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ペトレンコの個性的で陰影濃いマーラーの交響曲第6番 ベルリン・フィル@ベルリン・フィルハーモニー 2020年1月25日

キリル・ペトレンコはこのコンサートのあった2019/2020年シーズンからベルリン・フィルの首席指揮者に就任しました。直後、コロナ禍に襲われるという波乱の幕開けになりましたが、着々と実績を積み重ねています。このマーラーの交響曲第6番でも、個性的かつ感銘に満ちた演奏で聴くものを魅了しています。決して、ロシアものだけではないレパートリーの広さを見せ始めている時期の演奏です。
当ブログのベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの第2回目の鑑賞記です。

第1楽章は穏当な表現で開始されます。強力なベルリン・フィルのアンサンブルが明快な行進曲を刻み、ほぼ、楽譜通り、そして、オーケストラの自発性に任せた演奏で、ペトレンコはこのまま、曲を進行するのかと思い、先行きが見えない展開が続きます。ペトレンコの意図はまったく見えません。展開部あたりから、徐々にではありますが、少しずつ暗い色調も見えてきます。

中間楽章はアンダンテ、スケルツォの順に演奏されます。
その第2楽章のアンダンテは美しさよりも陰影濃い表現に驚かされます。ロシア的な暗さが次第に主調になっていきます。気持ちは高揚せず、暗く沈み込んでいきます。こういう演奏を聴いたのは初めてです。ベルリン・フィルのメンバーも超絶的な演奏を繰り広げます。この曲はこんなに難しい曲だったでしょうか。そう言えば、マケラが都響を振ったときもマケラの要求水準の高さに都響のメンバーも100パーセント、応えられなかったと感じました。ベルリン・フィルは完璧な演奏水準での演奏です。しかし、気持ちが滅入るくらいに暗過ぎる。

第3楽章のスケルツォも暗い気分を続けていきます。トリオに入って、ますます暗くなります。しかし、ベルリン・フィルの演奏の上手いことには恐れ入ります。人間業には思えません。不安な感情のまま、沈み込みます。

第4楽章は圧巻の演奏。序奏は凄い! オーケストラ演奏の粋のようです。主部に入ると、それまでの暗さを振り切るような劇的な行進曲が強い調子で演奏されます。ここに至って、ペトレンコの指揮がベルリン・フィルを鼓舞して、ドラマチックで、それでいて、陰影の幅の大きな圧巻の演奏を繰り広げます。何度も頂点を作り上げ、2度のハンマーも打ち下ろされます。そして、劇的な再現部を経て、コーダに入ります。3度目のハンマーは打たれません。苦悩に沈むように暗い表現が回帰して、イ短調の強烈な和音の後、ティンパニがリズムを刻んで、暗い、暗い穴の奥に沈み込みます。

実に個性的な演奏。ペトレンコの音楽芸術とベルリン・フィルの名人芸がマッチアップした印象深いマーラーです。この後に来る第7番の交響曲が予感されるような演奏で、しかも、この第6番の交響曲がそれまでの5曲の交響曲の総決算であることを実感するような凄い演奏でした。とともに、ペトレンコはいい意味でも悪い意味でも、決して、マーラー指揮者ではありませんね。これでは、マーラー信者は増えないでしょう。むしろ、マーラー信者が、マーラーとは何かということを己に問うような深い味わいの演奏です。

さて、次はベルリン・フィルのデジタル・コンサートホール、何を聴こうかな・・・


この日のプログラムは以下です。

  2020年1月25日、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  グスタフ・マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》
  


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
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京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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