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桂離宮:洲浜から眺める池の周りの絶景に驚嘆!

2022年11月9日(水)@京都/3回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡り始めたところです。
まず、お庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門からガイドツアーを実質的に始めて、外腰掛を経て、池の周りの絶景を眺めるところまでやってきました。

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池の前に立って、美しい風景を愛で始めます。

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池の水面には周りの緑の樹木が映り込んで、見事な風景が広がります。

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緑の木々の間から、紅葉した樹木も顔を出しています。

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足元には黒く扁平な石が敷き詰められていて、海辺の風景を演出しています。ここは洲浜と呼ばれている池の岸辺です。

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その洲浜は岬のように池に突き出して、先端には石灯籠が据えられています。あたかも岬の灯台のような雰囲気を醸し出しています。

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そして、その岬の先には中島に石橋が架けられています。この石橋と中島のつながりは天橋立を見立てたものだと言われています。

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この洲浜から石橋を中心とした池の風景は周到に計算された松の緑や様々な樹木の配置も相俟って、絶景を感じさせます。

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いきなり、この洲浜の前の風景を眺めただけで、圧倒的な感銘を受けています。

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池の周りの松と紅葉もとても美しいです。この綺麗に手入れされた木々の奥に先ほどの外腰掛が隠れています。外腰掛からは木々がこの池の風景を隠し、そこから洲浜に出てきて初めて、素晴らしい風景に遭遇するように計算されています。

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ガイドツアーの参加者たちもsaraiと同様にこの風景に感嘆して、写真を撮りっぱなしの状態です。

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さて、そろそろ、案内人が次の地点に移動しようとしています。池の端に瀟洒な建物が見えます。松琴亭という茶室です。

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池の周りを歩いていくと、池の風景もどんどん変わっていきます。

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ガイドツアーの面々もゆっくりと移動してきます。その最後尾には必ず、スタッフの方が立っています。ガイドツアーのメンバーは先頭を歩く案内人と最後尾のスタッフに挟まれて、グループ行動から離脱することのないように厳重に監視されているようです。このお庭が単なる観光地ではなく、日本を代表する最高の文化財であることをひしひしと感じます。何と言っても宮内庁管轄のお庭ですからね。

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ガイドツアーは次の地点、松琴亭に移っていきます。



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テーマ : 国内、史跡・名勝巡り
ジャンル : 旅行

 

ムローヴァ凄し! 圧巻のショスタコーヴィチ 読売日本交響楽団@サントリーホール 2022.12.2

ネトピルと読響のコンビの演奏を5日前に引き続き聴きます。ネトピルの指揮に注目して聴きました。ところが、ヴァイオリンのヴィクトリア・ムローヴァの演奏が素晴らしかったんです。まあ、CDで予習したときから予感はしていました。

ムローヴァはこれまで機会がなく、聴き逃がしていたヴァイオリニストです。興味はありましたけどね。若いと思っていた彼女も今や60代。しかし、年齢とは関係なく、素晴らしい音楽を聴かせてくれました。曲はショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。実に真摯な作品です。第1楽章は終始、静謐さに満ちた音楽をムローヴァは美しく、そして、芸術的に奏でていきます。ロシア出身で若い頃に亡命した彼女はこのショスタコーヴィチの抑圧された時代の作品をどのような思いで弾いているのでしょう。意外に暗さはなく、透明で真摯な音楽を奏でていきます。ショスタコーヴィチの真髄をえぐり出すような素晴らしい演奏に魅了されます。まるでこの曲はショスタコーヴィチがムローヴァのために書いたんじゃないのかと思わせるような説得力のある最高の演奏です。第2楽章にはいると、一転して、勢いのある演奏に変わります。諧謔的なフレーズを奏でていきます。激しい音楽ですが、ムローヴァは泰然自若とした態で微動だにしない感じで剛直に音楽を表現していきます。これが彼女の持ち味なのでしょう。並みのヴァイオリニストならは熱く演奏するところでしょうが、実に平然と豪快な演奏を奏で上げていきます。不思議な演奏です。音楽自体は高潮していくのに演奏者は自然体です。第3楽章はまた静謐なパッサカリアに変わります。芯のある緊張感の高い演奏です。そして、オーケストラの演奏が静まる中、ヴァイオリンだけが響いていき、遂には独奏になり、長大なカデンツァにはいっていきます。いやはや、素晴らしい演奏に驚嘆します。ヴァイオリンは次第に熱を帯びて、しかし、ムローヴァ自身はあくまでも自然体を貫きつつ、音楽だけが高潮し、そのまま、第4楽章の熱い音楽に突入していきます。ムローヴァのヴァイオリンは冴え渡り、疾走していきます。ネトピル指揮の読響も素晴らしいアンサンブルでムローヴァのヴァイオリンと協奏していきます。そして、圧巻のフィナーレ。内容が濃くて、芸術性に満ちた最高のショスタコーヴィチを聴かせてもらいました。ムローヴァがこれほどのヴァイオリニストだったとは驚きました。これまで聴き逃がしてきたことが残念です。アンコールはバッハの無伴奏パルティータ。いかにもピリオド奏法にこだわってきたムローヴァを感じさせる演奏。イザベル・ファウストとも似た感じの演奏です。saraiとしては、ムローヴァにはモダン奏法のほうが似合うような気がします。まあ、個々の好みの問題です。

休憩後、モーツァルトの交響曲第25番。これは日下紗矢子率いる弦楽合奏団の風情です。時折、オーボエの音も冴え渡りますが、読響の弦楽アンサンブルの凄さが感じられる演奏です。交響曲というよりもセレナーデという感じです。これは誉め言葉です。何とも爽やかな演奏でした。

最後は素晴らしいヤナーチェク。狂詩曲 「タラス・ブーリバ」は初めて聴きました。ネトピルの素晴らしい指揮、そして、日下紗矢子の独奏ヴァイオリンが冴え渡り、圧巻の演奏です。要所で弾いたパイプオルガンも素晴らしいです。第3曲の壮大な盛り上がりでタラス・ブーリバの死を歌い上げたところでフィナーレ。ウクライナがロシアのためにポーランド・リトアニア共和国と戦ったという内容は今日的にはある意味、刺激的でもありますね。

ムローヴァもネトピルも日下紗矢子も素晴らしかったコンサートでした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:トマーシュ・ネトピル
  ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:日下紗矢子(ダブルコンマス、林悠介)

  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77

   《アンコール》J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より サラバンド

   《休憩》

  モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K. 183
  ヤナーチェク:狂詩曲 「タラス・ブーリバ」



最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は以下のCDを聴きました。

  ヴィクトリア・ムローヴァ、アンドレ・プレヴィン指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1988年6月16-21日 ロンドン、アビー・ロード・スタジオ セッション録音

ムローヴァのヴァイオリンが素晴らしい!


2曲目のモーツァルトの交響曲第25番は以下のCDを聴きました。

 リッカルド・ムーティ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1996年2月、ウィーン セッション録音
 
デモーニッシュさを排して、シンフォニックに演奏する意外さ。無論、ウィーン・フィルのアンサンブルは見事です。


3曲目のヤナーチェクの狂詩曲 「タラス・ブーリバ」は以下のCDを聴きました。

 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル 1961年5月22-24日、プラハ、芸術家の家(ルドルフィヌム) セッション録音
 
これはアンチェルが亡命前にチェコ・フィルと演奏した素晴らしい演奏です。意外にヤナーチェクらしさは希薄に思えますが、正統的な演奏です。



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藤村実穂子、味わい深くワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩を歌う NHK交響楽団@NHKホール 2022.12.3

藤村実穂子は定期的に帰朝公演をしてくれるのが嬉しいですね。昨年と一昨年は都響の公演に参加してくれて、素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。今回はN響とワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩を歌うというので、聴かないわけにはいきません。今や、世界を代表するメゾソプラノです。

藤村実穂子はやはり、期待通りの歌唱を聴かせてくれました。さすがにワーグナーを歌わせたら、核心を突く音楽表現で実に味わい深い歌唱を聴かせてくれました。時として、指輪の如く、時として、トリスタンの世界、そして、ワーグナーとしては破格の抒情味ある歌唱でした。第1曲の《天使》でワーグナーの世界を体感させてくれ、第3曲の《温室で》は最高の抒情を込めて、精神性の高い歌唱です。そして、第5曲の《夢》は淡い愛が茫洋とした霧の中に彷徨うような最高の歌唱で魅了してくれました。ルイージのサポートも万全でした。

休憩後、ブルックナーの交響曲 第2番 ハ短調が1872年の初稿版で演奏されます。余程、リハーサルを重ねたのか、細部まで彫琢された美しい演奏です。初稿版らしく、パウゼの効果も見事に決まります。終始繊細極まりない演奏が続きます。壮大なアインザッツもありますが、基本は美しいアンサンブルの抒情的な演奏です。ブルックナーらしい骨太さよりも優雅な美しさを優先した演奏です。全体の構成力に重きを置かずに細部を磨き上げた演奏に賛否が分かれるかもしれません。若干、メリハリを欠いて、平板な印象もありました。この作品は最近、ノット指揮の東響でも聴きましたが、saraiはジョナサン・ノットの演奏のほうに魅了されました。それにしても、あまり演奏される機会のない、この作品がこうして、立て続いて演奏される日本の音楽界は凄いですね。来年も都響が演奏するようです。ブルックナー好きには嬉しいことです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ファビオ・ルイージ
  メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:伊藤亮太郎

  ワーグナー:ヴェーゼンドンクの5つの詩

  《休憩》

  ブルックナー:交響曲 第2番 ハ短調(初稿/1872年)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩を予習したCDは以下です。

  エリーナ・ガランチャ、クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 2020年8月 ザルツブルク、祝祭大劇場 ライヴ録音

パンデミックの最中のザルツブルク音楽祭での演奏です。ガランチャの美声が極め付き。特にメゾソプラノとは言え、高音域の美しさは素晴らしいです。


2曲目のブルックナーの交響曲 第2番を予習したCDは以下です。

  シモーネ・ヤング指揮ハンブルク・フィルハーモニー 2006年3月12,13日 ハンブルク、ライスハレ(ムジークハレ) ライヴ録音

精密極まりない見事な演奏です。1872年の初稿版であることも価値ある演奏です。



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万感の思いでシューベルトを聴く・・・夢は枯野をかけ廻る 田部京子ピアノ・リサイタル《シューベルト・プラス第10回》@浜離宮朝日ホール 2022.12.4

田部京子のシューベルト・プラス・シリーズも今回で第10回、完了になります。こんな素晴らしいピアノが聴けて、大変幸せでした。最終回の今日は、ブラームスの最後のピアノ作品、ベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタ、そして、シューベルトの最後のピアノ・ソナタ。いずれも既にこのシリーズで演奏されたものですが、最後にもう一度、これらの傑作を振り返ろうとするものです。そして、いずれも最高の演奏を聴かせてくれました。まさに天才ピアニスト、田部京子ならではの演奏でした。

最初のブラームスの4つの小品 Op.119は第1曲の間奏曲の深い味わいに始まり、第4曲のラプソディーの華やかで祝典的な演奏で心が高揚しました。

次のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番が凄かった! 第1楽章の壮大な音楽の高揚、そして、第2楽章のアリエッタの抒情は何と形容してよいのか、頭を垂れて聴き入るのみでした。ベートーヴェンの崇高さを田部京子は最高の形で表現してくれました。今日のコンサートはこれで終わっても満足して帰れるようなものでした。

休憩後、田部京子の代名詞とも言えるシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番。このシリーズで3回目の登場ですが、何度でも聴きたい音楽です。全4楽章、完璧な演奏が当たり前のように奏でられます。長大な第1楽章は永遠の憧憬を感じさせる詩情に満ちた圧巻の演奏。これ以上の演奏は望むべくもありません。そして、第2楽章は何と言う素晴らしい音楽の発露でしょう。即興曲の味わいです。憬れとも祈りとも思えるひたむきな音楽が、ここでも詩情豊かに奏でられます。ここは田部京子の独壇場の音楽です。彼女の美しい魂が優しい心の襞を撫でてくれるようです。深い感動を覚えます。煌めくような第3楽章を経て、心が高揚する第4楽章です。この長大な楽章は田部京子の冴えたピアニズムで盛り上がっていきます。今日もこの田部京子のための音楽がsaraiの心を癒してくれました。うーん、とても素晴らしかった。

アンコールもシューベルトが続きます。即興曲の素晴らしい演奏は魂の音楽です。最後はこれしかないアヴェ・マリア。美しい音楽を受容するのみです。

これでこのシリーズも完結。素晴らしかったシリーズを締めくくるのにふさわしい音楽を聴かせてもらいました。シリーズは完結しましたが、来年の6月はまた、CDデビュー30周年のリサイタルがあります。首尾よく、本日、チケットも入手しました。シリーズで唯一聴き逃がした第1回で演奏されたシューベルトのピアノ・ソナタ第18番《幻想》が聴けるという嬉しいサプライズ。saraiにとって、本当の完結編になりそうです。


今日のプログラムは以下です。

  田部京子ピアノ・リサイタル
   《シューベルト・プラス第10回》

  ピアノ:田部京子
 
  ブラームス:4つの小品 Op.119
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 Op.111

  《休憩》

  シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D960

  《アンコール》
   シューベルト :即興曲集 第3番 D 899 Op.90-3 変ト長調
   シューベルト(編曲:吉松隆) :アヴェ・マリア 

最後に予習について、まとめておきます。

ブラームスの4つの小品 Op.119を予習したCDは以下です。

 田部京子 2011年8月22日、23日、25日 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音

田部京子のブラームスの後期ピアノ作品集。これは名盤です。どれも素晴らしい。Op.116が収録されていないのが残念。


ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番を予習したCDは以下です。

 田部京子 2015年8月12-14日 東京都、稲城ⅰプラザ セッション録音

田部京子のベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタも最高です。何故、全集の録音をしないのか、不思議で残念です。


シューベルトのピアノ・ソナタ 第21番を予習したCDは以下です。

 田部京子 1993年10月20~22日 秋川キララ・ホール セッション録音

これ田部京子のシューベルト作品集の最初の録音です。もう、30年近く前の録音ですが、今回、また聴き直してみましたが、やはり、何度聴いても素晴らしい演奏です。聴き惚れてしまいます。今度はライヴで再録音してもらいたいものですが、たとえ、再録音されなくても満足の1枚です。


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       田部京子,  

桂離宮:瀟洒な茶室、松琴亭のモダンなデザインは日本文化の精華

2022年11月9日(水)@京都/4回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から外腰掛を経て、洲浜からの絶景を眺め、松琴亭という茶室に向かっています。

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池は人工的に手が加えられて、松琴亭の岸辺は立派に石垣が積まれています。

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松琴亭へは巨大な石が橋として架けられています。ただ、池を渡るときにちょっとでも体の平衡を失うと池ぽっちゃんになりそうです。

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ここまで歩いてきた池の端の道です。

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池の正面には見事な紅葉が見えます。

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茶室、松琴亭の前に立ち、その全景を眺めます。茅葺(かやぶ)き入母屋造(いりもやづくり)の主屋(おもや)に杮(こけら)葺きの茶室があり、二方に深い土間庇(ひさし)を形成し、一の間(11畳)のほぼ中央から土間庇に縁(えん)を突き出しています。

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茶室の中を眺めます。三畳台目(茶室用の畳)の本格的な茶室です。遠州好みの八窓(やつまど)の囲いです。襖の青と白の市松模様の現代的とも思えるデザイン性が印象的です。

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北側の縁側には土の竈が設えてあり、簡単な料理が縁先で楽しめるようになっています。

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石炉が据えてあり、黄色い土壁、飴色の網代戸が実に渋いですね。

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ここにも黄色い土壁、飴色の網代戸があり、その先には市松模様の襖と八窓の障子が見えています。何というお洒落なデザインでしょう。凝りに凝った日本文化の精華です。

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この茶室からの眺めは池の水面が陽光の緑を映し込んで、鮮やかな秋の1日を演出しています。

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茶室は障子戸が開け放たれて、周りの自然と一体化するようですが、その中で青と白の市松模様が人工美であることを主張しています。

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茶室の中から、障子で切り取られた北側の風景が眺められます。東側、西側も同様に池の周りの風景が楽しめる趣向です。茶室の中でお茶を楽しむもよし、ゆったりして、外の美しい風景を楽しむもよし、何と風雅な暮らしでしょう。

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池の端には、石灯籠。夜はどんな趣きになるのでしょう。

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松琴亭の去り際に見える絶景です。ただただ、絶句するだけです。

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京都の素晴らしく整備された美しい庭はこれまでいやというほど見てきましたが、それらとは一線を画す手入れの行き届いた最高の庭が広がっています。ただ、感嘆の思いを胸に抱くのみです。



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ティーレマンが豊かな響きのシュターツカペレ・ベルリンで圧巻のブルックナーの交響曲第7番を凄演@東京オペラシティコンサートホール 2022.12.6

バレンボイムが降板して、ティーレマンがシュターツカペレ・ベルリンを振るというので、少し悩んで、売れ残りのチケットを購入。しかし、これは聴かねば、一生の悔いを残すような凄いブルックナーでした。

前半はワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死。これは2012年のシュターツカペレ・ドレスデンの来日公演でも聴き、そして、2018年にはバイロイト音楽祭に遠征して、全曲を聴きました。それはsaraiの最高の音楽体験の一つになりました。で、今日の演奏はシュターツカペレ・ベルリンがどんな演奏をするのかと固唾を飲んで、聴き始めましたが、さすがにティーレマン。このオーケストラを自在にドライブして、愛と陶酔の音楽で酔わせてくれました。見事な演奏であっという間に時間が経ち、イゾルデの愛の死で高潮して、音楽を静かに閉じます。シュターツカペレ・ベルリンのアンサンブルも素晴らしいです。特に低弦の深い響きは古きドイツの伝統を感じさせる重心の低い演奏を聴かせてくれます。

後半は満を持して、ブルックナーの交響曲第7番。ティーレマンが振ると、シュターツカペレ・ベルリンが世界最高のオーケストラの響きを聴かせてくれます。低弦の深い響きの上に高弦の透明な響き。木管も美しく、金管の迫力も最高です。これでブルックナーの全曲チクルスを聴けば、死んでもいいと思うほどです。
ブルックナーの交響曲第7番はブルックナー開始といわれる弦のさざ波のなか、低弦の美しい旋律がたっぷりと歌われます。弦のユニゾンが多く、シュターツカペレ・ベルリンの弦の響きに耳を奪われます。低弦は深い精神性を感じさせます。美しくきらめく高音弦は清らかでピュアーな精神を感じさせます。実に精神性に満ちた音楽が展開されます。これがブルックナーです。チェリビダッケではありませんが、ブルックナーは美しく、それもとびっきり美しく演奏されなければなりません。それがここに実現されており、saraiは充足感に浸っています。この美しい世界が延々と続きます。いつまでたっても第1楽章は続いていきます。これもブルックナーの世界です。ただ、退屈することはありません。真正のブルックナーの音楽の深い精神に包み込まれているんですからね。それでも頂点を極めて、第1楽章は終了しました。
次は一番の楽しみである第2楽章です。管楽器で主題が提示された後、弦楽器が極上の演奏を繰り広げます。美の極致がまさに永遠に続きます。やがて、後半にはいり、第1ヴァイオリンの上昇音型が始まります。例えようもなく、美しいです。この部分を美しく表現できるのはヨッフムとチェリビダッケしかいませんでした。そして、ティーレマンはそれを凌駕するかのような演奏です。上昇音型が頂点に達し、下降音型に変わります。そして、音楽はさらなる高みを目指し、高揚していきます。その頂点でシンバルの一撃! あれっ、これはハース版の筈ですが、ここだけはノヴァーク版を採用していますね。最後は静かに消えるように第2楽章が終わります。通常の交響曲ならば、もう、このあたりで終わってもいいくらい。第3楽章はまさにティーレマンが豪腕で剛速球を投げ込んできます。力んでいるわけではないのに、高揚した音楽でインスパイアーされます。一転、中間部はまた静かな瞑想的な音楽となります。豪腕ですが、しなやかな感性も併せ持ち、流麗な音楽を展開してくれます。また、最初の部分に戻って、豪壮に第3楽章を閉じます。第4楽章が始まります。中庸のテンポで荘重な音楽を進めていきます。他の指揮者の多くはここは切れのよい演奏で早いテンポで進めていくところですが、ティーレマンは個性が違います。十分に美しい流麗な響きを醸し出していきます。実に聴き応えがあります。何度も頂点を上り詰め、圧倒的なフィナーレ。完璧なブルックナーでした。何も言うことはありません。こんなリッチで美しい響きのブルックナーを聴いたことはありません。ウィーン・フィルをも凌駕する勢いです。

やんやの喝采で指揮者コールは2回でした。次はサントリーホールに場所を変えて、ブラームスの交響曲です。saraiは1日目のチケットは入手できず、2日目の第3番と第4番を聴きます。大いに期待できそうです。3年ぶりに聴くティーレマンはやはり破格の音楽を聴かせてくれます。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団≪シュターツカペレ・ベルリン≫

  ワーグナー:《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死

  《休憩》

  ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB 107(ハース版、ただし、シンバル付き)



最後に予習について、まとめておきます。

ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮フィラデルフィア管弦楽団 1997年4月 ニュージャージー セッション録音

ティーレマンの初期の録音ですが、むせるような官能の音楽を聴かせてくれます。


ブルックナーの交響曲第7番を予習したブルーレイディスクは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2012年9月1日 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録画

ティーレマンのシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者就任記念コンサートの録画で素晴らしい演奏を聴かせてくれます。この直後、来日公演でも素晴らしい演奏を実感しました。



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       ティーレマン,  

桂離宮:中島の小高い丘の上にある賞花亭は月を愛でる茶室

2022年11月9日(水)@京都/5回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から外腰掛を経て、洲浜からの絶景を眺め、日本文化の精華とも思える松琴亭を見たところです。

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松琴亭から次のポイントに向かって歩き始めます。松琴亭から少し離れたところからのお庭の絶景です。松琴亭の姿も木々の向こうに見えています。

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おや、その松琴亭のそばに水鳥らしきものが見えています。

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ぐんとズームアップしてみましょう。京都で見かけることが多いアオサギですね。動かずにいてくれて、写真に収まってくれます。

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橋を渡って、池の中で一番大きな中島に向かいます。

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橋の上からは池で泳ぐ鴨の群れが眺められます。

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中島はこんもりとした丘になっていて、木々がすっくと空にむかってまっすぐと伸びています。

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もちろん、この木々が繁る丘になっている中島も自然のものではなくて、人工的に造り上げられたものです。とてもそうは思えない自然が広がっています。この丘を造成するための土は池を掘った土が使われたそうです。

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人工の小高い丘にふーふー言いながら登っていきます。案内人のペースは結構速いんです。というか、saraiの足が悪いだけなんですけどね。先ほどの松琴亭が下に見下ろせます。

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丘の上に到着。峠の茶屋風の賞花亭(しょうかてい)があります。ここは苑内で最も高い位置にあります。

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賞花亭から見下ろすお庭の風景も見事です。

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「賞花亭」という額が掲げてあります。ここは消夏のための小亭であり、「賞花亭」という名前はそれにひっかけてあるんでしょう。

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賞花亭からの素晴らしい眺めをもう一度味わいます。

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しかし、こららの茶室の本来の目的はすべて、月を愛でるためのものだったそうです。もっと言えば、回遊式庭園全体が月を愛でるためのものだったそうです。何と風雅なことでしょう。

賞花亭は茅葺切妻屋根に皮付きの柱を用いた建物になっています。桂離宮の多くの建物がその基本コンセプトに従っていますね。

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建物は消夏のために風通しのよい壁にたっています。必要最小限の棚は段違いになって意匠が凝らされています。

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さて、この小高い丘から下っていきます。当初は木々に景色が遮られています。それも演出のひとつかもしれません。

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すぐに景色が開けてきます。正面に池の中の小さな中島が見える風景です。

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美しい風景を眺めながら、丘を下っていきます。



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ティーレマンのブラームスは繊細で自然な流れから圧倒的な高揚へ導く渾身の演奏@サントリーホール 2022.12.8

ティーレマンの3年ぶりの来日とあらば、高額チケットも何のその。ブルックナーだけではなくて、ブラームスも聴きます。昨日のブラームスはチケットが完売のため、涙・・・。しかし、今日の素晴らしいブラームスで満足したsaraiです。

ティーレマンのブラームスはシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏で完成の域に達したようです。今日のシュターツカペレ・ベルリンとの演奏はまるでシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏を聴いている感じ。このシュターツカペレ・ベルリンは素晴らしいアンサンブルを誇り、シュターツカペレ・ドレスデンに優るとも劣らないレベルの凄い演奏を聴かせてくれます。よほど、バレンボイムが鍛え上げたのでしょうか。CDで聴いたシュターツカペレ・ドレスデンの演奏を彷彿とさせてくれます。実演を聴くのですから、さらに興が深いものです。

ティーレマンのブラームスはどうやら、基本パターンが決まっているようで、どの楽章も中間部で抑えた響きで繊細で自然な音楽を歌い上げて、後半は一気に勢いを増して、テンポも上げ、壮麗な響きで圧倒するという勝利の方程式で聴くものを納得させます。中間部は優秀な木管のソロと繊細な弦楽アンサンブルで静謐な音楽を聴かせてくれます。これこそ、ティーレマンが到達した音楽であることを実感しました。かつての剛腕のティーレマンからは考えられない音楽です。そして、その後に一転して、金管と素晴らしい響きの弦楽アンサンブルの威力を全開放して、ロマンの香り高い圧倒的な音楽を歌い上げます。このあたりはさすがに剛腕のティーレマンの真骨頂です。前半の第3番もこのパターンで第1楽章、第2楽章が素晴らしい出来でした。
そして、後半の第4番も第1楽章、第2楽章がこのパターンで素晴らしく決まります。圧巻だったのは第4楽章のパッサカリア。これもパッサカリア主題を変奏しながら、ティーレマンの基本パターンで素晴らしい音楽が奏でられます。まるで、この楽章がブラームスの4曲の交響曲の締めくくりのような風情の盛り上がりです。最後は凄い高揚に上り詰めて、感動のフィナーレ。これ以上の演奏はないでしょう。

聴衆の拍手に応えるティーレマンのどや顔もいいね・・・。

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ティーレマンはやっぱり、凄かった!! そして、シュターツカペレ・ベルリンはまるでシュターツカペレ・ドレスデンを聴いているか、あるいはそれ以上のレベルの音楽を聴いている感覚でした。

ひとつだけ、残念だったのは、最初からティーレマンが来ると分かっていれば、ちゃんといい席のチケットを購入できたのにということです。昨日のブラームスも聴き逃がしたしね。



今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団≪シュターツカペレ・ベルリン≫

  ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op. 90

  《休憩》

  ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op. 98



最後に予習について、まとめておきます。

ブラームスの交響曲第3番を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2012年10月 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録音

ティーレマン、渾身のブラームス。堂々たる演奏でありながら、自然で落ち着いた音楽の流れも見事。


ブラームスの交響曲第4番を予習したCDは以下です。

  クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 2013年4月 ゼンパーオーパー、ドレスデン ライヴ録音

3番と同様ですが、さらに素晴らしい演奏。



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       ティーレマン,  

桂離宮:中島の丘の麓の園林堂から、田舎家風の笑意軒へ

2022年11月9日(水)@京都/6回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から外腰掛を経て、洲浜からの絶景を眺め、松琴亭、賞花亭と巡ってきたところです。

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賞花亭の立つ小高い丘を下っていくと、パーッと美しい眺めが広がります。緑の中に秋色の紅葉が映えています。

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丘を下り終えて、池に架かる太鼓橋の前に出ます。

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橋は渡らずに、中島の中を歩いていきます。目の前には素晴らしい紅葉の風景が広がります。人の手で周到に設計された庭園に自然の美が重なって、あり得ないような風景が現出しています。

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中島に立つお堂の横に出てきます。

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園林堂(おんりんどう)という持仏堂です。本瓦葺宝形造り屋根の建物です。

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このお堂の前に池を渡る太鼓橋があります。

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橋の前からは池越しに趣きのある茶室が見えています。これから、そちらに向かうようです。

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橋を渡るとまた、池の端に石灯籠があります。

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池の端をぐるりと周り込むと、池越しに先ほどの園林堂が見えます。本瓦葺宝形造り屋根の美しい姿です。

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ズームアップして園林堂を眺めましょう。桂離宮の風景の中にうまく収まっていますね。

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太鼓橋が池の水面に映り込んで、楕円形のような図案になっています。これも計算した風景なのでしょうか。

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次なる茶室、笑意軒(しょういけん)を見学します。

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この茶室は田舎家風で、茅葺寄棟造りの屋根に杮葺きの廂を付けた間口の長い建物になっています。そして、各所に斬新な工夫が凝らされています。ゆっくりとそのデザインを見ていきましょう。



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桂離宮:様々な意匠の限りを尽くした笑意軒の日本の美に感銘

2022年11月9日(水)@京都/7回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から外腰掛を経て、洲浜からの絶景を眺め、松琴亭、賞花亭、園林堂と巡り、田舎家風の笑意軒の前にやってきたところです。

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笑意軒の扁額が掲げられています。洒脱な筆跡です。

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その扁額の下には横並びに6つの丸い下地窓が設けられています。奥の間の先には大きく開いた障子の間から外の自然の景色が眺められます。

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下地窓は6つそれぞれの意匠(下地の編み方、格子の種類など)が微妙に異なり、なぜか「四季の窓」と呼ばれています。

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奥の障子の間から見える景色です。桂離宮で唯一、離宮の外の景色が見えているところです。水田です。公卿たちは田植えの風景を楽しんだとか。

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手前の縁側の横にも四角い下地窓があります。統一感のあるデザインが徹底されています。

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次の間にある襖の模様が凝っています。この意匠は江戸時代とは思えぬ斬新さです。

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襖の引手の意匠も凝っています。意表を突かれるようなデザインです。

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「2の間」の腰壁には、金箔の市松模様が贅沢です。

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「一の間」付書院の外壁です。これはすっきりしたデザインになっています。ここにも下地窓があり、意匠の統一感を感じさせます。

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前面に広がる池の風景は秋が真っ盛り。池の形は人工のものであることを示す方形になっています。

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前面の池は舟遊びができるように船着き場になっています。ここから月を愛でるための船に乗っていたんですね。何と風流なことでしょう。

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木々が色づき、美しい景色になっています。古人もこのような景色を眺めたのでしょう。

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黄葉も美しいですね。

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船着き場の先端には小さな灯籠、三光灯籠が置かれています。その形は笑意軒を模して作られたそうです。

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笑意軒の前には、見事な直線の延段が作られています。大小様々な色んな形の石を組み合わせています。見事な細工です。

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細かいところまで気を配り、繊細な美的感覚が行き届いた笑意軒の意匠には舌を巻きます。

ガイドツアーもそろそろ最終コースに入ります。



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クルレンツィスを意識せずにはもうモーツァルトのオペラは聴けない・・・ 《ドン・ジョヴァンニ》@新国立劇場 2022.12.11

昨日、予習に聴いた昨年のザルツブルク音楽祭でのクルレンツィスの《ドン・ジョヴァンニ》のイメージが強過ぎて、それを意識せずに聴くことは困難です。saraiはコロナ禍前の2019年にもルツェルン音楽祭でクルレンツィスの《ドン・ジョヴァンニ》(コンサート形式)の凄い演奏を聴いているので、なおさらです。さらに2015年のクルレンツィスのCDの衝撃もあります。少なくとも、saraiの頭の中ではモーツァルトのオペラはクルレンツィスの登場で価値転換が終わっています。今日の演奏はクルレンツィス以前であれば、なかなかの演奏だったと思います。東フィルも澄んだ響きの美しい演奏でしたし、女性陣3人はクルレンツィスの素晴らしい女性陣3人に肉薄する歌唱を聴かせてくれました。何と言っても、【ドンナ・アンナ】役のミルト・パパタナシュはクルレンツィスのCDでも同役を歌っています。いかにもクルレンツィス好みのピュアーで透き通った声で見事な歌唱を聴かせてくれました。ただ、高音の音程が少し不安定ですが、そのあやうさも魅力と言えば魅力に感じました。コロラトゥーラのコロコロがうまくまわっていないのだけは残念なところです。もちろん、今のクルレンツィスの秘蔵っ子のナデジダ・パブロワの圧倒的な歌唱力には比べられません。【ドンナ・エルヴィーラ】役のセレーナ・マルフィはとってもピュアーな歌唱で、これは大満足です。そして、特筆すべきは【ツェルリーナ】役の石橋栄実。スープレットの代表のような美しい声です。クルレンツィスが昨年新たに採用したアンナ・ルチア・リヒターはとてもピュアーで透明な声でスケール感もありますが、スープレットとしては石橋栄実も決して負けてはいません。saraiとしては一度、クルレンツィスに聴いてもらいたい気がします。スープレットということで石橋栄実は有望な若手と誤認しましたが、キャリアを読むと、ベテランの方なんですね。別の役でも聴いてみたいソプラノです。男性陣では、【ドン・オッターヴィオ】役のレオナルド・コルテッラッツィがなかなかの歌唱を聴かせてくれたくらいで、やはり、このオペラはバリトンが難しいことを再認識しました。クルレンツィスもキャスティングでは苦労しているのではないかしら。

いずれにせよ、昨日のクルレンツィスが予習どころか、本番モードになり、今日の公演は失礼ながら、クルレンツィス以前のモーツァルトのオペラ演奏を確認する場になるという異例の状況になってしまいました。これは新国の公演レベルの問題ではなく、きっと、ヨーロッパのオペラハウスで聴いても同じ感想を抱いてしまいそうです。近い将来、クルレンツィスのモーツァルトのオペラが日本でも聴けることを期待したいところですが、ウクライナ戦争という問題が立ちはだかるのかもしれませんね。事実、今年のザルツブルク音楽祭でも、クルレンツィスとムジカエテルナの公演はクルレンツィスとグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団の公演に代わったそうです。今後、ムジカエテルナの演奏を聴く機会はなさそうですね。クルレンツィスは何と新しいオーケストラ、ユートピアを組織して演奏活動に入ったとか。クルレンツィスの今後の動向が気になります。彼は音楽最優先の筈ですし、元々ギリシャ人なので、ロシアから出る選択が最良なのかもしれません。

新国のオペラの感想が終始、クルレンツィスの話になってしまいました。ごめんなさい! そうそう、今日から、オペラ、コンサートが6日連続になります。12月にこういう事態は異例です。これも間接的にコロナ禍の影響でしょうか。


今日のキャストは以下です。

  ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
   ドン・ジョヴァンニ

【指 揮】パオロ・オルミ
  【演 出】グリシャ・アサガロフ
  【美術・衣裳】ルイジ・ペーレゴ
  【照 明】マーティン・ゲプハルト
  【再演演出】澤田康子
  【舞台監督】斉藤美穂
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
  【チェンバロ】小埜寺美樹

【ドン・ジョヴァンニ】シモーネ・アルベルギーニ
  【騎士長】河野鉄平
  【レポレッロ】レナート・ドルチーニ
  【ドンナ・アンナ】ミルト・パパタナシュ
  【ドン・オッターヴィオ】レオナルド・コルテッラッツィ
  【ドンナ・エルヴィーラ】セレーナ・マルフィ
  【マゼット】近藤 圭
  【ツェルリーナ】石橋栄実


最後に予習について、まとめておきます。

以下の放送録画を見ました。

 2021年ザルツブルク音楽祭
  歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(全2幕) 

  演出:ロメオ・カステルッチ
  指揮:テオドール・クルレンツィス

  ドン・ジョバンニ:ダヴィデ・ルチアノ(ディミトリス・ティリアコス*)
  レポレッロ:ヴィート・プリアンテ(カイル・ケテルセン*)
  騎士長:ミカ・カレス(CDと同じ、ロバート・ロイド)
  ドンナ・アンナ:ナデジダ・パブロワ(ミルト・パパナタシュ、ナデジダ・パブロワ)
  ドン・オッターヴィオ:マイケル・スパイレス(ケネス・ターヴァー*)
  ドンナ・エルヴィーラ:フェデリカ・ロンバルディ(カリーナ・ガウヴィン、フェデリカ・ロンバルディ)
  マゼット:デイヴィッド・シュテファンス(グイド・ロコンソロ、ルーベン・ドローレ)
  ツェルリーナ:アンナ・ルチア・リヒター(クリスティーナ・ガンシュ*)
  管弦楽:ムジカ・エテルナ

   収録:2021年8月4・7日ザルツブルク祝祭大劇場
   NHK BSプレミアムで2022年1月16日(日)に放映したものの録画

   カッコ内は1番目がCD、2番目が2019年ルツェルン音楽祭のキャスト *どちらも同一キャスト

クルレンツィスの音楽は変わらず最高ですが、キャストの変遷が面白いです。特に女性3人はルツェルン音楽祭で素晴らしかったので、クルレンツィスも満足していた筈です。ツェルリーナだけはアンナ・ルチア・リヒターに変えて、レベルアップし、ツェルリーナのイメージを一新した感じです。問題は男性陣。騎士長以外は完全に一新しました。ドン・ジョヴァンニ役のダヴィデ・ルチアノはソット・ヴォーチェ的な歌唱が見事で、優しくて、女心をとろかすような理想的な声の響き。クルレンツィスが求める理想の形に近づきましたね。ドン・オッターヴィオのマイケル・スパイレスは従来の線の細いテノールの路線を転換して、ブロードな歌唱を聴かせてくれます。あっと驚きました。これもクルレンツィスが求める道だったのですね。全体にピュアーで透明性の高い路線に一層近づきました。女性陣は完全で、男性陣はまだ変遷がありそうです。クルレンツィスはモーツァルトのオペラでどこまでも理想の形を追い求めているようです。フィガロもコジ・ファン・トゥッテもよりピュアーで透明性の高い音楽を目指していきそうです。クルレンツィス以前はモーツァルトのオペラと言えば、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、軽妙で気楽に聴く音楽の代表のようなものであったように思います。しかし、クルレンツィスはその価値の転換を図り、精妙で深さのある音楽、ある意味、聴くものにとって、その中身を理解するのがとても難しい音楽に変質させてしまいました。今回の演出は必ずしも成功しているとは言えませんが、価値の転換という路線上にはあります。



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       クルレンツィス,  

イリーナ・メジューエワ、日本コンサートデビュー25周年記念リサイタルはバッハとブラームス、リストの大曲@トッパンホール 2022.12.12

メジューエワの久々の東京でのリサイタルです。コロナ禍でずっと聴けなかったので、じりじりしていたら、突然決まった日本コンサートデビュー25周年記念リサイタルですから、読響の定期演奏会のチケットを人に譲って、駆けつけることにしました。開催者の方のご好意で(知り合いではありません)、最前列の良い席を確保できました。

前半はまず、突然、場内のアナウンスでバッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第12番 ヘ短調 BWV857 プレリュードが追加されることが告げられ、優しく、静謐な演奏が聴けました。メジューエワのバッハを聴くのは初めてですが、とても素晴らしい演奏。以前、朝日カルチャースクールで今後、バッハに注力していきたいと彼女が言っていたのを思い出します。実は突然、冒頭にバッハを弾いたのは、意味のあることだと後で分かります。

次はバッハのプレリュードにそのまま続けて、ブラームスの最後のピアノ・ソナタである第3番が演奏されます。最後と言っても、ブラームスが20歳という若さのときの作品です。彼はピアノ・ソナタは何故か、これで封印してしまいます。ブラームス特有の一つのジャンルの作品は多くは書かないということで言えば、不思議ではありません。晩年、ブラームスはピアノの作品はもっぱら、間奏曲などの小品を書いています。その晩年の枯れた渋い作品と比べると、同一人物の作品には思えない若さに満ち溢れた作品がこのピアノ・ソナタ第3番です。
ブラームスのピアノ・ソナタ第3番はピアノ・ソナタ第1番/第2番と同じ頃、すなわち、20歳頃のブラームスがデュッセルドルフのシューマン夫妻宅を訪れて、長期滞在した直後に作曲され、シューマンに講評を求めて譜面を送った最後の作品です。若さゆえの情熱とロマンに満ちた大作です。メジューエワの演奏は彼女らしい力強さにあふれたもので、すさまじい演奏でした。長大な第1楽章だけでも聴くsaraiも圧倒されて、疲れ果てます。力強いけれども、ロマンに満ちあふれた情熱のこめられた音楽です。でも、最高に素晴らしかったのは第2楽章のアンダンテです。これまた長大な楽章ですが、静謐でありながらもメジューエワの特質であるしっかりとした明晰なタッチの音楽が熱を込めて弾かれました。そして、終盤の熱い魂の盛り上がり。最後の回想するようなパッセージも見事でした。終楽章までレベルの高い演奏が続きました。最後の壮大な頂点で圧倒されました。若き日のブラームスは晩年の作品とは違う意味でとても素晴らしいですね。それにこれは大作です。メジューエワは記念リサイタルということで前半から大作で勝負です。

後半はリストの大作、《巡礼の年 第3年》。実演で聴くのは初めてです。いやはや、メジューエワ、渾身の演奏。途轍もない演奏です。第1曲だけはシンプルでしたが、第2曲以降はどれも長大で超絶的な曲ですが、メジューエワは無尽蔵な体力で全身をばねのようにして、激しく演奏していきます。無論、繊細な表現もちゃんと織り込んでいきます。とりわけ、有名な第4曲の《エステ荘の噴水》の水のしぶきの跳ね上がるような瑞々しい演奏の素晴らしさには魅了されるだけです。第6曲の葬送行進曲の荘厳さも圧倒的な迫力です。最後の第7曲が力強く高潮して終焉を迎えるときにはさすがのメジューエワも体力の限りを使い果たした態です。聴いているsaraiもヘトヘトですからね。とんでもない大曲でした。全部で50分ほどだったでしょうか。長大で壮大な作品で、こんなものを弾くとピアニストが体を壊すのではないかと心配になります。それでもメジューエワはちゃんとアンコール曲を弾いてくれます。

まずはリストの聖ドロテア。メジューエワの《巡礼の年 第3年》のCDでもアンコール曲風に併録された曲ですが、確かに大曲《巡礼の年 第3年》の後にはおさまりがよい曲です。一服の清涼剤に思えます。
次はブラームスの晩年の作品。20歳のときのピアノ・ソナタ第3番に対局しての演奏です。メジューエワはこういう力の抜けた曲も味わい深く演奏してくれます。
最後はバッハのコラール前奏曲《我ら悩みの極みにありて》 BWV641です。これを弾くためにメジューエワは冒頭でバッハの平均律を弾いたんです。このコラール前奏曲は未完の大作、フーガの技法の初版譜に未完で終わったフーガを補うような意味でコラール前奏曲『われ汝の御座の前に進み出て』BWV 668が併録されましたが、それはコラール前奏曲《我ら悩みの極みにありて》 BWV641の歌詞を変えただけのものです。バッハはこの作品を死の床で口述筆記させたと言われています。バッハの晩年の最高傑作の《フーガの技法》を暗示するようなコラール前奏曲を記念リサイタルの〆に置いたメジューエワの強いバッハへの思いが感じられます。彼女はこれから本気でバッハに取り組んでいくようです。楽しみですね。アンジェラ・ヒューイットのように全鍵盤作品の連続コンサートでもやってくれれば、saraiは卒倒するくらいに嬉しいんですけどね・・・。


今日のプログラムは以下です。

  日本コンサートデビュー25周年記念
   イリーナ・メジューエワ ピアノ リサイタル


  J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第12番 ヘ短調 BWV857 プレリュード
  ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 Op.5

   《休憩》

  リスト:《巡礼の年 第3年》S.163
 
   《アンコール》
     リスト:聖ドロテア S.187
     ブラームス :6つの小品 Op.118 から 第5曲 ロマンス ヘ長調 Op.118-5
     J.S.バッハ(ヴェデルニコフ編):コラール前奏曲《我ら悩みの極みにありて》 BWV641


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバッハの平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第12番 ヘ短調 BWV857 プレリュードは突然の追加でしたから、予習していません。


2曲目のブラームスのピアノ・ソナタ第3番は以下のCDを聴きました。

 イリーナ・メジューエワ 2021年9月29日~10月1日 新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音
 
メジューエワのコロナ禍中の録音です。とても力強く新鮮な演奏です。


3曲目のリストの《巡礼の年 第3年》は以下のCDを聴きました。

 イリーナ・メジューエワ 2017年4月8~9日 新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワ、日本コンサートデビュー20周年記念アルバムでした。力強く、かつ、繊細な演奏です。



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       メジューエワ,  

ブルックナー第4番初稿版の貴重な演奏は実に美しい響き インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2022.12.13

日本ではブルックナーやマーラーの演奏機会が特に多いのですが、ブルックナーに関しては、4番、7~9番という有名曲だけでなく、第2番、それも第1稿、あるいは第4番の初稿版という珍しいとも思えるものまで、演奏されるようになりました。今日の交響曲第4番の1874年第1稿はフランソワ=グザヴィエ・ロト指揮のケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団で初めて聴いたばかりですが、早くも2回目の体験になりました。予習も含めて、数度、聴いているにも関わらず、どうも馴染めないというの正直なところです。いつも聴いている1878年・1880年の改訂稿はいい加減、聴き飽きたとも思っていましたが、こんなに全然違う初稿版を聴かされるとかえって、改訂稿の普通のヴァージョンが懐かしくなってしまいます。演奏自体はインバルの指揮する都響の響きは超美しくて、素晴らしいものでした。ダブルコンマスの矢部達哉、四方恭子を始め、ほぼ、都響のベストメンバーが揃った演奏はまったく隙のない最高の演奏でした。これで普通のブルックナーだったら、文句なしにブラヴォーなんですけどね。この初稿版の第4番は第1楽章と第2楽章は改訂版の面影はありますが、第3楽章はまったく別物。第4楽章も主題は聞き覚えがありますが、ほとんど別物。今年7月のロトの演奏を聴いていなければ、珍しいものが聴けたと喜ぶところですが、こんなに立て続けに初稿版を聴かされると、やはり、改訂版のほうが聴きたいということになります。初稿版は新鮮で野性味を感じる作品ではありますが、音楽としての完成度はやはり、改訂版のほうに軍配を上げたくなります。

前半のウェーベルンは何とも素晴らしい演奏でした。短い作品ですが、うっとりと聴き入ってしまいました。ウェーベルンが母の死をテーマにした沈痛な雰囲気の作品ですが、都響は素晴らしいアンサンブルでファンタスティックとも思える魅惑的な演奏を聴かせてくれました。鈴木学のヴィオラソロ、矢部達哉のヴァイオリンソロの美しかったこと。あっという間に曲が終わってしまったのが残念なくらいでした。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉(隣の席はコンミスの四方恭子)

  ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 op.6(1928年版)

    《休憩》

  ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 WAB104 《ロマンティック》(ノヴァーク:1874年第1稿)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のウェーベルンの管弦楽のための6つの小品を予習したCDは以下です。

  ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1996年 セッション録音

シノーポリが残してくれたウェーベルンの管弦楽全集。実にスマートな演奏です。


2曲目のブルックナーの交響曲第4番を予習したCDは以下です。

  エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団 1982年9月 フランクフルト、アルテ・オーパー セッション録音

1874年初稿版の貴重な録音。演奏も見事です。



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河村尚子、入魂のラフマニノフに感動! ルイージ&NHK交響楽団@サントリーホール 2022.12.14

河村尚子のピアノの凄いこと。協奏曲なのにオーケストラに合わせようなんて気持ちは微塵もなく、ただ、自分の魂を剥き出しにして、ラフマニノフの名曲に渾身の力で向かっていったという風情です。この演奏を聴いて、saraiは深い思いを抱きました。そもそも音楽を演奏する上で、美しく完璧に音楽を作り上げることは意味のあることなのか・・・若い頃のホロヴィッツもリヒテルもミスタッチだらけで爆演していましたが、その魂をぶつけてくるような音楽の凄かったこと。現代の音楽家に欠けているものは熱い魂の燃焼であることに思い至ります。今日の河村尚子もミスタッチもあり、ペダル踏みまくりの爆演。どうしちゃったんでしょう。尊敬する音楽評論家かこぞって激賞していた河村尚子をずっと聴いてきましたが、彼女はどちらかと言えば、優等生タイプ。魂を剥き出しにして熱い音楽を聴かせてくれる上原彩子とはタイプが違うと思っていました。今日の河村尚子は奔放に音楽を表現して、個性を剥き出しにして、魂をさらけ出すような圧巻の音楽を聴かせてくれました。第1楽章からテンション上がりまくりで、第2楽章は静謐さの中に思いのたけを込めて、楽章の最後は熱い血潮が迸るような演奏。そして、第3楽章は物凄い気魄でどこかにいっちゃったような演奏。思わず、saraiは深く感動してしまいました。そうです。こんな人間の魂の燃焼の音楽が聴きたかったんです。美しい響きと完璧なテクニックの音楽はもういらないとさえ、思いました。河村尚子の最高の演奏を聴いた思いです。河村尚子さん、このまま、我が道を進め!! saraiは全面的に応援します。

アンコールで弾いたラフマニノフは、もはや、アンコールで弾く音楽を超えていました。何と素晴らしいラフマニノフ。

前半で聴く力を使い切ったsaraiですが、ルイージは望外に素晴らしい「新世界から」を聴かせてくれました。多分、彼がN響で聴かせてくれた最高の音楽です。指揮する姿も美しく、不意に昔、ウィーンで聴いたルイージの姿が蘇りました。第4楽章は圧巻の出来。ずっと、ルイージの指揮だけを見ていました。これから、ルイージは本領を発揮してくれるんでしょうか。ルイージの指揮で、N響もよく鳴っていました。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮 : ファビオ・ルイージ
  ピアノ : 河村尚子
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:伊藤亮太郎

  グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲を
  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18
   《アンコール》ラフマニノフ:幻想小曲集より 第1曲 エレジー 変ホ短調 Op.3-1

   《休憩》

  ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95「新世界から」


最後に予習について、まとめておきます。


1曲目のグリンカの歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲を予習したCDは以下です。

 エウゲニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル 1965年2月23日 ライヴ録音

この曲だけは、ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルのコンビで聴くしかないですね。完璧とはこのためにある言葉かと思ってしまいます。


2曲目のラフマニノフのピアノ協奏曲 第2番を予習したCDは以下です。

  アンドレイ・ガヴリーロフ、リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団 1989年 セッション録音

ガヴリーロフのデリカシーさが横溢した演奏です。無論、第3楽章のヴィルトゥオーゾぶりは凄いものです。それにしてもピアノの響きの美しいこと。今のガヴリーロフはもっと自由奔放な演奏をするでしょう。


3曲目のドヴォルザークの交響曲 第9番 「新世界から」は聴いたばかりなので、予習はパス。最近聴いたCDは以下です。

 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル 1961年12月6日、プラハ、芸術家の家(ルドルフィヌム) セッション録音
 
これはアンチェルが亡命前にチェコ・フィルと演奏した素晴らしい演奏です。今でも、これを超える演奏はなさそうです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       河村尚子,  

バッハは静謐に軽やかに、コダーイは強いインパクトと情熱をこめて ジャン=ギアン・ケラス・無伴奏チェロ・リサイタル@王子ホール 2022.12.15

ケラスは以前、リゲティを聴いただけですが、その時の印象はとても優し気な音楽を醸し出すもので、チェロにありがちなグイグイくるタイプではないことに好感を持ちました。今日もそのときの印象、そのままの演奏でとても魅了されました。

まずはバッハの無伴奏チェロ組曲全曲のうち、半分の1番から3番までです。残り半分は明日ですが、別のコンサートが急遽はいったので、聴けません。残念!
優し気でインティメットな演奏で第1番の有名なプレリュードが始まります。時として、雄弁にもなりますが、基本、軽やかで流暢な調べが続きます。素晴らしいバッハです。
第2番はファンタジックな面も聴かせてくれます。相変わらず、無理のない自然な音楽です。心の内面に問いかけるような風情の音楽です。
第3番は聴かせどころが多く、ケラスのチェロの美しい響きが耳を魅了してくれます。プレリュードも美しいのですが、サラバンド以降はケラスの腕が冴え渡ります。最後のジーグは圧巻です。
聴き応えのあるバッハが聴けました。全曲の半分だけですが、十分にバッハの無伴奏チェロ組曲の奥義を堪能することができました。

次はコダーイの無伴奏チェロ・ソナタ。これはバッハとは印象をがらっと変えて、雄渾な演奏です。ハンガリー風のメロディーを歌い上げながら、音楽をぐんぐん推進していきます。哀愁も感じる豊かな表現のチェロです。第2楽章ではドラマチックな表現も見事です。第3楽章は激しい勢いでばりばり進みますが、あくまでも音楽的。野性的というよりも上品な雰囲気でハンガリー風の舞曲が歌われていきます。やはり、コダーイもバルトークと一緒にハンガリー民謡を収集したことが分かるような音楽ですが、バルトークとの共通点はハンガリー風を基盤とするところだけ。バルトークは負のエネルギーに満ちていますが、コダーイは外に向かってエネルギーを放射します。ケラスはその特徴をうまく表現していました。何かしら、ハンガリー的な風土への共感もあるようです。アンコールもクルターグでしたし、先日のリゲティも見事でした。アンコールの最後はデュポールで爽やかに締めました。

前半のバッハと後半のコダーイはその様式感を見事に弾き分けて、非凡な演奏を聴かせてくれました。久々に素晴らしいバッハの無伴奏が聴けて、満足です。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  チェロ:ジャン=ギアン・ケラス

  J.S.バッハ
   :無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
   :無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
   :無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009

   《休憩》

  コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ Op.8

   《アンコール》
   クルターグ:「チェロのためのサイン、ゲームとメッセージ」より 信仰
   デュポール:練習曲 第7番 ト短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバッハの無伴奏チェロ組曲を予習したCDは以下です。

  ジャン=ギアン・ケラス 2007年頃 セッション録音

低音が凄く強調された録音。ケラスの静謐な演奏とちょっとイメージが違いますが、なかなか雄渾な演奏に聴こえます。


2曲目のコダーイの無伴奏チェロ・ソナタを予習したCDは以下です。

  ヨーヨー・マ 1999年2月、6月 セッション録音

ヨーヨー・マが満を持して録音したというコダーイの無伴奏チェロ・ソナタはとても見事で美しさも激しさも兼ね備えたものです。



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庄司紗矢香の弾くクロイツェルに言葉もなし@サントリーホール 2022.12.16

久々の庄司紗矢香ですが、曲目と言い、フォルテピアノとガット弦の演奏と言い、とても不安感があります。失礼ながら、モーツァルトはちゃんと弾けるのかなと配偶者にぶつぶつ。
前半はその予感が半ば的中とまでは言いませんが、カシオーリのフォルテピアノのプアーな高音の響きと庄司紗矢香の音楽表現の物足りなさにsaraiのテンションが下がります。恐れていたガット弦とクラシック弓のヴァイオリンの響きはそれほど悪くなく、美しい響きを聴かせてくれます。問題は個性的で魅力に満ちたモーツァルトが表現しきれていないことです。やはり、モーツァルトは難しいですね。
休憩時間中、配偶者にそういうことをぶつぶつ言っていました。

休憩後、そういうsaraiを庄司紗矢香は黙らせてくれました。C.P.E.バッハのファンタジアはヴァイオリンを聴くような曲に思えず、次のベートーヴェンはプアーなフォルテピアノの響きでたいした演奏にはならないだろうと悲観していました。ところが、クロイツェルの冒頭のヴァイオリン独奏の凄さに度肝を抜かれて、そのまま、第1楽章は何とも素晴らしい演奏が続きます。ヴァイオリンの美しい音色、響き、そして、見事なアーティキュレーションで完璧を通り越して、その圧倒的な演奏に驚愕するのみです。ガット弦とかスチール弦とかの問題ではありません。そして、次の第2楽章がさらに凄い。この単調になりがちの楽章が後半に向かって、光り輝くような演奏で、ただただ、うっとりと魅了されます。長大な楽章を圧倒的な演奏で弾き切りました。そして、第3楽章のノリのよくて、推進力に満ちた演奏にsaraiは感動して、もう、涙が滲みます。素晴らし過ぎる。こんなクロイツェルは聴いたことがありません。庄司紗矢香は何と言う高みに上り詰めたんでしょう。日本の至宝、いや、世界の至宝です。現役のヴァイオリニストでこれ以上のベートーヴェンを弾ける人はいないでしょう。

終演後、saraiは言葉もありませんでした。本当に素晴らしい音楽を聴いたときには言うべき言葉を持ちません。ただ、黙って、配偶者と帰途に着きました。きっと配偶者もsaraiの心中を察していたでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  フォルテピアノ:ジャンルカ・カシオーリ

  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K. 304(300c)
  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第35番 ト長調 K. 379(373c)

   《休憩》

C.P.E.バッハ:ファンタジア Wq. 80(H. 536)
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op. 47 「クロイツェル」
    
   《アンコール》
     C.P.E.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 Wq.78より Ⅱ Adagio ma non troppo


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目、2曲目のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第28番と第35番を予習したCDは以下です。

  アンネ・ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 2006年2月、ミュンヘン セッション録音

ムターのさりげないようでいて、実に奥の深いモーツァルトにただただ、魅了されるのみです。


3曲目のC.P.E.バッハのファンタジアを予習したCDは以下です。

  タムシン・ウェイリー=コーエン、ジェームズ・ベイリュー 2018年9月10日-12日&2018年10月13日-14日、ブリテン・スタジオ(スネイプ・モルティングス、イギリス) セッション録音

C.P.E.バッハのヴァイオリンと鍵盤楽器(殆どはチェンバロ)のために書かれたオリジナル作品(Wq.71~Wq.80の10曲)をすべてを演奏した驚きのアルバムです。演奏の質も高いものです。タムシン・ウェイリー=コーエンは1986年ロンドン生まれの若手の才媛。と言っても、庄司紗矢香とほぼ同年齢ですね。


4曲目のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」を予習したCDは以下です。

  ヘンリク・シェリング、アルトゥール・ルービンシュタイン 1958年12月30,31日、ニューヨーク、アメリカ芸術文化アカデミー セッション録音

この演奏は初めて聴きましたが、若きシェリングのヴァイオリンの素晴らしさはもちろんですが、ルビンシュタインのピアノの凄さに唖然となりました。ルビンシュタインのベートーヴェンって、こんなに凄いとは思ってもみませんでした。聴いてみないと分からないものですね。



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       庄司紗矢香,  

桂離宮:笑意軒から月波楼に至り、お庭拝観も完了

2022年11月9日(水)@京都/8回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から外腰掛を経て、洲浜からの絶景を眺め、松琴亭、賞花亭、園林堂と巡り、笑意軒の意匠の素晴らしさに驚嘆したところです。

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笑意軒を立ち去る前に美しい風景に目を凝らします。鏡面のように輝く水面に橋や風景が映り込んで、得も言われぬような風情です。

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秋の風景は天高く輝いています。

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笑意軒から離れていきます。素晴らしい意匠が凝らされて、日本の美に満ち溢れていました。

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太鼓橋の前を過ぎます。橋の向こうには、園林堂が見えています。園林堂は持仏堂ですから、桂離宮には珍しい風景を醸し出しています。

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やがて、その園林堂も桂離宮の風景の中に埋もれてしまいます。

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桂離宮の中枢をなす書院群の前に近づきます。書院群の説明のする看板があります。

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書院群の一番手前の建物は新御殿の建物です。今回は残念ながら、書院の中を見学できません。

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書院の前からは遠くに笑意軒が眺められます。

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池の美しい風景も広がっています。

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やがて、最後に見学する月波楼(げっぱろう)の前にやってきます。これも池の端に建つ茶亭です。開放的な建物は大きく開け放たれた障子窓を通して、お庭の風景が眺められます。

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この月波楼は月を眺めるために建てられたもので、池の眺めも美しいです。池の向かいには松琴亭が見えています。

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化粧屋根裏の竹の垂木が船の底のような形に組んであります。

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松琴亭の市松模様の襖が見えています。何とも風流な景色です。

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月波楼を過ぎると、最初に出発した地点、御幸道の前に出ます。

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これで桂離宮の庭園散策は完了。ここまでの見学ルートを地図で確認しておきましょう。

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超真面目そうな案内人によるガイドツアーでしたが、ところどころに冗談を交えた楽しい説明を聞きながらの散策を、ほぼ1時間楽しみました。



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祝!アルゼンチン 祝!メッシ  そして、京都特別拝観の旅:桂離宮の拝観を終えて、長谷川等伯親子の名画のある智積院へ

2022年11月9日(水)@京都/9回目

俄かファンのsaraiですが、予選リーグで優勝予想はフランスでした。エンバペのハットトリックを撥ね返したのはやはり、メッシでしたね。アルゼンチンもフランスも凄いレベルのプレーで魅了してくれました。
これからブログ記事を書くのはつらいところですが、頑張りましょう。短めの記事になりますが、ご容赦ください。そして、忘れずにブログランキングのプチもお願いします。

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡りました。
京都の寺院のお庭はどこも素晴らしいですが、ここは特別でした。あり得ないような日本の美に圧倒されました。来て、よかった!
今日のメインの予定はこれで完了。これ以上の美はないでしょうから、もう、これで1日の予定を終えても構いません。それでも欲深いsaraiは京都の東山に移動して、智積院に長谷川等伯親子が残した日本美術の最高の精華を味わうことにします。これは予約不要です。桂離宮を出て、再び、最寄りのバス停に向かいます。今度は桂川沿いの道を歩きます。

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この桂川沿いの道のほうが近道でした。すぐにバス停、桂離宮前に到着。でも、この道は車の往来も多く、あまり安全な道ではありません。このルートは、宮内庁は推奨したくないのでしょうね。でも、まだまだ足の調子がよくないsaraiは助かりました。

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東山に向かうためにまずはバスで京都駅に出ます。京都駅まで直通のバスに乗って、京都らしい町並みの中を20分ほどで、京都駅に到着。下りるときにバス一日乗車券を提示すると、これは範囲外とのこと。京都市内有効なのですが・・・ずい分郊外に行ったのですね。ここは、バス一日乗車券をひっこめて、SUICAで支払って下ります。

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さて、ここでお昼にしましょう。京都はやっぱり、京うどんですね。駅近のつくもうどん 塩小路本店で頂きましょう。このうどん屋が地下街にあると分からず、グーグルマップを眺めながらウロウロしてしまいましたが、ようやく地下街で発見。期間限定の九条ネギのあんかけうどんを食べましょう。九条ネギがたっぷりのっかったとろみのついたお汁で、ショウガが効いていて、美味しい!それに安い! たった550円です。

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大満足で、東山の智積院へ向かいます。駅前のバスターミナルで208番のバスを待ちます。それにしても、駅前は人が多い! 特に修学旅行の子供たちが多い! 完全にコロナ前の状況に戻りつつありますね。
大満足で、東山の智積院へ向かいます。駅前のバスターミナルで208番のバスを待ちます。それにしても、駅前は人が多い! 特に修学旅行の子供たちが多い! 完全にコロナ前の状況に戻りつつありますね。
208番のバスで東山七条のバス停で降りるとすぐに智積院に到着です。ここはそれほど混みあってはいません。

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紅葉やイチョウが綺麗ですっかり秋色です。

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その秋色に染まった参道を進んでいくと、受付の案内があり、道を左に折れます。

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拝観受付があります。

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受付を済ませ、まずは、宝物館に収納されてる長谷川等伯の障壁画を拝見します。

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宝物館の内部は写真撮影禁止です。で、何もお見せできないところですが、ご安心ください。この後、智積院の庭園を拝見しますが、その庭園の前の大書院に複製画が収められていて、自由に撮影できるんです。しかも、宝物館のオリジナルはかなり色落ちしていますが、複製画は往時の鮮やかな色合いで着色されています。

宝物館では、配偶者と二人だけで長谷川等伯と夭逝した息子の久蔵が描いたオリジナルの楓図と桜図を独占して鑑賞しました。残念ながら、障壁画は色落ちして、描いた当時の豪華絢爛な鮮やかさは想像するしかありません。25歳の久蔵が描いた桜図、その久蔵が26歳で急逝した翌年に父長谷川等伯が哀惜の情を振り切って、あるいはその死に手向ける思いを込めて描いた楓図の2枚の障壁画が並んで展示されていました。ずーっと前から、いつかは見たいと念願していた作品をたった二人だけで鑑賞できて本望です。で、満足して、宝物館を出て、利休好みの庭園に入ります。

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この時点では、まさか、ここで豪華絢爛な複製画が見られるとは予想だにしていませんでした。



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インバル&東京都交響楽団の素晴らしいアンサンブルのフランクの交響曲@東京文化会館 2022.12.19

今日のインバル指揮の都響も見事なアンサンブルを聴かせてくれました。

最初のベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》はヘルムヒェンが実に端正なピアノを聴かせてくれました。ドイツの正統派と言いたいところですが、妙に重苦しいところのない明晰なピアノの響きで美しい演奏です。一方、都響はあまり精彩さのない演奏でもうひとつの印象です。もっとヘルムヒェンのピアノを盛り立ててほしかったですね。そういうわけで、むしろ、アンコールでヘルムヒェンが弾いたシューマンの《予言の鳥》が素晴らしかったです。あのミステリアスな雰囲気がよく出ていて、聴き惚れました。ヘルムヒェンがシューマンのリサイタルをやるのであれば、駆けつけたいものです。

休憩後、フランクの交響曲 ニ短調。インバル指揮の都響がみちがえるように素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。とりわけ、トゥッティのときの弦の響きの素晴らしいこと。フランクの独特の循環主題が光り輝くような演奏にうっとりと聴き惚れます。インバルは静謐なパートも丁寧にオーケストラをドライブして、何とも美しい演奏を聴かせてくれます。第1楽章のフランスの香気漂うような音楽に魅了され、第2楽章は静謐なメロディーに彩られた夢幻の音楽にうっとり。そして、第3楽章は力強く、循環主題が歌い上げられて、最後は高潮して圧巻のフィナーレ。インバルがフランクの音楽にもこういう入れ込み方をするとは意外でした。とても素晴らしいフランクでした。やはり、インバルが振ると都響はよく鳴ります。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エリアフ・インバル
  ピアノ:マルティン・ヘルムヒェン
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉(隣の席はコンマスの山本友重)

  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 《皇帝》
   《アンコール》シューマン:森の情景より第7曲「予言の鳥」Op.82-7

   《休憩》

  フランク:交響曲 ニ短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》を予習したCDは以下です。

  マルティン・ヘルムヒェン、アンドルー・マンゼ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団 2019年5月、ベルリン・フィルハーモニー セッション録音

ヘルムヒェンの端正で明晰な演奏で大変聴き映えがします。


2曲目のフランクの交響曲を予習したCDは以下です。

  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1953年12月14-15日 スタジオ録音

フルトヴェングラーの大変、ロマンの色濃い演奏です。



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智積院:利休好みの庭園、そして、大書院には何と!!

2022年11月9日(水)@京都/10回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡りました。あり得ないような日本の美に圧倒された後、京都駅で美味しいうどんをいただき、長谷川等伯の名画を見るために東山の智積院に向かいます。
宝物館で配偶者と二人だけで長谷川等伯と夭逝した息子の久蔵が描いたオリジナルの楓図と桜図を独占して鑑賞しました。宝物館を出て、利休好みの庭園に向かっているところです。
講堂の前の路地を縁側に沿って進んでいくと、池を巡らせたお庭が見えてきます。

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石橋や大きな石を配したお庭が見事です。ここはお庭の南端のあたり。お庭の中心はまだまだ先です。

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南北に伸びる池の東には築山が高く盛り上げられています。これは池が揚子江、築山が廬山を模しているのだそうです。中国の一服の山水画をモチーフにした作庭だそうです。

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さらに北側に向かおうとすると、いったん、西側に引っ込んだ路地を歩き、北に続く大書院の入口に回り道する必要があります。

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大書院に上がり、東側の縁側に出ると、お庭の絶景が広がります。

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池の北の端の先には宸殿が見えています。宸殿は非公開です。

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廬山を模した築山が高く聳え、その高みにはお堂も見えています。

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池の手前には一文字形手水鉢が置かれています。これは、元々は茶室の傍に置かれていたものです。

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外のお庭に気を取られていましたが、大書院の内部をふと見ると、何と何と、宝物館で今見て来た等伯と子の久蔵の不朽の名画、桜図と楓図の復元画が襖絵として収められています。元来の鮮やかな色合いです。実際はこんな風だったのですね。それにここは写真撮影ができるようです。どうぞ、皆さんもこの素晴らしい傑作をご覧ください。

これは25歳の久蔵が描いた桜図。金箔の背景に桜が華やかに彩られています。無論、オリジナルは国宝です。

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これは久蔵が26歳で急逝した翌年に父長谷川等伯が哀惜の情を振り切って、あるいはその死に手向ける思いを込めて描いた楓図です。楓の鮮やかさ、生命力には息を呑むような迫力があります。無論、オリジナルは国宝です。

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こうなると、この絵の前から立ち去りがたくなります。あっちから見て、こっちから見て、時の経つのを忘れます。



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東響が鳴りまくったベートーヴェンの《第9》 秋山和慶&東響@東京オペラシティコンサートホール 2022.12.21

今年も秋山和慶&東響は《第9》で極上の演奏を聴かせてくれました。昨年も書いたように秋山和慶はまるで《第9》のスペシャリストのようです。

冒頭の「エグモント」序曲から、東響は素晴らしく鳴っています。このヒロイックな作品を素晴らしい音でがんがん聴かせてくれて、気持ちが高揚します。圧倒的な演奏でした。

続く交響曲第9番も素晴らしい音で東響が鳴りまくります。第1楽章と第2楽章は特にコンマスの水谷晃が引っ張って、美しい弦のアンサンブルを中心に見事な演奏を聴かせてくれます。秋山和慶の冷静で的確な指揮も印象的です。第3楽章に入ると、第1主題、第2主題、それらの変奏が続き、次第に楽興が高まっていきます。しみじみと美しいメロディーが最高の弦で奏でられ、徐々に心に沁み入ってきます。こういう高まりのある演奏に心を奪われる思いでした。第3楽章でうっとりしていると、一気に恐怖のファンファーレで第4楽章に突入します。第4楽章はオーケストラが好調を維持し、久しぶりの東響コーラスの大規模な演奏が響き渡り、器楽と声楽の織り成す熱のこもった演奏に耳を奪われます。独唱だけは少し物足りないのが残念です。最終部分で弦が踏ん張って、合唱が高潮するところでは鳥肌がたつ思いです。そして、東響の圧倒的なコーダに感銘を受けます。

やはり、ベートーヴェンの第9番シンフォニーは特別な曲であることを実感させられました。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:秋山和慶
  ソプラノ:秦茂子
  メゾ・ソプラノ:杉山由紀
  テノール:村上公太
  バリトン:原田圭
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:水谷晃

  ベートーヴェン:「エグモント」序曲
  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱付」

   《アンコール》
    蛍の光 AULD LANG SYNE

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンの「エグモント」序曲を予習したCDは以下です。

  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1967年、クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

いやはや、完璧な演奏。感動しました。


2曲目のベートーヴェンの交響曲 第9番を予習したCDは以下です。

  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団・合唱団、
   アデーレ・アディソン(S)、ジェーン・ホグソン(M)、リチャード・ルイス(T)、ドナルド・ベル(Br)
      1961年、クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

何とも素晴らしいセルの精密極まりない演奏。クリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも素晴らしく、まったく隙がありません。ひとつ残念だったのは独唱者たちの歌唱が凡庸だったこと。



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智積院:大書院にはレプリカとは言え、絢爛豪華な等伯親子の楓図と桜図

2022年11月9日(水)@京都/11回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭を巡りました。あり得ないような日本の美に圧倒された後、東山の智積院で長谷川等伯の描いた最高の日本の美に対峙しています。
宝物館で配偶者と二人だけで長谷川等伯と夭逝した息子の久蔵が描いたオリジナルの楓図と桜図を独占して鑑賞した後、利休好みの庭園に面した大書院で桜図と楓図の復元画に遭遇。復元された鮮やかな色彩美に感銘を受けます。

手前の楓図、その先に続くのが桜図です。等伯親子の不朽の名作です。

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等伯が子の久蔵の死後、渾身の力で描き上げた何とも悲愴さの漂う美の結晶です。

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その横には、何とも清らかさを湛えた久蔵の早逝前の傑作、桜図が光り輝きます。

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上段の間には、等伯の《松に立葵図》があります。これも宝物館にあるオリジナルのレプリカです。

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《松に立葵図》は上段の間の横の棚まで続いています。旧祥雲禅寺の障壁画そのままの再現です。

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今度は桜図を手前に、その先に楓図という配置で見てみます。このほうが実際の歴史の順ですね。

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大書院は実に大きな広間です。楓図の先に入ってきた入口(南側)があります。

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で、その南側の入口あたりから、再び、楓図、桜図を眺めます。いくら眺めても素晴らしいこと、この上ありません。次第にレプリカであることを忘れてしまいそうです。

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さらに楓図、桜図、上段の間の《松に立葵図》を合わせて眺めます。豪華な眺めです。

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いくら眺めて飽きませんが、このあたりで大書院の復元画を眺めるのを切り上げます。オリジナルと違って、写真撮影可だったので、みなさんに等伯親子の渾身の傑作をご紹介できて、ブロガーとしても満足です。

再び、大書院の東側の縁に出て、庭園を眺めます。正面に廬山を模した築山が聳えます。その頂から切り石を並べて、滝が造られています。滝を跨いで切石橋が設けられています。滝上部に石橋を渡す手法を玉澗流(ぎょっかんりゅう)と言うのだそうです。宋の有名な水画家・玉澗の山水画がモチーフとなっているからだそうです。

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揚子江を模した南北に長い池に石橋が渡してあります。石橋を渡って、築山側に渡り、隘路を登って、奥に進み、奥にある石橋を渡って散策できるようになっています。残念ながら、立ち入り禁止になっています。

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築山の滝、池に架かる2本の石橋が見渡せる絶景です。滝が流れ落ちる池の前には、水を左右に分ける「水分石」を配してあります。

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庭園も堪能し、大書院を後にします。去り際に南側の縁から中を眺めると、楓図、桜図が美しく輝いています。金箔障壁画の輝きです。

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智積院の境内は美しい秋色に染まっています。自然の美も素晴らしいですね。

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智積院の歴史を最後に勉強します。

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弘法大師の真言教学を学ぶ学問所だったのですね。その後、歴史に翻弄されながらも生き残り、現在は真言宗智山派の総本山として、全国に約3千もの末寺を従え、その中には成田山新勝寺、川崎大師平間、高尾山薬王院の大本山もあり、檀信徒数は約30万人に及ぶそうです。物凄く格の高いお寺なんですね。そして、それにふさわしい文化財を誇っています。京都の寺院の凄さに驚きながら、次の目的地に向かいます。



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次は俵屋宗達の象の絵・・・ええっ!!

2022年11月9日(水)@京都/12回目

京都、2日目です。
桂離宮の美しいお庭のを巡り、あり得ないような日本の美に圧倒された後、東山の智積院で長谷川等伯の描いた最高の日本の美を堪能しました。
さて、すぐ近くに、俵屋宗達の象の絵があるので、見ていきましょう。養源院(ようげんいん)に宗達の代表作「白象図」があります。
三十三間堂の手前の通りに入って、すぐです。

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あれ~、通り過ぎたのか見つかりません。戻ってみると、養源院は見つかりますが、固く門が閉じられています。

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近寄ってみると、小さな文字で「本日の拝観は終了しました」の張り紙が・・・時計を見ると、まだ3時を数分過ぎてるだけです。早過ぎませんか。くぐり戸から出てくる人も多いのですが、どうやら拝観終了で出てきたようです。諦めて帰りましょう。仕方ありませんね。
養源院のお隣は派手に旗が林立しています。近くに寄ってみると、後白河法皇御所聖跡 天台宗 法住寺だそうです。ふーん、色々なお寺がありますね。旗には身代り不動と書かれています。法住寺のご本尊の厄除けの不動さんだということです。

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博物館三十三間堂前のバス停に出て、また京都駅に戻り、伊勢丹で夕食の買い出しをして帰りましょう。
なにか京都ならではのものを買いたいのですが、なかなか決まりません。ウロウロしていると、「2割引きだよ」との掛け声。それにつられて、中華総菜を3品購入してしまいます。それではと、さらにハモの湯引きと豆腐を購入。湯豆腐にしていただきましょう。薬味に九条ネギをゲット。お米を持って来るのを忘れたので、京都・丹波産のお米も購入します。
地下鉄でホテルに戻ります。
ホテルはMIMARU SUITES 京都四条。真新しいビルです。

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ホテルのお隣は平等寺です。

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とりあえず、saraiはお昼寝。一服して、美味しく夕食を頂きます。
京都・丹波産の結構高価なお米です。

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ふっくらと炊き上がります。

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ハモの湯通し。京都ならではです。

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ハモをアテに白ワインをいただきましょう。

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さて、これが2割引きにつられて購入した中華総菜三品。これは京都とは関わりのない品ですね。

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これは九条ネギをたっぷりのせた湯豆腐です。これは京都らしいですね。

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さあ、京都らしいような、京都らしくないような豪華な夕食をいただきましょう。

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食事を終えて、後はブログを書いて寝るだけ。
明日の拝観予約は9時。早く寝ましょう。



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修学院離宮:庭園散策ツアーを開始

2022年11月10日(木)@京都/1回目

京都、3日目です。
今回のテーマは予約必須の特別拝観の名所です。
昨日は桂離宮の美しいお庭を巡り、あり得ないような日本の美に圧倒されました。
今日は修学院離宮の拝観を予約しています。抽選予約でとれた予約時間は、何と9時!!! saraiにはあり得ないような早朝です。
修学院離宮は比叡山の麓にあり、京都の中心からは1時間以上かかるので、7時半には出かけましょう。ということで、saraiは粘って7時起床。簡単に朝食をすませて出かけます。地下鉄の駅はすぐそこなので、出かけてしまえば移動はスムーズです。国際会館駅で烏丸線の地下鉄を下りて、国際会館前の大きなバスターミナルでバスに乗り継ぎます。バスターミナルは閑散としています。

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市営バスB乗り場で5系統のバスを待ちます。

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ほどなく、5系統のバスがやってきます。

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予定通り、修学院離宮道のバス停に到着です。あとは、修学院離宮まで徒歩です。スマホのマップアプリを立ち上げて、指示通りに進んでいるつもりなのですが、どんどん細い田道に入り込んでいきます。大丈夫かしら・・・

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でも、水路際に咲くコスモスの美しさに目をやる余裕もあります。

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配偶者が、犬の散歩をしているご夫婦に声を掛けます。やはり道を間違えているようです。でも、このまま進んでも辿り着くとのことなのですが、ご夫妻は、同じ方向に行くので一緒に行きましょうと提案してくださいます。それは、ありがたいです。思いがけず、犬の散歩ができることになりました。saraiは、タロウ(犬の名前)にずい分気に入られたようで、つねに振り向いて存在を確認してくれます。ありがとうね。楽しい散歩のおかげで無事に拝観開始20分前に修学院離宮に到着です。ご夫妻は、修学院離宮前での朝市に行かれるところだったようです。お世話様でした。

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修学院離宮の参観者入口を入ると、すでに人が集まっています。

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昨日の桂離宮と同じく、ここも宮内庁の管轄なので、同じようなシステムで手続きが進みます。でも、こちらの方が少々緩い感じ。それに無料です(昨日は千円)。
予定の人が集合したとのことで、少々早いですが、始めましょうとスタートします。番号札はなし。今日の案内人は、若い方です。70分から80分程度、3.5キロを歩くのですが、それなりに山道なので、足元に気を付けていきましょうとのこと。3つの離宮を巡るらしいです。
修学院離宮は比叡山の麓、東山連峰の山裾に造られたものです。桂離宮の人工美とは異なり、自然の地形を生かした美しさが真骨頂です。桂離宮に遅れること30年で造営されたとは、なんとも贅沢なものです。
歩き始めると、すぐに紅葉したモミジが目を楽しませてくれます。

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最初に訪れる下離宮の御幸門の前に到着します。ここで案内人の説明があります。

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御幸門をくぐって、下離宮に入ります。御幸門は杮葺きの屋根の板戸の門です。

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板戸には、花菱紋の透かし彫りが施されています。

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中に入り、さらに中門をくぐります。

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中門の先には、池を配した庭園が広がります。

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庭園もモミジが実に素晴らしいです。予定していませんでしたが、モミジの時期にぴったりだったようです。美しい風景を楽しめそうです。



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修学院離宮:下離宮の寿月観

2022年11月10日(木)@京都/2回目

京都、3日目です。
修学院離宮の秋色に彩られたお庭を巡り始めたところです。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から中門を経て、下離宮のお庭に出たところです。

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下離宮のお庭は小さな池が静かに湛える水面に周りの樹木が映り込んでとても美しい風景を作っています。

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池の周りは苔に覆われて、美しい緑が映えています。

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緩やかな階段を登った先には寿月観(じゅげつかん)という名前の離宮の建物(御茶屋)があります。《寿月観》という扁額もあります。これは後水尾上皇の筆によるものです。

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右側が15畳の一の間、左側が二の間、三の間となっています。

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この寿月観の前には山麓から引かれた水の流れがあります。

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寿月観の周りは紅葉したモミジが美しく秋を彩っています。

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お庭の樹木の上には秋の空が広がっています。

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軽やかな水音が静かな離宮に響いています。

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寿月観の一の間の襖には虎渓三笑の絵が岸駒によって描かれています。

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下離宮の見学が終わり、御幸門とは相対する位置にある東門に向かいます。

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東門から下離宮を出ると、ぱぁーと視界が広がり、比叡の山麓が見渡せます。小高い山もモミジが美しいですね。

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振り返ると、下離宮の東門もモミジで鮮やかに彩られています。

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ここからは上離宮と中離宮に続く松並木の2本の道が分かれています。先に中離宮へ続く松並木を進みます。

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いったん、中離宮を訪れて、また、ここへ戻って、最後は上離宮に向かうとのことです。ずい分、自然の中を散策することになりそうです。足が痛いsaraiですが、昨日の桂離宮以上に頑張る必要がありそうですね。



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修学院離宮:松並木の道を辿って、中離宮へ

2022年11月10日(木)@京都/3回目

京都、3日目です。
修学院離宮の秋色に彩られたお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から下離宮を見て、中離宮に向かっているところです。

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下離宮は修学院離宮の入口のようになっていて、そこから、上離宮と中離宮が松並木の道でつながっています。今は中離宮へ続く松並木の道を辿っています。

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こちらは上離宮への松並木の道。後でこちらを歩く予定だそうです。

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結構、松が密に並んでいて、周りの視界は遮られています。実はこの松並木の外は昔は修学院離宮の敷地ではありませんでした。

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これが松並木の外側の風景です。ただの畑があるだけです。かつてはこの畑は民有地でしたが、今は景観を守るために修学院離宮の所有地になっています。もちろん、畑は農民に貸し与えられているそうです。周りの山も修学院離宮の所有なんだそうです。ですから、修学院離宮は離宮自体と周りの水田畑地や山地から成っています。総面積54万5千㎡を超える雄大な離宮です。

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こちらは市街地のほうが見えています。周りの畑地は修学院離宮の敷地です。

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こういう畑地も修学院離宮の景観のひとつなんですね(笑い)。

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やがて、中離宮の板塀が見えてきます。

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板塀越しに綺麗なモミジが見えています。

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板塀の横に簡素な入口があります。中離宮のなかに入りましょう。

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庭園の中の緩やかな階段状の道を進んでいきます。

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中離宮の中にさらに塀に囲まれたところがあります。この先が本当の中離宮のようです。

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ここも横手にある簡素な入口を抜けていきます。

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まずはがっしりとした白壁の蔵がお出迎えです。

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ここにも秋色に彩られた小さな庭園があります。

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この庭園の前に中離宮の最初の建物、楽只軒が佇んでいます。



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修学院離宮:中離宮の庭園、楽只軒と客殿

2022年11月10日(木)@京都/4回目

京都、3日目です。
修学院離宮の秋色に彩られたお庭を巡っています。
ここまでのお庭の拝観ルートを地図で確認しておきましょう。
御幸門から下離宮を見て、中離宮の庭園に差し掛かっているところです。

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庭園の前に中離宮の楽只軒(らくしけん)が佇んでいます。簡素な建物ですが、床が低くて、庭との一体感を深めています。

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庭と楽只軒が秋の風景の中でひとつになっています。何と美しいのでしょう。

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楽只軒の周りを歩きながら、庭の自然を満喫しています。

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楽只軒に隣り合う建物、客殿の前にやってきます。この客殿は天和2年(1682年)に光子内親王のために女院御所から移築されたものです。

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客殿の前のお庭には水の流れが作られています。軽やかな水音も響いてきます。

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客殿の一の間は12畳半で、一間半の飾り棚も構えています。互い違いに配された大小5枚の棚板がいかにも霞がたなびくように見えることから霞棚と呼ばれています。桂離宮の桂棚と並び称されています。

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杉戸には、祇園祭の鉾の絵が描かれています。

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客殿の裏手には高みに登る苔むした石段があります。この石段の上の林丘寺は公開されていないようです。

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楽只軒に戻り、古びた扁額を眺めます。

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楽只軒と客殿は高さの違いを階段でつなげています。

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中離宮の見学を終えて、出口に向かいます。

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さらに石段を下りて、外側の塀の出口に向かいます。

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中離宮の外への出口です。

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外に出て、再び、松並木の道を戻っていきます。

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いよいよ、次は最後の上離宮です。期待に胸が高鳴ります。



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ジョナサン・ノットのいつになく燃え上がる指揮のもと、東京交響楽団の第九は高精度の最高の演奏@サントリーホール 2022.12.28

ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九を聴くのは今年で4年目になります。昨年、遂にノットもこの第九を完璧に己のものとし、今回は奇跡のような自在のオリジナリティあふれる演奏を聴かせてくれました。もっとも、まだまだ、伸びしろを残した演奏で来年以降も飛躍が続くでしょう。第1楽章から、ノットの素晴らしい指揮姿から目が離せません。何故か、モーツァルトのドン・ジョヴァンニの地獄落ちを思わせる白熱した演奏に驚愕します。そして、そのアーティキュレーションの見事さに、感銘を受け続けます。とりわけ、アゴーギクの微妙さが驚異的です。その結果、オーケストラへの要求水準が高過ぎますが、東響のメンバーが必死にくらいついて、次第に熱い演奏に高まっていきます。ノットと東響のこういう関係がとても好ましく感じられます。ノットと東響はこうして切磋琢磨して成長してきました。それにしても第1楽章の高速演奏にしびれます。
東響は初のトリプルコンマス!! そして、チェロのトップには何とカルテット・アマービレの笹沼樹が座っています。特別参加なんでしょう。絞った構成の豪華メンバーの弦楽アンサンブルが緻密な音楽を聴かせてくれます。やはり、東響はやってくれますね。

第1楽章の冒頭から素晴らしい演奏が続き、saraiはもう感動の中にいます。冒頭のカオスの中から実在が出現するようなフレーズが途中、何度も繰り返し現れますが、そのたびに音楽の質が向上して、感銘の度合いが高まります。何と言っても東響の切れの良いアンサンブルが凄過ぎます。息もできない緊張感の中、圧巻の演奏で第1楽章は終わります。第2楽章もそのままの勢いで切れのよいアンサンブル。実に素晴らしい響きの音楽が鳴り響きます。とりわけ、トリオの部分の音楽的な精度の高さに魅了されます。弦の素晴らしさはもちろんですが、管の素晴らしいこと。音楽に聴き惚れているうちに第2楽章もすーっと終わります。ここで独唱陣4人の入場。合唱の東響コーラスは最初から後方席に陣取って、出番を待っています。
第3楽章が始まります。音楽的にとても美しい演奏です。ノットの解釈は万全です。早めのテンポで引き締まった演奏です。saraiの趣味ではもっと瞑想的な表現が好みではありますが、なるほど、こういう流れるような音楽表現もあるんですね。ノット独自の表現です。これ以上の演奏は現時点では望むべくもありませんが、さらにこの表現を極め尽くしていくのでしょう。。
第3楽章が終わると、間を置かずに恐怖のファンファーレで熱い音楽の幕開けです。器楽による“歌”が奏でられて、歓喜の歌も終焉すると、声楽が加わります。独唱陣が実に好調です。バリトンの与那城敬は踏ん張った歌唱ですし、ソプラノの隠岐彩夏の力のある歌唱が冴え渡ります。東響コーラスの大合唱は圧倒的です。とりわけ、2重フーガでの力強い男声合唱と清らかな女性合唱の交錯では一段と力が増します。このあたりからは音楽は高潮し続けてます。そして、再び、独唱陣が立ち上がり、最後の4重唱がフーガ風の最高の歌唱を聴かせてくれます。独唱陣は渾身の力をふりしぼり、満足できる歌唱を聴かせてくれます。ここではテノールの小堀勇介とソプラノの隠岐彩夏の突き抜ける歌唱に心が熱くなります。そして、最後のフェルマータの美しい響きが素晴らしくて、感銘を覚えます。その残影の後、物凄い合唱が燃え上がり、音楽は最高峰に上り詰めます。そして、圧倒的な東響の力が火の玉のように燃え上がって、爆発的なコーダに突入。圧巻のフィナーレです。ベートーヴェンの特別な音楽をノットと東響、そして、東響コーラス、4人の好調な独唱者が極上の演奏を聴かせてくれました。

これを持って、今年のsaraiのコンサートは終わりになりますが、まさにそれにふさわしい最高のコンサートでした。これで今年はジョナサン・ノット&東京交響楽団のコンサートは13回も聴けました。いずれも素晴らしい演奏でした。頂点はもちろん、2回聴いた最高の《サロメ》。そして、このコンサートが今年、saraiが聴いた151回目のコンサートです。


おっと、今年のシメはまだ、大晦日のジルヴェスターコンサートが残っていました・・・。もう一度、東響が聴けます。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:隠岐彩夏
  メゾソプラノ:秋本悠希
  テノール:小堀勇介
  バリトン:与那城敬
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団(コンサートマスター:小林壱成(水谷晃、グレブ・ニキティンも加わり、トリプルコンマス))

  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125

  《アンコール》 蛍の光 AULD LANG SYNE(スコットランド民謡)


最後に予習について、まとめておきます。

先週、ベートーヴェンの交響曲 第9番を以下のCDで予習したばかりです。今回はフルトヴェングラーを聴こうと思いましたが、やはり、やめました。

  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団・合唱団、
   アデーレ・アディソン(S)、ジェーン・ホグソン(M)、リチャード・ルイス(T)、ドナルド・ベル(Br)
      1961年、クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

何とも素晴らしいセルの精密極まりない演奏。クリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも素晴らしく、まったく隙がありません。ひとつ残念だったのは独唱者たちの歌唱が凡庸だったこと。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,  

saraiの音楽総決算2022:ピアノ・室内楽編

今年もブログの締めくくりはsarai恒例の音楽総決算です。今日はピアノ・室内楽編です。

今年は厳選したコンサート・オペラに計151回足を運びました。もう、今後、そんなに行くことはないでしょう。痛い足をひきずりながらの悲壮なものでした。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。今年もこのジャンルをたくさん聴きました。で、今年も、ピアノ・リサイタルと室内楽コンサートに分けて、ベストの10回を選んでみます。

まず、ピアノ・リサイタル部門です。ベスト10は次の通りです。なお、器楽として、無伴奏ヴァイオリン・リサイタルも含んでいます。すべて素晴らしいので、順位付けはやめました。ともかく、田部京子、アンジェラ・ヒューイット、アンドラーシュ・シフの3人、そして、天才、上原彩子と藤田真央は特別の存在です。

天才、藤田真央の自由闊達にして、優美さの極致のモーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会@王子ホール 2022.4.1 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4316.html
藤田真央のシューベルト、シューマンの最高の演奏に感動!@東京オペラシティ コンサートホール 2022.4.11 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4326.html
上原彩子はリストのロ短調ソナタでも魂の燃焼、デビュー20年の軌跡を実感@日経ホール 2022.5.11 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4356.html
バッハの不滅のフーガ、アンジェラ・ヒューイット、感動の永遠の静寂 The Bach Odyssey 12@紀尾井ホール 2022.5.25 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4371.html
ただただ、その詩情に満ちたピアノの響きに耳を傾けるだけ 田部京子ピアノ・リサイタル《シューベルト・プラス第9回》@浜離宮朝日ホール 2022.6.26 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4403.html
圧巻のバルトークに感動 アリーナ・イブラギモヴァ・無伴奏ヴァイオリン・リサイタル@王子ホール 2022.9.8 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4477.html
感動の日々、アンドラーシュ・シフの磨き抜かれた響きのベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番は空前絶後@東京オペラシティ コンサートホール 2022.11.1 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4533.html
感動の日々、メシアンの鳥のカタログ、完璧な演奏に驚愕 ピエール=ロラン・エマール@東京オペラシティ コンサートホー。ル 2022.11.3 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4534.html
感動の日々、アンドラーシュ・シフの2回の覆面コンサートは計7時間に及ぶマラソンコンサート、その行き着く果ては・・・孤高のシューベルトの遺作ソナタ イ長調 D959@東京オペラシティ コンサートホール 2022.11.4 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4535.html
万感の思いでシューベルトを聴く・・・夢は枯野をかけ廻る 田部京子ピアノ・リサイタル《シューベルト・プラス第10回》@浜離宮朝日ホール 2022.12.4 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4565.html


アンジェラ・ヒューイットの弾くバッハの全鍵盤曲(オルガン以外)のシリーズは遂に今年で完結。最後はやはり、フーガの技法でした。彼女の素晴らしさには毎回驚かされますが、途轍もない高みの演奏でした。saraiの音楽人生の一区切りです。

田部京子のシューベルト・プラス・シリーズも今年の2回で完結。シューベルトを軸にベートーヴェン、シューマン、ブラームスのドイツ・オーストリアの中核音楽を素晴らしい演奏で聴かせてくれました。やはり、3回も聴けたシューベルトのピアノソナタ第21番は感動の演奏でした。完結したとは言え、既に来年のリサイタルも決まっています。このまま、シューマン・プラスに移行してくれないかな。

アンドラーシュ・シフの2回の覆面マラソン・コンサートも圧巻でした。ベートーヴェンとシューベルトの後期作品は凄かった。また、来年も来てほしいものです。

上原彩子はデビュー20周年。心技体、充実して、演奏の幅も広くなりました。中核のラフマニノフのピアノ独奏作品も聴かせてほしいものです。

今、藤田真央の天才は留まるところを知らぬ勢いです。その独特の繊細なタッチのピアノは世界を席巻することでしょう。

ピエール=ロラン・エマールのメシアンの鳥のカタログは凄かった。滅多に聴けない演奏でした。

ヴァイオリンのアリーナ・イブラギモヴァも才能を開花させている一人です。今や聴き逃がせないヴァイオリニストです。

このほか、惜しくも選にもれた人も多々います。復活したマリア・ジョアン・ピリス。孤高のピアニスト、高橋悠治。熟成してきた河村尚子。重鎮の伊藤恵。チェロのケラスなど、ベスト10に入れたい人でした。


次は室内楽部門です。鶴見サルビアホール3F音楽ホールで聴いた弦楽四重奏の名演の数々は忘れられません。そして、年末に久々に聴いた庄司紗矢香はやはり、素晴らしかった。ベスト10は次のとおりです。順位はつけていません。

プラジャーク・クァルテットのベートーヴェン・チクルス第4夜 超感動!!魂をする弦楽四重奏曲第浄化15番の極美の世界@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.6.2 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4379.html
驚愕のモーツァルト、慟哭のショスタコーヴィチ、エベーヌ弦楽四重奏団の感動の演奏@紀尾井ホール 2022.6.17 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4394.html
デュティユー、ドビュッシー、ラヴェルというフランス音楽でも魅了してくれるカルテット・アマービレ@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.6.29 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4406.html
進化が止まらない辻彩奈、圧巻のショスタコーヴィチ@トッパンホール 2022.7.14 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4421.html
シューベルトのピアノ三重奏曲、飛びっきり素晴らしい第2番に感動! 郷古廉×横坂源×北村朋幹@浜離宮朝日ホール 2022.9.28 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4497.html
シューベルトの魂の叫びを具現化するタカーチ・クァルテットの圧巻の「死と乙女」@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.9.30 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4499.html
クァルテット・インテグラにはバルトークが似合う、そして、ウェーベルンも凄い!@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.10.11  https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4511.html
感動の日々、クァルテット・ベルリン=トウキョウの圧巻のベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.10.31 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4531.html
エスメ・クァルテット、慟哭のメンデルスゾーンを熱演@鶴見サルビアホール3F音楽ホール 2022.11.15 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4546.html
庄司紗矢香の弾くクロイツェルに言葉もなし@サントリーホール 2022.12.16 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4577.html


国内の若手カルテット、カルテット・アマービレやクァルテット・インテグラの台頭が印象的です。
海外組では、解散前のプラジャーク・クァルテット、世界最高峰のエベーヌ弦楽四重奏団やタカーチ・クァルテット、選には漏れたベルチャ・カルテットなどが素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
クァルテット・ベルリン=トウキョウやエスメ・クァルテットも最高の演奏でした。
辻彩奈の進化も凄まじいものです。
そして、やはり、我が国の至宝、庄司紗矢香の弾くクロイツェルはsaraiの人生で最高の演奏でした。
来年は待望のロータス・カルテットに期待しましょう。


一応、この部門全体を通した最上位を決めておきましょう。それは以下です。

アンドラーシュ・シフの2回の覆面マラソン・コンサート

今年もピアノは高いレベルの演奏ばかりでしたが、シフは世界最高のピアニストです。



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saraiの音楽総決算2022:オペラ・オペレッタ・バレエ編、協奏曲編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回はオペラ・オペレッタ・バレエ編およびで奏曲編です。
今年はオペレッタとバレエは見ていません。ウィーンに行っていないからです。オペラもコロナ前は海外で見たオペラが並ぶところですが、代わりに新国立劇場の公演が並ぶことになりました。いつの間にか、日本のオペラ水準もヨーロッパ並みになり、とても聴き応えがあります。今年の前半は中村恵理がヴィオレッタを歌ったラ・トラヴィアータ(椿姫)に感動し、2回も聴きました。もっと聴きたかったのですが、他の公演と重なり、自重しました。今年の後半はジョナサン・ノット&東響のサロメが圧巻の出来。何と言ってもサロメを歌ったアスミク・グリゴリアンの美女にして迫真の歌唱に深く感動! 初来日だったそうで、これからも何度も来日してほしい最高のソプラノです。

で、今年は以下をベスト10に選びました。順位は付けていません。

凄過ぎる!!《さまよえるオランダ人》@新国立劇場 2022.2.2 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4258.html

超感動!!中村恵理、薄幸の女の墓碑銘を絶唱 《椿姫》@新国立劇場 2022.3.16 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4300.html

中村恵理、究極のヴィオレッタを熱唱 《椿姫》2回目@新国立劇場 2022.3.19 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4303.html

カウンターテノール、ローレンス・ザッゾの素晴らしいオルフェオと鈴木優人の見事な指揮 《オルフェオとエウリディーチェ》@新国立劇場 2022.5.21 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4366.html

静謐で深遠なドビュッシー、大野和士の渾身の音楽作りに感銘 《ペレアスとメリザンド》@新国立劇場 2022.7.13 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4420.html

高い水準のバロック・オペラを堪能 《ジュリオ・チェーザレ》@新国立劇場 2022.10.8 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4508.html

オペラは最高!抱腹絶倒のチョン・ミュンフン&東フィルの《ファルスタッフ》@東京オペラシティコンサートホール 2022.10.21 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4521.html

ヘンデルの日本初演オペラ「シッラ」(完全舞台版世界初演)@神奈川県立音楽堂 2022.10.29 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4529.html

史上最強の《サロメ》 美女にして強靭な響きの美声を誇るグリゴリアンに深く感動 ノット&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2022.11.18 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4549.html

史上最強の《サロメ》2回目 聴けば聴くほどグリゴリアンは凄い! ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.11.20 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4551.html


上に書いたようにアスミク・グリゴリアンのサロメは凄かった。ザルツブルク音楽祭でもサロメで絶賛されたソプラノはやはり只者ではありませんでした。強靭な響きの美声で、音楽表現も素晴らしかった。まるでマリア・カラスみたい・・・
ジョナサン・ノット&東響のR.シュトラウスのコンサート形式オペラシリーズの第2弾は来年の5月にエレクトラ。きっと、サロメ以上の演奏になるような予感がします。最後の第3弾は薔薇の騎士か、アリアドネか、あるいは後期のカプリッチョか、ダナエの愛か・・・想像するだけでも楽しいです。あっ、影のない女もありますね。ですから、第3弾で終わりにしないでほしいものです。

中村恵理がこんなに素晴らしいヴィオレッタを歌うとは期待以上のことでした。2回目は思わず、配偶者のチケットも追加買いして、強引に一緒に聴いてもらいました。ウィーンで聴いたネトレプコも凄かったけど、中村恵理も優るとも劣らずの最高の歌唱でした。

新国立劇場では、《さまよえるオランダ人》、《オルフェオとエウリディーチェ》、《ペレアスとメリザンド》、《ジュリオ・チェーザレ》と素晴らしい公演が目白押しでした。バロックオペラが聴けるようになったのも時代の趨勢ですね。日本人歌手だけでの《さまよえるオランダ人》は凄い公演でした。ゼンタを歌った田崎尚美は出色の歌唱。日本人のソプラノでこれほど歌える人がいるとはね!

バロックオペラと言えば、神奈川県立音楽堂でのヘンデルの日本初演オペラ「シッラ」(完全舞台版世界初演)も素晴らしい公演でした。いいものを聴かせてもらいました。こういうプロダクションをどんどんやってほしいですね。

東響のサロメ同様に東フィルのコンサート形式オペラの《ファルスタッフ》も素晴らしい公演でした。何と言ってもチョン・ミュンフンの指揮と貢献が素晴らしい!! もっと、他のオーケストラもどんどんコンサート形式オペラをやってほしいものです。ヴァイグレと読響にもドイツオペラを期待したいものです。


次は協奏曲編です。
今年は素晴らしい協奏曲の公演が多く、中でも日本人のピアニストの活躍が目立ちました。中でもデビュー20周年の上原彩子のラフマニノフの2番は圧倒的な演奏でした。若手の岡田奏、吉田南、藤田真央、岡本誠司はこれからも聴いてみたいと思わせるような素晴らしい演奏を聴かせてもらいました。

今年は以下をベスト10に選びました。

岡田奏のモーツァルトは絶美 川瀬賢太郎&神奈川フィル@神奈川県立音楽堂 2022.1.22 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4247.html

吉田南の見事過ぎるブラームス 秋山和慶&東京交響楽団@サントリーホール 2022.1.30 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4255.html

魂を燃え尽くす上原彩子の究極のラフマニノフとチャイコフスキー 原田慶太楼&日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2022.2.27 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4283.html

藤田真央の天才迸る圧巻のシューマン 大野和士&東京都交響楽団@東京オペラシティコンサートホール 2022.4.21 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4336.html

メルニコフ、究極のモーツァルト 躍動するルイージのベートーヴェン NHK交響楽団@東京芸術劇場 2022.5.20 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4365.html

河村尚子、ブラームスの瑞々しいロマンを成熟した感性で弾き、その極美の音楽に感動! ヴァルチュハ&読売日本交響楽団@東京芸術劇場 2022.8.28 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4466.html

田部京子と上岡敏之の最高のベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番 新日本フィルハーモニー交響楽団@すみだトリフォニーホール 2022.10.15 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4515.html

岡本誠司、実に美しいヴァイオリンの響きのモーツァルト「トルコ風」と驚きのトルコ行進曲 ネトピルは圧巻のドヴォルザーク「新世界から」 読売日本交響楽団@東京芸術劇場 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4558.html

ムローヴァ凄し! 圧巻のショスタコーヴィチ 読売日本交響楽団@サントリーホール 2022.12.2 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4563.html

河村尚子、入魂のラフマニノフに感動! ルイージ&NHK交響楽団@サントリーホール 2022.12.14 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4575.html



岡田奏は以前聴いたモーツァルトのピアノ協奏曲第25番と同様の素晴らしいモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を聴かせてもらいました。本当に彼女のモーツァルトは素晴らし過ぎる! 全曲チクルスを聴いてみたい!

若手ヴァイオリニストの吉田南のブラームスのヴァイオリン協奏曲にはびっくり。久々にこんなに素晴らしいブラームスを聴かせてもらいました。彼女のヴァイオリンをもっと聴きたいものです。

上原彩子のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は以前から聴きたかった曲目です。さすがのラフマニノフでした。気魄に満ちたその演奏は圧倒的でもあり、美しくもあるものでした。ここ数年で最高の音楽に酔い痴れました。頭が真っ白になるような感動を味わいました。

藤田真央は本物の天才であることを実感するようなシューマンのピアノ協奏曲でした。脱帽です。

メルニコフのモーツァルトは何とも格別の演奏でした。いやはや、彼も凄いね。

河村尚子は今年の後半、よく聴きました。もう熟成してきたと言っても過言ではありません。ブラームスのロマンあふれる美しい演奏にうっとりしていたら、ラフマニノフでは気魄丸出しの凄い演奏を聴かせてもらいました。実に進境著しくて、目が離せません。

田部京子のベートーヴェンは圧巻の演奏でした。ピアノ協奏曲第4番をここまで弾けるピアニストは世界でも数人でしょうか。そして、これほどの詩情に満ちた演奏は彼女だけのものです。

初めて聴いたムローヴァのヴァイオリンは圧巻のショスタコーヴィチの協奏曲第1番。これも凄かった! 彼女にしか弾けない世界です。

ということでこれらのベスト10の演奏はでれも凄かったんです。中でもとびぬけていたのが上原彩子のラフマニノフでした。


一応、このオペラ部門と協奏曲部門全体を通した最上位を決めておきましょう。それは以下です。

 史上最強の《サロメ》 美女にして強靭な響きの美声を誇るグリゴリアンに深く感動 ノット&東京交響楽団

2回聴いた公演のどちらも素晴らしかったのですが、2回目のサントリーホールの公演の凄さには参りました。

明日はいよいよ大晦日。今年の音楽総決算もオーケストラ・声楽曲編でおしまいです。151回聴いたコンサートの中で最高だと思った今年の大賞を発表します。



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saraiの音楽総決算2022:オーケストラ・声楽曲編、そして、今年の大賞は?

今年の音楽の総決算もいよいよ最後になりました。そして、ブログも今年の書き納めです。

今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。素晴らしい演奏が多過ぎて、選定が難航しました。で、オーケストラと声楽曲を比較するのは難しいので、今年はオーケストラのベスト10、声楽曲のベスト10に分けて、選定することにしました。

まず、声楽曲のベスト10は以下です。なかでも、バッハ・コレギウム・ジャパンの数々の素晴らしい演奏が印象的でした。そして、圧巻だったのはクリストフ・プレガルディエンのシューベルト三大歌曲集の最高の歌唱でした。ベスト10に順位はつけていません。

劇的緊張感に満ちたマタイ受難曲、粒ぞろいの独唱に圧巻の合唱、とりわけ、身を清めるシャワーの如きコラールに深く感銘:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2022.4.15 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4330.html

凄いとしか形容できないウォルトンのベルシャザールの饗宴 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.5.21 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4367.html

コロナを吹き飛ばすような圧倒的な大合唱、カルミナ・ブラーナ アルミンク&新日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2022.7.11 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4418.html

ハイドンの最高傑作《天地創造》、完璧とも思える演奏に深く感動! バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2022.7.16 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4423.html

ユリア・クライターの濃厚なロマンに満ちた魅惑のベルク歌曲 マーラー5番も終盤の圧巻の盛り上がり ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2022.7.16 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4424.html

言葉に尽くせぬ感動のドイツ・レクイエム セバスティアン・ヴァイグレ&読売日本交響楽団@サントリーホール 2022.9.20 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4489.html

クリストフ・プレガルディエン、シューベルト三大歌曲集を歌う《美しき水車小屋の娘》 青春の残滓を熱唱 リートの森@トッパンホール 2022.10.3 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4502.html

クリストフ・プレガルディエン、シューベルト三大歌曲集を歌う《冬の旅》 生きることの痛みと絶望の果て リートの森@トッパンホール 2022.10.5 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4504.html

入魂のモーツァルトのレクイエムに感動!鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2022.10.30 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4530.html

藤村実穂子、味わい深くワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩を歌う NHK交響楽団@NHKホール 2022.12.3 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4564.html


恒例となったバッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲は今年も聖金曜日に演奏されました。鈴木雅明の解釈も年々、深みを増して、驚かされます。1年の反省を噛みしめるいい機会でもあります。あと何回聴けるでしょう。

ジョナサン・ノットが復活した東響コーラスとともにイギリスの作曲家、ウォルトンの大曲を熱演。滅多に聴けない曲が聴けた貴重な機会になりました。

アルミンク&新日本フィルもコロナの時代には不可能だった大合唱でカルミナ・ブラーナを熱演。やはり、大合唱の迫力は素晴らしい!

バッハ・コレギウム・ジャパンはハイドンの最高傑作《天地創造》を完璧に、そして、感動的に演奏してくれました。亡きアーノンクールの名演を思い出しました。

モーツァルトのスペシャリストだと思っていたユリア・クライターがベルクの歌曲を濃厚なロマンに満ちた魅惑の歌唱で聴かせてくれました。

ヴァイグレ&読響のドイツ・レクィエムは期待を上回る素晴らしい演奏で深く感動しました。

クリストフ・プレガルディエンのシューベルト三大歌曲集は美しく、感動的な歌唱でした。とりわけ、《冬の旅》の深く暗い絶望にはただただ、感銘を覚えました。

鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのモーツァルトのレクィエムは魂を揺さぶられました。

藤村実穂子のワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩はやはり、素晴らしい歌唱。彼女のワーグナーは別次元の音楽です。


で、いよいよ、オーケストラ部門です。今年はベスト10は以下です。絞りに絞った結果です。選にもれたコンサートも素晴らしいものが多々ありました。いずれも素晴らしい演奏で順位はつけていません。

飯守泰次郎、渾身のシューマン、交響曲第4番にいたく感銘!! 東京シティ・フィル@東京オペラシティコンサートホール 2022.6.11 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4388.html

ヴァイグレ&読売日本交響楽団の至高のブルックナー:交響曲第7番@サントリーホール 2022.6.21 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4398.html

満ち溢れる才能とオーラ、天才新鋭指揮者クラウス・マケラ 狂奔する嵐のマーラーの6番 東京都交響楽団@サントリーホール 2022.7.1 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4408.html

やっはり凄かった天才指揮者ロトの異次元の演奏@サントリーホール 2022.7.4 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4411.html

これはもう神の領域 アラン・ギルバート&東京都交響楽団のモーツァルト@サントリーホール 2022.7.25 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4432.html

ジョナサン・ノットのショスタコーヴィチの交響曲第4番を聴く喜び! 東京交響楽団@サントリーホール 2022.10.15 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4516.html

春の祭典 完全版 なのか! クラウス・マケラ&パリ管弦楽団@やサントリーホール 2022.10.17 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4517.html

圧巻のニルセン、巨匠ブロムシュテットのもと、目の覚めるような極美のアンサンブル NHK交響楽団@サントリーホール 2022.10.26 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4526.html

ティーレマンが豊かな響きのシュターツカペレ・ベルリンで圧巻のブルックナーの交響曲第7番を凄演@東京オペラシティコンサートホール 2022.12.6 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4567.html

ジョナサン・ノットのいつになく燃え上がる指揮のもと、東京交響楽団の第九は高精度の最高の演奏@サントリーホール 2022.12.28 https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4589.html


飯守泰次郎は毎回、素晴らしい音楽を聴かせてくれます。シューマンの交響曲第4番も出色の出来でした。

ヴァイグレ&読響もいつも素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ブルックナーとなれば、なおさらです。

今年、一番の驚きは天才新鋭指揮者クラウス・マケラの出現です。都響でのマーラーに感動し、パリ管の《春の祭典》に足を運びましたが、ありえないような音楽が荒れ狂いました。間違いなく、これからの音楽界を背負う逸材です。

天才指揮者ロトも負けていません。シューマンの交響曲第3番「ライン」で異次元の演奏を聴かせてくれました。

アラン・ギルバート&都響もますます、素晴らしい高みに上り詰めています。何を演奏させても素晴らしいです。今回は素晴らしいモーツァルトの後期交響曲を聴かせてくれました。

ジョナサン・ノット指揮の東響もますます好調。ショスタコーヴィチの交響曲第4番やベートーヴェンの交響曲第9番などで、最高の演奏を聴かせてくれています。なぜ満席にならないのか、不思議です。

最高齢の巨匠ブロムシュテットは健在。ニルセンやマーラーで美しい演奏を聴かせてくれます。来シーズンも無事に来日してくれることを願うばかりです。

ティーレマンが驚きの来日。圧巻の演奏を聴かせてくれました。シュターツカペレ・ベルリンの豊かな響きにも感銘を受けました。やはり、ティーレマンは今日の楽壇を支配するマエストロです。


ジャジャーン!
ここで今年の大賞発表です。今年のsaraiが選ぶ大賞は以下に決しました。

 史上最強の《サロメ》 美女にして強靭な響きの美声を誇るグリゴリアンに深く感動 ノット&東京交響楽団

アスミク・グリゴリアンのあどけない容姿から繰り出される強靭な響きの美声にしびれました。

最後まで迷ったのはマケラ指揮のパリ管《春の祭典》、そして、上原彩子のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。いずれも破格の演奏でした。

来年も音楽の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。

今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。


saraiは今日も、ミューザ川崎のジルヴェスターコンサートを聴いてきたところです。若手音楽家の素晴らしい演奏に刺激を受けました。今年も最後まで音楽尽くしでした。

皆さま、よいお年を!!



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

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