビアホールで聴く曲です。鶴見の素晴らしい音響のホールで今日以上の感動を味わいましょう。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:プラジャーク・クァルテット
          ヤナ・ヴォナシュコーヴ vn   ヴラスティミル・ホレク vn
          ヨセフ・クルソニュ va   ミハル・カニュカ vc

   ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 Op.18-4
           弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 Op.95「セリオーソ」

     

   《休憩》

   ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2「ラズモフスキー第2」
   
   《アンコール》
    ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op.18-5 から 第2楽章 メヌエット

最後に予習について触れておきます。

今回の予習はお気に入りのリンゼイ四重奏団の全集を聴いています。彼らは2度、全集を録音していますが、今回は新盤(2000年~2001年録音)を聴いています。

1曲目の弦楽四重奏曲 第4番は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ四重奏団 2000年3月7-8日 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

まるで後期の四重奏曲を聴いているような感じです。


2曲目の弦楽四重奏曲 第11番 「セリオーソ」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ四重奏団 2001年6月25-27日 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音
 
これは素晴らしい演奏です。この演奏では、もう後期と言ってもいいでしょう。


3曲目の弦楽四重奏曲 第8番 「ラズモフスキー第2」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ四重奏団 2001年11月21-22日 ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音
 
これは圧倒的な演奏です。この曲の素晴らしさを再認識させられました。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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