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ユリア・クライターの濃厚なロマンに満ちた魅惑のベルク歌曲 マーラー5番も終盤の圧巻の盛り上がり ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.7.16

また、ジョナサン・ノットが東響の指揮台に戻ってきました。やはり、この場が似合いますね。

まずは、ラヴェルの海原の小舟です。うーん、素晴らしい音楽表現です。春の海が朝日に輝いています。時折、波が高くなります。ノットの指揮の下、東響のアンサンブルも見事です。聴き応え十分でした。

次はソプラノのユリア・クライターが登場。彼女を日本で聴くのは初めてです。ヨーロッパでは、モーツァルトのオペラで2度聴きましたが、まさにモーツァルト歌いという美しい歌唱を聴かせてもらいました。フランダース・オペラでのフィガロの伯爵夫人とザルツブルグ音楽祭でのコジ・ファン・トゥッテのフィオルディリージでの凛とした歌唱でした。
で、今日の歌唱ですが、モーツァルト歌いだと確信していたユリア・クライターがベルクの歌曲をどう歌うのかというのが想像できませんでした。それがとっても素晴らしかったんです。濃密なロマンに満ちた憂いを含む歌唱にすっかり魅了されました。ベルクの若い頃の歌曲なので、無調めいた雰囲気よりも後期ロマン派、まるでR.シュトラウスの歌曲を聴いているような感じです。7曲とも何と言う魅惑に満ちた歌唱なんでしょう。ノットのサポートももちろん、万全です。久々に素晴らしい歌曲を聴きました。ユリア・クライターの歌うR.シュトラウスの4つの最後の歌を聴いてみたい!

後半は満を持して、ノットがマーラーの交響曲第5番を演奏します。東響のメンバーも入れ込んでいる雰囲気です。珍しくダブルコンマスです。第1楽章は意外にあっさりとした演奏ですが、精緻な演奏で惹き付けられます。第2楽章は嵐が吹き荒れるような凄まじい演奏。第3楽章はちょっと落ち着いて、一休み。第4楽章は有名なアダージェット。マーラーのアルマへの愛の告白ですね。とても美しい演奏にうっとり。演奏のギアーが上がってきます。そして、第5楽章は最高の演奏でした。ノットが東響のメンバーをインスパイして、物凄い演奏です。音楽が高潮して、圧巻のフィナーレ。尻上がりの素晴らしい演奏でした。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:ユリア・クライター
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃(ダブルコンマス 小林壱成)

  ラヴェル:海原の小舟(管弦楽版)-鏡より
  ベルク:七つの初期の歌

  《休憩》

  マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラヴェルの海原の小舟を予習したCDは以下です。

  アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1962年9月, 10月 セッション録音

一幅のパステル画を眺めるような美しい演奏です。


2曲目のベルクの七つの初期の歌を予習したCDは以下です。

  アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団  1993年4月、ウィーン楽友協会グローサーザール セッション録音

いやはや。フォン・オッターの歌が素晴らしい。ただただ、彼女の歌唱に魅了されました。


3曲目のマーラーの交響曲 第5番を予習したCDは以下です。

  ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団  2003年9月15-19日 バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール セッション録音

これがノットのマーラーなのねって感じです。ユダヤ人的な粘りはまったくなくて、あっさりめですが、精緻な演奏が後半に向かって盛り上がっていきます。



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テーマ : クラシック
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       ジョナサン・ノット,
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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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