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庄司紗矢香の弾くクロイツェルに言葉もなし@サントリーホール 2022.12.16

久々の庄司紗矢香ですが、曲目と言い、フォルテピアノとガット弦の演奏と言い、とても不安感があります。失礼ながら、モーツァルトはちゃんと弾けるのかなと配偶者にぶつぶつ。
前半はその予感が半ば的中とまでは言いませんが、カシオーリのフォルテピアノのプアーな高音の響きと庄司紗矢香の音楽表現の物足りなさにsaraiのテンションが下がります。恐れていたガット弦とクラシック弓のヴァイオリンの響きはそれほど悪くなく、美しい響きを聴かせてくれます。問題は個性的で魅力に満ちたモーツァルトが表現しきれていないことです。やはり、モーツァルトは難しいですね。
休憩時間中、配偶者にそういうことをぶつぶつ言っていました。

休憩後、そういうsaraiを庄司紗矢香は黙らせてくれました。C.P.E.バッハのファンタジアはヴァイオリンを聴くような曲に思えず、次のベートーヴェンはプアーなフォルテピアノの響きでたいした演奏にはならないだろうと悲観していました。ところが、クロイツェルの冒頭のヴァイオリン独奏の凄さに度肝を抜かれて、そのまま、第1楽章は何とも素晴らしい演奏が続きます。ヴァイオリンの美しい音色、響き、そして、見事なアーティキュレーションで完璧を通り越して、その圧倒的な演奏に驚愕するのみです。ガット弦とかスチール弦とかの問題ではありません。そして、次の第2楽章がさらに凄い。この単調になりがちの楽章が後半に向かって、光り輝くような演奏で、ただただ、うっとりと魅了されます。長大な楽章を圧倒的な演奏で弾き切りました。そして、第3楽章のノリのよくて、推進力に満ちた演奏にsaraiは感動して、もう、涙が滲みます。素晴らし過ぎる。こんなクロイツェルは聴いたことがありません。庄司紗矢香は何と言う高みに上り詰めたんでしょう。日本の至宝、いや、世界の至宝です。現役のヴァイオリニストでこれ以上のベートーヴェンを弾ける人はいないでしょう。

終演後、saraiは言葉もありませんでした。本当に素晴らしい音楽を聴いたときには言うべき言葉を持ちません。ただ、黙って、配偶者と帰途に着きました。きっと配偶者もsaraiの心中を察していたでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  フォルテピアノ:ジャンルカ・カシオーリ

  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K. 304(300c)
  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第35番 ト長調 K. 379(373c)

   《休憩》

C.P.E.バッハ:ファンタジア Wq. 80(H. 536)
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op. 47 「クロイツェル」
    
   《アンコール》
     C.P.E.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 Wq.78より Ⅱ Adagio ma non troppo


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目、2曲目のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第28番と第35番を予習したCDは以下です。

  アンネ・ゾフィー・ムター、ランバート・オーキス 2006年2月、ミュンヘン セッション録音

ムターのさりげないようでいて、実に奥の深いモーツァルトにただただ、魅了されるのみです。


3曲目のC.P.E.バッハのファンタジアを予習したCDは以下です。

  タムシン・ウェイリー=コーエン、ジェームズ・ベイリュー 2018年9月10日-12日&2018年10月13日-14日、ブリテン・スタジオ(スネイプ・モルティングス、イギリス) セッション録音

C.P.E.バッハのヴァイオリンと鍵盤楽器(殆どはチェンバロ)のために書かれたオリジナル作品(Wq.71~Wq.80の10曲)をすべてを演奏した驚きのアルバムです。演奏の質も高いものです。タムシン・ウェイリー=コーエンは1986年ロンドン生まれの若手の才媛。と言っても、庄司紗矢香とほぼ同年齢ですね。


4曲目のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」を予習したCDは以下です。

  ヘンリク・シェリング、アルトゥール・ルービンシュタイン 1958年12月30,31日、ニューヨーク、アメリカ芸術文化アカデミー セッション録音

この演奏は初めて聴きましたが、若きシェリングのヴァイオリンの素晴らしさはもちろんですが、ルビンシュタインのピアノの凄さに唖然となりました。ルビンシュタインのベートーヴェンって、こんなに凄いとは思ってもみませんでした。聴いてみないと分からないものですね。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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