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超ロングのアンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタルにへとへと、されど、シフの磨き抜かれた響きのベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番は超絶的@東京オペラシティ コンサートホール 2023.9.29

今日のリサイタルは昨年に引き続き、事前に演奏曲目を発表しない覆面コンサート。演奏時にステージでレクチャーしながら、曲目を明かします。レクチャーコンサート自体はザルツブルク音楽祭で何度も聴かせてもらいました。シフ教授の講義を聴きながらのピアノ演奏です。ザルツブルク・モーツァルテウムの小さなホールだったので、マイクも使わずにお話ししてくれました。さほど英語が堪能でないsaraiにも聞き取れる平易な英語、そして、音楽関係の用語が多いので分かりやすい講義でした。開始前には地元のおばあさんにあなたはドイツ語が分かるのって、脅かされましたが、さすがに世界中から聴衆が集まるザルツブルク音楽祭では英語での講義でした。ウィーンのレクチャーコンサートはドイツ語での講義だったようです。昨年は英語で講義した内容を奥様の塩川悠子さんが通訳する形でしたが、今回は日本人の若い男性ピアニストが通訳。塩川さんと違って、ストレートな通訳でした。
こんな形での異例のコンサートで、しかも、曲目がとても多く、20分の休憩時間を含めると、コンサート時間が何と3時間半ほど。7時に始まったリサイタルも終わった時刻は10時半。ワーグナーの楽劇ほどではありませんが、超ロングのコンサート。saraiが自宅に戻ったのは午前様。実に久々の午前様です。ということで、もう、へとへと・・・普通なら、ブログ記事は翌日まわしにしたいところですが、明日も明後日もコンサート。何とか、今日のうちにさっと書いておきましょう。

今日のレクチャーコンサートはまず、冒頭は平均律クラヴィーア曲集からの有名な第1番です。シフにしては響きがもうひとつで、節回しも滞る部分もあります。今日のコンサート、ちょっと心配です。
そこから、レクチャーが始まります。レクチャーでバッハに心酔していることを言った後で、次に弾くバッハの作品について、ピアノで実例を示しながら、詳細な解説。そして、カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」を演奏。先ほどの心配を吹き飛ばす見事な演奏。いやはや、ベーゼンドルファーの響きが冴え渡り、素晴らしい演奏。この曲は何度も聴いていますが、美しいピアノの響きに魅了されます。シフの弾くバッハは最高です。
次は変ロ長調つながりでモーツァルトのピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570。これも6年前にシフの演奏を聴いていますが、とびっきり美しい演奏で以前よりもさらに熟達したように思えます。先ほどバッハを聴いたときはシフはやはり、バッハのスペシャリストに思えましたが、今度は一転して、モーツァルト弾きに思えます。
続いて、ハイドンを2曲。シフ教授はハイドンが不当に低い評価を受けているけれども、ハイドンはもっと正当な評価を受けて然るべきと強調して、ハイドンのアンダンテと変奏曲 へ短調を弾き始めます。この曲は多分、初聴きですが、シフの演奏は何とも美しいです。隠れた名曲ですね。うっとりと聴き入ります。今度はシフはハイドンのスペシャリストに思えます。こんな素晴らしいハイドンを弾けるピアニストは世界中探してもいないでしょう。特に高域の音の響きの美しさに耳を奪われます。
続くハイドンのピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52、ハイドンの最後のソナタは聴くのは2度目ですが、これも以前よりも熟成した響きです。

前半だけで十分、1回のコンサートに値する演奏を聴かせてもらい、贅沢ではありますが、結構、疲れました。しかし、後半の演奏こそが圧巻だったんです。
まず、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番 「ワルトシュタイン」、名曲中の名曲です。打鍵のくっきりした明快な演奏で魅了させられます。
そして、最後にベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタ3曲中の1曲。第30番が控えていました。シフのピアノの響きは理想的なベートーヴェンの響きです。第1楽章も第2楽章も美し過ぎる響きで進行します。第2楽章は第1楽章から切れ目なく演奏されるので、2つの楽章はひとつのセットのように響きます。
そして、長大な第3楽章の変奏曲が始まります。本当に素晴らしい音楽、そして、演奏です。荘重で内面的な音楽が歌われます。色々なタイプの変奏がシフの演奏で綴られていきます。ここに至り、シフとベートーヴェンが一体化し、saraiの心は感動でいっぱいになります。そして、すぐに対位法による変奏が続き、純粋な器楽の饗宴に音楽は昇華していきます。そして、再び、内向的な音楽に戻り、さりげなく、音楽は収斂します。しばらく、静けさがホールを包みます。素晴らしいベートーヴェンでした。

さすがに今日のアンコールは1曲だけ。バッハのゴルトベルク変奏曲からアリアをしみじみと弾いてくれました。今日の〆にふさわしい音楽です。

こんな形での異例のコンサートで、コンサートの終わりでは疲れも忘れて、気持ちが高揚していましたが、家に帰り着いたところでぐったりでした。でも、最高のリサイタルでした。明後日のリサイタルももちろん聴きます。同じ曲目でも構いませんが、できたら、違う曲が聴きたいな・・・。特にシューベルトの遺作ソナタのどれかを聴きたいです。


今日のプログラムは以下です。

 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻から 前奏曲とフーガ第1番 ハ長調 BWV846
 J.S.バッハ:カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570
 ハイドン:アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.XVII:6
 ハイドン:ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52

   《休憩》

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 op.53 「ワルトシュタイン」
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
 
   《アンコール》

    J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988から アリア


予習はプログラムが未発表だったので、もちろん、できませんでした。



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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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