まずは主役は我らが河村尚子。今日を皮切りに来月、再来月にかけて彼女のコンサートが連続して聴けます。今日は彼女にしては珍しい曲目、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番です。冒頭のオーケストラは抑えた感じの入りです。そして、河村尚子がまろやかな響きでピアノを弾き始めます。もっと切れのよい演奏を想像していましたが、ぴーんと張り詰めたような響きではなく、美しい響きではありますが、優し気なタッチです。オーケストラもデモーニッシュな演奏ではなく、ごく普通のモーツァルトです。これはこれでいいでしょう。終始、ニ短調の思い詰めたような雰囲気はなく、優し気なモーツァルトの演奏でした。不満もありませんが、特別な感銘もないという中道を行くような演奏でした。
次はいよいよ、注目のブルックナーの交響曲第4番 《ロマンティック》の1874年第1稿による演奏です。あらかじめ、予習しておいたので、驚きはしませんが、やはり、いつも聴く第2稿の演奏とは大きく異なるので、何かしっくりしません。saraiとしては第2稿のほうがよいと思いますけどね。演奏はロトがきっちりとオーケストラの響きを鍛え上げた圧巻のブルックナーです。特にトゥッティの凄まじい響きはさすがにドイツの名門オケだけのことはあります。金管は凄いです。ブルックナーの交響曲第4番 《ロマンティック》の1874年第1稿は異形のブルックナーの感です。珍しいものを聴いたという感懐はありますが、もうひとつ、心に響いてこなかったのが残念です。これも聴き慣れれば、普通に聴けるのかもしれませんが・・・。
明日は会場をサントリーホールに移しての公演を聴きます。シューマンの交響曲第3番《ライン》が楽しみです。
今日のプログラムは以下のとおりです。
指揮:フランソワ=グザヴィエ・ロト
ピアノ:河村尚子
管弦楽:ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466
《アンコール》シューベルト:楽興の時 第3番 D780-3
《休憩》
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調《ロマンティック》(1874年第1稿)
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲第20番を予習したCDは以下です。
田部京子、下野竜也指揮紀尾井シンフォニエッタ東京 2012年3月14日-15日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音
田部京子の安定したピアノの響きが心に沁みます。
2曲目のブルックナーの交響曲第4番 《ロマンティック》(1874年第1稿)を予習したCDは以下です。
ゲルト・シャラー指揮フィルハーモニー・フェスティヴァ 2021年7月25日 ドイツ、バイエルン州、エーブラハ、旧エーブラハ大修道院付属教会 セッション録音
2024年のブルックナー生誕200年に向けて、ブルックナーの交響曲全バージョン録音を刊行中のゲルト・シャラーとフィルハーモニア・フェスティヴァによる演奏です。この第1稿は初めて聴くので、面くらいました。これって、本当に交響曲第4番なのって感じです。演奏自体は美しいものです。
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