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アンナ・ラキティナの清新なデビュー、そして、ルノー・カプソンの美しい響きのベルクのヴァイオリン協奏曲 読売日本交響楽団@サントリーホール 2023.2.22

ウクライナかロシアかの出身の若手女性指揮者アンナ・ラキティナが読響の指揮台に立ち、可憐な姿で清新な指揮を見せてくれました。右手に持つタクトで拍をきっちりと刻み、大袈裟過ぎない素直な指揮でいかにも新人指揮者の風情です。これからどんな未来が待っているのでしょう。saraiがその成熟を見ることはきっとないでしょう。

冒頭の曲はエレナ・ランガーの歌劇「フィガロの離婚」組曲。モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」のその後を描いた歌劇「フィガロの離婚」から6曲を抜き出した組曲です。いかにもゲテモノのようなオペラですが、音楽は意外にもちゃんと聴けるものです。もっとも現代性のある作品とは思えませんが、まあ、こんなものでしょう。読響の美しいアンサンブルとコンミスの日下紗矢子のソロが聴けたので、よしとしましょう。

次はベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」。すっかり、コンサートでお馴染みの曲になりました。しかし、どう聴けばいいのか、意外に難しい曲でもあります。いかにポピュラーになったと言っても12音技法を駆使した作品ですからね。プログラムの解説には、アルマ・マーラーの娘マノンの若過ぎる死を追悼して、マノンを天使に見立てて、マノンの思い出とマノンの苦悩と死、そして、昇天を描いたとあります。それでもいいですが、saraiはもっと普遍的に現代の孤独な魂の彷徨と非業な運命にある孤独な魂の救済のレクイエムであると思いたいと感じます。マノンの魂、ベルクの魂、そして、そのときに書いていたオペラの非業のヒロイン、ルルの魂も含めて、孤独な魂が救われて、天国に昇天するドラマとしてのレクイエムです。そういう観点からは今日のルノー・カプソンの美しい響きのヴァイオリンは少々、生ぬるいとも思えます。もっと厳しく突っ込んだ表現が必要だったでしょう。アンナ・ラキティナの指揮も迫真性を欠いていたとも思えます。ベルクの音楽は美し過ぎず、表現主義的であったほうがよいのでは。
ルノー・カプソンのヴァイオリンはむしろ、アンコール曲の精霊の踊りの美しい表現で活かされていました。天使つながりの選曲だったのかな。お洒落なセンスですね。

休憩後、チャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」が演奏されます。指揮者のお国ものですね。民俗的なメロディーを表出した演奏で、第1楽章、第2楽章、第4楽章で美しさが光ります。saraiはこれでいいと思いますが、ロシアの土臭さはありません。インターナショナルな表現です。チャイコフスキーも今やこういう演奏が主流かもしれません。予習で聴いたプレトニョフもこんな感じ。かつてのスヴェトラーノフのような演奏はもうなかなか見つかりません。アンナ・ラキティナのいかにも優等生的な指揮はちょっと気になりました。読響のアンサンブルは今日も最高でした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:アンナ・ラキティナ
  ヴァイオリン:ルノー・カプソン
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:日下紗矢子(ダブルコンマス、林悠介)

  エレナ・ランガー:歌劇「フィガロの離婚」組曲(日本初演)
  ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
   《アンコール》グルック:オペラ『オルフェオとエウリディーチェ』より「精霊の踊り」

   《休憩》

  チャイコフスキー:交響曲第1番 ト短調 Op.13 「冬の日の幻想」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のエレナ・ランガーの歌劇「フィガロの離婚」組曲は音源が見つからず、予習しませんでした。


2曲目のベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」は以下のCDを聴きました。

 チョン・キョンファ、ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団 1983年 セッション録音
 
チョン・キョンファの壮絶とも思えるヴァイオリンに心が動かされます。この頃のチョン・キョンファは本当に凄かったんですね。


3曲目のチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」は以下のCDを聴きました。

 ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団 2011年4月 モスクワ、DZZ第5スタジオ セッション録音

プレトニョフのチャイコフスキー、初聴きです。そんなにロシア臭さのない美しい演奏。賛否両論あるでしょう。この曲に関してはsaraiはそんなに違和感はありません。



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03/01 19:22 aokazuya

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07/08 15:53 じじい@

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06/18 12:46 sarai

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