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緊張感と高揚の80分、マーラーの交響曲第6番 ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2023.5.20

先週の凄かったR.シュトラウス《エレクトラ》に続き、ジョナサン・ノット&東京交響楽団は今度はマーラーの交響曲第6番です。大曲続きですね。無論、期待に違わぬ演奏です。

このところ、マーラーの第5番から第7番までの中期の交響曲を聴く機会があります。大野と都響の第7番、マナコルダと読響の第5番ときて、〆は今日の第6番です。声楽抜きの中期の交響曲の複雑で充実した響きに魅了されます。それにしても日本のオーケストラ、とりわけ、在京のオケの実力の凄さに驚嘆します。

今日の演奏はノットらしく、プレリュードとして、リゲティの短いピアノ曲を置き、短い間の後、ざっざっざっという深い響きのマーラーが開始されます。その効果は甚大で、シンプルな音色のリゲティの後では、いかにオーケストラの響きが充実しているかを思い知らされます。この緊張感の高いマーラーの開始はその後の展開を予告するものです。東響も聴衆もノットのタクトの下、緊張と高揚の1時間半を強いられることになります。マーラーが描き出した音楽世界にこのサントリーホールにいる者はその1時間半、ワープすることになります。マーラーの強い自我が我々を支配して、マーラーの意識下の愛や美しい自然の中で別の人生を体験するかの如くです。東響は素晴らしい響きで我々をマーラーワールドに誘います。第1楽章の長大なこと! いつまでも音楽が続くようです。そのエキセントリックとも言える凄まじい音楽の変遷に我々は翻弄されます。ノットも会心の指揮で東響を鼓舞し、我々聴衆も鼓舞します。緊張感高い第1楽章が終わり、疲れを感じる間もなく、第2楽章のスケルツォが始まります。ここでも緊張感高い音楽が持続します。何とも凄まじいエネルギーの大波です。そして、ようやく、第3楽章のアンダンテで優しい音楽が始まり、カタルシスとも思える気持ちになれます。しかし、美しく優しい音楽であっても、緊張感の高さは変わりません。そして、奇怪とも思える第4楽章に入っていきます。起伏の多い音楽は複雑な感情が織り込められています。愛や英雄的な前進感、そして、挫折や死。東響は最後まで緊張感を持った演奏。無限のエネルギーを放出するような演奏です。ノットの額は汗で光っています。そして、最後の高揚に突進し、その果ては静謐な音楽に変わります。最後の高まりをみせた後、音楽は突然のように終わります。

昨年のマケラ&都響のような圧倒的な輝きはありませんでしたが、ノットの知性的な精密さに満ちたマーラーの交響曲第6番の会心の演奏でした。東響の勢いのある演奏も印象的でした。ノットが振ると東響は高みに駆け上がります。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ジョナサン・ノット
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  リゲティ:ムジカ・リチェルカータ 第2番(ピアノソロ=小埜寺美樹)
  マーラー:交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」

  《休憩》 なし


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のリゲティのムジカ・リチェルカータ 第2番を予習したCDは以下です。

 ピエール=ローラン・エマール リゲティ・エディション3 ピアノのための作品集 1995年12月6-9日、スイス、ラ・ショー=ド=フォン、サラ・ド・ムジーク セッション録音

ピエール=ローラン・エマールですから、間違いなく素晴らしい演奏。


2曲目のマーラーの交響曲 第6番を予習したCDは以下です。

  ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団 2008年10月27-31日 バンベルク、ヨゼフ・カイルベルト・ザール セッション録音

第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテはちょっと物足りませんが、第4楽章は迫真の演奏。



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テーマ : クラシック
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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子
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