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現代音楽の最高峰、アルディッティ・クァルテット@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.9.1

室内楽の分野で現代音楽を開拓してきた最高の功労者であるアルディッティ・クァルテットもこの鶴見サルビアホールの常連となりつつあります。素晴らしい音響を誇るこのホールで世界最高峰の現代音楽の音響が聴けるのは僥倖としか言えません。なお、今日がQUARTET BIENNALE YOKOHAMA 2022の初日です。これから8回の公演が続きます。会場は満席状態。室内楽ファンの期待の大きさが感じられます。saraiはほかのコンサートが重なった1回を除き、7回聴く予定です。室内楽の秋になりそうです。

今日の曲目はアルディッティ・クァルテットにしては、20世紀以降の音楽の中で既に古典の座になってきたベルク、デュティユー、リゲティの代表作という比較的、分かりやすいものを演奏してくれます。前回の公演ではsaraiには理解不能な作品が多かったんです。我が国を代表する作曲家、細川俊夫さんの作品もしっかり、プログラムに組み込んであります。あながち、日本でのコンサートだからだけというわけでもないでしょう。細川俊夫さんは国際的な評価が高い作曲家ですからね。

まずは、新ヴィーン楽派のベルクの弦楽四重奏曲です。アルディッティ・クァルテットの録音した演奏とは異なり、のっけから、テンションが高い演奏です。ベルクらしい熱いウィーンの夜、それもねっとりとした夜を思わせます。後期ロマン派が行き着いた表現主義的な音楽が先鋭的な演奏で演奏されます。無調とかそういうことは関係なく、夜の闇の危険な雰囲気を醸し出しています。ある意味、まるでオペラの《ヴォツェック》、《ルル》みたいですね。うーん、素晴らしい! 見事な演奏でした。

次はデュティユーの弦楽四重奏曲「夜はかくの如し」です。無調と調性が入り混じるような幻想的な作品ですが、ベルクとは異なる夜の表現です。ある意味、もっと健康的かもしれません。アルディッティ・クァルテットの凄いのはその音響。音響に魅了されているうちに曲が終了。ベルクに続けて演奏されると、ベルクの毒に侵されているので、なんだか、物足りない感じになります。

休憩後、細川俊夫のパッサージュ(通り路)。2019年に高崎芸術劇場でアルディッティ・クァルテットにより、初演されたばかりです。(2019年の来日時、この鶴見のホールでもアルディッティ・クァルテットの演奏を聴きました。この作品は演奏されませんでしたけどね。) これはまさに現代音楽。分かったというと嘘になります。難解な作品ですが、アルディッティ・クァルテットの手の内にはいったような演奏は見事でした。演奏終了後、作曲者の細川俊夫さんが舞台にあがりました。来ておられたんですね。

最後はリゲティの弦楽四重奏曲 第2番です。リゲティは弦楽四重奏曲を2曲書いていて、第1番はハンガリーから亡命する前の1954年の作曲で、亡命後のような前衛的な手法で作曲することはなく、まるでバルトークの弦楽四重奏曲 第4番あたりの感じの作品です。そして、今日演奏された第2番は亡命後、シュトックハウゼンらの現代音楽の手法に影響されて、トーン・クラスター、ポリリズムなどの手法を駆使して、前衛的な音楽として書かれました。書かれたのは1968年です。スタンリー・キューブリック監督作「2001年宇宙の旅」で使われて有名になったルクス・エテルナ(1966年)が書かれた2年後のことです。もちろん、これはバルトークよりも前衛的な作品ですが、saraiの耳には、むしろ、このリゲティはフツーに聴けます。アルディッティ・クァルテットの演奏は超絶的に素晴らしいものでした。いかに前衛的な手法を使っていても、やはり、リゲティの作品は音楽的な内容がリッチに詰まっています。アルディッティ・クァルテットはある意味、それを明快に演奏してくれます。彼らが超絶技巧を誇っているからでしょう。第2楽章はルクス・エテルナを彷彿とさせる宇宙的な空間イメージを感じさせますし、第3楽章のピチカートのポリリズムは心地よい限りです。そして、第5楽章はもはや、古典的な感覚を覚え、その素晴らしい演奏に陶然とします。

終演後、拍手が鳴り止まず、予定外のアンコールです。アーヴィン・アルディッティがリゲティ・アゲインと言って、再度、第3楽章のピチカートのポリリズムを聴かせてくれました。ちなみにポリリズム polyrhythmというのは、リズムの異なる声部が同時に奏されることです。微妙に4人の弦のピチカートのリズムがずれていく様は神業的な演奏でした。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:アルディッティ・クァルテット
   アーヴィン・アルディッティvn  アショット・サルキシャンvn
   ラルフ・エーラースva  ルーカス・フェルスvc

  ベルク:弦楽四重奏曲 Op.3
  デュティユー:弦楽四重奏曲「夜はかくのごとし」

   《休憩》

  細川俊夫:パッサージュ(通り路)
  リゲティ:弦楽四重奏曲 第2番

   《アンコール》
   リゲティ:弦楽四重奏曲 第2番 から 第3楽章


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベルクの弦楽四重奏曲は以下のCDを聴きました。

 アルディッティ・クァルテット 1989年5月1日、ロンドン、アビーロード スタジオ セッション録音

以前聴いたアルバン・ベルク四重奏団と同様、幾分、ドライな感じの演奏ですが、もちろん、超一級の演奏です。


2曲目のデュティユーの弦楽四重奏曲「夜はかくのごとし」は以下のCDを聴きました。

 アルディッティ・クァルテット 2005年4月9日、ロンドン、ウィグモアホール ライヴ録音

以前聴いたベルチャ弦楽四重奏団、アルカント・カルテットと同様に最高級の素晴らしい演奏です。


3曲目の細川俊夫のパッサージュ(通り路)は初演したアルディッティ・クァルテットのCDが出ているようですが、入手できず、予習できませんでした。


4曲目のリゲティの弦楽四重奏曲 第2番は以下のCDを聴きました。

 アルディッティ・クァルテット 2005年4月9日、ロンドン、ウィグモアホール ライヴ録音
 
この作品を献呈されたラサール四重奏団の録音も素晴らしかったのですが、アルディッティ・クァルテットのテクニックは凄いです。



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尾瀬散策:バスは尾瀬戸倉に到着し、乗り換えて、鳩待峠へ

2022年8月24日(水)@横浜~尾瀬/3回目

上越新幹線の上毛高原駅からバスに乗って、尾瀬に向かっています。乗車後、30分ほどで沼田市街を抜けていくところです。

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高台に広がる沼田の町はとっても大きな町です。この沼田は尾瀬に発する片品川が利根川に合流するところで、この2つの川の河岸段丘が沼田の高台だそうです。地形的に天下の要害になっていて、真田幸村の兄、真田信之の居城、沼田城がありました。大河ドラマの真田丸にも取り上げられたようです(saraiは見ていませんが・・・)
小さな神社の前を通過。神明宮です。

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沼田は木材の集散地、高原野菜とかリンゴなどの果物の産地のようですね。大きな町ですが、郊外に出て、田舎道を走っていきます。窓外には緑の田園が広がります。

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片品川に沿って、走っていきます。

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山の中を走り、片品村の温泉街へ。やがて、関越交通の鎌田営業所で、時間調整です。ここで、トイレタイムと両替を済ませます。何のことはない。ここで千円札に両替できたんですね。先にそう言ってくれればいいのに・・・。

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鎌田営業所を出たバスは大きな橋を渡ります。尾瀬大橋です。片品川の支流である大滝川に架かる橋です。片品川の合流点付近には大滝堰堤というダム相当のものが見えています。東京電力リニューアブルパワー(株)の発電の目的に使われています。

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続いて、片品川に架かる太田橋を渡ります。狭い橋で横に歩行者用の橋が並んでいます。

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かたしな高原への分岐がありますが、バスはまっすぐ、尾瀬戸倉に向かいます。

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再び、片品川を渡って、川沿いに走り続けます。

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やがて、尾瀬戸倉に到着。終点です。何故、千円札が必要なのか、分かりました。二人分の5千円を千円札を1枚ずつ料金装置に挿入していくんです。時間がやたらにかかりますね。しわをのばさないと、入れた札が返されたりします。うーん、面倒!

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路線バス車はここまで。やたらに広いバスの駐車場ですが、ここから、少し先に見えている長い橋を渡って、尾瀬鳩待峠まで運んでくれるバスの乗り場まで歩きます。どうして、同じところで乗り換えられないのかな・・・なんて言っている場合ではなく、乗り換え時間が短いんです。急ぎましょう。

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駐車場の端には、尾瀬ネイチャーセンター 尾瀬ぷらり館が見えます。旬の尾瀬情報の展示のほか、日帰り温泉「戸倉の湯」も併設しています。しかし、寄っている時間はありません。

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長い橋を急いで渡ります。

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片品川にかかる、この橋は何故か、想いで橋という名前です。

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やれ急げ! バスはスタンバイしています。

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無事、全員6人乗り込みます。運転席の後ろに《黙乗》と書かれています。了解です。狭い車内で無駄なおしゃべりは自粛しましょう。

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一路、今日の最終目的地、鳩待峠に向かって、出発です。でも、結局はまた先ほどの想いで橋を渡っていきます。なんだか無駄な乗り換えの歩きだったような気がします。ともあれ、いよいよ、尾瀬に向かいます。



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小菅 優の素晴らしいテクニックで弾き分けたモーツァルトとメンデルスゾーンの初期のピアノ協奏曲 with 東京交響楽団:モーツァルト・マチネ 第50回@ミューザ川崎シンフォニーホール 2022.9.3

今日は朝早起き(saraiとしては)して、午前11時からのモーツァルト・マチネに駆けつけます。この時間帯のコンサートはいつも朝寝坊のsaraiとしては厳しいものがあります。

まずはモーツァルトがウィーンに定住した翌年に職業音楽家として、自身の予約演奏会のために作曲したピアノ協奏曲 第13番。モーツァルト、26歳から27歳にかけて、コンスタンツェと結婚した頃の作品です。この作品ではメロディーの美しさが光ります。東響は弦楽のみの演奏でそれは素晴らしい響きです。小菅 優は抑えた響きです。多分、ペダルを使っていないのでしょう。最初は正直、物足りない感じですが、音量は小さいものの次第に響きがよくなっていきます。小菅 優のテクニックはさすがで、特にトリルや音階のタッチが素晴らしいです。第1楽章の中盤から第2楽章にかけての演奏は聴き惚れました。モーツァルトの旋律が極めて美しいので、素直に演奏すれば、弾き映えしますが、小菅 優の表現力も見事です。第3楽章は勢いよく、そして、実に心地よく、音楽が進行していきますが、ここでsaraiの集中力はぷっつりと切れて、薄明の世界にはいります。すなわち、意識が消え去ります。気が付くと、美しいフィナーレ。やはり、朝のコンサートはsaraiには向きませんね。

続いて、休憩なしに次のメンデルスゾーンのピアノと弦楽のための協奏曲。13歳の天才少年がまるでモーツァルトの生まれ変わりのようになって書いた作品です。しかし、時代は既にロマン派になっており、先ほどのモーツァルトの作品と同じ編成の音楽とは言え、和声の厚みが異なります。東響の弦楽の響きもさらに美しくなり、小菅 優のピアノの響きも音量を増しています。ペダルを使っているのでしょう。第1楽章はとても美しい主題が弦楽でもピアノでも繰り返されて、素晴らしい音楽です。メンデルスゾーンは本当に早熟の天才だったのですね。緩徐楽章の第2楽章も美しい音楽が展開されます。しかし、またしても、第3楽章に入ると、saraiの集中力が切れて、意識が遠のきます。フィナーレが美しく響く頃にようやく音楽に復帰。小菅 優のテクニックが冴え渡った見事な演奏でした。

今日は半世紀ほど離れた時代の二人の天才作曲家の同じような構成の音楽を聴きましたが、小菅 優は時代の様式感を表出したピアノ演奏法で弾き分けていたことが印象的でした。いずれも彼女の素晴らしいテクニックに支えられた見事な音楽になっていました。


今日のプログラムは以下です。

  ピアノ(弾き振り):小菅 優
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  モーツァルト:ピアノ協奏曲 第13番 ハ長調 K.415(弦楽版)
  メンデルスゾーン:ピアノと弦楽のための協奏曲 イ短調 MWV O2

  《アンコール》なし

   休憩なし


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルト:ピアノ協奏曲 第13番を予習したCDは以下です。

 クララ・ハスキル、ルドルフ・バウムガルトナー指揮ルツェルン祝祭管弦楽団 1960年5月5日-6日、ルツェルン ライヴ録音

クララ・ハスキル最晩年のステレオ録音。美しい音質で聴ける貴重な記録で、この曲では最高の素晴らしい演奏です。特に第2楽章が繊細な表現で見事な演奏です。


2曲目のメンデルスゾーンのピアノと弦楽のための協奏曲を予習したCDは以下です。

 シプリアン・カツァリス、ヤーノシュ・ローラ指揮アムステルダム・フランツ・リスト室内管弦楽団 1984年2月 ウィーン、カジノ・ツェゲルニッツ セッション録音

カツァリスのピアノが美しい演奏です。



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尾瀬散策:鳩待峠に到着し、鳩待山荘に投宿

2022年8月24日(水)@横浜~尾瀬/4回目

上越新幹線の上毛高原駅からバスで尾瀬戸倉まで行き、そこから、バスに乗り換えて、鳩待峠に向かいます。
バスは渓流に沿って、狭い山道を登っていきます。この渓流は笠科川です。

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うねうねと曲がりくねった道を結構なスピードで走っていきます。時折、対向車とすれ違いますが、バスはほとんどスピードを落とさずに走ります。すれ違う乗用車のほうが遠慮がちに道を譲ります。この道路のルールのようですね。

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バスは次第に高度を上げていき、尾根らしきものが見えてきます。

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美しい木立の中を走って、鳩待峠に向かっていきます。

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30分近く走って、鳩待峠の駐車場に到着。いよいよ尾瀬です。ここが尾瀬エリアで車が近づくことのできる最終地点です。

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バスを降りて、空を見上げます。雲間に青空も顔を覗かせています。心配していた天候もなんとか大丈夫のようです。空の向こうに頭を見せているのは至仏山でしょうか。

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駐車場には結構、車が停まっています。この時期、マイカー規制がかかっており、マイカーの乗り入れはできない筈ですから、山の関係者の車なのでしょう。

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これが尾瀬戸倉から乗ってきたバス。既に尾瀬戸倉行きとして、スタンバイしています。

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さて、我々6人はここから鳩待山荘に向かいます。少しだけ登るだけの筈です。

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このあたりには山野草があります。少し写真に撮っておきましょう。これはフジバカマ。

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これはゴマナ?

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これはウド。

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これはシシウド。

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5分ほど山道を登ると、鳩待峠の休憩所の前に出ます。いかにも山に来たという感じの建物です。

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その前を通り過ぎると、お隣に今日宿泊する鳩待山荘があります。

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まだ2時過ぎですがチェックインできます。それぞれの夫婦で個室を予約してあります。さっそく部屋に入ります。山小屋なのですが、今日は宿泊者が少ないようで、とっても広い部屋が用意されてました。シンプルに扇風機とストーブと小さな机とお布団があるのみですが、十分です。お茶とお菓子も用意されています。
ちょっとだけ休んで、今日の行動に移りましょう。



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現代的な演奏で魅了するアタッカ・クァルテット@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.9.5

最初と最後はベートーヴェンとラヴェルというクラシカルな作品を置き、その間に現代の作品を置くという構成のプログラムです。最後に弾いたラヴェルが素晴らしい演奏でした。

彼らの演奏はとてもダイナミックで明確に強弱をつけた個性的な演奏。4人の個性を発揮した現代的な演奏です。
最初のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第10番「ハープ」は彼らの長所も短所も併せ持った演奏。よいのは個性的でこの有名曲が新鮮に響くことです。とても魅力的な演奏です。ここぞというところで圧倒的なフォルテで迫ってきます。まるでロックです。ちょっと物足りなかったのは、この作品の美しさが十分に表出されていないことです。もっともそれは高いレベルでのことで、普通に聴けば十分に美しい演奏ではあります。特にヴィオラのナタン・スクラームの演奏が印象的でした。第1ヴァイオリンのエイミー・シュローダーは結構、抑えて弾いていたので、saraiの趣味ではもっとばりばり弾いてもらいたいところです。まあ、これが彼らのコンセプトなんでしょう。

次のP.ヴィアンコの弁慶の立ち往生はまさに日本の義経と弁慶のストーリーを題材にした珍しい作品。現代音楽にしては聴きやすい音楽です。こういう作品はアタッカ・クァルテットの自家薬籠中の物です。彼らが委嘱した作品で、今回、これが日本初演とのことです。彼らのテクニックや個性的な音楽的表現が見事に発揮されていました。

休憩後、キャロライン・ショウのアントラクト(休息)。これも現代の作品ですが、聴きやすいだけでなく、なかなかの音楽的充実度です。和声的でありながら、どこか、何か微妙に違うという魅力的な作品です。アタッカ・クァルテットの演奏もとても見事。この作品の魅力を極め尽くしたような演奏で前のめりで聴き入ってしまいました。

最後はラヴェルの弦楽四重奏曲。これは見事な演奏でした。さすがにエベーヌ四重奏団とは比較できませんが、十分に個性的で魅力的な演奏でした。

アンコールは3曲。ジョン・ベネットのマドリガルの《涙せよ、我が眼》の弦楽四重奏版がしみじみとした出色の出来。フィリップ・グラスのミニマル音楽も古典に根ざしたような音楽で、心地よい演奏が聴けました。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:アタッカ・クァルテット
   エイミー・シュローダー vn   ドミニク・サラーニー vn
   ナタン・スクラーム va アンドリュー・イー vc

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第10番 Op.95「ハープ」
  P.ヴィアンコ:弁慶の立ち往生

   《休憩》

  C.ショウ:アントラクト(休息)
  ラヴェル:弦楽四重奏曲

   《アンコール》
   C.ショウ:ヴァレンシア
   ジョン・ベネット:涙せよ、我が眼
   フィリップ・グラス:弦楽四重奏曲第3番《ミシマ》より


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第10番「ハープ」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団 1982年、ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

とても素晴らしい演奏です。これは彼らの最初のベートヴェン・チクルスの録音です。


2曲目、3曲目のヴィアンコとショウは音源が見つからず、予習していません。


4曲目のラヴェルの弦楽四重奏曲は以下のCDを聴きました。

 エベーヌ・クァルテット 2008年2月 セッション録音
 
これは素晴らし過ぎる演奏です。冒頭から美しい響きに魅了されます。音楽的表現も最高です。この作品の本命盤でしょう。



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尾瀬散策:鳩待峠から尾瀬ヶ原に向かって、今日は下見だけに出発

2022年8月24日(水)@横浜~尾瀬/5回目

長い長い新幹線とバスでの移動で尾瀬の鳩待峠にある鳩待山荘に落ち着いたところです。
何にもない殺風景な部屋ですが、バルコニーがあります。もっともバルコニーというほど、お洒落なものではありません。そこからは真正面に至仏山が見えています。雲に煙っていますが、なんとか山頂らしきものが見えます。

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2階の部屋から見下ろすと、休憩所兼売店が見えます。後で覗いてみましょう。Mont-Bellのショップもあるそうです。今回の旅で新たに購入したリュックはMont-Bellで買い求めました。

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鳩待峠の広場には中学生か高校生らしき集団が集っています。尾瀬ヶ原から戻ってきたのでしょうか。ここは尾瀬ヶ原散策の出発地・帰着地で集合場所になっています。

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バルコニー下の庇には早くもアキアカネが羽を休めています。もう、尾瀬には秋が忍び寄っています。

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もうお風呂も沸いているようですが、まだ宿でくつろぐには早い時間です。宿の外に出ます。この時間ではアヤメ平の方や至仏山の方に行くのは、お宿の方のお話しでは難しいそうです。

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まだ、ほかのメンバーが出てきませんが、これからどうするかはみんなで相談しましょう。とりあえず、休憩所の中にある売店を覗いてみましょう。

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おー、なかなか、峠の上にしては充実したお土産物売り場です。

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でも、お目当ては登山用品コーナーにあるMont-Bellショップです。この際買おうと思ったのは杖ならぬストックです。ところが、Mont-Bell製のストックは残り2個。選ぶようなものではありません。ノンブランドのストックに比べて2倍ほど高価なストックを買ってもらいます。グリップが2Wayになっています。

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Mont-Bellの商品はさほど豊富に置いてあるわけではありませんね。まあ、こんな峠にMont-Bellがあるのが不思議なくらいです。

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休憩所の外に出ると、お決まりのソフトクリームがあります。鳩待名物の花豆ソフトクリームと書かれています。そそられます。いただきましょう。

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夢中で途中まで食べたところで写真を撮り忘れたことに気が付きます。慌てて1枚。

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山で食べるソフトクリームは格別です。空は青空も見えています。

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もっとも、黒雲もあります。山らしく変動しやすい気候です。

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皆でこれからの行動を相談します。明日、尾瀬ヶ原に行くのですが、ちょっと、そちら方面に下見に行ってみようということになります。明日は雨が降るかもしれないし、今日のうちに楽しんでおくのもよいかもしれませんね。
これが尾瀬ヶ原への入口です。

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入口は右側通行になっていて、通行者が自動カウントされるようです。

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入口を入ってすぐは緩やかな下り道です。

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この後、厳しい急坂、石段になりますが、それは最初から分かっています。頑張って下っていきます。



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尾瀬散策:鳩待峠から山ノ鼻へ、偵察だけで途中で引き返し

2022年8月24日(水)@横浜~尾瀬/6回目

長い長い新幹線とバスでの移動で尾瀬の鳩待峠にある鳩待山荘に到着。そこから、明日の尾瀬ヶ原散策の下見も兼ねて、そのルートの途中まで歩いてみることにして、尾瀬ヶ原への下り道に足を踏み入れたところです。
初めだけは緩やかな下り坂で順調に歩いていきます。

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次いで歩きにくい石段です。これがどんどん急坂になっていきます。

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前を歩いているメンバーが何やら騒いでいます。何と巨大なナメクジです。山には色んな生き物が生息しています。

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やがて、待望の木道が現れます。尾瀬らしい道ですね。

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緑に包まれる木道を歩きます。心が洗われます。

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ちょろちょろと湧水が流れています。

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一つ目の沢です。小さな木橋が架かっています。これはハトマチ沢です。

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ここまではたった380mしか歩いていませんが、厳しい急坂でした。

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尾瀬ヶ原が始まる山ノ鼻までは、まだ、2.92kmもあります。

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ここからは平坦な木道が続いています。

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空はこんな感じ。強い日光がないのが幸いです。

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また、次の沢を渡ります。ワル沢でしょうか。

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木橋の上から沢の清流を眺めます。

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反対側です。清冽な流れですね。

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次の沢です。ヨセ沢です。

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清流に薄日が差して美しい風景を作っています。

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ここから先も延々と木道が続いています。

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まだ、日は高いですね。

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ここまでで山ノ鼻まで、3分の1くらいでしょうか。尾瀬への期待は高まりますが、ここらで引き返します。今日は明日に備えて体力温存です。ま、これで、尾瀬の雰囲気は味わったので、明日は雨でも、後悔はありません。
帰りは厳しい急坂をひーひー言いながら登り切ります。たった380mがとてもきついのですが、何とかsaraiの足はほとんど痛くならずに持ちました。ただ、汗びっしょりです。

鳩待山荘に戻り、お風呂に入り、汗を流して、夕食です。夕食の案内のアナウンスがあります。冷蔵ケースにワインがあるように書かれているのですが、なかなか見つかりません。「水芭蕉」というスパークリングワインがあると勘違いして購入したのは、日本酒でした。ま、何でもいいのです。皆で乾杯をして、夕食を頂きます。

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山小屋の夜は早いです。夕食終了は6時半。それからは、みなで1室に集まって、楽しいおしゃべり。途中で、saraiのスマホにメールが届きます。エッと大きな声を出します。コロナの接触確認アプリのお知らせです。初めての体験。コンサート会場での近い席の人がコロナ感染したようです。コンサートは皆さんしっかり感染対策しているので、心配ないでしょう(実際、その後も大丈夫でした)。
消灯は9時です。寝れるかな・・・と言いながら寝室へ。
saraiは簡単にブログを書いてオヤスミナサイ。
深夜には、ものすごい雨。明日は大丈夫かな。



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圧巻のバルトークに感動 アリーナ・イブラギモヴァ・無伴奏ヴァイオリン・リサイタル@王子ホール 2022.9.8

アリーナ・イブラギモヴァは5年前に都響との共演でバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番を聴き、何か不思議な魅力にとらわれました。以来、実演を聴きたいと思っていたのですが、コロナ禍もあり、その機会がなく、CDでその演奏をよく聴くようになっています。また、彼女が率いるキアロスクーロ四重奏団の演奏もCDでよく聴きます。saraiにとっては今や目を離せないメジャーな存在になってきています。今日、ようやく、彼女のリサイタルを聴けます。今後、どんどん聴けることになるでしょう。今日も期待に違わぬというか、期待以上の演奏でした。今や、世界のヴァイオリニストでトップレベルと言っても過言でありません。バッハからバルトークまでここまで弾ける人はいないでしょう。

最初はベリオのセクエンツァ Ⅷ。これは譜面を見ての演奏。それはそうでしょう。演奏を始めると、絶句します。超絶的な難曲をたやすく弾きこなします。それも実に迫力のある演奏です。動と静を交錯させながら、美しい響きと激しい響きを見事に両立させて、ぐいぐいと心に迫ってきます。その素晴らしさに圧倒されているうちに音楽は不意に終わります。現代のシャコンヌを聴いた思いになりました。うーん、凄い!

次はバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番。もちろん、譜面は置きませんね。実に安定した美しい演奏です。ある意味、少し曲に距離をとった演奏とも言えます。この曲はヴァイオリニストにとって聖典とも言えるものですから、あえて、音楽をリスペクトして、自分の気持ちを入れ込み過ぎないようにあくまでも主役はバッハの音楽自体に置こうとしているのでしょう。第5曲のシャコンヌに至ると、音楽自体が輝きを増します。特に後半になると、音楽が高潮していきます。その頂点で音楽は終了。もっと気魄を込めた演奏もあるでしょうが、そうすることは恐れ多いとも言えますね。この路線でさらに完成度を高めていくのでしょう。音楽の難しさを感じる演奏でした。

休憩後、ビーバーの「ロザリオのソナタ」からのパッサカリア。これは譜面を見ながらの演奏。とても気合の入った演奏です。ベリオのセクエンツァと同様に動と静を交錯させた思い切りのある素晴らしい演奏です。とてもバロック音楽とは思えない自由奔放な演奏です。もちろん、古典の様式美はあり、素晴らしい演奏です。彼女の演奏でこの「ロザリオのソナタ」全曲を聴いてみたものです。これも聴き入っているうちに不意に終わります。どの曲も魅了されて、集中して聴いています。

素晴らしい演奏が続きますが、もう最後のバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタです。これは何とも凄い演奏。このバルトークの最晩年の最高傑作も遂にこんなに完璧に演奏される日がやってきたという深い感慨を覚えます。実に新鮮でエネルギーに満ちて、病に侵されたバルトークが渾身の力で自らを奮い立たせて書き上げた音楽の根幹に初めて触れる思いになります。猛烈な力に満ちた第1楽章と第2楽章の凄まじい演奏に身震いしていたら、第3楽章はバルトーク特有の夜の音楽。もう現世を離れて、闇の世界で哀感に満ちた音楽です。イブラギモヴァのヴァイオリンはとても美しく冴え渡ります。これ以上は誰も弾けないでしょう。第4楽章はバルトークの世界を完結させるような圧巻の演奏です。バルトークに完璧に共感して、あり得ないような演奏をイブラギモヴァは聴かせてくれました。バッハの無伴奏ソナタ&パルティータ以降、最高に昇華したバルトークの無伴奏ソナタの何たるかを我々に提示してくれるような至高の名演でした。凄い演奏に驚愕しました。

先日の都響とのブラームスのコンツェルトは聴き逃がしましたが、今後は最優先で聴くべき音楽家の一人になりました。コパチンスカヤとは感性が異なりますが、不思議な魅力では共通するものを感じます。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ヴァイオリン:アリーナ・イブラギモヴァ

  ベリオ: セクエンツァ Ⅷ
  J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004

   《休憩》

  ビーバー:「ロザリオのソナタ」より パッサカリア ト短調 
  バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117

   《アンコール》なし


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベリオのセクエンツァ Ⅷを予習したCDは以下です。

  ジャンヌ=マリー・コンケール 1994年10月~1997年7月 パリ、IRCAMスタジオ セッション録音

アンサンブル・アンテルコンタンポランの達人たちの演奏、そして、ベリオ自身の監修によるセクエンツァ1~13に含まれるものです。文句ない演奏です。


2曲目のバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番を予習したCDは以下です。

  アリーナ・イブラギモヴァ 2009年2月 ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール セッション録音

今日演奏するイブラギモヴァの13年前の録音です。実に見事な演奏に魅了されました。


3曲目のビーバーの「ロザリオのソナタ」からのパッサカリアを予習したCDは以下です。

  アンドルー・マンゼ 003年1月4-7日 ロンドン セッション録音

これは感動的な素晴らしい演奏です。深い祈りや聖的な何かを感じます。


4曲目のバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタを予習したCDは以下です。

  ギドン・クレーメル クレーメル&アルゲリッチ/ベルリン・リサイタル 2006年12月、ベルリン、フィルハーモニー ライヴ録音

2006年12月、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ・リサイタルの録音です。クレーメルの気魄の演奏です。



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       イブラギモヴァ,  

魅惑のヤナーチェク:グラゴル・ミサ 大野和士&東京都交響楽団@サントリーホール 2022.9.9

何故、大野和士がチェコ尽くしのプログラムと危惧しましたが、結果的には見事な演奏に満足。

何と言っても、後半のヤナーチェクの異形のミサ曲、グラゴル・ミサが素晴らしい演奏でした。1927年第1稿という原典版による演奏ですが、それよりも古代スラヴ語の歌詞の作品に日本人だけで挑むということが信じられません。12年前にフルシャが都響とこの曲に取り組んだときは4人の歌手はすべてチェコの歌手でした。無論、聴く側のsaraiだって、古代スラヴ語なんて、全然分かりませんが、ヤナーチェクの場合、音楽と言葉は響きで融合しているので、雰囲気では感じ取れます。結果、さほど違和感のないヤナーチェクの音楽が創造されました。まずは都響のアンサンブルがとても美しい響きを聴かせてくれて、それだけでも何よりです。さらに新国立劇場合唱団はオーケストラの後ろに陣取っていましたが、いつものように突き抜けたハーモニーを聴かせてくれます。4人のソロ歌手は日本人離れした声量で圧倒してくれます。そして、第8曲でソロ演奏を聴かせてくれた大木麻理の圧倒的な迫力のパイプオルガンには度肝を抜かれました。
曲は最初の2つの楽章と最後の2つの楽章が器楽だけ、3番目の楽章から7番目の楽章までの5つの楽章が声楽入りです。5番目のクレドから後の盛り上がりが凄いものです。ヤナーチェクのミサ曲らしくないミサ曲は独特の魅力に満ちていて、まるで麻薬のように心を魅惑してくれます。オペラのようにストーリー性がないので、感動までには至りませんが、十分にヤナーチェク・ワールドを味わうことができました。いいものを聴かせてもらいました。

前半のドヴォルザークの交響曲第5番は滅多に演奏されない曲で実は初聴きです。耳慣れしていない分だけ、新鮮なドヴォルザークを楽しめました。意外にこの頃の若いドヴォルザークはワーグナーの影響も受けていたのですね。それでも後のドヴォルザークで発露したボヘミア風、スラヴ風の要素はしっかり入っていて、都響の美しいアンサンブルがそれを美しく歌い上げてくれます。特に第2楽章のしみじみとした哀愁には心を打たれました。第1楽章と第4楽章の勇壮とも言える堂々たる演奏も心が飛翔しました。珍しい作品を聴けて、満足!


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:大野和士
  ソプラノ:小林厚子
  アルト:山下裕賀
  テノール:福井 敬
  バス:妻屋秀和
  オルガン:大木麻理
  合唱:新国立劇場合唱団
  合唱指揮:冨平恭平
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉(隣の席はコンミスの四方恭子)

  ドヴォルザーク:交響曲第5番 ヘ長調 Op.76

    《休憩》

  ヤナーチェク:グラゴル・ミサ(1927年第1稿)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドヴォルザークの交響曲第5番を予習したCDは以下です。

  ヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル 1972年 チェコ、プラハ、プラハ、芸術家の家ドヴォルザーク・ホール セッション録音

このコンビの新旧の交響曲全集の旧盤です。無理のない自然体の素晴らしい演奏です。


2曲目のヤナーチェクのグラゴル・ミサを予習したDVDは以下です。

  チャールズ・マッケラス指揮チェコ・フィル
   エヴァ・ウルバノヴァー(S) ベルナルダ・フィンク(A)
   レオ・マリアン・ヴォディチュカ(T) ぺテル・ミクラーシュ(Bs)
   プラハ・フィルハーモニー合唱団
   ヤン・ホラ(Org)
   1996年3月21日 チェコ、プラハ、芸術家の家ドヴォルザーク・ホール ライヴ録音

ヤナーチェクのスペシャリストであるチャールズ・マッケラスが本場のチェコ・フィルを指揮した原典版(9 楽章構成)の演奏が映像で見られます。初めてマッケラスの指揮する姿を見ました。演奏は素晴らしいこと、この上なし。トランペットのケイマルやホルンのバボラクの姿も見られます。



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尾瀬散策:霧の中、尾瀬ヶ原に向かって出発

2022年8月25日(木)@尾瀬/1回目

尾瀬、2日目です。
あまりに早い就寝のため、やはり、早く起きます。saraiは5時起床。いつもは寝る時間です。昨夜は凄い雨音でしたが、外を見ると、雨は一応上がっています。しかし、濃い霧に包まれています。それでも早朝から歩き始める人が見えます。

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少し時間が経っても一向に霧が晴れる気配がありません。

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向かいに聳える至仏山の姿はおろか、下の広場の向こうの木々すらも霧で霞んでいます。

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霧は晴れるどころか、ますます濃くなってきているようにさえ思えます。まずいなあ・・・。

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6時には「朝食の準備ができました」の館内放送。早っ!朝食時間は7時まで、チェックアウトは8時です。
とりあえず、saraiにはありえないような時間の朝食をいただきます。峠の上とは言え、なかなか充実した朝食です。

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朝食をいただく時には、既に食堂の隣のテーブルの上に昨日からお願いしてあるお昼弁当も用意されています。

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食事を終えて、食堂を出た玄関前のドリンクコーナーを確認すると、水芭蕉という日本酒のポスターがありますが、ちょっと見た目にはワインと誤認しそうなボトルですね。

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ワインはカップワインで、こちらのほうが日本酒みたいです。

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ともあれ、どんどん、出かける準備は進み、チェックアウトを済ませ、宿を出ます。霧の中に立つ鳩待山荘です。2階の3部屋が我々が宿泊した部屋です。

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7時半には、メンバー全員は玄関前に集合。でも、すごい靄につつまれ、ほとんど視界0。でも、雨は降っていません! これも晴れ女の配偶者がいるからでしょう。やはり、配偶者の力は凄い。尾瀬ヶ原に向かうことにします。尾瀬ヶ原の入口の前に立ちます。

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ところですぐそばには至仏山への登山口も見えます。これは中級者コースですね。

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至仏山の案内もあります。

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我々は昨日も歩いた尾瀬ヶ原方面の入口に進みます。

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ちょっと引いてみると、こんなに霧が立ち込めています。それでも最低の視界は確保できます。歩くのにさほどの問題はなさそうです。尾瀬ヶ原散策決行にみな賛同します。

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さあ、念願の尾瀬ヶ原に向かって、進みましょう。最低の荷物を背負い、残りは宿に預けて出発です。夫婦単位で、それぞれのペースに合わせて歩くことにします。
もやも少しずつ晴れてきて、明るい日差しもあります。薄曇りで、雨の気配はなし。何よりです。木立が美しいし、草花も可愛いです。写真をぱちぱち撮りながらどんどん進みます。真夜中の雨で、木道や石が濡れているので最初は慎重におっかなびっくりで進みます。昨日、歩いた道は、それなりにわかっていて歩きやすいですね。滑りやすい急坂を苦労して下りると、木道に出ます。

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傍らの草はしっとりと濡れています。

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まだ、昨日歩いた道です。もうすぐ、未知の領域に出ます。とりあえず目指すは山ノ鼻のビジターセンターです。



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尾瀬散策:ヨセ沢を過ぎ、川上川に沿って、山ノ鼻へ

2022年8月25日(木)@尾瀬/2回目

尾瀬、2日目です。
今日は早朝の深い霧で危惧しましたが、それ以上は天気が崩れることもなく、今は尾瀬ヶ原に向かって、滑りやすい道をそろそろと歩いています。周りの森の木々は昨夜の強い雨に濡れた姿を見せています。

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木道は順次、作り変えられているようですが、まだ、未改修で壊れている箇所もあります。

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木道も雨で湿った状態です。滑らないように慎重に歩きますが、足に余計な負担もかかりますね。saraiの足は昨日に続き、さほど痛みを感じません。もっとも痛み止めのロキソニンを服用していますけどね。

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直角に曲がった木道もあります。こういうところこそ、慎重に歩きます。

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鬱蒼とした森の中の木道を進んでいきます。

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霧は既に晴れていて、木々の間は明るい光に満ちています。

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やがて、木道が沢を渡ります。

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この清冽な流れはヨセ沢です。昨日はここで引き返しました。

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水面が光で輝いて、美しい風景を作っています。

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この先は昨日も歩いていない未知の領域です。

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延々と続く木道を進んでいきます。

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ここから木道は少し登りにかかります。ほぼ平坦な木道ですが、それでも若干のアップダウンはあります。

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木道にはところどころベンチがあり、休めるようになっています。いったん休むとまた立ち上がるのが辛くなるので、ほぼ休みなしに歩いていきます。

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やがて、瀬音が大きくなります。急に傍らに川上川の流れが見えてきます。

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この川上川の流れに沿って、歩いていきます。

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流れに沿って、気持ちのよい道が続きます。

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もう、山ノ鼻まで半分ほど来た筈です。頑張りましょう。



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尾瀬散策:川上川沿いを歩き、テンマ沢に到着。

2022年8月25日(木)@尾瀬/3回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、ヨセ沢を過ぎて、川上川沿いの道を歩いています。振り返ると、川沿いに木道がうねうねと続いています。ところでこんなところに電信柱が立っていますね。実は尾瀬国立公園全体の約40%をTEPCOが所有。 大正時代、水力発電所の建設のため、当時の電力会社が尾瀬の土地と水利権を取得したことが始まりだそうです。尾瀬ヶ原には東電小屋という山小屋まであります。

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前方には、川上川沿いに木道がずっと続いています。そんなにアップダウンもなく、気持ちのよい道を楽しく歩きます。ところで前方にも電信柱が見えますね。

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おおっ、行く手の先は眩しいくらい、光があふれています。これから、どんどん、天候がよくなっていきそうです。

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渓流の瀬音を聞きながら、気持ちよく歩きます。さらには鳥の声も聞こえます。

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花も見えます。オゼヌマアザミですね。

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川上川沿いのウォーキングが続きます。

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緑に包まれた木道を歩いていきます。

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沢の上を渡る木道を歩きます。落ちると恐い!

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木道は陽を浴びていますが、まだ、濡れています。滑らないように気を付けて歩きます。

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大きな沢を渡ります。ここはテンマ沢です。

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テンマ沢まで至ると、山ノ鼻もぐっと近づきます。あと1.49kmです。既に1.8kmも歩いてきました。

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沢の水が清冽に流れています。

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テンマ沢を過ぎると、木道は森の中を抜けていきます。

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美しい森です。白樺の林でしょうか。似てはいますが、これはどうやらダケカンバの林のようです。もしかしたら、ブナかも・・・。識別は難しそうです。

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クマ除けの鐘があります。一発、カーンと鳴らします。クマと人の接触を避けるために刈り払いをしたのと張り紙があります。何のことでしょう。

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すると、直後にテンマ沢湿原が現れて、水芭蕉があります。既に花は終わっていますが、綺麗だったでしょうね。

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どうやら、クマが好物にする水芭蕉を刈り払いしたようです。でも、あとでよく調べると、木道脇ギリギリまで繁茂しているササやヨシを刈り払いしているようです。不意のクマとの遭遇を防ぐためだそうです。
しばらく、水芭蕉が群生するテンマ沢湿原を進んでいきます。



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河村尚子のシューベルティアーデ、聖なる一夜@紀尾井ホール 2022.9.13

8月後半から、続けざまに河村尚子のピアノを聴いてきましたが、今日がその総決算。シューベルトの最晩年の作品を中心にした素晴らしいプログラムです。

本来は今日は鶴見サルビアホールでクァルテット・エクセルシオのショスタコーヴィチ・シリーズ#3(弦楽四重奏曲 第7番~第10番)を聴くべきところでしたが、河村尚子のシューベルトとあっては聴き逃がせません。
実際、その甲斐はありました。河村尚子の重量級のシューベルトの完璧とも思える演奏が聴けました。

まずは、挨拶代わりの1曲。通俗的とも言える「楽興の時」の第3番です。ここまで弾けるのかと感嘆するような素晴らしい演奏です。別の曲を聴いているような感じのゾクゾクする演奏です。
続いて、間を置かずに「3つの小品」からの 第3番です。一転して、たたみかけるような圧倒的な演奏です。中間部はもっと抒情的に弾いてほしいところですが、一気呵成に突き抜けるような素晴らしいテクニックの演奏です。
ここでいったん 間をあけて、次はピアノ・ソナタ第20番です。第1楽章はドイツ的な重厚な演奏です。ピアニズムが素晴らしく、その完璧なメカニズムの演奏に聴き惚れます。ベートーヴェンの後期ソナタを引き継いだような強靭な表現の演奏です。シューベルトのソナタにベートーヴェン的な要素があったとは驚きです。右手の飛躍するような指の動きが見事な音型を構成していきます。河村尚子のこれまでの演奏はテンポのよいノリのある演奏でしたが、今日は強いダイナミックな演奏が印象的です。長大な楽章は見事なテクニックに裏打ちされた重厚な音楽表現に聴き入っているうちに終わります。圧巻だったのは第2楽章。憧れを秘めたシューベルトの魂の声が聴こえてきます。重層的にベートーヴェンの後期ソナタ、あたかも《嘆きの歌》も聴こえるかのごとくです。うーん、これは・・・ベートーヴェンの音楽をアウフヘーベンしたかのごとき、シューベルト像です。河村尚子が弾き継いだベートーヴェン・シリーズの延長線上にこのシューベルト・プロジェクトをイメージしたのでしょうか。こういう独自性のある音楽作りができるとは、やはり、河村尚子は只ものではありませんね。もっとも、それは諸刃の刃。賛否両論あるでしょう。ともあれ、第2楽章は感涙の素晴らしい演奏でした。第3楽章は実に見事に軽やかな演奏。河村尚子の個性が活きます。第4楽章はまた重厚な演奏で、ドイツ流に成長した証しを聴かせてくれます。実に充実したピアノ・ソナタ第20番の演奏でした。

休憩後、即興曲集 D 899 Op.90より、第3番です。さざ波のようなパッセージが抒情的なロマンを紡いでいきます。本当に美しい音楽が現出します。心の中に軌跡を残しながら、音楽が通り抜けていきます。
そして、間をあけずに、この即興曲を序奏のような形にして、シューベルトの最高傑作、ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D 960が始まります。まさに完璧なテクニック、完璧なアーティキュレーションの演奏です。が、しかし・・・美しい音楽は確かに聴こえてきますが、何故か、心に響いてきません。おかしいなと思っているうちに、意識から音楽が離れていきます。断片的に音楽が聴こえてきて、それは確かに素晴らしい演奏に思えますが、すーっと心を通り過ぎていくのみ。そのうちに長大な楽章が終わります。第2楽章はロマンに満ちた音楽が始まります。素晴らしい出だしです。しかし、これもすーっと心をすり抜けていきます。明らかにsaraiの集中力は前半で使い果たしたのかもしれません。
第3楽章は軽やかな音楽が展開されていき、短めに終わります。第4楽章はシューベルト的な世界からベートーヴェン的な世界に展開し、そして、素晴らしいコーダで高潮します。最後にようやくsaraiの集中力も戻り、感銘の残る演奏を味わうことができました。

河村尚子の描くシューベルトの世界。田部京子のシューベルト像とは別のところを志向していますが、完成度の高い演奏でした。いろいろなシューベルトの解釈があって、しかるべしでしょう。色んなことも書きましたが、大変、満足したリサイタルの一夜になりました。
今年はこれから、このシューベルトのピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D 960をアファナシエフ、ピリス、田部京子で聴く予定です。名人たちが色んなシューベルト像を聴かせてくれることでしょう。今日はその第1弾でした。


今日のプログラムは以下です。

 河村尚子 ピアノ・リサイタル シューベルト プロジェクト第2夜

  ピアノ:河村尚子

  フランツ・シューベルトの
   「楽興の時」より 第3番 ヘ短調 D 780/3 Op.94-3
   「3つの小品」より 第3番 ハ長調 D 946/3
   ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D 959

   《休憩》

   即興曲集より第3番 変ト長調 D 899/3 Op.90-3
   ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D 960

   《アンコール》
    シューベルト:楽興の時 Op.94 D780より第6番
    シューベルト:楽興の時 Op.94 D780より第2番


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の「楽興の時」の第3番は以下のCDを聴きました。

 田部京子 2002年10月6日~8日 笠懸野文化ホール セッション録音

文句なく、美しい演奏です。


2曲目の「3つの小品」は以下のCDを聴きました。

 田部京子 1993年10月20~22日 秋川キララ・ホール セッション録音

しみじみとした美しい演奏です。


3曲目のピアノ・ソナタ第20番は以下のCDを聴きました。

 田部京子 1997年10月7,9,10日 サラマンカ・ホール(岐阜) セッション録音

さすがの素晴らしい演奏です。


4曲目の即興曲第3番は以下のCDを聴きました。

 田部京子 1997年10月7,9,10日 サラマンカ・ホール(岐阜) セッション録音

何とも聴き惚れます。


5曲目のピアノ・ソナタ第21番は以下のCDを聴きました。

 田部京子 1993年10月20~22日 秋川キララ・ホール セッション録音

最高の素晴らしい演奏です。



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       河村尚子,  

尾瀬散策:テンマ沢湿原の水芭蕉の花は終わっていますが、色んな花が見られます。

2022年8月25日(木)@尾瀬/4回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、ヨセ沢を過ぎて、川上川沿いを歩き、やがて、テンマ沢です。テンマ沢湿原には花の終わった水芭蕉が群生しています。

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木道沿いに水芭蕉があります。咲いていれば綺麗だったでしょう。もっとも人も混雑していたでしょうが。

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このあたりはもう水芭蕉の名残りという感じですね。

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水芭蕉の群生地です。

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黄色い花が咲いています。マルバダケブキですね。

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水場にはまた、水芭蕉です。

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木道の足元に水芭蕉です。

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木道のすきまからは小さな可愛い花が顔を覗かせています。シロバナミゾソバでしょうか。

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この青い花はツリガネニンジンですね。

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こちらはヤマトリカブト。

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木道沿いに見えてきたのは、また、マルバダケブキです。

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マルバダケブキが群生しています。

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ツリガネニンジンに似た花があります。ソバナですね。岨菜(ソバナ)は山地のけわしい斜面にはえる菜という意味もあるそうです。

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テンマ沢湿原を過ぎて、木道を進むと、大きな岩が現れます。岩を避けるように木道は二股に分かれます。

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通り過ぎて、振り返ります。それにしても巨岩です。

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早くも色づいている葉っぱがあります。秋の気配ですね。

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また、マルバダケブキです。

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ソバナもまた、現れます。

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ここまで1時間くらい歩いてきました。平坦な道になり、花も多くて、気持ちのよい散策が続いています。山ノ鼻はもう少し歩かないと到着できませんね。



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尾瀬散策:川上川橋を過ぎて休息・・・歩荷さんに遭遇

2022年8月25日(木)@尾瀬/5回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、ヨセ沢を過ぎて、川上川沿いを歩き、そして、テンマ沢、テンマ沢湿原を過ぎます。山ノ鼻を目指して歩きます。
あたりはダケカンバの林が続きます。

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だんだん、天気が回復し、遂に青空も見えてきます。

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さあ、青空の下、元気を出して、山ノ鼻を目指しましょう。

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また、川上川沿いの道になります。

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木道の脇にはまた、お馴染みになったマルバダケブキです。そして、周りは美しいダケカンバの林です。

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これはシシウドかな。

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これはシラネセンキュウ。ヤマゼリにも似ています。木道の間から顔を覗かせています。

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ソバナも木道の間から顔を覗かせています。

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これはキオンかな。ハンゴンソウにも似ています。葉が裂けているかどうかで区別するそうです。よく見ると葉が裂けているので、どうやらハンゴンソウのようです。

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やがて、木道が川上川を渡ります。(山の)川上川橋です。

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また、ソバナが見えています。

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橋を渡ります。川上川には石が堆積していますね。水量はそう多くないようです。

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下流に向かっては清流が流れていきます。瀬音も心地よい響きを立てています。

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橋の袂にはソバナが可憐な花を咲かせています。

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川を渡ってすぐのところに休憩所があります。ここまで休まずに歩いてきたので、ちょっと休息しましょう。

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ここで休んでいると、とても大きな荷物を背負って、橋を渡ってくる人がいます。歩荷(ぼっか)の方ですね。

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彼はこちらにゆったりと進んできて、何と休憩所の傍らに腰を下ろします。慎重に背負子が床に安定するように座ります。すぐそばに興味深い歩荷の方がいるので、つい、声を掛けてみます。
背中に背負っている荷物は60キロほどだそうです。彼は謙遜して、まだ経験が浅いのでそんなに重い荷物は背負っていないと言いますが、60キロは十分に重いですね。尾瀬には多くの歩荷さんがいて、ベテランの強者は100キロ以上も背負うそうです。中には140キロも背負って、至仏山に登る人もいるとのこと。尾瀬ヶ原は車が絶対に入れないので、彼らが荷物を運搬することで山小屋の食料や飲料が賄われているようです。彼らの労苦を考えると、飲み物やごはんが少々高いのは当たり前に思えます。
やがて、歩荷の方は小休止を終えて、また、背負子を担いで、歩き去ります。歩き始めると、両手を体の前で組んで、独特の姿勢をとります。彼が体を痛めないことを祈ります。
フルシーズンで歩荷さんが活動しているのは尾瀬ヶ原だけだそうです。尾瀬ヶ原を歩けば、歩荷さんの姿を見ることができます。
そうこうするうちに我々も十分に休息を取ることができました。さあ、山ノ鼻に向けて出発しましょう。



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尾瀬散策:山ノ鼻に到着

2022年8月25日(木)@尾瀬/6回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、ヨセ沢、テンマ沢を過ぎ、(山の)川上川橋を渡ったところで休憩。そこで歩荷さんに遭遇しました。
休憩で元気を取り戻し、山ノ鼻に向けて出発します。ダケカンバの林の中の木道を進みます。

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気持ちのよい木道が続きます。

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あれっ、すぐに建物が見えてきます。まさか・・・

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やはり、これは山ノ鼻。休憩所からすぐのところです。ビジターセンターに到着。

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尾瀬ヶ原を訪れた人への情報が張り出してあります。

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このビジターセンターの横で先行して歩いていた仲間の夫婦とバッタリ。一緒にちょっと休んで、ソフトクリームをいただきます。

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一服して、いよいよ尾瀬ヶ原に入ります。仲間の夫婦はより元気なので、先に行ってもらいます。
ここまでは、木立の中、森の中の散策でした。木道を歩いては来ましたが、尾瀬って、こんなんだったっけという感じ。山ノ鼻のあたりは、尾瀬の一大拠点で、宿泊施設などがたくさん建っています。これは山小屋の至仏山荘。

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そんな山ノ鼻で、大勢の人が思い思いに休んでいます。おトイレもあります。協力金を箱に入れて、使わせてもらいます。山ノ鼻を少し眺めて周ります。
ここは色んなところへの分岐路になっていて、その案内板が立っています。

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こちらは尾瀬ヶ原の入口ですね。そちらへ向かう前にあたりを見て回ります。

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こちらの道は現在閉鎖中です。クマとの遭遇の危険があるからだそうです。おお、怖っ!

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こちらは至仏山の山麓に広がる植物研究見本園の入口です。

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入口に近づいてみましょう。しっかりと柵が閉まっています。

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見本園の湿原の植物をニホンジカから守るための植生保護柵です。

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柵を開けて、中に入ってみます。美しい湿原の中に2㎞に及ぶ木道が設置されています。

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かなり広いので、ちょっと歩いてくるわけにはいきません。ここから眺めるだけにします。至仏山は雲に隠れて見えません。

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さあ、見本園の外に出ましょう。

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外には見本園の地図があります。ぐるっと1周できるんですね。

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ここは至仏山の登山口でもあるようです。

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いよいよ尾瀬ヶ原に向かうことにしましょう。



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ルイージのR.シュトラウス NHK交響楽団@NHKホール 2022.9.17

NHKホールに足を運ぶのは、何と7年ぶりです。7年前は故ハイティンク指揮のロンドン響の素晴らしいブラームスでした。今回はファビオ・ルイージがNHK交響楽団の首席指揮者に就任するのを記念してのオール・R.シュトラウスのプログラムというので、これは聴き逃がせません。シュターツカペレ・ドレスデン時代の彼のR.シュトラウスは出色の出来でしたからね。

まず、交響詩「ドン・フアン」。冒頭、颯爽とした演奏で始まります。素晴らしいのですが、ちょっと意気込み過ぎでしょうか。ルイージの指揮というより、N響の演奏に違和感を感じます。一人目の女性との愛のパートで落ち着いた演奏になります。素晴らしかったのは第2の女性が登場し、その女性との愛の語らいにオーボエが登場するところ。まるで晩年のシュトラウスを思わせるような成熟した響きが心に沁みます。その後のホルンの雄大な演奏に続いて、愛のテーマや颯爽としたドン・ファンのテーマなどが交錯し、音楽の頂点を築きます。少々、大袈裟過ぎるように感じる部分もありましたが、なかなかの演奏でした。さすが、ルイージのR.シュトラウスです。

次は晩年の傑作、オーボエ協奏曲。デンマークの若手女性オーボエ奏者、エヴァ・スタイナーの素晴らしい演奏に尽きます。オーボエの響き自体はまだ磨き抜かれたという感じではありませんが、音楽表現が素晴らしいです。晩年のR.シュトラウスの人生を達観したような思いがすべて語り尽くされました。とりわけ、第2楽章のしみじみとした哀感には、ただただじっと聴き入るのみでした。久々に晩年のR.シュトラウスの作品を万全の演奏で聴き、とても幸福な気持ちになりました。無論、ルイージ指揮のN響のサポートも素晴らしかったです。

最後は歌劇「ばらの騎士」組曲。saraiが最も愛し、最も聴いたオペラ「ばらの騎士」からの組曲版です。それだけにほとんどのパートは詳細に頭に入っています。そして、ある意味、受容レベルが高くなっています。今日の演奏はちゃんとしたものではありましたが、生真面目過ぎる演奏に終始し、むせるような甘さや粋なウィーンという肝心な要素があまり感じられません。一つはN響がピットに入って、この「ばらの騎士」を演奏していないことが問題なのかもしれません。ウィーン・フィルやシュターツカペレ・ドレスデンなどのように日常的にこの「ばらの騎士」をピットで演奏しているところは自然に表現できるものが、いかにスペシャリストのルイージが振っても難しいのかもしれません。繰り返しますが、ちゃんとした演奏だったんです。ただ、この曲に関してはどうしてもsaraiの耳は厳しくなってしまいます。ほかの曲をプログラムしてくれればよかったのにね。メタモルフォーゼンとか・・・

ともあれ、ファビオ・ルイージとN響の時代が始まりました。R.シュトラウスの名曲もどんどん聴けることでしょう。期待しています。

なお、このNHKホールでのコンサートを聴いた後、サントリーホールに移動して、東響の定期演奏会を聴きましたが、その感想は別記事でアップします。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

 ファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念

  指揮:ファビオ・ルイージ
  オーボエ:エヴァ・スタイナー
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:郷古廉

  R. シュトラウス:交響詩「ドン・フアン」Op.20
  R. シュトラウス:オーボエ協奏曲 ニ長調
  R. シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR. シュトラウスの交響詩「ドン・フアン」を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1954年3月2日 ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

このドン・ファンが大変な名作であることをまざまざと実感させてくれる凄い演奏です。音質も素晴らしいです。


2曲目のR. シュトラウスのオーボエ協奏曲を予習したCDは以下です。
  
  マンフレート・クレメント、ルドルフ・ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1975年、ドレスデン、ルカ教会 セッション録音

悪くはないですが、ローター・コッホとカラヤンの演奏には及びませんね。


3曲目のR. シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲を予習したCDは以下です。
  
  クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 2000年10月 ウィーン ライヴ録音

さすがに素晴らしい演奏です。



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素晴らしいアンサンブルのプロコフィエフ アジス・ショハキモフ&東京交響楽団@サントリーホール 2022.9.17

この日、2回目のコンサート。NHKホールから、バスを乗り継いで、楽ちんでサントリーホールに移動しました。それにしてもNHKホールはアクセスが悪いですね。ホール前が工事中なので、タクシーも横づけできません。高齢者は困ります。

今日の東響の指揮者はウズベキスタン出身の新鋭指揮者のアジス・ショハキモフ。もちろん、初めて聴きます。

冒頭のドビュッシーの“イベリア”、いきなり、スペイン風のノリのよい曲を派手な踊りのような指揮でびっくりです。こういうダンスのような指揮は若くなければ、絶対に無理ですね。視覚的にも楽しめる指揮です。音楽はまるでドビュッシーらしくないスペイン風のもので退屈しません。カスタネットの響きが印象的。演奏はまあ、こんなものでしょう。多分、この曲は初めて聴きます。あまり、演奏機会は多くはなさそうです。

次はトマジのトランペット協奏曲。これも初めて聴く曲です。ノルウェー出身の若手女性トランペット奏者、ティーネ・ティング・ヘルセットの登場です。どんな服装で登場するのかと思っていたら、艶やかなドレス姿。トランペットとイメージが合いません。20世紀中盤の作品ですが、全然、現代音楽らしくなく、聴きやすい作品です。その曲をヘルセットのトランペットは美しい響きで演奏します。ソロのトランペットはほとんど聴いたことがないので、比較しては言えませんが、潤いのある美しい音色に思えます。その響きに聴き惚れているだけでこの曲は終了。アンコールはノルウェーのメランコリーの何とかという彼女の紹介で、演奏が始まります。ノルウェーの民謡のような郷愁を誘うメロディーのしみじみとした演奏を堪能しました。

休憩後、プロコフィエフの交響曲 第5番です。第1楽章はいつものごとく、終盤の強烈な爆音が響き渡りますが、それほどのうるささは感じません。東響のアンサンブルが揃っているんでしょう。さらに第2楽章に入ると、弦楽のアンサンブルの素晴らしさにぐっと惹き付けられます。対向配置で右側にいる第2ヴァイオリンの刻むリズムの美しさに息を呑む思いです。ヴィオラも美しく響きます。無論、第1ヴァイオリンは美しいこと、この上なく、弦楽群の展開するアンサンブルの妙にsaraiのそれまで、ぼーっとして聴いていた感覚が研ぎ澄まされていきます。この日、2回目のコンサートで少し疲れて、集中力不足でしたが、東響の素晴らしいアンサンブルを聴いて、テンションがぐっと上がり、集中力も復活します。第2楽章のスケルツォは極めて美しい演奏でした。第3楽章も東響のアンサンブルは見事な演奏を展開します。指揮のショハキモフも丁寧な棒で実に精細なアンサンブルを引き出しています。プロコフィエフ特有の抒情が満ちた音楽が素晴らしいアンサンブルで演奏される様は見事としか言いようがありません。引き続き、第4楽章も好調な演奏が続きます。木管も見事なソロを聴かせてくれます。クラリネットのヌヴーが一際冴えた演奏。オーボエの荒木奏美も素晴らしい。もちろん、主役は弦楽アンサンブル。すっかり魅了されます。これでこそ東響です。コーダで弦楽の首席だけの物凄い演奏になります。そうか、この曲は最後はこういう見せ場があったんですね。CDで聴いていても聴き逃がしていました。物凄い超絶技巧の4人の演奏、特にヴィオラが凄かったのですが、それに引き続き、トゥッティで圧倒的な高潮で音楽がしめくくられます。素晴らしい演奏でした。それを引き出した指揮も見事でした。ショハキモフ、やりますね。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:アジス・ショハキモフ
  トランペット:ティーネ・ティング・ヘルセット
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  ドビュッシー:「管弦楽のための映像」より“イベリア”
  トマジ:トランペット協奏曲
  《アンコール》オーレ・ブル:ラ・メランコリー

  《休憩》

  プロコフィエフ:交響曲 第5番 変ロ長調 Op.100


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のドビュッシーの「管弦楽のための映像」より“イベリア”を予習したCDは以下です。

  ベルナルド・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1977年12月 アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

意外にハイティンクのドビュッシーも見事な演奏です。コンセルトヘボウ管の響きも最高。


2曲目のトマジのトランペット協奏曲を予習したCDは以下です。

  ウーレ・エドヴァルド・アントンセン、ラン・シュイ指揮サンパウロ交響楽団 2010年2月 ブラジル、サラ・サンパウロ セッション録音
 
アントンセンというトランペット奏者が実に上手い演奏を聴かせてくれます。楽しめる演奏の見本のようなものです。


3曲目のプロコフィエフの交響曲 第5番を予習したCDは以下です。

  レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック 1966年2月7日、ニューヨーク、フィルハーモニック・ホール セッション録音

子供の頃、初めて、この曲を聴いた思い出のレコードでした。今、聴き直してみると、思い切りのよい演奏ですが、アンサンブルが粗いですね(録音が悪いのかも)。でも、懐かしい演奏は覚えていました。懐かしい思い出に浸って聴きました。なお、バーンスタインは後にイスラエル・フィルと1979年に再録音しています。そのうち、これも聴いてみましょう。



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深い抒情に満ちた圧巻のシェーンベルク、浄められた夜 ハンブルク・トリオ@上大岡 ひまわりの郷 2022.9.18

ハンブルク・トリオという名前から分かるようにドイツの団体ですが、ヴァイオリンが日本人女性というのが、昨今の日本人演奏家、とりわけ、ピアノとヴァイオリンの奏者の世界的な活躍からうなづけます。
そして、その実力は本物でした。

最初の曲目からして、シューベルトの晩年の大作、ピアノ三重奏曲 第2番です。3人の奏者はそれぞれ素晴らしい響きで演奏し、シューベルトの名作を堪能させてくれました。この長大な作品を緊張感を切らすことなく、見事に演奏。贅沢を言えば、シューベルトの深い精神性をもっと表現してもらいたいところでしたが、演奏自体は完璧なレベル。

長大な曲の後は休憩。
その後、ツェムリンスキーの飛びっきり、美しいピアノ三重奏曲です。これまた、見事な演奏で、後期ロマン派の満ち足りた世界を堪能します。
そして、最後はシェーンベルクの浄められた夜。本来は弦楽六重奏で演奏されますが、今日は珍しいピアノ三重奏の編曲版です。爛熟した後期ロマン派の大曲です。原曲に負けないような素晴らしい演奏です。ピアノが音楽を支え、その上でヴァイオリンとチェロが深い抒情を味わわせてくれます。男と女のぎりぎりの精神ドラマを3人の奏者が紡ぎあげていきます。息もできないような圧巻の演奏です。今日、最高の演奏でした。

アンコールはなし。大曲を3曲聴いて、こちらも疲れました。アンコールは不要です。期待を上回る演奏でした。


今日のプログラムは以下です。

  ハンブルク・トリオ
   塩貝みつる vn  アンドレアス・グリュンコルン vc エバーハルト・ハーゼンフラッツ pf

  シューベルト:ピアノ三重奏曲 第2番変ホ長調 D.929

   《休憩》

  ツェムリンスキー:ピアノ三重奏曲 Op.3
  シェーンベルク:浄められた夜(シュトイアーマン編のピアノ三重奏曲版)
 
   《アンコール》
     なし

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューベルトのピアノ三重奏曲 第2番は以下のCDを聴きました。

 アンドラーシュ・シフ(ピアノ)、塩川悠子(ヴァイオリン)、ミクローシュ・ペレーニ(チェロ) 1995年9月 モントゼー セッション録音
 
素晴らしい演奏ですが、シフならば、もっと弾けたのではとも思います。


2曲目のツェムリンスキーのピアノ三重奏曲は以下のCDを聴きました。

 ボザール・トリオ 1992年6月 スイス、ラ・ショー・ド・フォン(ヌーシャテル州) セッション録音
 
これは文句なしに素晴らしい演奏。ツェムリンスキーの室内楽の美しさを余すところなく表現しています。


3曲目のシェーンベルクの浄められた夜は以下のCDを聴きました。

 アルテンベルク・トリオ・ウィーン 2002年 セッション録音

エドゥアルト・シュトイアーマンEduard Steuermann編曲のピアノ三重奏曲版の演奏です。原曲を上回るような素晴らしい演奏です。



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言葉に尽くせぬ感動のドイツ・レクイエム セバスティアン・ヴァイグレ&読売日本交響楽団@サントリーホール 2022.9.20

ヴァイグレの振る読響はいつも最高のパフォーマンスで音楽を聴かせてくれます。久しぶりのヴァイグレ、期待できそうです。

前半のダニエル・シュニーダーの聖ヨハネの黙示録は日本初演。大変な迫力の音楽です。新国合唱団の圧倒的な合唱、読響の素晴らしいオーケストラの響き、大西宇宙の考え抜かれたバリトンの歌唱で初聴きとは思えないほど、音楽を楽しめました。なかなか素晴らしい作品です。第3部のルンバ調のリズムに乗った楽天的なパートだけはいただけませんね。そこを書き直せば、素晴らしい作品になりそうです。

休憩後、いよいよ、今日のメイン、ブラームスの畢生の大作、ドイツ・レクイエムです。うーん、これはヴァイグレの素晴らしい指揮と新国合唱団の最高の歌唱、それにソプラノのファン・スミの潤いのある美声のうっとりするような歌唱、バリトンの大西宇宙のよく響く迫力ある歌唱、読響の精細なアンサンブルで、凄い演奏になりました。第7曲「主にあって死ぬ人は幸いである」のすべてを洗い流すような清らかな合唱に静かな感動を覚えつつ、ブラームスがこの曲で表現したかったのは何かが初めて分かりました。プロテスタントの人生の在り方、人生の終え方なんですね。saraiはキリスト教徒ではありませんが、死するときにこの曲を聴いても恥じない生き方をこれからでも実践したいものです。字幕付きで演奏してくれたのはこの曲の本質を知るのにとてもよいことでした。細部の演奏には触れませんが、第1曲の素晴らしい合唱に始まり、最後の第7曲の素晴らしい合唱に終わるという言葉で語り尽くすことのできない究極の演奏でした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
  ソプラノ:ファン・スミ
  バリトン:大西宇宙
  合唱:新国立劇場合唱団
  合唱指揮:冨平恭平
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:林悠介

  ダニエル・シュニーダー:聖ヨハネの黙示録(日本初演)

   《休憩》

  ブラームス:ドイツ・レクイエム Op.45
   第1曲「悲しむ人々は、幸いである」
   第2曲「人はみな、草のようで」
   第3曲「主よ、知らせてください」
   第4曲「万軍の主よ、あなたの住まいは」
   第5曲「あなたがたにも、今は苦しみが」
   第6曲「地上に永続する都は」
   第7曲「主にあって死ぬ人は幸いである」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のダニエル・シュニーダーの聖ヨハネの黙示録はCD等のコンテンツを見つけられず、予習できませんでした。。


2曲目のブラームスのドイツ・レクイエムは以下のCDを聴きました。

 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団・合唱団
   エリーザベト・シュヴァルツコップ(s)、
   ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ(br) 
   1961年1月2日、3月21,23,25日、4月26日、キングズウェイ・ホール セッション録音
 
クレンペラーは重厚というよりも滋味に満ちた演奏を志向しています。歌手2人は絶品。



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ルイージのブラームス2番を聴いて・・・ルイージの目指す道は NHK交響楽団@サントリーホール 2022.9.21

土曜日のNHKホールでのR.シュトラウス尽くしに続いて、今日も首席指揮者就任記念のコンサートを聴きます。メインはブラームスの交響曲第2番。お得意のR.シュトラウスよりも今日のブラームスの方がルイージが目指す道が見えてきたように思えました。演奏の完成度以上にルイージの今が聴けたような気がします。

ルイージはインタビューでも話していますが、後期ロマン派の音楽に軸足があります。とりわけ、R.シュトラウスの音楽にはずっと思い入れがありました。では、そのR.シュトラウスにつながるロマン派のブラームスはどうなのでしょう。今日演奏したのは交響曲第2番。saraiの邪推では、あえて、交響曲第1番ではなく、第2番を記念すべきコンサートの曲に選んだと思います。ブラームスの交響曲を考えるとき、よく語られるのはベートーヴェンが完成した交響曲という形式に対してのブラームスの強いこだわり。第1番の完成までに長い年月を要しました。で、よく、その第1番のことをベートーヴェンの交響曲第10番と揶揄されるほど、ベートーヴェン、それも第9番を意識した作品になりました。ここでよく考えるべきはブラームスの恩人であるロベルト・シューマンの交響曲のことです。シューマンも歌曲やピアノ独奏曲の作曲から出発して、交響曲の作曲には苦労しました。シューマンは彼がウィーンで発見したシューベルトの交響曲第8番(第9番)《ザ・グレート》にインスピレーションを得て、交響曲を作り上げました。シューベルトなしにシューマンの交響曲はなかったと言っても言い過ぎではないでしょう。その事実をブラームスは当然、意識していた筈です。今日演奏されたブラームスの交響曲第2番は第1番と違って、すんなりとヴェルター湖のほとりのペルチャッハの自然の中で生まれました。もちろん、ベートーヴェンの影はあるにしても、ロマン派の色彩が強い作品で、シューベルト⇒シューマンの系統にあるものだと思っています。そういうロマン派の歴史を譜面から読み取りながら、今日のルイージの演奏はイメージしていったもののような気がします。すなわち、N響の首席指揮者として、この作品を基点にして、ロマン派の作品を彼なりに再構成していく道を辿り始めたのではないかということです。だから、ベートーヴェンの色濃い第1番ではなく、第2番を足がかりにして、ブラームス、そして、シューマン、メンデルスゾーン。さらにはシューベルトと遡る道を模索していくのではないかということです。今日の演奏はある意味、ルイージの新鮮な探求の跡が感じられる演奏でした。第1楽章ではそれほど感じませんでしたが、第2楽章以降はいかにも新たな譜面読みによる実に丁寧な音楽作りが感じられました。ある意味、手探り状態で音楽を探求している気配が漂いました。そういう意味でロマンの感じられる第2楽章が一番、聴きものでした。ちょっとしたフレーズの微妙なニュアンスが新鮮でした。そして、その集大成として、第4楽章の壮大とも思えるコーダは圧巻でした。
N響とも確かなコンタクトが生まれつつあるようです。今後に期待したいものです。saraiの思いとしては、ブラームスの第4番を経て、シューマンの第1番・第4番、そして、メンデルスゾーン。最後はシューベルトのザ・グレートへ至る道を見守りたいと思います。

前半のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾いたジェームズ・エーネスはこれまで、CDで聴いただけのヴァイオリニスト。初めて、顔も拝見しました。実にオーソドックスな演奏を聴かせてもらいました。美しい響き、素晴らしいテクニック。かつてのシェリングの再来のようです。と思っていたら、アンコールはシェリングも得意にしていたバッハの無伴奏ソナタ。もっと音楽表現が厳しくなっていけば、まさにシェリングです。ルイージ&N響との共演で端正なベートーヴェンを聴かせてもらいました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

 ファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念

  指揮:ファビオ・ルイージ
  ヴァイオリン:ジェームズ・エーネス
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:篠崎史紀

  ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61
   《アンコール》J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005より第3楽章

   《休憩》

  ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 Op.73


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を予習したCDは以下です。

  ヘンリク・シェリング、ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1973年4月 アムステルダム、コンセルトヘボウ セッション録音

とても真摯な演奏です。小手先の業は不要です。


2曲目のブラームスの交響曲 第2番を予習したCDは以下です。

  ベルナルト・ハイティンク指揮ボストン交響楽団 1990年3-4月 ボストン セッション録音

ハイティンクは3回のブラームス全集があります。今回聴いたボストン響よりもロンドン響のほうがいいですね。最初のコンセルトヘボウはまだ、ちゃんと聴いていません。



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尾瀬散策:尾瀬ヶ原の美に早くも魅了

2022年8月25日(木)@尾瀬/7回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、一般的な所要時間の1時間を30分も超過して、山ノ鼻に到着。しばらく、山ノ鼻をぶらぶらした後、いよいよ、尾瀬ヶ原に向かうことにします。
至仏山荘の前を過ぎます。

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尾瀬ヶ原の入口の前に出ます。

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牛首、竜宮方面という看板があります。牛首、竜宮というのは尾瀬ヶ原の中にあるポイントです。

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尾瀬ヶ原へ向かう木道に足を踏み入れます。

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尾瀬国立公園の案内板があります。尾瀬に入る心構えが書かれています。心して歩きましょう。

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ここにも可愛い花があります。シロバナミゾソバでしょうか。

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このあたりには山小屋が立ち並んでいます。これは尾瀬 山の鼻小屋です。

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そのお隣には、国民宿舎 尾瀬ロッジがあります。

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この尾瀬ロッジの先を抜けて、木道を進んでいきます。周りはダケカンバの林です。

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すぐにパ~ンと視界が開け、広大な原っぱが現れます。そうそう、これです。尾瀬と聞いて、頭に浮かぶ風景です。

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その草原の中を木道が続いています。木道の周りに一面にアブラガヤが繁っています。花穂が油色しています。

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まっすぐ伸びた木道の上を、いろんな人がのんびりと歩いています。人は多からず、少なからずといった風情です。

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後ろを振り返っても草原と木道だけです。本来は至仏山が見える筈ですが、霧に包まれています。

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前方にも雲がかかった山が見えます。燧ケ岳(ひうちがたけ)のようです。

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木道の周り一面は穂先に白い花をつけたミカヅキグサで覆われています。

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尾瀬ヶ原の散策はまだ始まったばかりですが、その美しさに心が洗われる思いです。



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尾瀬散策:尾瀬ヶ原の美しい草原

2022年8月25日(木)@尾瀬/8回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、1時間30分で山ノ鼻に到着。そこから、今は尾瀬ヶ原を歩いているところです。
木道で子供たちが立ち止まって、木道の上を覗き込んでいます。何でしょう。

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キベリタテハが羽を休めています。じっとしているところをみると、樹液でも吸っているのかな。ベルベットのように艶やかな羽が綺麗ですね。

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やがて、尾瀬ヶ原を流れるせせらぎを渡ります。山ノ鼻に着く直前に渡った川上川をここで再び渡ります。

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ヨッピ川とも言うようです。この橋は(原の)川上川橋。先ほど渡ったのは(山の)川上川橋。同名の橋ですが、括弧付で区別しています。

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橋の上で後ろを振り返ります。ぽつぽつと後続の人たちが木道を歩いてきます。

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木道の間から顔を覗かせている黄色い花はキンミズヒキでしょうか。

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せせらぎの水場にはミズバショウの群生があります。花はとっくに終わっています。

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やがて、視界が広がり、草原の風景に変わります。

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この草原の中で後ろを振り返ると、まだ、あるべき至仏山は山裾から上はすっぽり雲に包まれています。

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前方には草原の中を木道が続き、その先には燧ケ岳(ひうちがたけ)が見えていますが、山頂は雲の中です。

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木道の右手には広大な草原が広がっています。

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さあ、この美しい草原の中の木道をゆっくりと味わいながら歩いていきましょう。

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このあたりは上田代と呼ばれています。いかにも尾瀬ヶ原らしい風景の中に入ってきました。

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一応、目標地点は牛首分岐ですが、既に尾瀬ヶ原を歩くという目的は達した思いです。この後は帰りの体力も考えて、無理のない範囲で散策を楽しみましょう。



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尾瀬散策:尾瀬ヶ原の草花、そして、池塘

2022年8月25日(木)@尾瀬/9回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、1時間30分で山ノ鼻に到着。そこから、今は尾瀬ヶ原の美しい自然を楽しみながら散策しているところです。
尾瀬ヶ原の上田代を歩いています。草原の中に木道が続き、その先には燧ケ岳(ひうちがたけ)が見えています。

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草原の中に黄色い花が咲いています。キンコウカです。

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木道の前を歩く人の姿は見えなくなりました。

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木道の間から顔を出しているのは、ワレモコウです。

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草原の中にもワレモコウの姿がいくつも見られます。

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草原には色んな花が咲いています。

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湿原の中に池塘が現れます。池溏(ちとう)は、湿原の泥炭層にできる小湖沼です。

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池塘にはヒツジグサがたくさんありますが、まだ、花が咲いていませんね。

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尾瀬には、こうした池塘が約1800もあるそうです。特にこの上田代のあたりに多いようです。

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なお、『池塘』の命名者は植物学者・登山家の武田久吉博士。武田博士は大正〜昭和期の尾瀬ダム化計画には環境保全の観点から反対を表明し、「尾瀬の父」と呼ばれる人物です。

また、木道には行く手を遮るようにワレモコウ。

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草原の中に池塘。周りの山は霧で霞んでいます。何とも幻想的です。

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いかにも尾瀬ヶ原らしい風景の中を歩きます。



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素晴らしいカンタータ、ただ、聴き惚れるだけ:鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2022.9.25

今日もバッハ・コレギウム・ジャパンは見事なバッハを堪能させてくれました。カンタータ全集の録音という金字塔を打ち立てた彼らのカンタータ演奏の一端を味わわせてもらいました。さすがのレベルの高さ。カンタータは初心者のsaraiですが、その演奏の素晴らしさは唖然とするばかりです。冒頭の鈴木雅明氏の解説でカンタータははまったら抜けられないという言葉の重みがずっしりと心に刻まれます。

カンタータに先だって、鈴木優人のオルガン独奏。これが素晴らしい。旋律線がきっちり浮き上がって、実に明確な音楽を形成しています。コラールの静謐さもフーガのゆったりした動きも見事な演奏でした。

前半は比較的短い第47番《誰であれ高ぶるものは低くせられ》。冒頭合唱では、まず、弦楽、オーボエ、通奏低音の器楽演奏がきっちりとはまり、素晴らしい響きを奏でます。そして、BCJの合唱の素晴らしいこと、この上なし。続く第2曲は若松夏美の安定したヴァイオリンソロの響きに魅了され、ソプラノの松井亜希が驚くほど闊達な歌唱を聴かせてくれます。松井亜希のこのところ、絶好調とも言っていい歌唱が続いています。第3曲のバスのレシタティーボに続き、第4曲は若松夏美のヴァイオリン、三宮正満のオーボエ、そして、通奏低音が見事に合奏し、バスがアリアを歌います。最後はコラールできっちりとしめます。やはり、BCJのコラールは最高に美しい! カンタータを聴く喜びはこの最後のコラールを聴くことに尽きます。胸にほのぼのとした慰めを感じます。

後半は2曲のカンタータ。まず、カンタータ第8番《愛する御神よ、いつ我は死なん》です。若松夏美と高田あずみのヴァイオリン・コンチェルタート、鶴田洋子のフラウト・トラヴェルソ、それに2本のオーボエ・ダモーレがピツィカートを奏でる弦楽、チェロと素晴らしい合奏を聴かせてくれる中、冒頭のコラール合唱が響きわたります。何とも妙なる響きです。第2曲は若松夏美のヴァイオリン・コンチェルタートの素晴らしい響きに乗って、テノールの吉田志門が哀調のあるアリアを歌います。第3曲のアルトのレシタティーボに続き、第4曲は鶴田洋子のフラウト・トラヴェルソの素晴らしい響きに乗って、バスのアリア。今日の鶴田洋子のフラウト・トラヴェルソは見事です。どうして、菅きよみが吹かないのかと実は危惧していましたが、優るとも劣らずという演奏に満足しました。第4曲は再び、ソプラノの松井亜希の見事な歌唱によるレシタティーボ。最後は壮麗なコラール合唱でしめ。

次はカンタータ第130番《主なる神よ、我ら皆あなたを讃えます》です。大天使ミカエルの祝日(9月29日)のためのカンタータです。そのため、トランペット3本、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ3本を含む華やかな楽器編成です。今日のメインにふさわしいですね。冒頭合唱はトランペットが活躍し、華やかに始まります。第2曲のアルトのレシタティーボに続き、第3曲はトランペット3本とティンパニを伴って、バスがアリアを歌い、大天使ミカエルが戦う様を軍楽的に奏でます。第4曲のテノールとソプラノのレシタティーボに続き、第5曲は絶好調の鶴田洋子のフラウト・トラヴェルソとテノールの吉田志門のアリア。とても素晴らしいです。最後は素晴らしいコラール合唱で〆。トランペットやティンパニも加わり、華やかさもありました。

今日は地味なカンタータ尽くしと思っていたら、BCJのさすがの実力で素晴らしいコンサートになりました。鈴木ファミリー(鈴木父子とそれぞれの嫁)がその中核であったことは間違いありません。


今日のプログラムは以下です。

  秋のカンタータ〜大天使ミカエルの祝日〜

  指揮:鈴木雅明
  ソプラノ:松井亜希
  アルト:青木洋也
  テノール:吉田志門
  バス:ドミニク・ヴェルナー
  オルガン独奏:鈴木優人
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


  J. S. バッハ:
  おお主なる神よ、汝の神なる御言葉 BWV 757
  プレリュードとフーガ ハ長調 BWV 545
  カンタータ第47番《誰であれ高ぶるものは低くせられ》BWV 47

 《休憩》

  カンタータ第8番《愛する御神よ、いつ我は死なん》 BWV 8
  カンタータ第130番《主なる神よ、我ら皆あなたを讃えます》BWV 130


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目の《おお主なる神よ、汝の神なる御言葉》 BWV 757は以下のCDを聴きました。

 クリストファー・ヘリック 1999年4月13日-14日、聖ミカエル教区教会、 カイステン、アールガウ州, スイス セッション録音

クリストファー・ヘリックによるバッハのオルガン全集からの演奏を聴きました。よい演奏です。


2曲目のプレリュードとフーガ ハ長調 BWV 545は以下のCDを聴きました。

 ヘルムート・ヴァルヒャ 1969年9月、ストラスブール、フランス セッション録音

バッハのオルガン曲と言えば、やはり、ヴァルヒャ。文句ない演奏です。これもオルガン全集からの演奏です。


3曲目のカンタータ第47番は以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2010年6月、神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
  ハナ・ブラシコヴァ(S) ロビン・ブレイズ(C-T) 水越啓(T) ペーター・コーイ(Bs)

我が国の団体による貴重なカンタータ全集からの一枚です。演奏も最高水準です。


4曲目のカンタータ第8番は以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2005年4月、神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
  野々下由香里(S) ロビン・ブレイズ(C-T) ゲルト・テュルク(T) ペーター・コーイ(Bs)

我が国の団体による貴重なカンタータ全集からの一枚です。演奏も最高水準です。


5曲目のカンタータ第130番は以下のCDを聴きました。

 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン 2004年5月、神戸松蔭女子学院大学チャペル セッション録音
  野々下由香里(S) ロビン・ブレイズ(C-T) ヤン・コボウ(T) ドミニク・ヴェルナー(Bs)

我が国の団体による貴重なカンタータ全集からの一枚です。演奏も最高水準です。



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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

尾瀬散策:池塘に咲く可憐なヒツジグサ

2022年8月25日(木)@尾瀬/10回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、1時間30分で山ノ鼻に到着。そこから、今は尾瀬ヶ原の美しい自然を楽しみながら散策しているところです。
尾瀬ヶ原の上田代を歩いていくと、尾瀬名物の池塘が現れます。
草原に咲く白い花はイワショウブでしょうか。

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後ろを振り返ると、湿原には池塘が点在し、木道の先の山は霧に煙っています。素晴らしい風景です。

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次々と池塘が現れます。池塘の水面には近くの山影も映り込んでいます。

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湿原に点在する池塘の風景はとても美しいですね。

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燧ケ岳(ひうちがたけ)のほうに向かって、草原の中の木道を進んでいきます。

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草原にはイワショウブなどの花が見られます。

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草原には黄色い花もぽつぽつ咲いています。キンコウカのようですね。

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池塘にはハスに似た花が見えています。

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小さな白い花を見付けます。ヒツジグサです。

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ヒツジグサが少しずつ咲いてきたようです。ヒツジグサの名前の由来は未の刻、今の午後2時頃に花が開くからだそうです。そろそろ、花が開く時刻になってきました。

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まだ開いていない花のほうが多いですね。もう少しでどんどん開くかもしれません。

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これは開きたてのヒツジグサです。

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池塘の中で咲くヒツジグサを探して、道草を食っています(笑い)。

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ほら、この木道の間の隙間に花が開いたヒツジグサを発見。

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ヒツジグサだけではないとばかりに青い花が咲いています。サワギキョウです。

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高地の湿地に咲くサワギキョウが存在感を示しています。

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池塘の中の楽しい散策が続きます。



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尾瀬散策:池塘に映り込む逆さ燧

2022年8月25日(木)@尾瀬/11回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、1時間30分で山ノ鼻に到着。そこから、今は尾瀬ヶ原の美しい自然を楽しみながら散策しているところです。
尾瀬ヶ原の上田代付近の池塘の風景を楽しんでいます。
やがて、池塘の水面に正面の燧ケ岳(ひうちがたけ)の姿が映り込んでいる素晴らしい風景に出会います。

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逆さ燧(さかさひうち)というのだそうです。

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残念ながら、燧ケ岳の上部は雲に隠れているため、不完全ではありますが、それでも見事な風景です。少しでも水面に波が立つと風景が映り込まないのだそうです。

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横手の山影はしっかり映り込んでいます。

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至る所に逆さ燧の表示がありますね。

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ここから、当初の目的地の牛首分岐までは0.8kmです。

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見る角度によっては逆さ燧はぼけてしまいます。なかなか条件が揃わないと逆さ燧を見るのは難しいんですね。

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山影はこんなに綺麗に見れるのにね。

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さて、逆さ燧を後にして、木道を進みます。すぐに橋が見えてきます。

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木道を右に折れると、まっすぐに木道が橋に向かっていきます。

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木道の周りは低い灌木がびっしりと生い茂り、その先はダケカンバの林になっています。

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その中にアジサイのような花が見えます。ノリウツギです。幹の内皮で製紙用ののりを作ることから、この名が付けられたそうです。

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上ノ大堀川に架かる小さな橋の上に立ちます。

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上ノ大堀川の水面にはびっしりとスギナモという水草が生い茂っています。いつもはイワナの泳ぐ姿が見られるそうですが、このスギナモが繁殖するとその姿を隠してしまうそうです。

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橋の反対側を眺めると、そこもスギナモがびっしりと生い茂っています。

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この上ノ大堀川までが上田代。この先は中田代に入ります。天気は上々ですが、そろそろ、足の状態を考えると限界に近づいています。



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シューベルトのピアノ三重奏曲、飛びっきり素晴らしい第2番に感動! 郷古廉×横坂源×北村朋幹@浜離宮朝日ホール 2022.9.28

日本人の若手の男性音楽家の中でも注目される人材(郷古廉×横坂源×北村朋幹)による室内楽ということ、そして、シューベルトの晩年のピアノ三重奏曲の傑作を網羅した意欲的なプログラムなので、これは聴かないわけにはいきませんね。saraiは日本人のピアニストやヴァイオリニストは女性だけに注目しているわけではありません。特に今日のピアノの北村朋幹の個性的で情感に満ちた演奏には注目しています。

今日の演奏ですが、前半の「ノットゥルノ」の抒情的な美しさ、ピアノ三重奏曲第1番の第2楽章の見事な演奏に魅了されました。とりわけ、ここぞというときのチェロの横坂源のメロディーを歌うような演奏は光ります。ピアノの北村朋幹もよいのですが、ちょっと引っ込んでいる感じです。もっと前面に出て、引っ張るような演奏が望ましいところです。もっとも、アンサンブルという点では3人のバランスがよかったことも事実です。saraiとしてはもっと個々の主張があったほうがよかったという贅沢な注文です。

圧巻だったのは後半のピアノ三重奏曲第2番です。第1楽章から明快な演奏で引き込まれます。そして、第2楽章の魅惑的なこと。冒頭のピアノに誘われるようにチェロが素晴らしいメロディーを奏でます。この主題の原型はスウェーデンの民謡「Se solen sjunker(太陽は沈み)」ですが、シューベルトはそれを最高に素晴らしい抒情的な旋律に仕立て上げています。歌謡調の素晴らしさではシューベルトの右に出る人はいませんね。この旋律を中核に様々な展開でうっとりするような演奏が続きます。まさに天国的な世界です。長大な楽章も聴き惚れているうちにいつの間にか終わります。カノンの手法を使ったスケルツォの第3楽章がさらっと終わり、さっと第4楽章に入ります。この楽章はもともと長いのですが、今日はノーカットですべての繰り返しを入れた原典版のベーレンライター版の楽譜で演奏されます。最初の出版時にカットされた展開部の98小節を含め、846小節にも及ぶ実に長大なものですが、その長大さが素晴らしかったんです。3人の気合いの入り方が尋常ではありません。美しいロンド主題をもとにこれぞシューベルトという演奏に聴くほうもぐいぐい引き込まれます。そして、後半に入ると、それまでの楽章も回想されます。中でも第2楽章の主題がチェロで美しく歌い上げられて、音楽的な頂点に至ります。何度も繰り返されて、まさに天国に昇り詰めるような心地になります。そして、圧倒的なフィナーレ。多分、50分を超えるような演奏だったでしょうが、一瞬たりとも緊張感を損なうことはありませんでした。現代の聴衆はこういう長大なシューベルトを聴くことができて幸せです。それにしても郷古廉×横坂源×北村朋幹の3人は何とも素晴らしい演奏を聴かせてくれました。最高のシューベルトでした。

ところで今日のコンサートはsaraiの今年聴いたコンサートのちょうど100回目。節目にふさわしい素晴らしいコンサートでした。


今日のプログラムは以下です。

  【浜離宮朝日ホール開館30周年記念】
   郷古廉×横坂源×北村朋幹
    シューベルトのピアノ三重奏曲

  郷古廉(ヴァイオリン)、横坂源(チェロ)、北村朋幹(ピアノ)
 
  シューベルト:
   ピアノ三重奏曲 変ホ長調「ノットゥルノ」 D897 Op.148
   ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D898 Op.99

  《休憩》

   ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 D929 Op.100


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、予習したのはボザール・トリオの演奏です。CDは以下です。

 ボザール・トリオ/シューベルト:ピアノ三重奏曲全集 1984年 セッション録音
  メナヘム・プレスラー、イシドア・コーエン、バーナード・グリーンハウス

「ノットゥルノ」と第1番は最高に素晴らしいです。特にメナヘム・プレスラーのピアノは素晴らしい演奏です。第2番の演奏も見事ですが、ほかのグループの演奏も聴きたいところではあります。



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       北村朋幹,  

尾瀬散策:中田代の草原の中でいただく美味しいお弁当

2022年8月25日(木)@尾瀬/12回目

尾瀬、2日目です。
朝8時頃に鳩待峠を出発し、1時間30分で山ノ鼻に到着。そこから、今は尾瀬ヶ原の美しい自然を楽しみながら散策しているところです。
尾瀬ヶ原の上田代付近の池塘の風景を楽しんでいるうちに上ノ大堀川を渡って、ここからは中田代です。
中田代の草原の中に続く木道の先に燧ケ岳(ひうちがたけ)の姿が見えています。

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燧ケ岳の山頂はまだ雲に隠れていますが、その上には青空が見えてきました。

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振り返ると、上ノ大堀川に架かる橋が見えています。

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次第に晴れてきた空を見上げます。昨夜の土砂降りを考えると、奇跡のような天候回復です。

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牛首分かれ道を目指して歩きますが、なかなか遠く、木道は延々と続きます。中田代の草原を10分ほど歩くと、休憩用のベンチとテーブルがあり、だあれも座っていません。ここらでちょっと休憩して、宿が用意してくれたお弁当を食べましょう。燧ケ岳におにぎりでカンパーイ!

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お弁当は梅干しと塩昆布のおにぎり、ウィンナと卵焼きと唐揚げ(タルタルソース付き)です。美味しい!

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お弁当を食べて、しばらく休みます。さて、どうしようかなと考えていると、先ほど私たちを追い越していった子供たちの一団が戻ってきます。牛首まで行ってきたそうです。まだまだ遠い?と訊くとそれなりにまだまだ距離はあるよとのこと。帰りの最後の鳩待峠へのきつい登りを考えると、無理をせずにここら辺りで引き返した方がよいでしょう。ま、どこまで行っても、この景色は大きくは変わらないよと負け惜しみを言って、戻ることにします。いわゆる、名誉ある撤退ですね。子供たちが木道の先を歩いています。

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元来た同じ景色の中を歩いていきますが、小さな水仙が開いています。行くときは閉じていたのに・・・。水仙は早朝に咲くものなのにと思いながら、可憐な花をパチパチ撮ります。実はこれはサワギキョウでした。

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振り返ると、先ほど休憩して、お弁当を食べたベンチとテーブルが見え、その向こうには、燧ケ岳が見えています。山頂が見えそうで見えない燧ケ岳です。

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一方、戻っていくほうは厚い雲に覆われています。天気が崩れないといいのですが・・・。

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一路、山ノ鼻のビジターセンターに向かって歩いていきます。



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シューベルトの魂の叫びを具現化するタカーチ・クァルテットの圧巻の「死と乙女」@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.9.30

このところ、続々と海外のトップに立つ弦楽四重奏団が来日しますが、今日のタカーチ・クァルテットもそのひとつ。さすがの実力を発揮したコンサートでした。
タカーチ・クァルテットは緊密なアンサンブルで演奏してくれましたが、特に印象的だったのは4人の弦の響きの均一なことです。もし、演奏を見ていないと、どの楽器が演奏しているのか、区別がつかないほどです。音程が似通ったパートは特に聴き分けが難しいほどです。それに思い切った切れ込みのダイナミックな演奏の凄いこと!

前半のハイドンの弦楽四重奏曲 第82番(第67番)「雲がゆくまで待とう」は特に第1楽章がハイドンにしては異例の力強い演奏で素晴らしい演奏。第2楽章以降もそのままのダイナミックな演奏が続きました。saraiとしてはやはり、ハイドンはウィーン風の優雅な演奏が好みですが、このタカーチ・クァルテットの演奏も一種のカルチャーショックのように感心して聴いていたことも事実です。違和感はあるものの聴き応えのある演奏でした。
次のコールリッジ=テイラーは一体どう聴けばよいのか、正直、分かりませんでした。整った作品で演奏も見事ではありましたが、だから、どうなのって感じで聴いていました。

結局、前半を聴き終わったところで、タカーチ・クァルテットの特にテクニカルな実力だけが耳に残り、音楽的な内容はさほど感じられなかったという先行きが見えない感じでした。
ところが後半のシューベルトの弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」の演奏が始まると、がらっと印象が変わります。シューベルトにしては力強いダイナミックな演奏というのは前半から引き続きの雰囲気ではありますが、音楽的なレベルがぐっと高まります。表現が難しいのですが、タカーチ・クァルテットのスタイルの演奏がシューベルトの新たな面に光を当てて、ある意味、その真髄に迫る勢いです。シューベルトというと、歌謡性とかロマンチックな抒情だけが本質のように演奏されることが多いわけですが、実は苦悩や情熱というベートーヴェンを引き継ぐような要素が大いにあるということを感じさせてくれるような演奏です。別にベートーヴェン的と感じたわけではなく、誤解を承知で言えば、バルトークに近い負のエネルギーを感じるような演奏に聴こえました。シューベルトのこの曲に今まで期待していた抒情的な面よりも暗いエネルギーに満ちた情感に深く感動しました。もちろん、有名な第2楽章の「死と乙女」の旋律(伴奏旋律)に基づく変奏は深く抒情に満ちていましたが、それでも深いところでは暗いエネルギーが渦巻いていました。シューベルトの真髄の一部を理解させてくれるような大変な熱演を聴かせてもらいました。多分、これもCDに録音してしまうとソフィスティケートされてしまうでしょう。実演でこそ味わえる最高の演奏でした。


これほどの感動の演奏の後にはアンコールはいらないと思っていましたが、アンコールのラヴェルがまた、素晴らしい! 日経ホールではラヴェルの弦楽四重奏曲の全曲を演奏したようですが、それを聴きたかったものです。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:タカーチ・クァルテット
   エドワード・ドゥシンベル vn  ハルミ・ローズ vn
   リチャード・オニール va  アンドラーシュ・フェイエール vc

  ハイドン:弦楽四重奏曲 第82番(第67番)ヘ長調 Hob. Ⅲ:82「雲がゆくまで待とう」Op.77-2
  コールリッジ=テイラー:5つの幻想的小品 Op.5

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番ニ短調 D.810 「死と乙女」

   《アンコール》
   ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 から 第2楽章 アセ・ヴィフ:トレ・リトメ


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲 第82番(第67番)「雲がゆくまで待とう」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団 2004年1月20日-22日、ウェントワース、ホーリー・トリニティ教会 セッション録音

リンゼイ弦楽四重奏団のハイドンはとても素晴らしいです。彼らのハイドンの録音はほとんど収集して聴いています。


2曲目のコールリッジ=テイラーは音源が見つからず、予習していません。


3曲目のシューベルトの弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団 1986年2月、ロンドン・ヘンリー・ウッド ホール セッション録音
 

リンゼイ弦楽四重奏団らしく、感情にあふれた名演です。



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08/04 21:31 G線上のアリア

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07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

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06/18 12:46 sarai

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もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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