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アルゲリッチと52年目の邂逅@サントリーホール 2022.6.5

遂にアルゲリッチを聴きました。実演に接するのは52年ぶりのことです。彼女が初来日した1970年はsaraiがまだ、学生でした。大学生協のレコード売り場に掲げられた若きアルゲリッチのポスターの写真は漆黒の髪で挑戦的な眼差しでした。それに美人。その頃、まだ、彼女の存在を知らず、これは誰?って感じでした。FM放送でその演奏を聴いて、そのとりこになりました。京響とショパンのコンチェルトを弾くというので、なけなしのお金でチケットを買って、京都会館での演奏を聴きました。素晴らしかったような記憶がありますが、50年以上も前のことで曖昧です。指揮者は渡辺暁雄さんだったでしょうか。
それから、saraiは社会人になって、コンサートに行く暇もお金もありませんでした。アルゲリッチのみならず、コンサートには行かず、もっぱら、レコードを購入して音楽を聴いていました。もちろん、アルゲリッチの新譜だけは必ず、購入して聴いていました。それで満足していました。20年以上も前、東京でリサイタルをやるというので、思い切って、高額なチケットを買って、その実演に接するのを楽しみにしていました。しかし、当時のsaraiは猛烈に仕事が忙しくて、そのコンサートのことを思い続けている余裕はありませんでした。そろそろ、コンサートかなと思って、チケットをチェックすると、既に公演日を数日過ぎていました・・・。唖然! 今のようにコンサート通いしていなかったので、コンサートに行くという習慣がなかったんです。それで行くのを忘れてしまったんです。で、saraiが配偶者に言ったのは、所詮、アルゲリッチには縁がなかったんだよ・・・とぽつり。無念でした。その後、アルゲリッチが毎年のように来日しても、そのときのトラウマから、チケットを買えずにいました。

依然、コロナ禍は収束していませんが、ようやく、海外の音楽家の公演が始まりつつります。その中、アルゲリッチとクレーメルがリサイタルをやるというので、何故か、心が騒ぎます。アルゲリッチは50年以上、聴いていませんが、実はクレーメルもsaraiのコンサート不毛時代にピークを迎えた音楽家。彼の実演も聴いていません。ここで聴いておかないと、一生、聴かず仕舞いになりそうです。ええい、まとめて、二人の公演を聴きましょう。曲目は何でも構いません。

ということで、今日のサントリーホールの客席に収まりました。どんな老人が登場するのかと思っていたら、お二人とも意外に若々しい印象です。最初に登場したクレーメルは75歳。無伴奏の2曲はウクライナに捧げる曲。見事な演奏でした。やはり、凄い実力のあるヴァイオリニスト。聴いておいてよかった。

続いて、アルゲリッチが登場。お洒落なドレスに身を包み、髪だけは真っ白になりましたが、眼差しの強さは若い頃と同じです。とても80歳を過ぎたとは思えません。クレーメルとヴァインベルクのソナタを弾きます。ヴァインベルクは実演で聴くのは初めてです。前から弦楽四重奏曲は聴きたいと思っていましたが、機会がありませんでした。素晴らしい抒情に満ちた曲を2人が演奏します。何と言っても、アルゲリッチのピアノの響きが冴え渡ります。響きだけで言うと、52年前と変わりません。第2楽章の猛烈に速いパッセージも難なく、見事に弾き進めます。クレーメルの知的な演奏も相変わらずです。(二人のデュオはCDでいつも聴いていますからね。) うーん、素晴らしいヴァインベルクでした。この二人の演奏で聴けてよかった。

休憩後、アルゲリッチの独奏です。演奏曲目は未発表。なにかくぐもった響きで弾き出したのはシューマンの《子供の情景》。その第1曲です。えっ、これを全曲弾くの? これは昔、アルゲリッチが新譜で次々と素晴らしいレコードを出していた頃の曲目で、saraiの愛聴盤でもあります。どれだけ、レコードが擦り減るほど聴いたことか。今日の演奏は残念ながら、その面影はありません。さきほど、ヴァインベルクでは見事な演奏を聴かせてくれたのにね。多分、独奏曲を弾く気持ちがないんでしょう。と思っていたら、さあ、第2曲というところで、別の曲を弾き始めます。バッハです。幾分、元気に弾いていますが、彼女の実力がこんなものではないことは承知しています。特に今日は弾く気分がないんでしょう。3曲目はさらに元気よく弾きますが、この曲は何? 後の発表では何と、スカルラッティのソナタです。こんなものを弾くようになったんですね。この3曲だけで切り上げます。まあ、そんなものでしょう。

最後はショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番。これは再び、素晴らしい演奏。特に終楽章の終盤が素晴らしかったです。

盛大な拍手の中、アンコールかと思うと、ヴァイオリンとチェロの二人だけが演奏を始めます。何ともお洒落なハッピーバースデーの演奏です。今日は何とアルゲリッチの81歳の誕生日だったんです。微笑ましいシーンに立ち会えました。

アンコールは2曲。シューベルトの歌曲をアルゲリッチのピアノ伴奏で、クレーメルのヴァイオリンとディルヴァナウスカイテのチェロが歌の旋律を心を込めて奏でます。素晴らしいです。最後はカルメンのタンゴ。ピアソラかと思いましたが、クレーメルが最初に弾いたロボダの作品。お洒落なタンゴで今日のコンサートもお終い。

音楽的にどうのこうのというよりも、saraiの52年の思いの詰まったコンサート。それに、これを持って、音楽界ではコロナは終わったのかな・・・。


今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
  ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
  チェロ:ギードレ・ディルヴァナウスカイテ


  ロボダ:レクイエム(果てしない苦難にあるウクライナに捧げる)
  シルヴェストロフ:セレナード
   (以上、クレーメル ・ソロ)
  ヴァインベルク:ヴァイオリン・ソナタ第5番 Op.53
   (アルゲリッチ & クレーメル)

   《休憩》

  シューマン:子供の情景 Op.15から 見知らぬ国より
  J.S.バッハ:イギリス組曲第3番 ト短調 BWV808から ガヴォット
  スカルラッティ:ソナタ 二短調 K.141
   (以上、アルゲリッチ ・ソロ)
  ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 op.67
   (アルゲリッチ & クレーメル & ディルヴァナウスカイテ)


   《アンコール》

   シューベルト:君はわが憩い D776
   ロボダ:タンゴ「カルメン」


最後に予習について、まとめておきます。予習したのは2曲のみ。アルゲリッチのソロは曲目未定、クレーメルのソロは音源が見つかりませんでした。

ヴァインベルクのヴァイオリン・ソナタ第5番は以下のCDを聴きました。

  ギドン・クレーメル、マルタ・アルゲリッチ アルゲリッチ&フレンズ ルガーノ・フェスティヴァル・ライヴ 2014 2014年6月12日 ライヴ録音

素晴らしい演奏です。もっとも、これしか聴いていませんが・・・。


ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番は以下のCDを聴きました。

 マルタ・アルゲリッチ、ギドン・クレーメル、ミッシャ・マイスキー 1998年5月 東京、すみだトリフォニーホール ライヴ録音
 
ゴールデントリオの素晴らしい演奏です。それも東京でのライヴ録音とはね・・・。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子
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