前半はバルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽。バルトークの最高傑作ですが、なかなか、演奏機会に恵まれません。弦が主体の作品なので、弦が優秀な日本のオーケストラに向いている曲です。
第2次世界大戦が迫るヨーロッパの限界状況を感じさせるような切実な演奏が好きなのですが、現在の日本ではそこまでの切実感は出せません。まあ、出ないほうが平和でよいわけですが、そこまで突っ込んだ演奏が聴きたいものです。それでも第2楽章と第4楽章の弦の切り込みのよい演奏には圧倒されました。コンサートマスターの崔文洙のヴァイオリンの響きが凄いです。第4楽章の後半の音楽の盛り上がりは大変なものでした。非常に高水準の演奏に満足しました。ところで、この曲は対向配置の右側の演奏が多いことに気が付きました。いまさらですが、CDを聴いていても右側に偏っているので、再生装置がおかしいのかなと思うほどです。今日の演奏を聴いていて納得です。多分、スコアに指定されている通りのオーケストラの配置なんですね。次の曲に向けて、ステージの配置換えが大変そうでした。演奏機会が少ないのはこの配置のせいもあるのでしょうか。
後半はオルフのカルミナ・ブラーナ。サントリーホールのステージ裏の客席に混成合唱団と少年少女合唱団が陣取って、コロナ禍以降、最高の合唱が歌い上げられました。二期会合唱団はそれほどの人数ではなく(ちゃんと数えていませんが、総勢50人ほど)、あれっと思いましたが、冒頭の大合唱の凄まじい音量に圧倒されました。さすがにプロの合唱団は個々の声量が大きいのですね。オーケストラも大編成。弦は14/12/10/8/6で打楽器が多数です。トゥッティでオーケストラと合唱が最大音量のときの凄まじさたるや、もう、コロナ禍は終わったと宣言するようなものです。冒頭とフィナーレの『おお、運命の女神よ O Fortuna(オー・フォルトゥーナ)』を聴くだけでももう満足。身震いするような迫力です。そして、冒頭とフィナーレの間は明快な和声の合唱が続き、耳を楽しませてくれます。そして、終盤は一気に音楽が盛り上がります。第21曲〈天秤棒を心にかけて〉のソプラノ独唱の美しいこと。ソプラノの今井実希の美しい声に聴き惚れます。続く第22曲〈今こそ愉悦の季節〉のバリトンと合唱の勢いのある歌唱も素晴らしい。続く第23曲〈とても、いとしいお方〉のソプラノの超高音の歌唱。この難しい発声をソプラノの今井実希は見事に歌い切りました。素晴らしいとしか言いようがありません。そして、第24曲〈アヴェ、この上なく姿美しい女〉の大合唱が最高の頂点を作ります。そして、そのまま、フィナーレの『おお、運命の女神よ O Fortuna(オー・フォルトゥーナ)』に続き、大合唱が音楽を締めます。いやはや、人間の声の素晴らしさに感動するばかりです。アルミンクの指揮も素晴らしく、新日フィルも見事な演奏でした。
今日のプログラムは以下です。
指揮:クリスティアン・アルミンク
ソプラノ:今井実希
テノール:清水 徹太郎
バリトン:晴雅彦
合唱:二期会合唱団
合唱指揮:冨平 恭平
合唱:流山少年少女合唱団・柏少年少女合唱団
合唱指揮:加藤洋朗
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:崔文洙
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 BB 114
《休憩》
オルフ:カルミナ・ブラーナ
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のバルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽は以下のCDを聴きました。
フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 1958年12月28-29日 セッション録音
本命中の本命の演奏です。saraiは学生時代にこのレコードを聴いて、バルトークにはまりました。
2曲目のオルフのカルミナ・ブラーナは以下のCDを聴きました。
オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団 1967年10月、ベルリン、UFA-Tonstudio セッション録音
グンドゥラ・ヤノヴィッツ、ゲルハルト・シュトルツェ、ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ
これも本命中の本命の演奏です。
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