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怒涛のようなお誕生日へのプレリュード

昨日の深夜から怒涛のような時間が続きました。で、ブログのアップを怠ることになりました。

まずは日が変わり、お誕生日になりそうな時間にテレビの番組表を見ていた配偶者が「あっ、コンセルトヘボウ次期首席指揮者クラウス・マケラをやっているよ!」。えっ、すぐにNHK BSに切り替えると、マケラがコンセルトヘボウで指揮しています。少し聴いているとシベリウスの響きです。さらに聴いていると、何と交響曲第4番です。第1楽章終盤でした。そのまま、途中録画しながら聴き始めます。心に沁み入るような暗い第3楽章に感銘を受けました。次は合唱団と独唱者がはいり、何と何とモーツァルトのレクイエム。聴き惚れてしまいました。次はスペシャルインタビュー。オーケストラ、ホールによって、指揮をがらっと変えるという一言や過去の大指揮者の録音を聴くこと、そして、美術が好きでエル・グレコのエネルギーに満ちた作品に魅了されていること。saraiの感性にも近く、嬉しいですね。続いて。2020年の無観客のコンセルトヘボウのコンサートでベートーヴェンの交響曲第6番田園が始まります。もはや、saraiの誕生日に突入し、深夜1時過ぎ。後で録画で聴くことにしましょう。

これから、自宅のネット環境の再構築です。明け方までかかって、何とかデュアルスタック環境の構築ができます。IPV6のLANとPPPoEのLANの間の相互接続も成功。ここで力尽きて、外部からの静的マスカレードまではできませんでした。すっかり、朝です。

急いで寝て、いつもの10時半に起きると、家族みんなから、LINEでお誕生日おめでとうのメッセージの嵐。そして、朝の配達でお誕生日プレゼントまで届いています。

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というところで、さあ、急いで、今日のコンサートに出かけましょう。



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テーマ : 日々のつれづれ
ジャンル : 日記

       マケラ,  

素晴らしいリゲティとウェーベルン タレイア・クァルテット@鶴見サルビアホール 2023.5.1

今日も日本の若手のカルテットで、芸大出身の女性4人で構成されています。実に見た目が素晴らしいですが、音楽の実力もなかなかのものです。

最初のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第4番は豊かな響きで力強い演奏です。第1楽章は肩に力が入ったような硬さを感じるものの、第2楽章以降はほどほどの力でぐいぐいと推進力のある演奏。この印象は特に第1ヴァイオリンの山田香子の演奏によるものです。彼女が柔らかく演奏すると驚くほど印象が変わります。トゥッティのリッチ過ぎる響きを除けば、なかなか魅力的な演奏です。

次はリゲティの弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」。彼女たちの特質が活かされる作品で、実に多彩な表情の音楽を聴かせてくれます。今年はリゲティの生誕100年で、今月末のトッパンホールでのバースデーコンサートでもカルテット・インテグラでこの曲を聴きます。最近の若手がリゲティを素晴らしく演奏することは驚くべきことですが、もはや、リゲティの2曲の弦楽四重奏曲はスタンダードな作品といえるようです。この第1番はバルトークの影響も多く、まるでバルトークの弦楽四重奏曲第7番のように思えます。素晴らしい作品、素晴らしい演奏です。


休憩後、ウェーベルンの弦楽四重奏のための5つの断章。ウェーベルンの凝縮された緊張感の高い曲で、難解でもあります。身構えて聴きますが、豊かな響きでロマン的とも思える美しい演奏。こんなに分かりやすいウェーベルンは初めて聴きました。後期ロマン派の残滓も感じられます。素晴らしい演奏です。今日一番の演奏でした。

最後はドビュッシーの弦楽四重奏曲。これまた豊かな響きの演奏です。見事な演奏でしたが、もう少し、力を抜いてくれれば、もっと素晴らしいのにとも思います。でも、これが彼女たちの演奏スタイルですね。これから熟成していくことでしょう。


なお、今日演奏した曲は、今月12日からの大阪室内楽コンコールで彼女たちが演奏する曲です。健闘を祈ります。これくらいの演奏をすれば、第2次予選はクリアーできるでしょう。(今日の4曲は第2次予選で演奏する曲)


今日のプログラムは以下のとおりでした。
  タレイア・クァルテット
    山田香子vn  二村裕美vn  渡部咲耶va  石崎美雨vc
    
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 Op.18-4

  リゲティ:弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」

   《休憩》

  ウェーベルン:弦楽四重奏のための5つの断章 Op.5

  ドビュッシー:弦楽四重奏曲 Op.10
   
   
最後に予習について、まとめておきます。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第4番を予習したCDは以下です。

 リンゼイ四重奏団 1979年 ウェントワース(ホーリー・トリニティ教会) セッション録音
 
リンゼイ四重奏団の2回の全集録音のうち、これは1回目の録音です。後期の作品にも通じるような熟成した演奏です。


リゲティの弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」を予習したCDは以下です。

 ベルチャ四重奏団 2018年5月&12月、フィルハーモニー音楽堂、ルクセンブルク セッション録音
 
刺激的でありながら、どこか、古典的とも思わせる素晴らしい演奏です。


ウェーベルンの弦楽四重奏のための5つの断章を予習したCDは以下です。

 エマーソン弦楽四重奏団 1992年10月 ニューヨーク州立大学パーチェス校、パフォーミング・アーツ・センター セッション録音
流石にエマーソン弦楽四重奏団、こういう作品でも、完璧な演奏です。


ドビュッシーの弦楽四重奏曲を予習したCDは以下です。

 ベルチャ四重奏団 2000年5月 セッション録音
 
ベルチャ四重奏団のデビュー盤です。実に魅力的な演奏。この曲の本質を教えられました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

エルベ川の船旅:次々現れるお城と青い奇跡の橋

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/5回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

今、ピルニッツ宮殿Schloß Pillnitzまでのエルベ川の船旅の真っ最中です。
出航後、少し落ち着いて、コーヒーをいただきながら、船旅を満喫しています。

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もう、すっかりドレスデンの市街地を離れて、両岸は緑が広がっています。

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ほどなく、丘の上には古城が立ち並び、気持ちのよいこと、この上なし。
このお城はアルブレヒツブルク城Schloss Albrechtsberg Dresdenです。
このお城はプロイセン国王ヴィルヘルIV世とドイツ皇帝ヴィルヘルムI世の末弟であるアルプレヒト皇太子とその二人目の妃ローザリーのために建てられました。
シンケルの弟子であるアドルフ・ローゼが設計した後期クラシック様式の建物で、1854年に完成しました。
アルプレヒト皇太子の息子の死後はドレスデン市が購入、第2次大戦後は一時ソ連軍の管理部が置かれたり、インツーリストのホテルに使われたりしました。
現在は芸術学校、ホテル・レストラン学校があるほか、コンサート、舞踏会、レセプション、講演会など各種催しに使われています。

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続いて現れたお城はリンクナー城Lingnerschloss。段々畑の上に建っています。
このお城はアルプレヒト皇太子の侍従シュトックハウゼン男爵の住居として建てられました。そのため、当初はヴィラ・シュトックハウゼンと呼ばれていました。隣のアルブレヒツベルク城よりもやや簡素で、早く出来上がったため、アルブレヒト皇太子夫妻は当初はこちらに住んでいました。その後、アウグスト・リンクナーの所有となったため、リンクナー城と呼ばれるようになりました。
現在はやはりドレスデン市の所有となっています。

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次に現れたお城はエックベルク城Schloss Eckberg。
大富豪で芸術の奨励者として知られるヨハン・スーシャイが建てたものです。英国の古城のような形をしていますが、やはり19世紀の半ば過ぎに建てられたものです。
ドレスデンのオペラ座を設計したゼンパーの弟子であるクリスティアン・アルノルトがチューダー王朝風に設計しました。
東西ドイツの統合後はミュンヘンの不動産会社が購入し、高級ホテル・レストランとして運営されています。

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お城が遠ざかっていきます。まだ、リンクナー城(左)とエックベルク城(右)が見えています。

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クルーズ船のデッキの上はすっかり寛いだ乗客たちで賑やかです。

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滔々と流れるエルベ川、両岸の美しい緑、次々に現れる立派なお城や邸宅。あまりの美しさにただただ見とれるだけです。ドナウ川渓谷の船旅も楽しみましたが、比べ物にならないと感じます。
やがて、美しい鉄橋の下をくぐり抜けます。
この橋は青い奇跡の橋Blaues Wunderという橋です。
この青い奇跡の橋は、ドレスデンのブラセヴィッツ地区とロシュヴィッツ地区をつなぐ橋です。
パリのエッフェル塔と同じ1893年に造られた鉄骨構造の橋はクラウス・ケプケの設計によるもので、建築物の傑作のひとつとされています。橋の全長は 280 メートル、正式名称はブラウエス・ヴンダーで、緑色の塗装が青色に変化したこと、第二次世界大戦中に唯一爆撃を逃れたことから青い奇跡の橋と呼ばれるようになったと言われています。

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この橋はひょんなことで、帰りに寄ることになりますが、その経緯はそのときに。

エルベ川Elbeの船旅はこの後は一路、ピルニッツ宮殿Schloss Pillnitzをめざすことになります。



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

エルベ川の船旅:ピルニッツ宮殿に到着。美しい庭園を散策。

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/6回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

今、ピルニッツ宮殿Schloß Pillnitzまでのエルベ川の船旅の真っ最中です。
既にお城などの美しい風景は過ぎ去り、やや、単調な岸辺が続きます。展望デッキの暑い日差しを避けて、船室内に落ち着きます。
船室からは大きな窓を通して、前方の景色が楽しめます。

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やがて、ピルニッツ宮殿の美しい建物が見えてきます。

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ピルニッツ宮殿の真正面を過ぎていきます。観光客がこちらのクルーズ船を眺めています。船着き場はこの先のようです。

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エルベ川の美しい景色に身も心も癒される2時間の船旅を終えて、ピルニッツ宮殿の船着き場に到着。
我々が下船すると、入れ違いに帰りの乗客がぞろぞろとクルーズ船に乗り込んでいきます。

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さて、ピルニッツ宮殿を巡りましょう。この宮殿は17世紀末にザクセン選帝侯とポーランド国王を兼任した「強健王」フリードリヒ・アウグスト1世の所有の宮殿となり、1720年にフリードリヒ・アウグスト1世は大規模な増築に着手しました。大規模な庭園の拡張や教会の新築とともに、当時流行した東洋をイメージした山の宮殿(Bergpalais)と水の宮殿(Wasserpalais)を建設しました。その後、1818年にもともとあったルネサンス様式の宮殿が火災で焼失し、その後に、山と水の両宮殿と一体感を持った新宮殿(Neue Palais)が建設されました。

ピルニッツ宮殿には春の花々が咲き乱れています。

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巨大な宮殿の建物が続いています。

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宮殿の前には木々に囲まれた広大で美しく手入れされた庭園が見事です。

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これは山の宮殿(Bergpalais)です。エルベ川の岸辺にある水の宮殿(Wasserpalais)からは中庭を挟んだ奥に建っています。

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その前の中庭には綺麗に手入れされた花壇に春の花々が咲いています。

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ピルニッツ宮殿は庭園が広く、特に中庭は季節の花々が咲き、とても美しい風景を作っています。

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中庭の先に進むと、こんもりと繁った木々の公園が広がっています。

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のんびりと散策を楽しみます。



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テーマ : ヨーロッパ
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エルベ川の船旅:ピルニッツ宮殿の庭園を散策後、慌ただしく蒸気船で出航

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/7回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅でピルニッツ宮殿Schloß Pillnitzを訪れて、その庭園を散策しているところです。
美しい中庭は春の花々が咲き乱れ、綺麗な噴水も上がっています。

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中庭の先の外庭を抜けて、エルベ川の岸辺に出ます。気持ちがいいですね。

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岸辺を歩き、再び、宮殿に戻っていきます。

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岸辺に建つ水の宮殿(Wasserpalais)の前には白い花をつけた大きな木があります。花の美しい宮殿です。

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水の宮殿の中央に立ちます。

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この前にある階段を下りると、エルベ川の岸辺に立つことができます。美しい彫像もエルベ川を眺めています。

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ここから、また、山の宮殿(Bergpalais)の横を抜けて、外庭の奥に進みます。
ここには、日本から持ってこられたヨーロッパで一番古い巨大な椿が大きなガラスのドームに格納されています。一見の価値があります。樹齢230年余といわれる椿の大樹です。

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このすぐ近くにはイングリッシュガーデンもあります。美しい池が配置されています。

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水辺には東屋もあります。ティーハウスですね。

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ここまで、のんびりと散策して過ごしましたが、ドレスデンへの帰りは第1便の蒸気船が11時45分に出るので、できれば乗りたいと急ぎ足で船着き場に戻ります。既に蒸気船への乗り込みは始まっています。

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船着場の前の小屋がチケット売り場ですが、何人か並んでいます。そろそろ船の出発時刻なのに、前の人たちの処理に時間がかかっており、イライラ。見ると、団体分らしく、大量のチケットを購入しています。やっと、我々の順番がきましたが、もう乗船時刻ぎりぎり。チケットの発行機(PC)のスピードが遅く、とても間に合いません。すると、窓口のお姉さんがここでチケットを買っていては間に合わないので、船の中で直接チケットを買ってくれとのこと。仕方がないので、船に走っていくと、同じような人たちが10人以上、待っています。船のチケット確認のお兄さんが困ったような顔をしています。そのうち、もうちょっと上の責任者が出てきて、ともかく、チケットはいいから、船に乗れとのことで、皆、どやどやと乗り込み、船は無事出港。
ようやく、無事出航した船のキャビンの中で落ち着きます。

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この帰りの船はエルベ川名物の蒸気船です。行きは10時まで蒸気船はなかったので、我々が乗ったのは普通の観光船でした。蒸気船はもちろん蒸気機関で内部のエンジンを眺められるようになっています。

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また、スクリューではなく、外輪で運行します。
本当は片道だけ船で帰りはトラムで帰ろうと思っていましたが、やはり、蒸気船に乗ってみたくて、帰りも船にしました。そんな迷いもあったのと、時間が読めなかったので、往復チケットを購入していなかったのです。もっとも、次の船も15分後の12時発なので、そんなにあせっていたわけではありません。でも、それでは蒸気船に乗れませんでしたけどね。

ところで、チケットはどうしたかって? もちろん、そのまま、無賃乗船です。だって、売ってくれないから仕方ありません。ラッキー!!



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フェドロヴァの真摯なラフマニノフ第2番の演奏にうっとり、新日本フィルハーモニー交響楽団の弦の美しさも秀逸@すみだトリフォニーホール 2023.5.6

アンナ・フェドロヴァは渦中のウクライナ出身の若手ピアニスト。まだ、33歳だそうです。同じウクライナ出身のピアニストと言えば、あのリヒテルを想起します。そして、リヒテルの師は名教師ネイガウス。フェドロヴァもネイガウスの流れを組むピアニストです。また、最近、お気に入りのロシア出身のイリーナ・メジューエワもネイガウスの流れのピアニスト。
ということで、フェドロヴァは初聴きですが、saraiの興味を引き、今日のコンサートに出かけることにしました。
無論、今日のお目当てはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。フェドロヴァはラフマニノフのスペシャリストとして知られていますからね。

最初のムソルグスキーの組曲《展覧会の絵》はかなり、強弱やテンポの揺らしに工夫した派手な演奏。まあまあの演奏でした。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は一転して、実に真摯な演奏です。ちょっと派手なところもありましたが、全体としては地味といってもいい演奏。しかし、つぼをおさえた美しい演奏です。第1楽章はダイナミックな演奏でうっとりと美しく聴かせてくれます。
第2楽章は胸に沁み入るような抒情に満ちた演奏。予習で聴いたCDでも素晴らしい演奏でしたから、彼女はこの第2楽章を得意にしているようです。正確に刻まれるアルペッジョが実に官能に訴えかけてきます。フルートやクラリネットが主旋律を奏でますが、主役は彼女のピアノのアルペッジョ。なんとも美しい演奏です。中間部でのカデンツァも見事ですが、その後、再び、ピアノのアルペッジョに回帰して、新日フィルの美しいヴァイオリンが主旋律を弾きますが、その絡み方の美しいこと。そして、ピアノのソロで第2楽章をしっとりとまとめ上げます。すぐに第3楽章が続きますが、その前に一瞬の間があります。美しかった第2楽章を想起する間です。この一瞬の間が今日の最高の演奏でした。そして、第3楽章は最後のカデンツァの後、オーケストラとピアノがハ長調のマエストーソで高らかに抒情にあふれた音楽を歌い上げます。フェドロヴァと新日フィルの息はぴったりで圧巻の演奏です。
フェドロヴァが真摯に正攻法でこのラフマニノフを極めたところが素晴らしく、終始、うっとりと気持ちよく、音楽を受容していました。やはり、この曲は名曲ですね。ラフマニノフ(1873年4月1日 - 1943年3月28日)は生誕150年のせいか、このところ、コンサートで取り上げられることが多いようです。


今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:アンナ・フェドロヴァ
  指揮:本名徹次
  管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団  コンサートマスター:西江 辰郎

  第1部:リサイタル
   ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》

   《休憩》

  第2部:コンチェルト
   ラフマニノフ:ヴォカリーズ(オーケストラのみ)
   ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
   
   《アンコール》
    ヴァレンティン・シルヴェストロフ:メッセンジャー

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のムソルグスキーの組曲《展覧会の絵》は以下のCDを聴きました。

 イリーナ・メジューエワ 日本コンサートデビュー20周年記念 2016年12月3日、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール ライヴ録音
 
メジューエワのバランスのとれた演奏。とてもライヴとは思えない完成度の高さ。


2曲目のラフマニノフのヴォカリーズは以下のCDを聴きました。

 アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団 1975年10月 セッション録音
 
ちょっとイメージが違いました。メローならメローでもいいのですが・・・。


3曲目のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は以下のCDを聴きました。

 アンナ・フェドロヴァ、ラエルシオ・ディニス指揮北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団 2014年6月20,21日 セッション録音
 
今日、演奏するフェドロヴァの旧録音です。既に10年経たずして再録音し、ラフマニノフの協奏曲全曲を録音しました。この旧録音ですが、聴いてみてびっくり。とても魅力的な演奏です。とても甘い演奏で、特に第2楽章の美しさにはうっとりと聴き惚れました。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

ヘンデルの復活、どこをとっても素晴らし過ぎる演奏に深く感銘 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2023.5.7

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のバッハ演奏の素晴らしさは毎回味わっていますが、実はヘンデルの演奏も見事です。毎年、年末に恒例になっているメサイアを聴けば、それが分かりますし、2020年のオペラ「リナルド」も素晴らしい演奏でした。

今日のヘンデルのオラトリオ《復活》もヘンデルの音楽の素晴らしさを堪能させてくれる最高の演奏でした。オラトリオと言っても、イエス・キリストの復活を題材にしていて、さながら、コンサート形式のオペラを聴いている風情でした。

第1部と第2部に分かれている、この作品は各部の冒頭に置かれた導入のオーケストラ曲を除くと、ほとんどがアリアとレシタティーボという5人のソロ歌手の歌唱になっています。各部の終曲だけは合唱曲になっています。したがって、歌手のソロの歌唱を楽しむ構成になっていますが、今日の5人の出来が素晴らしく、それをサポートするBCJの演奏も極めて美しく、ただただ、賛美するだけです。

ヘンデルのほかの作品と同様にどの曲も旋律の美しさが尋常ではありません。そして、その旋律を修飾する楽器群の多彩な表現が見事です。BCJはそれを完璧過ぎるほどに演奏しますので、終始、その楽趣の素晴らしさに陶然として聴き入るのみです。

5人の歌唱ですが、まずはマッダレーナ(マグダラのマリア)役のソプラノのキャロリン・サンプソン。力強い表現の歌唱で音楽を盛り上げてくれました。無論、悲しみの表現も見事でした。
クレーオフェ役のアルトのマリアンネ・ベアーテ・キーラントは勢いのある歌唱から胸を突かれる表現まで、実に魅力的な歌唱で惹き付けられました。存在感で言えば、一番という印象でした。
天使役のソプラノの中江早希はオーケストラの後方で歌っていたので、位置的に不利ではありましたが、持ち前の美声で明るい天使の賛美的な歌唱を聴かせてくれました。
聖ジョヴァンニ役のテノールの櫻田 亮は得意のエヴァンゲリスト的な歌唱を聴かせてくれました。
ルチーフェロ役のバスの加耒 徹は悪役にふさわしい深みのある声を聴かせてくれました。
5人それぞれの役どころをおさえた歌唱で実にバランスがとれたアリアの連続で素晴らしいものでした。
もっとも、それ以上に素晴らしかったのは1部、2部の最後だけ登場するBCJの豪華な合唱隊。これだけしか歌わないのはもったいないほどの合唱でした。

BCJの器楽演奏も素晴らしく、若松夏美率いる弦楽アンサンブルの透き通るような演奏はヘンデルには欠かせないものです。三宮正満のオーボエを始めとする管楽アンサンブルも達人揃いの素晴らしい演奏。通奏低音にヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、テオルボなどを加えた多彩な演奏も驚くほどの演奏です。

そして、すべてを統括した指揮の鈴木優人の才人ぶりは今日も不動のものでした。

このヘンデルのオラトリオ《復活》は初めて聴く作品で、ヘンデルとしては珍しいイタリア語の作品ですが、実に素晴らしい作品です。同じイタリア時代のヘンデルのオペラ《アグリッピーナ》を聴きたくなりました。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木優人
  マッダレーナ(ソプラノ):キャロリン・サンプソン
  天使(ソプラノ):中江早希
  クレーオフェ(アルト):マリアンネ・ベアーテ・キーラント
  聖ジョヴァンニ(テノール):櫻田 亮
  ルチーフェロ(バス):加耒 徹
  合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン コンサートマスター:若松夏美
   フラウト・トラヴェルソ:鶴田洋子  
   オーボエ:三宮正満、荒井豪
   トランペット:斎藤秀範 
   チェロ:山本徹
   ヴィオラ・ダ・ガンバ:福澤宏


  G.F. ヘンデル:オラトリオ《復活》HWV 47 第1部

 《休憩》

  G.F. ヘンデル:オラトリオ《復活》HWV 47 第2部



最後に予習について、まとめておきます。

 エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレエ
  天使:カミラ・ティリング(ソプラノ)
  ルチーフェロ:ルカ・ピサローニ(バス・バリトン)
  マグダラの聖マリア:ケイト・ロイヤル(ソプラノ)
  聖マリア・クレオフェ:ソニア・プリーナ(コントラルト)
  福音史家、聖ジョヴァンニ:トビー・スペンス(テノール)
      2009年4月15,17,18日、リール・オペラ座、フランス ライヴ録音

あのティリングがヘンデル?とも思いましたが、圧倒的な歌唱でアジリタも見事です。女性指揮者アイムの表現も素晴らしいです。あっ、無論、ソニア・プリーナの迫力ある歌唱も素晴らしいです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

若さの特権か、情感にあふれたヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」のやりたい放題の圧巻の演奏 クァルテット・インテグラ@鶴見サルビアホール 2023.5.8

日本の若手の四重奏団の先頭を切るだけでなく、やりたい放題の演奏を聴かせてくれて、エネルギーを注入してくれるクァルテット・インテグラは今夜も素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

最初のショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲 第6番で思い切りのよい演奏で素晴らしい響きをホールに充満させてくれます。新鮮で気持ちのよい演奏です。明るい響きで押し通した演奏は独自性もあり、好感を持てます。それにしても第1ヴァイオリンの三澤響果は冴え渡った美音で魅力を発散します。内声部の二人の男性奏者の力強いサポートを受けて、そのヴァイオリンの美音はどこまでも飛翔していきます。

次はヤナーチェクの弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」。近年ますます光を放つのは中欧のリゲティとヤナーチェク。そう言えば、クァルテット・インテグラはリゲティでも素晴らしい演奏を聴かせてくれていますが、今日はヤナーチェク。彼らのヤナーチェクを聴くのは初めてかもしれません。冒頭から、豊かな響きで情感にあふれた演奏で突っ込んでいきます。4人の奏者がヤナーチェクの音楽に心酔したような演奏をしているのが聴衆にも伝わってきて、熱い思いを共感します。やり過ぎの気配もありますが、ここは若者の特権で、弾きたいように弾けばよいでしょう。そのあふれんばかりのエネルギーが年老いたsaraiの魂を揺さぶります。ヤナーチェク独特の世界が展開される中、あっと言う間に第1楽章が終わります。うーん、素晴らしい! 第2楽章に入っても、その熱い情感は高まるばかり。ヤナーチェクが老いらくの恋で書き上げた作品を現代の若者が共感して演奏する様に、聴くものの心は高潮するばかり。いやはや、凄まじい音楽がこの狭いホールに響き渡ります。何とも表現しがたい人の心の熱いほとばしりが演奏者と聴衆の間で火花を散らすような風情で、このヤナーチェクの稀有な音楽が実に濃厚な時間を作り出して、圧巻の演奏が終わります。こういう音楽が聴きたくて、日々、コンサートホールに足を運ぶのだという思いを噛みしめていました。

休憩後、シューベルトの弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」。有名過ぎるほどの作品です。クァルテット・インテグラが弾くと新鮮な思いで聴けます。天才シューベルトだけが作り出せた傑作であることを実感しながら、何とも贅沢な時間を過ごせました。いまさら何を言うことがあるでしょう。とても素晴らしい演奏だったとしか言えません。結構、長大な作品ですが、シューベルトにしては短いことが不満と言えば不満。ぎっしりと詰まった楽趣を楽しみました。

今月末はリゲティの生誕100年のバースデーコンサート。クァルテット・インテグラの演奏も楽しめます。音楽の楽しみは尽きません。

今日のプログラムは以下のとおりです。
  クァルテット・インテグラ
    三澤響果 vn   菊野凜太郎 vn   山本一輝 va   築地杏里 vc
    
  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第6番 ト長調 Op.101

  ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」
   
   《アンコール》
     ハイドン:弦楽四重奏曲第74番 ト短調 Op.74-3 Hob. III: 74『騎士』 から 第2楽章 ラルゴ・アッサイ
     
     
最後に予習について、まとめておきます。

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲 第6番を予習したCDは以下です。

  ルビオ・カルテット 2002年4月~9月 Roman Church、ミュレム、フランダース、ベルギー セッション録音
 
ルビオ・カルテットのショスタコーヴィチはsaraiの最も愛好するCDです。この演奏も精密でダイナミックなものです。


ヤナーチェクの弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」を予習したCDは以下です。

 ベルチャ四重奏団 2018年5月&12月、フィルハーモニー音楽堂、ルクセンブルク セッション録音
 
美しい音色で表現力も豊かな演奏です。


シューベルトの弦楽四重奏曲 第14番「死と乙女」を予習したCDは以下です。

 アマデウス弦楽四重奏団 1959年4月 ハノーファー、ベートーヴェンザール セッション録音
 
古典的な響きの美しい夢見るような演奏です。



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       クァルテット・インテグラ,  

エルベ川の船旅:青い奇跡の橋で下船し、丘の上からの眺めを堪能

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/8回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅でピルニッツ宮殿Schloß Pillnitzを訪れて、その庭園を散策した後、今は帰りの蒸気船に乗っているところです。
チケットも買わずに急いで蒸気船に飛び乗ったいきさつは既にご紹介した通りです。
今は落ち着いて、珍しい蒸気船クルーズを堪能しています。
蒸気機関の動く様は内部の様子が見学できるようになっています。動画で蒸気機関の動作をご紹介しましょう。



この蒸気船で一路、ドレスデンの街を目指します。気持ちのよいクルーズの様子を動画でご紹介しましょう。



帰りはエルベ川の流れを下るので、倍ほどのスピードで走ります。ドレスデンまで半ばまで来たところで、行きに見えていたケーブルカーのある山が見えてきます。そういえば、来る前にネットを検索していたら、このケーブルカーと麓の橋、青い奇跡の橋Blaues Wunderについて、どなたが経験談を書いていました。丘の上はすこぶる展望がよいとか。どうせ、タダで乗船した船なので、惜しくもないので、途中下船しようということになります。丁度、橋のところに船が一時停船したので、急いで下船。降りる人はもちろんほとんどいません。
これが下船した蒸気船と青い奇跡の橋(一部ですが)、そして、後ろの丘がケーブルカーのある丘です。

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観光案内書にもないインターネットの情報だけが頼りですが、それでも、橋の周りは賑やかな街になっていて、人も大勢います。

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かなり長い橋(1893年に建造された青い奇跡の橋という名の鉄橋)を渡ります。

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橋から少し歩くと、ケーブルカーの駅に着きます。ドレスデン鋼索鉄道Standseilbahn Dresdenです。これは、1895年に開業した古いケーブルカーです。結構、人は乗っているので、このあたりでは有名なのかもしれませんね。ドレスデンカードを見せてもノーとのことで、料金を往復分払い、乗車。2.5ユーロですから、そう高い料金ではありません。

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ケーブルカーはどんどん登っていき、結構、高いところまで登ります。延長547mの路線で高低差は94mあります。
山頂駅の前は家がずっと立ち並ぶ道になっています。一体、どこが展望台か分かりません。すると、ケーブルカーから降りた人たちは向かいの大きな建物に次々と入っていきます。さてはこれが展望台の建物かと我々もついていくと、どうも単なるレストランみたいです。ここではないと思い、周りをいくら探しても何もありそうにないので、あきらめて、そのレストラン(ルイゼンホフLuisenhof, Dresden)の中に入ると、やはり、その建物の奥がオープンテラスになっていて、素晴らしい眺望です。

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真下には大平原に美しい緑が広がり、エルベ川が緩やかにうねりながら流れ、遥か向こうにはドレスデンの町並みが見渡せます。

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手前を見ると、緩やかな緑の斜面が丘を下り、エルベ川まで続いています。ケーブルカーで登ってきた斜面です。

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目を転じると、青い奇跡の橋が見えています。

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ズームアップして、橋を眺めてみましょう。なかなか美しい橋です。

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では、ここで眺めを楽しみながら、お茶しましょう。



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エルベ川の船旅:青い奇跡の橋近くの丘の上からの眺め、そして、世界一美しい乳製品屋さんへ

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/9回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅でピルニッツ宮殿Schloß Pillnitzを訪れて、帰りの蒸気船で途中の青い奇跡の橋Blaues Wunderで下船。
ケーブルカー、ドレスデン鋼索鉄道Standseilbahn Dresdenで丘の上に登り、眺めのよいレストラン、ルイゼンホフLuisenhofを何とか発見。(なお、昨日の記事に誤りがありました。何とここには近接して2本の登山電車があり、昨日はもう一つの珍しい懸垂式モノレールである空中鉄道ドレスデンSchwebebahn Dresdenだと書いてしまいました。また、長年の疑問も氷解しました。事前に読んだブログ記事はそのもう一つの空中鉄道ドレスデンに乗った人のものでした。道理で丘の上に展望台がみつからなかったわけです。そちらの丘の上の駅には展望台が隣接しています。なお、我々の乗った路線のほうが標高が10mほど高いようです。)

その絶景を見渡せるレストランのテラスで美味しいケーキとお茶をいただきながら至福の時を過ごしています。   

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何とも美しい眺めに安らぎを覚えます。

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ゆったりとした時間を過ごした後、レストランを出ます。これがそのレストラン、ルイゼンホフです。

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その向かいにケーブルカーの駅があります。

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往復チケットを見せて、早速、可愛い車両に乗り込みます。

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帰りはケーブルカーの麓駅前の停留所、ドレスデン・ケルナープラッツDresden Körnerplatzでバスに乗り、橋を渡ったところのバス停とトラムの乗換え駅、シラープラッツSchillerplatzで、トラムの6番に乗り換え、ドレスデンの中心街に向かいます。次は世界一美しい乳製品屋さんとしてギネスブックにも載っているチーズ屋さん(プフンズ・モルケライPfunds Molkerei Dresden)に向かいます。トラムをノイシュタットNeustadtのアルベルトプラッツAlbertplatzで降ります。広場の中央には美しい噴水があります。

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そこから歩いて、お店に向かいます。お店の前には観光バスが停まり人だかりがあるので遠くからでもすぐにわかると案内書にある通りで、すぐに見つかります。たくさんの人で店の中は混雑していますが、ミルクを飲み(もちろん、有料)、チーズは幾種類かテイストさせてもらいます。店内は見事な装飾タイルで埋め尽くされ、それは美しいのですが、写真撮影禁止なので残念ながらお見せできません、悪しからず!
とは言え、何かないかと探すと、お店に置いてあった絵葉書があります。こんな感じのお店です。

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さて、次は今回の旅の企画のきっかけになったフラウエン教会Frauenkircheに行きましょう。



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本日休載

今日は別件に時間を取られ、本来はフラウエン教会の記事を書く予定でしたが、まだ、途中まで書いている状況なので、本日休載にします。フラウエン教会はこの旅で重要な訪問なので、中途半端な記事にできません。
それに明日は今年一番期待しているR.シュトラウスの楽劇《エレクトラ》なので、あまり、寝不足になりたくないんです。
悪しからず。

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クリスティーン・ガーキーを中心に強烈に光り輝く《エレクトラ》 1回目 ノット&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2023.5.12

昨年の超絶的とも思えた《サロメ》に続き、今年は《エレクトラ》。期待するなというのが無理な話ですが、今度もやってくれました。昨年の《サロメ》はタイトルロールのアスミク・グリゴリアンの強烈な歌唱がすべてと言ってもいい内容でしたが、今年はバランスよく、すべてが存在感を放つ演奏でした。無論、《サロメ》以上とも言っていいR.シュトラウスの油の乗り切った先鋭的な世界が展開されました。そうそう、このオペラはホフマンスタールが台本を書いて、R.シュトラウスとコンビを組んだ最初の記念碑的な作品でもあり、ホフマンスタールの詩人としての才能が最高に光るものでもあり、今日の公演でも歌手たちが豊かな表現力を発揮していました。今日に限りませんが、この《エレクトラ》を聴くと、この後、古典回帰してしまうR.シュトラウスの作品が甘ったるく感じて、物足りなくなってしまいます。今日の演奏は実に先鋭的かつ強烈でその印象はさらに深まってしまいます。ある意味、R.シュトラウスの最高の芸術を味わった思いに駆られました。

冒頭、アガメームノンのモティーフがオーケストラで奏せられ、すぐに侍女たちの狂ったような歌唱が始まります。侍女たちはみな日本を代表するような歌手たちで驚くほどの声の張りが響き渡ります。そして、満を持して、ずっとステージ上にいたエレクトラ役のクリスティーン・ガーキーが深い響きの声で長いモノローグを歌っていきます。中低音は深く、高音は鋭く、圧倒的な声量をその巨体を震わせて歌います。ワーグナーソプラノを連想します。ワルキューレのブリュンヒルデです。しかし、表現内容はエキセントリックでヒステリックでさえもあります。病的、狂人的です。エレクトラ役はえてして叫びまくるという感じもありますが、ガーキーはその豊かな声量で余裕の歌唱です。このあたりが、素晴らしくもあり、かつ、物足りない感じでもあります。その余裕さ故にどこか醒めている雰囲気もあります。ともあれ、異次元の歌唱であり、オーケストラの響きを抑えて、圧倒的な存在感を示し、実際、物理的にも彼女の歌声だけが聴衆の耳をつんざくような具合に響きます。超大編成の東響の響きは彼女の歌の合間に聴こえるという感じですが、《サロメ》の時とは比較にならないような充実の響きです。コンサート形式ということもありますが、歌付きの交響詩という風情も感じられます。実際、攻撃的なフレーズを聴くと、R.シュトラウスの交響詩による浮遊感を抱きます。

クリソテミス役のシネイド・キャンベル=ウォレスが登場し、エレクトラとのダイアローグ的な歌唱を繰り広げます。クリソテミスは音楽的にはエレクトラと対立関係にあり、常識的な個性を調性のある音楽で表現していきます。実際、シネイド・キャンベル=ウォレスは声量的も小さめ(ガーキーの声量が圧倒的であるせいですが)で、しなやかな歌声です。彼女は終盤ではもっと歌い上げますが、ここでは強烈な個性のガーキーのアンチテーゼ的な役割に終始します。

次いで、クリテムネストラ役のハンナ・シュヴァルツが登場。このクリテムネストラ役は歌手が「キャリアの秋」に歌う古典的なキャラクター役のひとつだそうですが、この役を歌うということはかつての名歌手だった証しでもあります。7年前、新国立劇場の《イェヌーファ》で《ブリヤ家の女主人》を素晴らしい歌唱で驚かせてくれて、そのときでさえ、まだ、歌っていたとは思っていませんでした。そのときに調べてみたら、最後に聴いたのは1993年の《トリスタンとイゾルデ》のブランゲーネ役でした。ワーグナーの楽劇に欠かせない人でした。その新国のときも72歳で現役と驚きましたが、今回はさらにお歳を重ねられて、79歳の筈です。無論、声量がどうだということを言っても意味がありませんが、表現力、声の美しさは一級品です。悪役というよりも健気さを感じ、こういう人を殺さなくてもいいのにという印象を受けてしまいます。ガーキー演じるエレクトラはその健気な母親のクリテムネストラを容赦なく責め立てます。ある意味、年寄りいじめですが、爽快な印象もあります。ガーキーはどんどん音楽的に高潮していきます。

笑いながら退場するクリテムネストラと入れ替わりに再登場するクリソテミス役のシネイド・キャンベル=ウォレスが弟オレストの死を告げます。それを契機にエレクトラは妹クリソテミスに母の殺害を手伝わせようとそれまでの狂人的な歌唱から一転して、長調の明るい歌唱で説得しようとします。ガーキーは複雑な個性を歌い分ける難しい箇所も難なく歌い上げます。実に見事な歌唱力と言わざるを得ません。

エレクトラの説得を拒絶して退場したクリテムネストラを罵り、エレクトラは一人で母殺害を決意。そこに遂に弟オレスト役のジェームス・アトキンソンが登場。残念ながら、男声陣は女声陣に比べ、迫力に欠けます。まあ、そういうオペラですけどね。オレストに再会したエレクトラは喜びますが、同時に今の自分の無様な姿を恥じ入ります。また、ここでガーキーは繊細極まる表現力を駆使して、音楽に深みを与えます。声量だけでは乗り切れない役どころを素晴らしく表現します。

そして、いよいよ、音楽は佳境に入っていきます。エレクトラは家に入っていったオレストが母を殺害するシーンを聴き入ります。このシーンは遂にノット指揮の東響が音楽でその残酷なシーンを描き出します。主役に躍り出た東響がおどろおどろしい音楽をベースや管楽を駆使して素晴らしく表現します。

最後の人物、母親の情夫であるエギスト役のフランク・ファン・アーケンの登場です。ここでも偽善的な個性に扮したエレクトラをガーキーが実に気持ちよく歌い上げます。一人何役という超人的な歌唱をやってのけます。そして、エギストは家に入り、オレストに討たれます。エレクトラの復讐劇の完成です。クリソテミスが現れて、オレストの出現と仇討ちを誇らしげに語ります。

そして、音楽は大団円へ。狂乱するエレクトラは踊りながら崩れ落ち、そのまま死の奈落へ。素晴らしい響きの東響はオレストのモティーフを強烈に繰り返し、圧倒的なフィナーレ。誰もが熱狂の渦に。

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演出監修のサー・トーマス・アレンがどれほどの仕事をしたのか、うかがい知れませんが、コンサート形式でありながら、この迫力の舞台を作り上げたのですから、見事としか言えません。心理劇という難しいものを深い洞察力で仕上げた知性には感服するしかありません。

明後日も同じプログラムをサントリーホールで聴きます。今日聴いたエレクトラ以上のものは想像できませんが、実に楽しみです。きっと、今年最高の音楽体験になるでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  演出監修:サー・トーマス・アレン
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  エレクトラ:クリスティーン・ガーキー
  クリテムネストラ:ハンナ・シュヴァルツ
  クリソテミス:シネイド・キャンベル=ウォレス
  エギスト:フランク・ファン・アーケン
  オレスト:ジェームス・アトキンソン
  オレストの養育者:山下浩司
  若い召使:伊藤達人
  老いた召使:鹿野由之
  監視の女:増田のり子
  第1の侍女:金子美香
  第2の侍女:谷口睦美
  第3の侍女:池田香織
  第4の侍女/クリテムネストラの裾持ちの女:髙橋絵理
  第5の侍女/クリテムネストラの側仕えの女:田崎尚美
  合唱:二期会合唱団


最後に予習について、まとめておきます。

 R.シュトラウス:『エレクトラ』(ザルツブルク音楽祭2010)

  エレクトラ:イレーネ・テオリン(ソプラノ)
  クリテムネストラ:ヴァルトラウト・マイヤー(メゾ・ソプラノ)
  クリソテミス:エファ=マリア・ウェストブローク(ソプラノ)
  エギスト:ロバート・ギャンビル(テノール)
  オレスト:ルネ・パーペ(バリトン)、他
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  ダニエレ・ガッティ(指揮)

  演出:ニコラウス・レーンホフ
  装置:ライムント・バウアー(舞台装置)
  衣装:アンドレア・シュミット=フッテラー

  収録時期:2010年
  収録場所:ザルツブルク、大祝祭劇場(ライヴ)

さすがにウィーン・フィルで聴くR.シュトラウスは見事。キャストも豪華で隙もなく、特にガッティの指揮は特筆すべきものです。



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       ジョナサン・ノット,  

カーチュン・ウォン凄し! ヤナーチェクのシンフォニエッタは圧巻の超名演 日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール 2023.5.13

このところ、カーチュン・ウォンの演奏が聴き逃がせなくなっています。今回もプログラムが凝っています。ミャスコフスキーという珍しいロシアもの、それに芥川、最後はヤナーチェクという心憎い組み合わせ。いかにも新鮮ではありませんか。ミャスコフスキーと芥川也寸志は初聴き。それにヤナーチェクのシンフォニエッタはいつ聴いたか思い出せないほど聴いていません。

最初のミャスコフスキーは交響曲といっても単一楽章だけの短いものでソナタ形式でもなく、表題にある通り、幻想曲のようなものです。これをカーチュン・ウォンは実に美しく響かせて演奏します。なかなか魅力的な演奏でした。ミャスコフスキー自体、名前は知っているという程度で1曲も聴いたことがなく、入門編としては最適のものでした。

次は芥川也寸志のチェロとオーケストラのための《コンチェルト・オスティナート》。チェロの佐藤晴真は難関のミュンヘン国際音楽コンクールを制した気鋭の若手。多分、初めて聴きます。チェロは日本の若手がどんどん輩出してきている感もありますが、佐藤晴真はテクニック、音楽性でも抜きんでた存在であることを実感しました。彼が芥川也寸志のもはや古典ともなった作品を見事に演奏し、カーチュン・ウォンはは素晴らしいサポートを聴かせてくれました。わくわくするような演奏を聴き、気持ちが昂ぶりました。

休憩後、カーチュン・ウォンは彼の得意でもあり、そして、かなり入れ込んでいる様子のヤナーチェクのシンフォニエッタを圧巻の演奏で聴かせてくれました。意外なほど、ヤナーチェクの民俗色は強調せずにインターナショナルとも思える演奏です。通常はそういう演奏はあまり受け入れ難いのですが、素直に納得して聴ける演奏です。それはカーチュン・ウォンがヤナーチェクを自分の同調できるものとして、彼の体内にいったん取り込んで、分かりやすい形で明快な演奏を聴かせてくれたからだと思えます。カーチュン・ウォンの特質がだんだん分かってきましたが、彼はアジア出身という自身の成り立ちを素直に表出し、彼なりの表現で無理のない形で音楽を造形していっているようです。決して、押しつけがましく音楽を表現することなく、それでいて、彼の並外れた知性のフィルターを通して、明快に造形された音楽を聴衆に提示してくれているようです。我々聴くものは何ら無理をせずにカーチュン・ウォンの音楽ワールドを受容すればよいのでしょう。普通はこういう指揮者の音楽は物足りなく感じることもありますが、そうならないのがカーチュン・ウォンの天才的な音楽力です。とりあえず、バルトークやヤナーチェク、そして、マーラーは素晴らしい演奏が期待できます。今日のヤナーチェクも素晴らしい演奏でした。それに彼が振る日本フィルの音の響きの素晴らしいこと。弦はもとより、木管も金管も素晴らしく鳴ります。

こんな凄い指揮者がこれから日本フィルの首席指揮者になるのですから、日本フィルは上昇が続くでしょう。やはり、来季からは日本フィルの定期会員にならねばなりません。saraiにそう思わせるようなコンサートでした。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:カーチュン・ウォン[首席客演指揮者]
  チェロ:佐藤晴真
  管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:田野倉 雅秋

  ミャスコフスキー:交響曲第21番《交響幻想曲》嬰ヘ短調 Op.51
  芥川也寸志:チェロとオーケストラのための《コンチェルト・オスティナート》
   《アンコール》J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007 から 第4曲 サラバンド(Sarabande)

   《休憩》

  ヤナーチェク:シンフォニエッタ


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のミャスコフスキーの交響曲第21番《交響幻想曲》を予習したCDは以下です。

 エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団 ミャスコフスキー:交響曲全集 1991-1993年 セッション録音

ミャスコフスキーの全27曲の交響曲全集の中の1枚。何とも暗くて深みのある演奏です。


2曲目の芥川也寸志のチェロとオーケストラのための《コンチェルト・オスティナート》を予習したCDは以下です。

 岩崎洸、若杉弘指揮日本フィルハーモニー交響楽団 1971年 セッション録音

古い録音ですが、チェロもオーケストラも見事な演奏。チェンバロの演奏効果が浮き立っています。


3曲目のヤナーチェクのシンフォニエッタを予習したCDは以下です。

 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団 1981年10月16日 ライヴ録音

クーベリックのライヴの熱い演奏が聴きものです。



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完璧に響き渡った《エレクトラ》2回目 恐ろしいほどの完成度 ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2023.5.14

今日の《エレクトラ》は一昨日のミューザ川崎に続いて2回目です。いずれも運よく、最前列のほぼ中央の最高の席で聴くことができました。コンサート形式ですから、歌手がすぐ目の前で歌うので、ともかく声がよく響きます。いつもの舞台形式のオペラだと、舞台上で歌う歌手の手前にピットにはいったオーケストラがいます。歌手の声を聴くには、コンサート形式が最高です。そして、今日は主要なキャストの5人が物凄く響く声で歌ってくれて、最高の感動を味わわせてくれました。オレストを歌ったジェームス・アトキンソンもミューザ川崎のときと比べて、格段の歌唱を聴かせてくれました。ジョナサン・ノット指揮の東響もミューザ川崎のとき以上の圧倒的な迫力の演奏を聴かせてくれました。やはり、サントリーホールの音響はsarai好みのようです。

この《エレクトラ》はワーグナーの楽劇を引き継いで、さらに音楽の純度を高めたような最高の芸術です。その戦慄のドラマは《サロメ》と同様に、あるいはそれ以上に、これは愛と狂気をはらんだ命をかけた迫真の芸術であり、聴くものの実存に襲い掛かってきます。父親の復讐劇は母親殺しというおぞましい結果になり、その陶酔感に強い衝撃を受けます。R.シュトラウスの芸術的創作力は《サロメ》をも超えて頂点に達した一大傑作です。何と言ってもエレクトラの愛と狂気を完璧に歌い切ったクリスティーン・ガーキーはミューザ川崎では若干皮相的に思えた表現も今日は真摯で素晴らしい歌唱に昇華していました。歌唱だけでなく、真に迫った演技も最高でした。

ただ、昨年の《サロメ》のように、サロメを歌ったアスミク・グリゴリアンだけが光り輝いたのではなく、今日の《エレクトラ》では、エレクトラを歌ったクリスティーン・ガーキーの周りのキャストたちの歌唱と演技が見事で、さらに言えば、ジョナサン・ノット指揮の東響の圧倒的な演奏に深く魅了されました。冒頭から終幕までずっと緊張感を強いられる演奏でしたが、とりわけ、最後のオーケストラ中心の演奏になった後の超絶的な高揚感は格段のものでした。

詳細の感想は一昨日のミューザ川崎の公演について書いた通りですが、演技内容はかなりブラッシュアップされて、さらに納得感のあるものに変わっていました。短時間でこういう修正を加えた演出監修のサー・トーマス・アレンには脱帽です。

クリテムネストラ役のハンナ・シュヴァルツの歌唱はさらに声量を抑えたものになり、実に迫真の歌唱になったのは絶句しました。こういう悩めるクリテムネストラを強調した歌唱の独自性はあるいは賛否あるかも知れませんが、単なる悪役ではないという深みは素晴らしいと感じ入りました。老いてこその歌唱に感銘を受けました。

オレスト役のジェームス・アトキンソンはミューザ川崎のときの歌唱とうってかわって、実に見事な歌唱を聴かせてくれました。その美声に魅了されました。

音楽は大団円へはいり、狂乱するエレクトラは踊りながら崩れ落ちながらも中央の椅子に目を開けて座っています。素晴らしい響きの東響がオレストのモティーフを強烈に繰り返し、エレクトラはその響きの終焉とともにクリソテミスに抱かれつつ、目を閉じて、最期のときを迎えます。そして、照明が落ちて、暗黒に。圧倒的なフィナーレです。サントリーホールの聴衆が興奮と熱狂に包まれます。
万雷の拍手とブラボーコールはコロナ禍の終わりを告げるかのようでした。


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次回のR.シュトラウスのコンサート形式オペラが待ち遠しいです。何が上演されるのでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  演出監修:サー・トーマス・アレン
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:小林壱成

  エレクトラ:クリスティーン・ガーキー
  クリテムネストラ:ハンナ・シュヴァルツ
  クリソテミス:シネイド・キャンベル=ウォレス
  エギスト:フランク・ファン・アーケン
  オレスト:ジェームス・アトキンソン
  オレストの養育者:山下浩司
  若い召使:伊藤達人
  老いた召使:鹿野由之
  監視の女:増田のり子
  第1の侍女:金子美香
  第2の侍女:谷口睦美
  第3の侍女:池田香織
  第4の侍女/クリテムネストラの裾持ちの女:髙橋絵理
  第5の侍女/クリテムネストラの側仕えの女:田崎尚美
  合唱:二期会合唱団


最後に予習について、まとめておきます。もちろん、一昨日と同じです。

 R.シュトラウス:『エレクトラ』(ザルツブルク音楽祭2010)

  エレクトラ:イレーネ・テオリン(ソプラノ)
  クリテムネストラ:ヴァルトラウト・マイヤー(メゾ・ソプラノ)
  クリソテミス:エファ=マリア・ウェストブローク(ソプラノ)
  エギスト:ロバート・ギャンビル(テノール)
  オレスト:ルネ・パーペ(バリトン)、他
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  ダニエレ・ガッティ(指揮)

  演出:ニコラウス・レーンホフ
  装置:ライムント・バウアー(舞台装置)
  衣装:アンドレア・シュミット=フッテラー

  収録時期:2010年
  収録場所:ザルツブルク、大祝祭劇場(ライヴ)

さすがにウィーン・フィルで聴くR.シュトラウスは見事。キャストも豪華で隙もなく、特にガッティの指揮は特筆すべきものです。



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       ジョナサン・ノット,  

ドレスデン、運命の日は遥かに昔になり、フラウエン教会は戦争と和解の象徴として、輝きを放っていますが、現実世界は今も愚かな行為を繰り返しているとは・・・

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/10回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅を終えて、ドレスデンの市内観光に移ります。美しいチーズ屋さん、プフンズ・モルケライPfunds Molkerei Dresdenを出るところです。ところで、混雑する店内でsaraiは大失策をおかします。観光客の一人が寄って来て、これはあなたのものじゃないかと渡してくれたのは、何とsaraiのパスポート。知らないうちに落としてしまったようです。次回の旅からはパスポートのコピーを財布に入れ、うかつにパスポートを出さないようにしました。まだまだ、旅の初心者だったんです。いずれにせよ、親切なかたに感謝しましょう。旅では数知れない人たちのご親切に助けられてきました。

次は今回の旅の企画のきっかけになったフラウエン教会Frauenkircheに向かいます。
また、アルベルトプラッツAlbertplatzまで歩いて、そこからトラムで旧市街に移動。
フラウエン教会の美しい建物の前に立ちます。

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ドレスデンの街は第2次世界大戦の連合国の爆撃で破壊しつくされたのですが、市民がその瓦礫をかき集め、それらを用いてできる限り元の形に復元するという信じられない努力の結果、2005年に元の美しい教会が甦ったというフラウエン教会です。saraiがここを訪れた3年前に蘇ったばかりのことでした。

実はこの旅の直後、このドレスデン空襲を題材にした映画、『ドレスデン、運命の日』を見ました。連休で訪れたドレスデンを主題とした映画がツタヤにあったので、レンタルして、配偶者と一緒に見ました。この映画のラストシーンが再建されたフラウエン教会でした。
この映画は第2次世界大戦末期のドレスデンの病院とイギリス空軍を舞台に始まります。ヒロインはドレスデンの大きな病院の看護婦(病院長の娘)、ヒロインと恋に落ちるのはイギリス空軍の爆撃機のパイロット。彼らが恋に落ちるのはちょっと無理のある筋書きですが、本来、この映画の主題はドレスデン大空襲であり、彼らはそれを盛り立てるのが役割なので、そのあたりにはこだわらないで、この映画を見ましょう。そして、運命の日、1945年2月13日から15日にかけて、イギリス空軍による2波の大空襲とさらにアメリカ軍による2波の空襲が行われ、ドイツ東部の美しい古都ドレスデンは灰燼と帰してしまいます。そして、2万5千人の市民が亡くなったと推計されています。そもそも、ドレスデンには軍事的な価値はあまりなかったのですが、ソ連軍がドイツに迫ってきており、イギリスとしても、何らかの存在感を示すために、ドレスデンをスケープゴートにしたようです。
しかし、この大空襲によっても、堅牢なフラウエン教会は持ちこたえたのです。でも、空襲による火災で高熱にさらされたドームの建材がスポンジ状に変質し、数日後に崩れ落ちます。
時は流れて、ドレスデンは東ドイツの一部となり、瓦礫となったフラウエン教会もそのまま放置されていました。そして、ライプツィヒに端を発したベルリンの壁崩壊が1989年に起きます。ドイツ統一後のドイツ人の精神的な象徴として、このフラウエン教会の再建が始まります。ついに2005年に見事にフラウエン教会が再建されました。その姿は白い石と黒い石がまだらに組み合わさったものです。白い石は新しい石、黒い石は瓦礫のなかから探し出された石です。史上最大のパズルと言われている由縁です。

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saraiはこの再建されてまだ3年のフラウエン教会を見て、その不思議な模様になんともいえない感覚を抱くとともに、きっと、いつかはあの白い石も黒ずんで、黒い石と同化するんだろうなと思います。いつの日か、教会を見上げた人たちが、黒々とした壁面を見て、壮大な教会の姿に感動し、戦争の傷跡から開放されるでしょう。それまでは、戦争と和解の象徴として、長く、フラウエン教会は世界中から訪れる人々の視線を集め続けることになるのでしょう。
先日、映画『シンドラーのリスト』を見て、ドイツ人(ナチス)のユダヤ人に対する非人道的な歴史的事実に胸を痛めましたが、この映画も見て、結局、戦争という行為はすべての人々を加害者・被害者にしてしまうというシンプルな事実を痛感することになりました。
映画そのものは傑作ではありませんが、その主題とするものを感じられれば、決して見て損のない?映画です。

美しく再建されたフラウエン教会の内部をご紹介しつつ、今後、決してこの美しい教会が損なわれないことをみなさんとご一緒に祈りたいと思います。

折しもミサの最中で静かにそっと後ろに立ちます。内部の息を飲む美しさに驚嘆します。

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何と言う美しい装飾でしょう。内部は完全に復元したものでしょう。その復原をやり遂げた市民の執念ともいえる努力には本当に驚きます。

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見事に修復されたドレスデンのフラウエン教会(聖母教会)のドームの天井を見上げます。ドイツ人がここまで美しいものを再現した努力を思い、胸にジーンとくるものがあります。

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主祭壇とその上にある大きなパイプオルガンです。見れば見るほど、修復作業の素晴らしさに感銘を受けます。

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後方のバラ窓からは明るい陽光が差し込んで、人々に祝福を与えています。

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ドレスデンの旧市街はかつては美しいバロック建築の街として知られていました。しかし、このフラウエン教会をはじめ王宮やツヴィンガー宮殿やゼンパーオパーなど多くの建物が大空襲で完全に破壊されました。しかし、今では多くの建物が再建されて、昔日の輝きを取り戻しつつあります。しかし、真っ黒に焼け焦げた石がそのままはめ込まれモザイク状になっているフラウエン教会を見ると、戦争の愚かさと恐ろしさを感じられずにはいられません。
そして、また、今でもウクライナで戦争と破壊という愚かな行為が繰り返されています。77年も経つと過去の戦争の反省などは忘れてしまう人類の愚かしさにこれからの未来はあるのかという暗澹たる思いに駆られるのみです。



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ドレスデンの美しい街を散策

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/11回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅を終えて、ドレスデンの市内観光に移ります。美しいチーズ屋さん、プフンズ・モルケライPfunds Molkerei Dresdenから旧市街に移動して、フラウエン教会Frauenkircheで大きな感銘を受けます。そこからドレスデン城Residenzschlossのほうに歩いていきます。ドレスデン城の外壁のひとつに描かれる絵画(マイセン磁器作品)、「君主の行列」Fürstenzugの前に出ます。君主の行列は一枚の大きな絵画ではなく、マイセン磁器のタイルで102メートルの長さにまで繋ぎ合わせたものです。これは他に類を見ないスケールで、磁器を用いて製作した作品として世界最大と言われています。その中央にいるのがアウグスト2世August IIです。強健王(Mocny)とも呼ばれ、ザクセン選帝侯国の首都ドレスデンを主要な文化的中心地に変えた偉大な人物です。

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ドレスデン城に隣り合うカトリック旧宮廷教会Kathedrale Sanctissimae Trinitatisが目の前に現れます。

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こちらはドレスデン城の威容です。これらの建物も空襲で破壊されましたが、戦後に再建されました。

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ドレスデン城の横を抜けて、ゾフィーエン通りSophienstraßeに出ると、正面にゼンパー・オーパーSemperoper Dresdenの優美な建物が見えてきます。ここで明後日、オペラを聴く予定です。そのオペラの演目を書いた垂れ幕が下がっています。一世を風靡した歌姫エディッタ・グルヴェローヴァがルチアを歌う《ランメルムーアのルチア》です。

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エルベ川のほうに向かい、川の手前にある大きな石段を上ります。

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そこがブリュールのテラスBrühlsche Terrasseです。一段高いところからエルベ川の景色を眺められます。

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川岸にはエルベ川クルーズの蒸気船も停泊しています。午前中、エルベ川クルーズを楽しんだことがもう昔の夢の中のことに思えます。
美しいアウグストゥス橋Augustusbrückeもすぐそばに見えています。この橋を渡ると、新市街Dresden Neustädtです。さきほどまで新市街にあるチーズ屋さんに寄っていました。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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ほぼ、今日の日程は終えましたが、もう少し、この美しい街を歩きましょう。



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ドレスデンの日本食は美味しいけど高価

2008年5月3日土曜日@ドレスデン/12回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの2日目です。

エルベ川の船旅を終えて、ドレスデンの市内観光に移ります。美しいチーズ屋さん、プフンズ・モルケライPfunds Molkerei Dresdenから旧市街に移動して、フラウエン教会Frauenkirche、「君主の行列」Fürstenzug、ドレスデン城Residenzschloss、カトリック旧宮廷教会Kathedrale Sanctissimae Trinitatis、ゼンパー・オーパーSemperoper Dresden、ブリュールのテラスBrühlsche Terrasseというバロック建築群を巡りました。
さらに旧市街の雑踏の中をうろうろしながら、ドレスデンの余韻にふけっていました。

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さあ、今日は同行のsaraiの姉のリクエストで日本料理を楽しむことにします。近くのヒルトンホテル内の日本料理店(小倉)でリッチな夕食(一番高いセットメニューを食べましたが、結果的に今回の旅でも一番高い食事になりました)を食べます。
まずはアジのマリネから始まります。

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次いで、お刺身3種。

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ほうれん草のおひたしで箸休め。

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牛肉のたたき。

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野菜の煮物。

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天ぷら。

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最後はお鮨でしめ。赤出し付です。

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いかにも日本食というメニューはお腹にも優しく、日本料理の良さを再認識します。でも、高い!

ところで、今日の交通費は行きのクルーズ船とケーブルカー往復分だけで、あとのバスやトラムはすべてドレスデンカードでカバーできました。ドレスデンカードはなかなか便利です。

今日は盛り沢山の日程でsaraiが疲れてしまって、ホテルに戻って、グーグー寝ていましたが、配偶者にたたき起こされてバトンタッチし、旅の記事の仕上げをしました。明日からは、いよいよ、オペラのスタートです。saraiのヨーロッパ遠征の真の目的です。最初はライプツィヒ歌劇場での鑑賞なので、明日は1日、ライプツィヒに日帰りで出かけます。



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ライプツィヒの1日:ICEはザクセンの大平原を疾走

2008年5月4日日曜日@ライプツィヒ/1回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの3日目です。

今日は丸1日、近くの町ライプツィヒに出かけます。何故、ライプツィヒかというと、バッハ、メンデルスゾーン、シューマン、ゲーテなどの由緒が深く、文化の薫り高い町で、音楽好きのsaraiには見逃せないからです。

これまで、ドイツに来ていても未体験のドイツ新幹線のICE(ドイツ語の発音でイーツェーエーっていいます)も合わせて、体験しましょう。ここドレスデンとライプツィヒを走っているICEは何種類かあるICEのうち、ICE-Tという旧東ドイツの旧式なカーブの多い区間を走る振り子型の電車ですが、車内の作りは他のICE2,ICE3などとそう変わらないようです(その後、色んなタイプのICEに乗りましたが、内部の作り、乗り心地は同等です)。
既にネットでDB(ドイツ国鉄)のサイトで往復ともファーストクラスの指定席をラウンドテーブル付き(3人分)を予約済です。セカンドクラスでもよかったのですが、日曜の往復チケットは50%割引だったので、これはラッキーと贅沢してしまいました。ただし、これがあとで若干のトラブルになります。

朝、早起きして、7時にホテルを出て、ホテルの近くの停留所からトラムに乗ります。ところが日曜はトラムの本数が少ないらしく、到着予定時間を表示する電光掲示板では20分近く来ないことになっています。もともと、次の停留所で乗り換える予定だったので、そこまで歩くことに。その停留所はDRESDEN MITTEというSバーンの駅でもあり、すぐ近くに見えていたので、数分で到着。ここは大きな乗換駅でトラムの停留所もいくつかあります。
ドレスデン中央駅に向かう筈の番号のトラムも停車していますが、無人に見えますし、第一、方向が違うようです。おかしいなと思い、近くに寄ってみましたが様子が分かりません。と、突如、この無人に見えたトラムが動き始めます。それもドレスデン中央駅とは逆の方向です。呆然としていると、トラムはその先の交差点で右折。ハッと気がつきます。きっと、このトラムは並行しているもうひとつの道に右折して、こっちに戻ってくるに違いありません。さっと、連れに合図しながら、トラムが戻ってくるであろう道に向かって、ダッシュ!! 何とかセーフ。予想通りです。あとはこのトラムがICEやSバーンが走る高架線に沿って、ドレスデン中央駅まであっという間に着きます。

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ドレスデン中央駅は初めてです。とても大きな駅です。トラムの停留所から駅の入口に向かって歩いていきます。

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ドレスデン中央駅は地図上では、ターミナル駅になっていませんが、実際はSバーンが通過するだけで、長距離のICEなどはターミナル駅の形式になっています。実はこれも間違いで、あとでプラハに移動するときにまごまごすることになるわけです。
駅に着いたのは、結果的にはかなり早い時間ですが、プラットホームには既にICEが入線しています。ドレスデンが始発なので、早めに入線していたのでしょう。流線形の美しい車体です。

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予約では車両番号は3桁ですが、実際は8両編成くらいで、予約車両は先頭車両です。予約席はやはりテーブルを囲む3人席でコンパートメントではありませんが、気楽です。

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発車時刻になると音もなく出発。スムーズです。ゆっくりとドレスデンの街が車窓に流れていきます。ほどなく、ICEはSバーンの線路とは離脱していきます。成程、納得。このICEは中央駅から北のほうに向かいますが、ドレスデンのもうひとつの駅、ノイシュタット駅には停車しないことになっています。それもその筈で、ノイシュタット駅を通過せずに、別の線路を通るわけです。実はsarai達が泊まっているホテルの脇に線路がありますが、この線路がそれでノイシュタット駅を迂回する線路です。何故、そんなシステムになっているか分かりませんが、ICEによって、ノイシュタット駅経由(経由すると必ず停車するらしい)するものとそうでないものがあるようです。ノイシュタット駅のそばのホテルにお泊りで乗降されるかたは注意がいりますね。因みに、帰りのICEはノイシュタット駅経由で停車しました。
すぐに車掌さんが検札にまわってきます。チケットを取り出しますが、チケットといっても、ネットのDBのサイトで予約した際に自宅のプリンタで印刷したA4の紙1枚(3人分で1枚)。それも往復で1枚。本当にこんなものでよいかと思いながら、差し出すと、これでOK。紙の一部に検札印を押しています。これであとはゆっくりとICEを楽しむだけ。記念に押し出しの立派な車掌さんと一緒に記念撮影。

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車窓にはエルベ川が見えています。昨日、エルベ川クルーズを楽しんだことが最早、古い記憶のようです。

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ドレスデンの街を出て、ほどなくすると、ICEは次第にスピードを上げていきます。ICEはザクセンの大平原をゆっくりと進んでいるような感覚ですが、車両の端にあるディスプレイの表示では、200kmに達します。まわりが広い平原のせいか余りスピード感はありません。

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やはり、鉄道の旅は楽しいものです。しばらく、初乗車のICEを楽しみましょう。



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ライプツィヒの1日:聖トーマス教会の日曜ミサ

2008年5月4日日曜日@ライプツィヒ/2回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの3日目ですが、実質、ライプツィヒの1日です。

ドレスデン中央駅で乗ったICEはザクセンの大平原の中、ライプツィヒに向かっています。
乗り込んだ車両は先頭車両だったので、一番前まで行くと、停車中は閉まっていた運転室のカーテンが開いており、最前列のシートから前方の光景がさえぎるものもなくオープン! 最前列にいた乗客はどこかに行ってるので、遠慮無用で前方の景色を独占し、動画を撮りまくります。まるで「欧州鉄道の旅」です。




それも飽きて、元の座席にいると、また、車掌さんがまわってきたので、飲み物を注文。ファーストクラスの特権で車掌さんにお願いすると、自席まで食堂車から飲み物・食べ物を運んでくれるそうです。コーヒーが届き、料金とチップを支払い、これまた、快適。

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今度は車窓の風景を動画で撮影します。




そうこうするうちに、1時間でライプツィヒに到着。ライプツィヒ中央駅は正真正銘のターミナル駅ですごく立派な駅です。

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まだ9時を少し過ぎたところ。これから1日、ライプツィヒで過ごします。
何故、そんなに急いで行ったかというと、今日は日曜日で教会のミサが9時半から始まるからです。残念ながら、決してクリスチャンでも何でもなくて、無宗教の輩ではありますが、ここライプツィヒはバッハの聖地で、バッハが27年間も聖歌隊長を勤めた聖トーマス教会があり、saraiは年とともにバッハの音楽に次第に傾倒してきたからです。この聖トーマス教会の日曜ミサに参加し、できれば、バッハのオルガン曲でも聴ければ最高だなと思った次第です。
駅舎から出て、ライプツィヒ中央駅を背景に記念撮影。残念ながら、駅は改装工事中です。

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駅から街の中心は歩いてすぐです。聖ニコライ教会Nikolaikirche Leipzigの前を過ぎます。ここはまた、後で戻ってきましょう。

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街の中心のグリマイッシェ通りGrimmaische Str.を少し行くと、すぐに聖トーマス教会Thomaskircheの清楚な姿が目に入ってきます。

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教会の前にはバッハの銅像がたっています。新バッハ記念碑Neues Bach-Denkmalです。

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まだ、9時半には少し前でした。やれやれ間に合ったと教会に入っていくと、既に大勢のキリスト教徒のみなさんが着席しています。席もまだ大分空いていたので、結構、前のほうの席に着席。

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高い天井は美しく装飾されています。

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しばらくすると牧師さんが中心に歩み出てきて、お話しを始めます。もちろん、ドイツ語でちんぷんかんぷんです。しかし、親切にも、席には2人に1冊ほど、今日の式次第の冊子が置いてあり、それを見ると、今、どのあたりの事が行われているか、推測可能です。しかも、賛美歌の歌詞と音符まで一杯載っています。一部、英語での記載まであります。

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しばらくすると、賛美歌が始まりますが、この楽譜を見ながら、一緒に何とか付いて歌えます。賛美歌って、結構、単純ですからね。歌詞はドイツ語なので、必死で読まないといけないけど。そのうちに2階席に陣取っていた室内オーケストラが何とバッハのヴァイオリンコンチェルト(ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV1041)の演奏を始めます。ラッキー!!このあと、何曲も賛美歌を歌ったり、バッハのオルガン曲の演奏があったりとバッハの聖地での貴重な体験で、もう、感激で胸は一杯。結局、このミサは1時間半ほど続きましたが、あまりの嬉しさに教会に十分な?寄付をして、教会を出ます。
付き合ってくれた配偶者と姉に感謝!



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緊張感と高揚の80分、マーラーの交響曲第6番 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2023.5.20

先週の凄かったR.シュトラウス《エレクトラ》に続き、ジョナサン・ノット&東京交響楽団は今度はマーラーの交響曲第6番です。大曲続きですね。無論、期待に違わぬ演奏です。

このところ、マーラーの第5番から第7番までの中期の交響曲を聴く機会があります。大野と都響の第7番、マナコルダと読響の第5番ときて、〆は今日の第6番です。声楽抜きの中期の交響曲の複雑で充実した響きに魅了されます。それにしても日本のオーケストラ、とりわけ、在京のオケの実力の凄さに驚嘆します。

今日の演奏はノットらしく、プレリュードとして、リゲティの短いピアノ曲を置き、短い間の後、ざっざっざっという深い響きのマーラーが開始されます。その効果は甚大で、シンプルな音色のリゲティの後では、いかにオーケストラの響きが充実しているかを思い知らされます。この緊張感の高いマーラーの開始はその後の展開を予告するものです。東響も聴衆もノットのタクトの下、緊張と高揚の1時間半を強いられることになります。マーラーが描き出した音楽世界にこのサントリーホールにいる者はその1時間半、ワープすることになります。マーラーの強い自我が我々を支配して、マーラーの意識下の愛や美しい自然の中で別の人生を体験するかの如くです。東響は素晴らしい響きで我々をマーラーワールドに誘います。第1楽章の長大なこと! いつまでも音楽が続くようです。そのエキセントリックとも言える凄まじい音楽の変遷に我々は翻弄されます。ノットも会心の指揮で東響を鼓舞し、我々聴衆も鼓舞します。緊張感高い第1楽章が終わり、疲れを感じる間もなく、第2楽章のスケルツォが始まります。ここでも緊張感高い音楽が持続します。何とも凄まじいエネルギーの大波です。そして、ようやく、第3楽章のアンダンテで優しい音楽が始まり、カタルシスとも思える気持ちになれます。しかし、美しく優しい音楽であっても、緊張感の高さは変わりません。そして、奇怪とも思える第4楽章に入っていきます。起伏の多い音楽は複雑な感情が織り込められています。愛や英雄的な前進感、そして、挫折や死。東響は最後まで緊張感を持った演奏。無限のエネルギーを放出するような演奏です。ノットの額は汗で光っています。そして、最後の高揚に突進し、その果ては静謐な音楽に変わります。最後の高まりをみせた後、音楽は突然のように終わります。

昨年のマケラ&都響のような圧倒的な輝きはありませんでしたが、ノットの知性的な精密さに満ちたマーラーの交響曲第6番の会心の演奏でした。東響の勢いのある演奏も印象的でした。ノットが振ると東響は高みに駆け上がります。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  リゲティ:ムジカ・リチェルカータ 第2番(ピアノソロ=小埜寺美樹)
  マーラー:交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」

  《休憩》 なし


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のリゲティのムジカ・リチェルカータ 第2番を予習したCDは以下です。

 ピエール=ローラン・エマール リゲティ・エディション3 ピアノのための作品集 1995年12月6-9日、スイス、ラ・ショー=ド=フォン、サラ・ド・ムジーク セッション録音

ピエール=ローラン・エマールですから、間違いなく素晴らしい演奏。


2曲目のマーラーの交響曲 第6番を予習したCDは以下です。

  ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団 2008年10月27-31日 バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール セッション録音

第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテはちょっと物足りませんが、第4楽章は迫真の演奏。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ジョナサン・ノット,  

ジルダを歌ったハスミック・トロシャンの清楚で美しい歌唱に魅了されまくりで素晴らしい公演 《リゴレット》@新国立劇場 2023.5.21

覚えていないくらい久々にこのヴェルディの中期の傑作オペラ《リゴレット》を聴きましたが、何とも素晴らしい出来にすっかり満足しました。ソプラノ好きのsaraiとしてはジルダを歌ったハスミック・トロシャンの清純な歌唱のとりこになってしまいました。アルメニア出身の美人ソプラノなんですね。まったく知らないソプラノですが、その澄み切った清楚な声はこのジルダにぴったり。第1幕の有名なアリア《慕わしい人の名は》は呆然として聴き入りました。そのほか、2重唱も4重唱も彼女の声が素晴らしく響き、超満足。それにしてもヴェルディの作ったどの曲も素晴らしいです。
無論、タイトルロールのリゴレットを歌ったロベルト・フロンターリの深い声、表現力も見事です。ですから、ジルダとの2重唱が最高に素晴らしかったんです。ただ、うっとりとして聴いていたと言えば、誤解されそうですが、ヴィクトル・ユーゴー原作のそれぞれの人物の彫りの深い描き方、そして、劇的なドラマ展開もじっくりと味わうことができました。このオペラの素晴らしさを初めて体験する思いです。
【マントヴァ公爵】のイヴァン・アヨン・リヴァスは出だしは少し金属的な響きにあれっと思いましたが、次第に声が落ち着き、素晴らしいテノールの歌唱を聴かせてくれました。
ということで、ジルダを中心に主要な3人の歌唱が素晴らしかったんですから、今日の《リゴレット》はよいに決まっていますが、おまけもついてきます。東フィルを振ったマウリツィオ・ベニーニの指揮がまさにプロフェッショナルなオペラ指揮者そのもので実に素晴らしく、その指揮する姿にも見入ってしまいました。歌手の歌唱にオケを合わせる絶妙さはもちろん、ここぞというところで煽り立てるような指揮の見事さ。ただ、大きな声で歌いながらの指揮はどうもね。まあ、愛嬌ですけどね。
演出はオーソドックスで美しい舞台装置、それに衣装も美しいです。あくまでも音楽を引き立てるという演出です。やはり、こういう演出が一番、音楽を楽しめます。
そうそう、今日も新国立劇場合唱団が素晴らしかったことを忘れずに言っておきましょう。ヴェルディのオペラには不可欠です。

ということで、今日もヴェルディの素晴らしさを満喫しました。前回の《アイーダ》以上に素晴らしい公演でした。新国オペラはドイツものも素晴らしいですが、イタリアものも素晴らしいです。海外に遠征しなくても、それなりにオペラが楽しめてハッピーです。


今日のキャストは以下です。

  ジュゼッペ・ヴェルディ
   リゴレット<新制作>  全3幕

  【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ
  【演 出】エミリオ・サージ
  【美 術】リカルド・サンチェス・クエルダ
  【衣 裳】ミゲル・クレスピ
  【照 明】エドゥアルド・ブラーボ
  【振 付】ヌリア・カステホン
  【舞台監督】髙橋尚史
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:近藤薫
  
  【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
  【ジルダ】ハスミック・トロシャン
  【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
  【スパラフチーレ】妻屋秀和
  【マッダレーナ】清水華澄
  【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
  【ジョヴァンナ】森山京子
  【マルッロ】友清 崇
  【ボルサ】升島唯博
  【チェプラーノ伯爵】吉川健一
  【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
  【小姓】前川依子
  【牢番】高橋正尚

最後に予習について、まとめておきます。

以下のヴィデオを見ました。

メトロポリタンオペラ・ライヴビューイング

ヴェルディ:歌劇『リゴレット』全曲

 ピョートル・ベチャワ(マントヴァ公爵)
 ジェリコ・ルチッチ(リゴレット)
 ディアナ・ダムラウ(ジルダ)
 ステファン・コツァン(スパラフチーレ)、他
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 ミケーレ・マリオッティ(指揮)

 演出:マイケル・メイヤー

 収録時期:2013年2月16日
 収録場所:ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場(ライヴ)

舞台を1960年頃のアメリカ、ラスヴェガスに移した演出ですが、これがピタッとはまっています。ダムラウのジルダが見事な歌唱力で印象的です。異色と言えば、異色のリゴレットです。偶然ですが、指揮のミケーレ・マリオッティは来月の東響のサントリー定期で聴きます。初聴きになります。シューベルトの《ザ・グレート》を指揮します。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

本日休載

身辺何かと忙しく、本日休載といたします。
心身は至って健康ですから、ご心配なきよう。
もっとも今日は1日、家に引き籠っていました。音楽も聴かず、PCの作業に没頭していました。
それでも、自宅サーバーの再構築は遅々として進んでいません。
日々、何か忙しいのは何故でしょう。

テーマ : 日々のつれづれ
ジャンル : 日記

 

ライプツィヒの1日:ドイツ最古のカフェ、カフェ・バウムで絶品のシュパーゲル

ライプツィヒの1日:カフェ・バウムで絶品のシュパーゲル

2008年5月4日日曜日@ライプツィヒ/3回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの3日目ですが、実質、ライプツィヒの1日です。

到着したライプツィヒではまず、バッハの聖地、聖トーマス教会Thomaskircheで夢のような1時間半を過ごしました。
聖トーマス教会を出たところです。

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でも、まだ、バッハは終わりません。教会の外には、隣接してトーマスショップThomasshopというバッハグッズの土産物店があります。先ほどの余韻を楽しみながら、お土産にこの聖トーマス教会での演奏を収録したバッハのCDを買い求めました。また、ここでお土産のチョコレートを買ったら、あとでそのお土産をあげた母から、中にCDがはいっていたとのこと。流石にバッハゆかりのチョコレートですね。

そうこうするうちに、もうお昼。さあ、ランチの時間です。有名なツム・アラビッシェン・カフェ・バウムZum Arabischen Coffe Baumでお茶をすることに。このカフェ・バウムは1565年創業でカフェとしてはドイツで一番古いといわれ、ワーグナーやリスト、シューマン、シラーといった芸術家たちが常連だった店です。聖トーマス教会からは遠くありませんが、地図を見ながら、探していると、場所が分からなくなり、ふと、目の前の建物を見上げると、そこにカフェ・バウムの看板。まずはオープンテラス席に腰を落ち着けます。

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結構、混んでいます。目の前は広場になっていて、小さな可愛い噴水、リプシアの泉Lipsia-Brunnenがあります。

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有名カフェだけあって、私たちがオープンテラス席にいるときもひっきりなしに観光ツアーの団体客が見物にきています。私たちはお茶だけのつもりがスープやホワイトアスパラガス(ドイツでは、この時期の生のホワイトアスパラガスのことをシュパーゲルといって、特にドイツ産のものが珍重されるそうです)まで注文し、美味しくいただくことになります。

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この今が旬のシュパーゲルの美味しいこと、この上もなく、思わず、「おかわり」ってことに相成ります。最初に注文するときには、シュパーゲルはあるかって、訊きましたが、あるけど、なんだかかんだか、ドイツ語で訊いてきます。よく分からないので、何度も、やりとりをしていると、どうも、ソースは何にするかってことらしく、定番のオランデーズソースでどうかってことなので、もちろん、それでOK。このほかに、溶かしバターをかけるとかあるらしいですね。このシュパーゲル以外も、ドイツの主食であるジャガイモも、日本のジャガイモとは一味違い本当に美味しいです。

美味しいランチをいただき、席を立ちます。カフェ・バウムを改めて眺めますが、建物もとっても美しいです。

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カフェ・バウムでゆっくりとした時間を過ごし、お腹も満足したところで、ライプツィヒ散策です。
すぐ近くにマルクト広場Marktplatz Leipzigがあり、何とも美しい旧市庁舎Altes Rathausの建物があります。今はライプツィヒ郷土 歴史博物館 Stadtgeschichtliches Museum Leipzigになっているようです。

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その旧市庁舎の建物の裏手にも広場があります。ナッシュマルクトNachmarktです。お決まりのようにゲーテ像Goethedenkmalがあり、その背後には旧証券取引所Alte Börseの美しい建物があります。

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この街に来たときに前を素通りした聖ニコライ教会Nikolaikirche Leipzigに戻ってきました。内部の装飾がとっても綺麗なニコライ教会は、ベルリンの壁が崩壊しドイツ統一のきっかけとなった教会です。1989年に聖ニコライ教会を中心に行われていた平和の祈りは月曜デモへと拡大していき、遂に1989年10月16日にデモの参加者は100,000人を超え、翌日の17日にホーネッカー書記長は解任されて、11月9日のベルリンの壁崩壊につながります。
教会の内部は静かでそんな歴史の片鱗も感じられません。

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このあとは楽しみにしていたライプツィヒ歌劇場Oper Leipzigでのオペラです。歌劇場は聖ニコライ教会のすぐ近くです。

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が、午後3時からの開演にはまだ1時間半ほど時間があります。もう少し、ライプツィヒの街を歩いてきましょう。



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ウィーン古典派のハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの美しさを極め尽くしたルイージの会心の演奏 NHK交響楽団@サントリーホール 2023.5.24

聴く前は何とも地味なプログラムに思えましたが、ルイージがN響を見事にコントロールして、ウィーン古典派のハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの肌触りのよい美しい演奏を聴かせてくれました。こういう音楽を聴くと、殺伐とした世界を忘れて、ほのぼのとした幸福感に満たされます。リアルな世界とは異次元の天上の世界を味わった2時間になりました。音楽は聴く者を束の間の別の人生を体験させてくれます。ウィーン古典派の時代ではなく、もっと天国的な世界を体験するんです。

まずは、ハイドンの交響曲 第82番「くま」。パリ交響曲の6曲セットの最初の曲です。このあたりの曲はあまり聴いていなくて、この曲も実演では初聴きです。50代の脂の乗り切ったハイドンの勢いあふれる作品ですが、ルイージは自然体で実に美しい響きをN響から引き出して、聴く者を魅了してくれます。特に弦の響きは最高です。少ない構成のオーケストラですが、豊かで芳醇な響きで、それでいて、室内楽的な音のまとまりもあり、ただただ、その演奏に身を委ねるのみで、18世紀末のウィーン古典派の真髄を味わうことができます。うーん、言葉で表現できないような見事な音楽です。

次いで、モーツァルト晩年の傑作、ホルン協奏曲 第3番です。時代的には、ハイドンの交響曲 第82番「くま」とほぼ同時期に作曲されたというのが不思議な感じです。ホルンの福川伸陽は驚くほど抑えた演奏です。まるでウィンナーホルンで演奏しているように感じます。モーツァルトの時代の様式感を表出しているのでしょう。それでも、音の芯はしっかりとしていて、モーツァルトの美しい旋律を奏でています。サポートするルイージ指揮のN響の演奏の美しいこと! ハイドンの美しさとはまた違っていますが、自然体の美しさという点では共通しています。ウィーン古典派の粋を味わわせてくれます。第2楽章のラルゲットの沈潜したような抒情は深い味わいに満ちています。そして、一転して、第3楽章の勢いにあふれた喜びの音楽で気持ちが高揚します。
このモーツァルトの作品も心に平安をもたらすような素晴らしい演奏でした。

休憩後、ベートーヴェンの名曲、交響曲 第6番「田園」。これが素晴らしかったんです。プログラムの解説にあった、古代ギリシャの理想郷アルカディアを彷彿とするような究極の美しさに満ち溢れた音楽が第1楽章、第2楽章と続いていきます。とりわけ、第2楽章の音楽はベートーヴェンがテキストに書いた通り、《小川のほとり》が見事に表現されて、まさにアルカディアの小川の風景が心に浮かび上がってくるかのようです。この曲がこんなに天上の響きを醸し出すとは思っていなかったので、望外の喜びを味わいます。これまではウィーン郊外の美しい自然を表現していると思って聴いていましたが、ベートーヴェンはもっと深い内容をこの音楽に込めていたんですね。これから、この有名な曲の聴き方が変わりそうです。今年は何故か、この「田園」を聴く機会が多く、井上道義&新日フィル、ジョナサン・ノット&東響などで聴きます。俄然、どんな演奏を聴かせてくれるか、楽しみになってきました。
横道にそれましたが、第5楽章の牧歌が素晴らしい演奏でベートーヴェンの晩年の穏やかな心境の諦念を予感するような深い音楽を聴くことができました。

ファビオ・ルイージで聴いた最高の音楽だったかもしれません。ルイージにはウィーン古典派が似合う?


今日のプログラムは以下のとおりです。


  指揮 : ファビオ・ルイージ
  ホルン : 福川伸陽
  管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:郷古廉(前半)、篠崎史紀(後半)

  ハイドン:交響曲 第82番 ハ長調 Hob. I-82「くま」
  モーツァルト:ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K. 447
   《アンコール》ロッシーニ:狩りのファンファーレ

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲 第6番 へ長調 Op.68「田園」


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のハイドンの交響曲 第82番「くま」を予習したCDは以下です。

  ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 2001年12月10-15日、2002年6月4,5日 コンツェルトハウス・モーツァルトザール,ウィーン セッション録音

アーノンクールが遺したハイドンのパリ交響曲集(6曲)。見事な演奏で言うことはありません。


2曲目のモーツァルトのホルン協奏曲 第3番を予習したCDは以下です。

   ギュンター・ヘーグナー、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1978年11月、1980年4月(カデンツァ) ウィーン、ムジークフェラインザール セッション録音

ウィンナーホルンのへーグナー、そして、ベーム指揮ウィーン・フィルとくれば、よい演奏に決まっていますが、とりわけ、無理のない自然体の演奏は晩年のベームならではと言えるかもしれません。



3曲目のベートーヴェンの交響曲 第6番「田園」を予習したCDは以下です。

  レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1978年11月4~7日 ウィーン、ムジークフェラインザール ライヴ録音

バーンスタインの決して、超人的な演奏ではなく、あくまでも人間味あふれる演奏。曲の本質を突いた超名演です。くしくもベームのホルン協奏曲も同時期のウィーン・フィルの演奏ですね。ちなみにベームはこの前年、1977年にウィーン・フィルと来日し、この田園の素晴らしいライヴ録音を遺しています。



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ライプツィヒの1日:メンデルスゾーンは地元では無名の存在なの?

2008年5月4日日曜日@ライプツィヒ/4回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの3日目ですが、実質、ライプツィヒの1日です。

ライプツィヒではまず、バッハの聖地、聖トーマス教会Thomaskircheを訪れた後、ドイツ最古のカフェ、カフェ・バウムZum Arabischen Coffe Baumで旬のシュパーゲルをいただき、お腹が満たされた後、街の中心地を巡り、ライプツィヒ歌劇場Oper Leipzigまでやってきました。今日はここでオペラを聴きます。

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このライプツィヒ歌劇場とアウグストゥス広場Augustusplatzを挟んで向かい合わせに建つのがゲヴァントハウスGewandhausです。歴史あるコンサートホールですが、第2次世界大戦の空襲で破壊されて、今は現代建築で新しく建てられたホールになっています。ここを本拠地にしているのがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団です。

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saraiは興味津々でこのホールに近づいてみます。いつか、このコンサートホールでライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏を聴きたいと思いましたが、結局、叶わぬ夢になりました。

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まだ、オペラの開演まで1時間半ほどあるので、このライプツィヒで活躍した音楽家の一人、メンデルスゾーンの記念館、メンデルスゾーンハウスMendelssohn-Hausに行くことにします。このアウグストゥス広場から、そう遠くない場所にある筈ですが、探してもなかなか見つかりません。地元の人に訊いても、よく分からないようではっきりしません。どうも、地元でも、あまりメンデルスゾーンは有名ではないのでは?と疑いたくなります。あきらめて、歌劇場の方に戻っていたら、なんと、メンデルスゾーンハウスはこちらという標識があるではありませんか。で、無事にメンデルスゾーンハウスの前に立つことができます。

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メンデルスゾーンハウスの見学を済ませ、外に出ると、奥にある中庭は素晴らしい緑です。メンデルスゾーンはとてもよい環境の中で暮らしていたのですね。

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メンデルスゾーンハウスの銘板の前で記念撮影を済ませます。

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ところで、この旅から帰国した後、このメンデルスゾーンハウスの出てくるテレビ番組がありました。
BS日テレ開局8周年記念番組として放映された、『メンデルスゾーン幻想』という番組です。その日は見たい番組が目白押しで裏録を取りながら、別のオンタイムの番組を見るという3重の番組鑑賞とあいなり、やっと、数日たって、この録画した番組を見ることができました。2時間番組で番組進行役はピアニスト女優の松下奈緒さんで、ドイツの有名作曲家のフェリックス・メンデルスゾーンの作品のいくつかは彼の姉のファニー・メンデルスゾーンの作品だったということを松下奈緒さんが女性の視点で追跡するものでした。
saraiは丁度、その年の連休にライプツィヒを訪れたこともあり、興味をひかれて見たんです。
番組の前半がライプツィヒで、後半がベルリン。
メンデルスゾーンハウスも紹介されて、まだ、新しい記憶なので、嬉しくなります。
番組では、ライプツィヒではメンデルスゾーンはよく知られた存在で、日本のようにヴァイオリン協奏曲や結婚行進曲のような限定した曲ばかりでなく、様々な作品が演奏されているということでした。それはそうかも知れませんが、それは一部の音楽愛好家の間のことではないかとsaraiは思います。saraiが実際に体験したように、一般の地元の人たちのメンデルスゾーンの知名度は低く、メンデルスゾーンハウスの場所すら知らないし、そもそも、メンデルスゾーンハウスの場所を示す標識も極めて少ないというのが現状でした。むしろ、メンデルスゾーンの知名度は日本のほうが一般には高いのではないかとさえ、思います。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は始終、どこかのコンサートホールで演奏されているし・・・。
とはいえ、番組では、まだ記憶に新しいライプツィヒの街、聖トーマス教会やゲヴァントハウス、アウアーバッハスケラー、ライプツィヒ歌劇場などを紹介しており、楽しいものでした。ヨーロッパの旅番組は多いのですが、ライプツィヒを紹介する番組は稀ですからね。

話を旅の続きに戻しましょう。
ライプツィヒ歌劇場に戻ると、ちょうどよい時間です。開演30分前です。

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今日のオペラはヴェルディの「ルイザ・ミラー」という日本ではほとんど公演されないオペラです。歌手はほとんど無名の人ばかりで客席もガラガラ。

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私たちは前から2列目のかぶりつきです。

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あまりの観客の少なさに不安になって、開演を迎えます。ところが、期待以上の素晴らしい出来で、これまた、先ほどの聖トーマス教会の体験に引き続き、saraiは大感激!! 何と言っても、オーケストラピットに入っていたのはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団ですからね。

これで感動の1日を終える筈でしたが、まだ、付録がありました。



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ライプツィヒの1日:ゲーテゆかりのアウアーバッハス・ケラーで美味しいドイツ料理、そして、帰りのICEは珍道中?

2008年5月4日日曜日@ライプツィヒ/5回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの3日目ですが、実質、ライプツィヒの1日です。

ライプツィヒではまず、バッハの聖地、聖トーマス教会Thomaskircheを訪れた後、ドイツ最古のカフェ、カフェ・バウムZum Arabischen Coffe Baumで旬のシュパーゲルをいただき、お腹が満たされた後、街の中心地を巡り、ライプツィヒ歌劇場Oper Leipzigでオペラを鑑賞しました。
これでこの日の日程を終える筈でした。
実は今日はオペラを見るので、ドレスデンへの帰りの時間が読みづらくて、少し、遅めのICEを予約していました。思いのほか、早く、オペラが終わったので、とりあえず、ライプツィヒ中央駅に行って、早目のICEでドレスデンに帰ろうということになります。駅の窓口は結構、人が並んでいます。日曜の夕方だから、仕方ないですね。それでも10分もたたないうちに順番が来て、例のA4用紙チケットを差し出しながら、早いICEにチェンジしたいというと、ノー!という答え。えっ?
よく聞くと、このチケットは日曜の往復切符で50%割引のチケットだから変更は不可とのこと。そういえば、思い出しました。ネットで予約するときにそんな注意事項がありました。たとえ、指定席でなくても、割引チケットのときは乗るICEの列車番号を指定する必要がありました。
仕方ありませんね。予定の時間まではまだ3時間ほどありますが、ライプツィヒの街で豪華ディナーといくしかありません。
前から検討していたアウアーバッハス・ケラーAuerbachs Kellerというレストランに向かいます。このレストランは1525年創業で、お昼のカフェ・バウムよりもさらに創業が古く、ゲーテの「ファウスト」にも登場する酒場です。
この地下酒場は薄暗くて、雰囲気満点です。

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無論、saraiはドイツワイン(普通はここでドイツビールを飲むところでしょうが、saraiはドイツワイン好きです。因みにここで出たワインはマイセン産のザクセンワイン)を楽しみます。

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ここではもちろん、ドイツ料理をいただきます。ドイツ料理と言ってもまずはウィーンでお馴染みの仔牛のシュニッツェル。

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さらにドイツ料理定番のリンダーローラーデン(牛肉のロール煮)、それにポテトや野菜サラダの付け合わせをいただきます。

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もう、満腹で大満足です。合計57ユーロですから、まあ、お安い感じですね。

帰りに入口付近の様子を眺めます。さすがに歴史を感じさせる重厚さですね。

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地下への階段室には、ファウスト博士と悪魔メフィストフェレスの銅像Bronzestatue - Faust und Mephistoもあります。1765〜68年、若きゲーテがライプツィヒへ勉学のためにやって来た際、彼はアウアーバッハス・ケラーで黒魔術師ヨハネス・ファウストス博士の伝説を耳にします。店の雰囲気に魅せられたゲーテは、このアウアーバッハス・ケラーを彼の『ファウスト』に登場させたそうです。

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さあ、駅に向かいましょう。聖ニコライ教会Nikolaikirche Leipzigの前を過ぎて、ニコライ通りNikolaistraßeを歩いていきます。振り返ると、聖ニコライ教会の塔が見えています。

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通りに面白い建物があります。二人の騎士像が建物の上を飾っています。その名も二人の騎士の家Haus Zwei Reiterです。今はお店になっているようです。

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配偶者とsaraiの姉が通りを駅に向かって歩いていきます。

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駅に到着。

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発車時間のまだ30分ほど前にライプツィヒ中央駅に戻ってきました。
プラットホームに行くと、予定のホームに既にICEが入っています。これは始発ではなく、フランクフルトか、どこかから来る筈なのに、えらく早い入線だなと思いますが、まあ、いいでしょう。ここまで、ずい分、待ったし、もう夜の8時はとっくに過ぎているわけだし。ホームでは、サービスよく、飲み物なんかを配っているので、遠慮なく、いただき、DB(ドイツ国鉄)はサービスがいいなとルンルン!
ドイツの電車は結構長い時間停車することも多いので、そんなものかとICEに乗り込み、ファーストクラスの指定席に行くと、4人掛けのテーブル席ですが、先客が2人、多分、ドイツ人の男性が座っています。そこ、私達3人の予約席ですよといっても、さっと立ちません。むしろ、チケットを見せろと要求してきます。なんて、ずうずうしい失礼な奴らだと思いながらも、仕方なく、チケットを見せると、1人はぶつぶつ言いながらも、隣の席に移動。1人はそのままですが、指定は3人分なので仕方ありません。3人で指定席に座り、とりあえず、ほっとします。と、突然、ICEが動き始めます。えっ、まだ、発車の時間には早いんじゃないの?若干、パニック!さては違うICEに乗り違えたか。この遅い時間にベルリン行きとかフランクフルト行きなんかに乗ったら、ICEは次の駅までしばらく停まらないよ。頭の中でじたばたしていると、どうもこのICEはドレスデン行きらしいことが判明。
じゃ、きっと、遅れていた1本早いICEに乗ってしまったのかな。すると、さっきのどいてくれたドイツ人は自分の予約席を譲ってくれた親切な人だったのかもしれません。きっと、訳の分からない外国人がうるさいので、譲歩してくれたのかな。もう、今更、事情を話して、あやまるほどの勇気も語学力もないsaraiは恥ずかしい思いを抱いて、予定よりも早い時間にドレスデンに到着。結果的に、旅の恥はかき捨てになったsaraiたちは駅でタクシーをひろい、ホテルに直行し、ベッドの中で、日本では、ドイツ人に親切にしようと誓うのでした。馬鹿な外国人観光客ということでお許しを!

というわけで、本日も無事終了。



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狩猟の館、モーリッツブルグ城:SLに乗車して、いざ、モーリッツブルグ城へ

2008年5月5日月曜日@ドレスデン~マイセン/1回目

今年の旅はドレスデンDresdenとライプツィヒLeipzigとプラハPrahaが目的地。
今日はドレスデンの4日目です。

今日の夜はオペラが控えているので、さっと観光にと思っています。モーリッツブルグ城Schloss Moritzburgというドレスデン郊外の狩猟の館に出かけることにします。実はバスで行くのが早くて便利なのですが、森の中を走るSL(レースニッツグルンド鉄道Lößnitzgrundbahn)があるというので、海外でのSL初体験といくことにしましょう。普段は日本ではさほどSLに興味を示すわけではないsaraiですが、海外というと何か気がそそられます。

とりあえず、ホテルで朝食をいただきます。

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気持ちのよい朝食ルームです。

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さあ、出かけましょう。ン?怪しげな空模様・・・悔しいけど傘を持たなければ。

まずはSLの起点のラーデボイル・オスト駅Radebeul OstまでSバーンの電車で行きます。Sバーンの駅ドレスデン・ミッテ駅Dresden Mitteまでホテルから歩いても10分足らずです。まずはこの駅で今日1日有効な1デイチケットを買わなくてはなりません。自動販売機が見当たらないので、キオスクで購入。

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プラットホームに上がると、そこに自動販売機があります。そんなもんですね。

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Sバーンは少し遅れるものの20分くらいでラーデボイル・オスト駅に到着。すると、停車しているSLが目に入ってきます。それっとばかりにSLに向かって急ぎます。

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機関車に乗っている運転士のかたがにこやかに迎えてくれます。

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意外なことにどの車両もがらがら。2時間に1本しかないのにこれでいいのかしら? 
ともあれ、簡素な車内の席にゆったりと座ります。

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発車時間になると、SLが出発。構内には別の機関車も停車しています。

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楽しい蒸気機関車の旅が始まります。



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ハッピーバースデー!リゲティ 生誕100年@トッパンホール 2023.5.28

お昼の上大岡、ひまわりの郷でのフランク・ブラレイのピアノ・リサイタルの後、この記念すべきコンサートに駆けつけました。なお、お昼のフランク・ブラレイのピアノ・リサイタルの感想は後日、書きます。

今日のリゲティ生誕100年の記念コンサートはまあ、企画の勝利ですね。このところ、演奏機会の増えてきたリゲティはある意味、今日、最もホットな作曲家だとsaraiは思っています。実に刺激的でエネルギーに満ち、そのユニークさは誰にも真似のできないもので、それでいて、新奇なものではなく、音楽的に筋が通っています。バルトーク以降、最も評価すべき作曲家だと思います。現代音楽のあるべき道をバルトークから引き継いだ本流です。

今日はそのリゲティの作品の中でも評価の高い弦楽四重奏曲とピアノのためのエチュードが演奏されます。明日も引き続き、残りの作品が演奏されるので、是非、行きたかったのですが、どうしても聴きたいアンナ・ヴィニツカヤがラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲を弾く都響の演奏会があるので、涙を飲んで、今日、1日に絞りました。

前半のリゲティの弦楽四重奏曲第1番《夜の変容》はクァルテット・インテグラの演奏がとても素晴らしく、息を吞むようにして、聴き入りました。冒頭の第1ヴァイオリンの三澤響果が弾く4音主題がとても美しく、それだけで、ぐっと惹き付けられました。もう、詳しくは述べませんが、4人の緊張度高い演奏は最高で、予習で聴いたベルチャ四重奏団や本命のアルディッティ四重奏団の素晴らしい演奏を凌駕するようなものでした。以前彼らが弾いたリゲティの第2番も素晴らしかったんですが、彼はよほど、リゲティに心を寄せているんでしょう。それほど、リゲティの作品が素晴らしいとも言えます。この第1番はバルトークの影響が大きく、さらに新たな要素も付加しており、saraiは秘かに、バルトークの弦楽四重奏曲第7番と呼んでいます。でも、今日の演奏を聴いたら、第7番どころか、第10番というくらいに完成度が高く思えます。

前半の終わりにチェンバロの作品が3曲弾かれましたが、これは初めて聴きますが、素晴らしいです。チェンバロの川口成彦も1段鍵盤のチェンバロと2段鍵盤のチェンバロを弾き分けて、美しい演奏を聴かせてくれました。

後半はリゲティのスペシャリストの一人、トーマス・ヘルが何とも素晴らしい演奏を聴かせてくれました。ピアノのためのエチュードが難曲であることを忘れさせてくれるような見事な演奏。シンプルなパートも複雑なパートもすっきりと弾いてくれます。特に最初に弾いたエチュード第3巻は作品の質も高く、素晴らしい音楽に魅了されました。

リゲティの作品はいずれも演奏が難しそうですが、現代の音楽家たちは弾きこなしてくれて、リゲティの作品の素晴らしさを我々に示してくれます。リゲティの素晴らしい演奏に接することのできる時代に生きる幸福さを感謝しながら、リゲティの生誕100年の日をお祝いしたいと思います。

 ハッピーバースデー!リゲティ


今日のプログラムは以下です。

  トーマス・ヘル(ピアノ)
  川口成彦(チェンバロ)
  クァルテット・インテグラ
   三澤響果(1st ヴァイオリン)
   菊野凜太郎(2nd ヴァイオリン)
   山本一輝(ヴィオラ)
   築地杏里(チェロ)

  リゲティ:弦楽四重奏曲第1番《夜の変容》
  リゲティ:チェンバロのための 〈ハンガリー風パッサカリア〉
  リゲティ:チェンバロのための〈ハンガリアン・ロック(シャコンヌ)〉
  リゲティ:チェンバロのための〈コンティヌウム〉

   《休憩》

  リゲティ:ピアノのためのエチュード第3巻(1995-2001)
   (白の上の白/イリーナのために/息を切らして/カノンI)
  リゲティ:ピアノのためのエチュード第2巻(1988-94)
   (ガランボロン/メタル/眩暈/魔法使いの弟子・不安定なままに/組み合わせ模様/悪魔の階段/無限柱)

  
最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のリゲティの弦楽四重奏曲第1番《夜の変容》を予習したCDは以下です。

 ベルチャ四重奏団 2018年5月&12月、フィルハーモニー音楽堂、ルクセンブルク セッション録音
 
刺激的でありながら、どこか、古典的とも思わせる素晴らしい演奏です。


2~4曲目のリゲティのチェンバロのための作品を予習したCDは以下です。

  エリーザベト・ホイナツカ リゲティ・エディション6 鍵盤楽器のための作品集 1994年-1998年 セッション録音
  
リゲティ・エディション全9CDはリゲティの75歳を記念して企画されたもの。つまり、存命中のリゲティが立ち会ったレコーディングです。このチェンバロの作品は比較的初期のもので、聴きやすい(?)ものです。
  

5,6曲目のリゲティのピアノのためのエチュードを予習したCDは以下です。

  ピエール=ロラン・エマール リゲティ・エディション3 ピアノのための作品集 1994年-1998年 セッション録音
  
上記と同様のリゲティ・エディションの1枚ですが、ここではエマールの超絶技巧と高い音楽性が聴きものです。  
  


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       クァルテット・インテグラ,  

アンナ・ヴィニツカヤ凄し! パガニーニの主題による狂詩曲の決定的名演 尾高忠明&東京都交響楽団@サントリーホール 2023.5.29

アンナ・ヴィニツカヤの都響との3度目の共演はラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲です。過去を紐解けば、2016年はプロコフィエフのピアノ協奏曲 第2番、2019年はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番でした。いずれも異次元とも思える超絶的にして、音楽性の高い演奏でした。そして、コロナ禍で来日が遠のいた末に選んだ曲がラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲とは意外でした。少し軽すぎる気がします。しかし、そんなsaraiの思いをはねのけるような圧倒的な演奏をヴィニツカヤは聴かせてくれました。冒頭から並みのピアニストとは音の粒立ちが違います。あー、ヴィニツカヤはこんな音の響きだったと驚愕する思いです。そして、前半から超絶的な演奏を繰り広げます。こんなに前半から超絶的なパートがあったのかと驚きます。そして、シンプルな演奏でも超絶的な演奏でも粒立ちのよい美しい響きは微動だにしません。あのプロコフィエフのピアノ協奏曲 第2番を弾きこなす彼女にとって、これくらいはたやすいことなんでしょう。中盤から音楽が次第に高揚していき、saraiは完全に魅了されていきます。遂に第18変奏の美しい旋律が歌われます。主題の反行形でこの旋律になるのは魔法のようなものです。ヴィニツカヤのピアノはそして何と美しい音色なんでしょう。その旋律はオーケストラに引き継がれ、ピアノは和音を激しく叩きます。オーケストラが2度目の繰り返しでフォルテッシモに盛り上がり、ピアノもさらに鍵盤を強く叩きつけて、音楽の頂点を極めます。そして、潮を引くように音楽は静まり、ピアノが最後に美しい旋律を振り返ります。ここから、音楽は急速に階段を駆け上がり、第19変奏以降、ピアノが高速モードにチェンジ。超絶技巧のてんこ盛りでヴィニツカヤが溜めていた能力のすべてを開放します。物凄いピアノ演奏です。ばりばりと弾き進めていきます。第2主題と言っていい怒りの日も絡み合わせながら、第22変奏では音楽が大きく展開されて、音楽的高みに再び上り詰めて、目のくらむような景色が広がります。第23変奏では再現がなされて、音楽の〆にさしかかります。ヴィニツカヤのピアノの壮大なスケールは圧巻です。そして、最後の第24変奏に突入。ここからコーダにかけての激しさは物凄いものです。最後に怒りの日の旋律が高々に歌われて、感動するうちにあっけないフィナーレ。
いやはや、ただただ凄いとしか形容のできないヴィニツカヤの演奏でした。
ヴィニツカヤはアルゲリッチ以来の逸材と言っていいでしょう。次はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番しかありませんね。極め付きの演奏になるでしょう。是非、来シーズンにでも聴かせてもらいたいものです。

尾高忠明&東京都交響楽団のエルガーの交響曲第2番は徹頭徹尾、美しさを極める演奏でした。ここまでやる演奏はなかなかありませんね。都響のアンサンブル力ならではのものです。都響は現在、絶好調。次々と素晴らしい演奏を続けています。
次はミンコフスキが振るブルックナーの交響曲第5番ですから、きっと素晴らしい演奏になること、間違いなしです。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:尾高忠明
  ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  ラフマニノフ(レスピーギ編曲):絵画的練習曲集より《海とかもめ》Op.39-2
  ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
   《アンコール》ラフマニノフ:絵画的練習曲集 Op.33 より 第2番 ハ長調
   
   《休憩》
   
  エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 Op.63


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のラフマニノフ(レスピーギ編曲)の絵画的練習曲集より《海とかもめ》を予習したCDは以下です。

  大植英次指揮ミネソタ管弦楽団 2000年 セッション録音

冒頭からはっと虚を突かれるような美しい演奏に魅了されます。


2曲目のラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲を予習したCDは以下です。

   ユジャ・ワン、クラウディオ・アバド指揮マーラー室内管弦楽団 2010年4月 フェラーラ,テアトロ・コムナーレ セッション録音

ユジャ・ワンは凄い演奏です。テクニック抜群で音も美しいです。そして、煌めくような音楽表現に魅了されます。アバド指揮のマーラー室内管とのバランスも見事です。これ以上の演奏はないでしょう。


3曲目のエルガーの交響曲第2番を予習したCDは以下です。

  エードリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年11月、1976年1月 ロンドン、アビー・ロード第1スタジオ セッション録音

ロンドン・フィルの実力を過小評価していたことが分かりました。名人ボールトが振れば、こんな美しい演奏ができるんですね。



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       ヴィニツカヤ,  

秀逸なドイツ本流の美しいピアノの響き フランク・ブラレイ ピアノ・リサイタル@上大岡 ひまわりの郷 2023.5.28

2日前のコンサートです。その日は夜、トッパンホールでリゲティの生誕100年コンサートを聴き、その記事を書いたので、このコンサートの記事の執筆が遅れました。
saraiは知りませんでしたが、このフランク・ブラレイはかなりの実績のあるピアニストなんですね。
特に前半のシューベルト、ベートーヴェン、ブラームスというドイツ本流の作曲家の傑作を美しいタッチで弾いてくれました。それに当日発表だったブラームスの間奏曲3曲を合わせ、プログラムが秀逸です。
まず、シューベルトの即興曲。この第1番は意外にコンサートで取り上げられる機会が少ない曲です。アンコールなどで取り上げられるのはまず、第3番。そして、第2番です。ですから、割に新鮮な気持ちで聴けます。まず感じたのはブラレイの美しい音。その音に魅了されていると、美しい歌が彼のピアノから聴こえてきます。シューベルトの歌曲の伴奏と歌が合わさったような感覚です。連想したのは《冬の旅》です。うら哀しい歌が歌い上げられます。なにか胸にジーンと響くものがあります。これまでこの曲で味わったことのない感覚です。
次いで、間を置かずに曲の続きのようにベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番の第1楽章が始まります。実にこれらの曲の親和性のいいことに気が付きます。そういえば、シューベルトの即興曲の中にも変イ長調の部分もあり、このベートーヴェンのソナタの調性とも合っています。無論、そういうことを意識した選曲でしょう。ですから、あえて、間を置かずに弾いたようです。そして、親和性はそれだけではありません。第1楽章はModerato cantabile molto espressivo という指定があり、歌うように、表情豊かに弾かねばなりません。先ほどのシューベルトの即興曲の歌謡性と合致するような大きく振幅する歌がそこにあります。なるほど、前半のプログラムの構成はドイツ本流の傑作ということと合わせ、歌謡性なんですね。ブラレイはその意図に沿って、シューベルトとベートーヴェンの歌を歌い上げていきます。それも飛びっきり美しい歌です。第2楽章のスケルツォも実は当時の流行歌から採られている旋律が中心になっています。『Unsre Katz hat Katzerln gehabt』(うちの猫には子猫がいた)、『Ich bin lüderlich, du bist lüderlich』(私は自堕落、君も自堕落)というコミカルな歌です。まあ、これはここまでの歌謡性とは連続性は感じられません。
そして、第3楽章は序奏に続いて、有名な《嘆きの歌》が切々と歌われます。ここを表現したいがためにシューベルトの即興曲から歌謡性の演奏を続けてきたことがわかります。素晴らしいフーガをはさんで、再び、《嘆きの歌》が回帰します。さらに深くしみじみとした抒情が歌われます。最後は壮大なフーガで〆。ここまで見事な構成でしたが、やはり、素晴らしかったのはブラレイのピアノの美しい響きです。
やっと、ここで間を置いて、次はブラームスがバート・イシュルで書き上げた最後のピアノの名品です。関係ありませんが、先日、連休でオーストリアを訪ねた友人からバート・イシュル土産に当地の有名なお菓子屋さんZaunerの名物、芋虫のチョコレートケーキをいただき、最近まで食べていました。別に芋虫が入っているわけではなく、その形状が芋虫に似ているだけのことです。saraiは昔、バート・イシュルを訪れた際にこのZaunerのカフェでカイザートルテという美味しいケーキを頂いたことを思い出します。きっと、ブラームスもこのピアノの名品を書いているときに散歩でZaunerに立ち寄って、美味しいケーキを食べたのではないかと想像します。ともあれ、ブラレイはブラームスがバート・イシュルで書き上げたピアノ小品集から、とびっきりの間奏曲3曲を選んで演奏します。まあ、誰しもがこれらの間奏曲を好みますが、saraiとて例外ではありません。どの曲もとても美しい演奏で魅了されましたが、最後に演奏したOp118-2の間奏曲はsaraiが偏愛する曲です。前半のしめに深く感銘を受けました。

後半のドビュッシー、ガーシュウィンもウィットのある演奏でしたが、saraiは前半のシューベルト、ベートーヴェン、ブラームスでアドレナリンを使い果たしてしまいました。特に何か書くほどは集中していません。

saraiにとって、無名の存在だったフランク・ブラレイですが、ドイツ本流のピアノ作品を思いっ切り堪能することができました。


今日のプログラムは以下です。


  ピアノ:フランク・ブラレイ

  シューベルト: 即興曲 ハ短調 D899-1
  ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
  ブラームス: 後期ピアノ作品集より 間奏曲 ホ長調 Op.116-6/ロ短調 p.Op.119-1/イ長調 Op118-2

   《休憩》

  ドビュッシー: 前奏曲集より 沈める寺/遮られたセレナード/ビーノの門/枯れ葉/ラヴィーヌ将軍‐風変わりな
  ガーシュイン: ラプソディ・イン・ブルー <ピアノ・ソロ版>
  
   《アンコール》
     ガーシュイン:プレリュード No.3
     

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューベルトの即興曲 ハ短調 D899-1は以下のCDを聴きました。

 田部京子 1997年10月7,9,10日 サラマンカ・ホール(岐阜) セッション録音

何とも詩情に満ちた演奏です。


2曲目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番は以下のCDを聴きました。

 田部京子 2015年8月 東京 稲城iプラザ セッション録音
 
シュタルケルの迫力あるチェロに聴き惚れます。


3曲目のブラームスの後期ピアノ作品集は以下のCDを聴きました。

 田部京子 2011年8月 上野学園 石橋メモリアルホール セッション録音

どの曲を弾くか、予想がつかなかったので、作品117~119の中の間奏曲だけを聴きました。2曲だけはヒットしましたね。田部京子のアルバムには作品116だけは含まれていません。含まれていれば、その中の間奏曲だけは聴いたんですけどね。ともかく、間奏曲は大好きなので、予習はともかくとして、聴きたかったんです。


4曲目のドビュッシーの前奏曲集は以下のCDを聴きました。

 メジューエワ 2012年5月 & 9月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

これもどの曲を弾くか、予想がつかなかったので、とりあえず、有名な作品をピックアップして聴いてみました。結果、沈める寺だけがヒットしました。
   亜麻色の髪の乙女、沈める寺、月の光がふりそそぐテラス、ミンストレル、花火


5曲目のガーシュインのラプソディ・イン・ブルーは以下のCDを聴きました。

 ラフィ・ベサリアン 2020年9月14-19日 ヴァージニア州ボイス、Sono Luminus Studios セッション録音
 
The Sound of Black and White~白鍵と黒鍵の音というアルバムで、ベサリアンは母国アルメニアの作曲家ハチャトゥリアンの作品と、彼が愛するアメリカの作曲家ガーシュウィンの作品を軸に選曲しています。その中の1曲がこのラプソディ・イン・ブルーです。なかなか優れた演奏です。ちなみに今日のアンコールで弾かれたガーシュウィンの3つの前奏曲もこのアルバムに含まれています。



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ヴィニツカヤ、芳醇な響きでロシアンピアニズムの真髄@トッパンホール 2023.5.31

ヴィニツカヤの久々のピアノ・ソロのリサイタルです。期待してしまいます。

プログラムはすべて、フランスを中心に意識した作品で固めています。ヴィニツカヤではプロコフィエフやラフマニノフといったロシアものを聴きたくなりますが、今回はそのあたりは封印して、レパートリーを広くするのが今のテーマなのでしょう。そのうち、ドイツ、オーストリアものにも幅を広げるのかもしれません。

まず、フランクです。それもオリジナルはオルガン曲という意表を突く選曲。それがとても美しい演奏でうっとりです。

次はスクリャービン。若い頃の作品から後年の神秘主義の作品まで多彩な選曲。豊かな響きでいかにもヴィニツカヤらしい演奏ですが、正直、saraiはあまりスクリャービンを聴き込んでいないので、もうひとつピンときません。ワルツや幻想曲はショパンぽい香りを感じました。

休憩後、ショパンの即興曲です。並みのピアニストのショパンとは一線を画します。それに有名な、有名過ぎる幻想即興曲も見事な演奏です。ただ、以前聴いた24の前奏曲ほどの感動はありませんでした。

凄かったのはラヴェル。特に最後のラ・ヴァルスはスケールの大きな熱の入った最高の演奏。リサイタルのしめくくりとしてはこれ以上ないものでした。

しかし、本編以上にアンコールのラフマニノフは素晴らしいものでした。自然に表出する何かがあります。やはり、ヴィニツカヤはラフマニノフやプロコフィエフが聴きたいというのが本音です。いくら素晴らしくてもショパンはショパンですからね。


今日のプログラムは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ(ピアノ)

  フランク(ヴェークマン編):前奏曲、フーガと変奏曲 Op.18
  スクリャービン:ワルツ ヘ短調 Op.1
  スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28
  スクリャービン:2つの詩曲 Op.32
  スクリャービン:ピアノ・ソナタ第5番 Op.53

   《休憩》

  ショパン:即興曲第1番 変イ長調 Op.29
  ショパン:即興曲第2番 嬰ヘ長調 Op.36
  ショパン:即興曲第3番 変ト長調 Op.51
  ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
  ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
  ラヴェル:ラ・ヴァルス

   《アンコール》
   ラフマニノフ:13の前奏曲 Op.32より 第12番 嬰ト短調
   ラフマニノフ:絵画的練習曲集 Op.39より 第5番 変ホ短調
  
最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のフランクの前奏曲、フーガと変奏曲を予習したCDは以下です。

 セルジオ・フィオレンティーノ 1995年10月8,14日 ベルリン・ジーメンスヴィラ セッション録音
 
フィオレンティーノの熟達したピアノは美しい響きで心を満たします。なお、ピアノへの編曲はヴェークマンではなく、バウアーです。


2曲目のスクリャービンのワルツを予習したCDは以下です。

  ヴァレンティーナ・リシッツァ スクリャービン:作品全集(DECCA) 2014年11月29-30日、12月1日 ポットンホール、サフォーク州、英国 セッション録音
  
スクリャービン作品全集全18CD(DECCA)は2015年のスクリャービンの没後100年を記念して企画されたもの。スクリャービンすべての作品を収録した初のものでした。リシッツァはこの企画のために録音しましたが、とても美しい演奏です。
  

3曲目のスクリャービンの幻想曲を予習したCDは以下です。

  スヴャトスラフ・リヒテル スクリャービン:作品全集(DECCA) 録音詳細不明 セッション録音
  
同じくスクリャービン作品全集に収められたリヒテルの気宇壮大な演奏です。
  

4曲目のスクリャービンの2つの詩曲を予習したCDは以下です。

  ウラディーミル・アシュケナージ スクリャービン:作品全集(DECCA) 1977年6月 キングズウェイホール、ロンドン セッション録音
  
同じくスクリャービン作品全集に収められたアシュケナージの文句ない演奏です。
  

5曲目のスクリャービンのピアノ・ソナタ第5番を予習したCDは以下です。

  スヴャトスラフ・リヒテル スクリャービン:作品全集(DECCA) 1962年10月13日 イタリー セッション録音
  
同じくスクリャービン作品全集に収められたリヒテルのさすがの演奏です。
  

6~9曲目のショパンの即興曲を予習したCDは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ 2020年5月、6月 ハンブルク、フリードリヒ・エーベルト・ハレ セッション録音
  
アンナ・ヴィニツカヤの最新のCDはショパンのバラード集と即興曲集。余裕の演奏は実に高レベルの内容です。  
  

10曲目のラヴェルの高雅で感傷的なワルツを予習したCDは以下です。

  アンナ・ヴィニツカヤ 2020年5月、6月 ハンブルク、フリードリヒ・エーベルト・ハレ セッション録音
  
アンナ・ヴィニツカヤの最新のCDはショパンのバラード集と即興曲集。余裕の演奏は実に高レベルの内容です。  
  

11曲目のラヴェルのラ・ヴァルスを予習したCDは以下です。

  ベアトリーチェ・ラナ 2019年6月19-20日、9月5日、ベルリン、テルデックス・スタジオ セッション録音
  
ラナの演奏を初めて聴きましたが、ともかくテクニックが凄く、エキサイティングな演奏です。  
  


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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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