このハイドンのオラトリオ《天地創造》は最近はオリジナル楽器による演奏が多くなってきましたが、その中でこのBCJの演奏は最も期待できるものです。今日も粒よりのメンバーがBCJとしては大編成で演奏します。そして、何と言っても、BCJの合唱の素晴らしいこと! ハイドンがその人生の終わりに書いた素晴らしいフーガを圧倒的な迫力で歌い上げます。
3人の独唱者も見事な歌唱を聴かせてくれました。とりわけ、ソプラノのジョアン・ラン。彼女はいつもは若干、表現過多の場合もありますが、この作品の場合はそれがいいほうに作用して、実に祝典的な雰囲気を醸し出します。第3部のイヴ役での天国的とも思える歌唱の見事さには、ただただ魅了されるのみでした。バスのクリスティアン・イムラーも安定した歌唱を美声で聴かせてくれました。これまた、第3部のアダム役の歌唱は素晴らしいものでした。テノールの櫻田 亮はいつもの美しい声を聴かせてくれて、しっかりと声楽アンサンブルの基盤を支えていました。
そして、何と言っても、鈴木優人の指揮の素晴らしかったこと。バッハの指揮のとき以上の見事さです。ハイドンの何たるかを理解し尽くした素晴らしい音楽作りで、ステージを支配していました。
演奏も以上のように素晴らしかったのですが、やはり、ハイドンのこの作品の素晴らしさに触れておいたほうがいいでしょう。天地創造という素晴らしい事象をハイドンらしい明るく明快な音楽で描き尽くしています。そして、彼の書いたフーガの見事さは筆舌に尽くし難いものです。晩年に至って、その瑞々しい感性の作品を生み出したのはハイドンが天才以外の何ものでもなかったことを証明するものです。モーツァルト、ベートーヴェンはハイドンなくして、あの高みに達することはなかったと実感しました。今日の演奏でも感じましたが、第2部の最終コーラス、ハレルヤから、第3部のアダムとイヴの誕生と最終コーラス、アーメンの素晴らしさはただただ、感動するのみです。最後に、アーメン、アーメンと合唱が締め括ると、深い感動を覚えました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:鈴木優人
ソプラノ:ジョアン・ラン
テノール:櫻田 亮
バス:クリスティアン・イムラー
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
ハイドン:オラトリオ《天地創造》Hob.XXI-2
《休憩》 2部と3部の間
最後に予習について、まとめておきます。
以下のCDを聴きました。
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ 1995年2月、ロンドン セッション録音
シルヴィア・マクネアー(ソプラノ、ガブリエル)、ドナ・ブラウン(ソプラノ、エヴァ)、ミヒャエル・シャーデ(テノール、ウリエル)
ジェラルド・フィンレイ(バス、ラファエル)、ロドニー・ジルフリー(バス、アダム)、モンテヴェルディ合唱団
素晴らしい演奏です。特にソプラノの二人、シルヴィア・マクネアーとドナ・ブラウンが傑出した出来です。録音も美しいです。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!