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わーい!ハーゲン・クァルテット祭りの開幕だ・・・ベートーヴェン、モーツァルトもいいが、ラヴェルの豊饒さは圧巻@トッパンホール 2023.10.31

今年のハーゲン・クァルテットの〈ハーゲン プロジェクト 2023〉と銘打った3夜連続のコンサート・シリーズはベートーヴェンとモーツァルトの作品を軸にラヴェルとドビュッシーをプラスしたものです。何と言っても、彼らのベートーヴェンが注目されます。第3夜では、大フーガ付きの第13番 Op.130/Op.133が演奏され、今回の3回のコンサートはそれに向かって、上り詰めていくという配列になっていると感じます。そういう意味では、今夜はホップ・ステップ・ジャンプのホップの腕ならし、耳ならしのコンサートです。気楽に聴きましょう。4年ぶりのハーゲン・クァルテット祭りの開幕です。

最初のベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番《セリオーソ》は第1楽章は気魄と哀愁が交錯するような彼ら独特の表現。しっかりと堪能しました。第2楽章はクレメンスの印象的なチェロの演奏、そして、ヴェロニカのヴィオラから開始されるフーガに魅了されました。第3楽章は勢いのある演奏が圧倒的で、トリオは実に静謐。第4楽章は序奏の後、勢いのある情熱的なフレーズに魅了されました。最後は明るく〆。今回の3回のコンサートはこのベートーヴェンで開始し、明後日の第3夜はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番で閉じるという構成になっています。それにふさわしい開幕演奏でした。

次はモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番。ハイドン・セットの最初の曲です。作曲したモーツァルトの意気込みとハーゲン・クァルテットの気合いが実にマッチしていました。とりわけ、第4楽章の素晴らしさに感銘を受けました。やはり、弦楽四重奏曲に対位法はマッチしますね。ベートーヴェンも見事ですが、モーツァルトも素晴らしい音楽を書いています。

ここで休憩。

最後はラヴェルの弦楽四重奏曲。今日一番の演奏でした。一見、ハーゲン・クァルテットには似合いそうもないと思われますが、さすが、見事に弾きこなします。まず、響きの美しさに魅了されます。そして、緻密な音楽表現に引き込まれます。第1楽章のエスプリに満ちたフランス伝統の音楽表現。そして、第2楽章はピッツィカートの勢いに満ちた弾けるような音楽に魅了されます。ここまで、ハーゲン・クァルテットの素晴らしい演奏が光ります。極め付きは第3楽章の抑えに抑えた内省的な音楽の深みです。これこそ、音楽の醍醐味です。何と言う演奏、何と言う音楽。最後の第4楽章は一転して、激しい音楽。圧倒的な演奏でした。明日のドビュッシーも楽しみです。

これから、明日、明後日とハーゲン・クァルテットを堪能します。4年前のバルトークの素晴らしさを思い出しています。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

 〈ハーゲン プロジェクト 2023〉ハーゲン・クァルテット 第1夜

ハーゲン・クァルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 Op.95《セリオーソ》
  モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K387

   《休憩》

  ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調

   《アンコール》

  モーツァルト:弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 K575《プロシア王第1番》より 第4楽章


最後に予習したCDですが、もちろん、ハーゲン・クァルテットのCDを軸に聴きました。


 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 Op.95《セリオーソ》
  ハーゲン・カルテット 1996~1998年 セッション録音

 モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K387
  ハーゲン・カルテット 1989~2004年 セッション録音

 ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
  ハーゲン・カルテット 1993年1月 スイス、ラッパースヴィル、リッターザール セッション録音

ハーゲンのベートーヴェン、モーツァルトは結構、癖のある独特のスタイルの演奏です。かなりの思い入れのある突っ込んだ演奏です。モダンと言えば、モダン。過去の伝統を振り切ったかのごとくです。
一方、ラヴェルは意外なほど、端正な演奏。フランスものは変な縛りがないのでしょう。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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