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ジョナサン・ノットのいつになく燃え上がる指揮のもと、東京交響楽団の第九は高精度の最高の演奏@サントリーホール 2022.12.28

ジョナサン・ノット&東京交響楽団の第九を聴くのは今年で4年目になります。昨年、遂にノットもこの第九を完璧に己のものとし、今回は奇跡のような自在のオリジナリティあふれる演奏を聴かせてくれました。もっとも、まだまだ、伸びしろを残した演奏で来年以降も飛躍が続くでしょう。第1楽章から、ノットの素晴らしい指揮姿から目が離せません。何故か、モーツァルトのドン・ジョヴァンニの地獄落ちを思わせる白熱した演奏に驚愕します。そして、そのアーティキュレーションの見事さに、感銘を受け続けます。とりわけ、アゴーギクの微妙さが驚異的です。その結果、オーケストラへの要求水準が高過ぎますが、東響のメンバーが必死にくらいついて、次第に熱い演奏に高まっていきます。ノットと東響のこういう関係がとても好ましく感じられます。ノットと東響はこうして切磋琢磨して成長してきました。それにしても第1楽章の高速演奏にしびれます。
東響は初のトリプルコンマス!! そして、チェロのトップには何とカルテット・アマービレの笹沼樹が座っています。特別参加なんでしょう。絞った構成の豪華メンバーの弦楽アンサンブルが緻密な音楽を聴かせてくれます。やはり、東響はやってくれますね。

第1楽章の冒頭から素晴らしい演奏が続き、saraiはもう感動の中にいます。冒頭のカオスの中から実在が出現するようなフレーズが途中、何度も繰り返し現れますが、そのたびに音楽の質が向上して、感銘の度合いが高まります。何と言っても東響の切れの良いアンサンブルが凄過ぎます。息もできない緊張感の中、圧巻の演奏で第1楽章は終わります。第2楽章もそのままの勢いで切れのよいアンサンブル。実に素晴らしい響きの音楽が鳴り響きます。とりわけ、トリオの部分の音楽的な精度の高さに魅了されます。弦の素晴らしさはもちろんですが、管の素晴らしいこと。音楽に聴き惚れているうちに第2楽章もすーっと終わります。ここで独唱陣4人の入場。合唱の東響コーラスは最初から後方席に陣取って、出番を待っています。
第3楽章が始まります。音楽的にとても美しい演奏です。ノットの解釈は万全です。早めのテンポで引き締まった演奏です。saraiの趣味ではもっと瞑想的な表現が好みではありますが、なるほど、こういう流れるような音楽表現もあるんですね。ノット独自の表現です。これ以上の演奏は現時点では望むべくもありませんが、さらにこの表現を極め尽くしていくのでしょう。。
第3楽章が終わると、間を置かずに恐怖のファンファーレで熱い音楽の幕開けです。器楽による“歌”が奏でられて、歓喜の歌も終焉すると、声楽が加わります。独唱陣が実に好調です。バリトンの与那城敬は踏ん張った歌唱ですし、ソプラノの隠岐彩夏の力のある歌唱が冴え渡ります。東響コーラスの大合唱は圧倒的です。とりわけ、2重フーガでの力強い男声合唱と清らかな女性合唱の交錯では一段と力が増します。このあたりからは音楽は高潮し続けてます。そして、再び、独唱陣が立ち上がり、最後の4重唱がフーガ風の最高の歌唱を聴かせてくれます。独唱陣は渾身の力をふりしぼり、満足できる歌唱を聴かせてくれます。ここではテノールの小堀勇介とソプラノの隠岐彩夏の突き抜ける歌唱に心が熱くなります。そして、最後のフェルマータの美しい響きが素晴らしくて、感銘を覚えます。その残影の後、物凄い合唱が燃え上がり、音楽は最高峰に上り詰めます。そして、圧倒的な東響の力が火の玉のように燃え上がって、爆発的なコーダに突入。圧巻のフィナーレです。ベートーヴェンの特別な音楽をノットと東響、そして、東響コーラス、4人の好調な独唱者が極上の演奏を聴かせてくれました。

これを持って、今年のsaraiのコンサートは終わりになりますが、まさにそれにふさわしい最高のコンサートでした。これで今年はジョナサン・ノット&東京交響楽団のコンサートは13回も聴けました。いずれも素晴らしい演奏でした。頂点はもちろん、2回聴いた最高の《サロメ》。そして、このコンサートが今年、saraiが聴いた151回目のコンサートです。


おっと、今年のシメはまだ、大晦日のジルヴェスターコンサートが残っていました・・・。もう一度、東響が聴けます。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:隠岐彩夏
  メゾソプラノ:秋本悠希
  テノール:小堀勇介
  バリトン:与那城敬
  合唱:東響コーラス(合唱指揮:冨平恭平)
  管弦楽:東京交響楽団(コンサートマスター:小林壱成(水谷晃、グレブ・ニキティンも加わり、トリプルコンマス))

  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125

  《アンコール》 蛍の光 AULD LANG SYNE(スコットランド民謡)


最後に予習について、まとめておきます。

先週、ベートーヴェンの交響曲 第9番を以下のCDで予習したばかりです。今回はフルトヴェングラーを聴こうと思いましたが、やはり、やめました。

  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団・合唱団、
   アデーレ・アディソン(S)、ジェーン・ホグソン(M)、リチャード・ルイス(T)、ドナルド・ベル(Br)
      1961年、クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

何とも素晴らしいセルの精密極まりない演奏。クリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも素晴らしく、まったく隙がありません。ひとつ残念だったのは独唱者たちの歌唱が凡庸だったこと。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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