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圧巻、鉄壁のアンサンブル!プロコフィエフ、ビゼー、ラフマニノフ アラン・ギルバート&東京都交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2022.8.2

アラン・ギルバートが振ると東京都交響楽団がよく鳴ります。先月のモーツァルトの後期交響曲も鉄壁のアンサンブルでしたが、今日のプロコフィエフ、ビゼー、ラフマニノフは徐々に編成が大きくなりましたが、小編成はもちろん、大編成でも素晴らしく透明な響き。どこか、海外の超一流のオーケストラを思わせます。ブラインドで聴いていれば、間違いなく、世界のベスト10のオーケストラの一つだと思ったでしょう。

最初はプロコフィエフの古典交響曲。冒頭での不揃いがご愛嬌ですが、あとはこれぞ鉄壁のアンサンブル。実演でこんなに完璧な演奏を聴いたのは初めてです。何と言っても、コンマスの矢部達哉が仕切る弦楽アンサンブルは最高です。小編成での演奏はまるで室内オーケストラのような透明さを湛えた美しい響き。アラン・ギルバートの的確な指揮のもと、実にモダンで洒脱な演奏。すべての楽章があるべき姿で演奏されました。短い曲ですが、これを聴いただけでも、今日のコンサートに足を運んだ甲斐がありました。

続いて、ビゼーの「アルルの女」の第1組曲と第2組曲から抜粋した5曲。いっそのこと、残り3曲も加えて、全曲を演奏してほしかったところです。というほど、素晴らしいサウンドの演奏でした。編成は先ほどよりも大きくなりました。ここでも鉄壁のアンサンブルですが、透明感よりも厚みの加わった熟成したサウンドです。やはり、弦楽アンサンブルの美しさに魅了されますが、木管も美しい演奏です。特にフルートが美しいので、第2組曲のメヌエットを聴きたかったところ。saraiのかつての愛奏曲ですし・・・。今日の5曲は組曲からの抜粋ですが、演奏順は下の劇音楽「アルルの女」の順番で演奏されました。無論、全曲など聴いたことはないので、ふむふむということはありません。それでも、今日の4曲目のアダージェット(第1組曲)の異常に美し過ぎる抒情に満ちた演奏から、最後のファランドール(第2組曲)の圧倒的な盛り上がりに至る演奏効果には唸らされました。それにしても、第1ヴァイオリン群の美しい響きは見事でした。

休憩後、最後はラフマニノフの交響的舞曲。これは初聴きです。ラフマニノフがアメリカ時代に書いた生涯最後の作品です。ここに至り、都響は大編成になり、ステージに楽団員があふれるほどです。第1楽章、きびきびした演奏に始まり、中間部でラフマニノフらしい美しく、抒情味にあふれた音楽が弦楽、特に第1ヴァイオリンで奏されます。都響の見事な演奏にうっとりします。ギルバートの指揮もダイナミックです。第2楽章、第3楽章も同じく聴きどころ満載で、都響の鉄壁のアンサンブルが機能します。そして、大団円・・・圧倒的な音響で華やかな終わり。ラフマニノフは生涯の最後までラフマニノフであり続けたのですね。ただし、初期の作品、ロシア時代のときのようなやるせなさは影を潜めています。まあ、今日は都響の鉄壁のアンサンブル、そして、それを見事に引き出したアラン・ギルバートの素晴らしい指揮がすべてでした。次回、このコンビはどんな音楽を聴かせてくれるでしょうか。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:アラン・ギルバート
  管弦楽:東京都交響楽団  コンサートマスター:矢部達哉(隣席は山本友重)

  プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調 Op.25《古典交響曲》
  ビゼー:「アルルの女」からパストラール(第2組曲)、メヌエット(第1組曲)、カリヨン(第1組曲)、アダージェット(第1組曲)、ファランドール(第2組曲)

   《休憩》

  ラフマニノフ:交響的舞曲


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のプロコフィエフの交響曲第1番 《古典交響曲》を予習したCDは以下です。

 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団 1976年4月 セッション録音

ジュリーニとシカゴ交響楽団のコンビによる一連の録音はいずれもsaraiの愛聴盤です。重厚でカンタービレのきいた演奏はシカゴ響の完璧なアンサンブルも相俟って聴き応えがあります。この曲に限っては、軽み(かろみ)の表現が見事です。


2曲目のビゼーの「アルルの女」を予習したCDは以下です。

 アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1964年 セッション録音

素晴らしい演奏です。


3曲目のラフマニノフの交響的舞曲を予習したCDは以下です。

 ヴラディーミル・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1983-1974年、アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

指揮よし、オーケストラよし。一点の曇りもない名演です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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