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キリル・ペトレンコ指揮のベルリン・フィルの燃え上がる炎のような圧巻のブラームス:交響曲第4番@ミューザ川崎シンフォニーホール 2023.11.21

今日も引き続き、ベルリン・フィルの来日公演を聴きます。昨日のサントリーホールから、ミューザ川崎シンフォニーホールに場所を移します。今日もチケットは完売でベルリン・フィルの人気ぶりがうかがい知れます。今日のプログラムはモーツァルト、ベルク、ブラームスと多彩なものです。特に滅多に演奏されないベルクのオーケストラのための3つの小品 Op.6が注目されます。もっともsaraiはブラームスの交響曲第4番が聴きたくて、この公演に足を運びました。

お目当ての指揮者、キリル・ペトレンコは既に昨日、その実力をいやというほど見せつけられました。今日は余裕で彼の指揮を楽しませてもらいましょう。

まず、モーツァルトの交響曲第29番です。弦の編成は10-10-6-5-3という小編成。管はオーボエとホルンが二人ずつ。その編成で透き通るような響きが立ち上がります。特に低域をしぼっているために、高域の美しさが際立ちます。もう、笑ってしまうほど、素晴らしい演奏。とりわけ、第1楽章の魅惑的な演奏に感銘を覚えます。ペトレンコの指揮は実に柔らかく、軽いです。モーツァルトはこうでなくっちゃね。小編成の割には驚くほどのダイナミズムです。抑え気味の音量で透明な演奏が主体ですが、ここぞというときにはびっくりするほどの大音量にスイッチします。ペトレンコの音楽表現は生半可なものではありません。

次は同じウィーンの作品ですが、時代は飛んで、20世紀初頭の新ウィーン楽派のアルバン・ベルク。一気に4管編成の巨大なオーケストラになります。弦は16型。曲はベルクの管弦楽のための3つの小品 Op.6です。この曲は初聴きです。演奏の難度は超大変そうですが、ベルリン・フィル、そして、キリル・ペトレンコの前ではうってつけの作品でしょう。演奏はベルクの音楽の真髄を抉り出す会心の演奏です。ベルクらしい濃密で表現主義的な音楽がコンサートホールの空気を包み込みます。とても小品とは言えない完成度の高い強烈な演奏に圧倒されました。(予習でも同じ感想で、そのときも書きましたが、ペトレンコが指揮したオペラ「ルル」のBlu-rayディスクを猛烈に聴きたくなり、購入しました。あのオペラのオーケストラの間奏曲的なパートを聴きたくなったからです。)
20分ほどの短さを感じさせない密度の高いベルクの傑作をペトレンコがベルリン・フィルを鮮やかにドライブして、圧巻の音楽に仕立て上げました。

長い休憩後、最も期待していたブラームスの交響曲第4番です。これは14型の弦で2管編成。ベルクの巨大な編成に比べると、古典的とも思える編成に逆戻り。しかし、ベルリン・フィルは弦、木管、金管が3層に並んで、素晴らしい響きを聴かせてくれます。
冒頭は高弦の美しい響きでロマンに満ちた音楽が立ち上ります。憂愁に満ちたブラームスをそう粘らずに弾いていきます。うっとりと聴いていると、第1楽章の終盤の音楽の高潮に心を揺さぶられます。圧倒的な響きのコーダはこれでこの交響曲が終わったかの如くです。万雷の拍手が起きないのが不思議なくらいの音楽の充足感です。
第2楽章で再び、音楽が開始。穏やかに始まった音楽はまた、楽章の終盤で燃え上がります。楽章ごとに音楽を完結しているような不思議な演奏です。
第3楽章は賑やかに始まります。強大な響きのスケルツォが展開されます。そして、やっぱり、最後は大きく音楽が盛り上がります。第4楽章はパッサカリアの変奏曲。パッサカリア主題の提示に続いて、30の変奏曲が続きます。古典的な雰囲気でありながら、ロマンに満ちた傑作です。弦楽、木管、金管が交錯しながら、得も言われぬ音楽を奏でていきます。ベルリン・フィルの機能性が素晴らしく音楽を盛り立てていきます。第12変奏での長大なフルート・ソロが見事なアクセントになっています。そして、もちろん、終盤、音楽は熱を帯びて燃えあがり、劇的なコーダに収束します。ペトレンコの疲れをしらないタクトがオーケストラを鼓舞し続けたことが印象的です。期待していたブラームスですが、その気持ちは完全に報われました。

キリル・ペトレンコ指揮のベルリン・フィルはもう一度聴きます。あの素晴らしかったリヒャルト・シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》です。期待は裏切られないでしょう。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 コンサートマスター:ヴィネタ・サレイカ=フォルクナー

  モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201
  ベルク:オーケストラのための3つの小品 Op.6
   
 《休憩》
 
  ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98


最後に予習について、まとめておきます。

いずれもベルリン・フィルのデジタル・コンサートホール(ネット配信)で聴きました。

  2023年2023年11月3日、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:キリル・ペトレンコ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

詳しい視聴記事は以下に書きました。

  https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4851.html
  
モーツァルトもベルクもブラームスもあり得ないほどの最高レベルの演奏です。



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ジャンル : 音楽

       キリル・ペトレンコ,        ベルリン・フィル,
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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
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10/07 08:57 堀内えり

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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