fc2ブログ
 
  

リゲティの生誕100年にふさわしいエマールの弾く究極のピアノ協奏曲、圧倒的なルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲 カンブルラン&読売日本交響楽団@サントリーホール 2023.12.5

今回もまた、読響の定期は凝りに凝ったプログラムです。ヤナーチェクの珍しい作品、生誕100年で現在最も注目される作曲家リゲティの難曲、ピアノ協奏曲、ルトスワフスキの傑作、管弦楽のための協奏曲がずらりと並びます。そして、役者も揃いました。読響の前常任指揮者のシルヴァン・カンブルラン、コンミスの日下紗矢子、リゲティのスペシャリスト、ピエール=ロラン・エマールと隙のない布陣です。

最初はヤナーチェクのバラード「ヴァイオリン弾きの子供」。怖いストーリーの詩に基づいた管弦楽曲です。寒村に住むヴァイオリニストが死に、残されたのは1挺のヴァイオリンと赤ん坊。村の老婆が赤ん坊の面倒をみますが、ある夜、ヴァイオリニストの亡霊が現れ、赤ん坊をあの世に連れ去ろうとしますが、老婆が十字を切ると、亡霊は消えます。しかし、朝になると、ヴァイオリンは消え、赤ん坊は息絶えています。
短い曲ですが、ヤナーチェクのオペラを聴いているような錯覚に陥ります。コンミスの日下紗矢子の見事なヴァイオリン・ソロに魅惑されて、まるでヴァイオリン協奏曲のようです。カンブルランの素晴らしい指揮と読響のアンサンブル、とりわけ、弦セクションにも魅了されます。こんな凄い作品を今まで知らなかったとはクラシックファンとして情けない思いです。

続くリゲティのピアノ協奏曲はさらに凄い演奏による素晴らしい傑作です。これまた、恥ずかしながらは初聴きです。ともかく、ピエール=ロラン・エマールのピアノが凄い!難曲をものともせず、完璧に弾きこなしています。リゲティの作品はどれも超名人だけが演奏可能なものに思えます。カンブルラン指揮の読響のサポートも素晴らしい。生誕100年を終えるのにふさわしい演奏でした。第3楽章までも凄い演奏でしたが、第4楽章、そして、第5楽章は究極とも思える白熱の演奏。音楽の要素はリズムと音響から成ることを根底から理解させられるものでした。いやはや、もう一度、聴かないと、よく分からないよ・・・saraiのような素人には。きっと、バッハの音楽と同様に何度聴いても飽きることのない音楽です。リゲティは行くところまで行っちゃった音楽家です。今年はリゲティをいっぱい聴きました。また、来年以降もいっぱい聴くことになりそうです。今や、saraiもリゲティ信奉者の一人になりました。
あー、そして、エマールのアンコールが素晴らしい! リゲティの『ムジカ・リチェルカータ』全11曲のうち、2曲も聴かせてもらいました。残りは彼のCDで聴きましょう。さすがにエマールはリゲティのスペシャリストですね。

後半はまた、ヤナーチェクの珍しい曲で開始します。この序曲「嫉妬」はもともと、オペラ《イェヌーファ》の序曲として書かれたものです。しかし、あまり、オペラ《イェヌーファ》を連想するような曲には感じません。ヤナーチェクらしさが横溢しているとは言え、意外に普通に美しい音楽です。ヤナーチェクの意外性のある音楽ももう素直に聴けるようになったからかもしれません。読響の美しいアンサンブルを堪能しました。

最後はルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲です。これは凄い演奏が炸裂しました。いつもは第1楽章、第2楽章はすっと聴いて、第3楽章が本番という感じですが、今日は第1楽章が音楽的にぎっしりと詰まっていて、たっぷりとその魅力を堪能しました。素晴らしかったのは第2楽章。読響の弦のアンサンブルの静謐な演奏が魅力的です。無窮動的な音楽がアンサンブルの響きの美しさで引き立ちます。何とも素晴らしい演奏でした。そして、やはり、第3楽章は別格の素晴らしさ。パッサカリア、トッカータ、コラールと続く最高の音楽が耳を楽しませてくれます。そして、最後は色んな要素がないまぜになって、圧巻の演奏になります。カンブルランの指揮が素晴らしく、今まで聴いたなかで最高の演奏でした。あっぱれ、カンブルラン。
ヴァイグレの指揮するドイツ音楽も素晴らしいですが、カンブルランが読響を指揮すると、明るく透明な色彩の音響に魅了されます。読響はよい指揮者に恵まれていますね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:シルヴァン・カンブルラン
  ピアノ:ピエール=ロラン・エマール
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:日下紗矢子

  ヤナーチェク:バラード「ヴァイオリン弾きの子供」
  リゲティ:ピアノ協奏曲〈生誕100年記念〉
  
   《アンコール》リゲティ:『ムジカ・リチェルカータ』より 第7、8曲

   《休憩》

  ヤナーチェク:序曲「嫉妬」
  ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のヤナーチェクのバラード「ヴァイオリン弾きの子供」は以下のCDを聴きました。

 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団  2015年10月1-2日 プラハ、ルドルフィヌム ライヴ録音

ビエロフラーヴェクが亡くなる2年前に残した遺産。ヤナーチェクのグラゴル・ミサを含むヤナーチェクのアルバムの中の1曲です。座して聴くのみ。


2曲目のリゲティのピアノ協奏曲は以下のCDを聴きました。

 ピエール=ローラン・エマール、ラインベルト・デ・レーウ指揮ASKOアンサンブル 2000年9月 セッション録音

現在望みうる最高の演奏。


3曲目のヤナーチェクの序曲「嫉妬」は以下のCDを聴きました。

 サー・チャールズ・マッケラス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1982年4月 セッション録音

ヤナーチェクのスペシャリストとして知られるマッケラスがウィーン・フィルを振った逸品です。素晴らしい響きです。


4曲目のルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲は以下のCDを聴きました。

 ヴィトルト・ルトスワフスキ指揮ポーランド国立放送交響楽団 1976年5-6月、1977年12月 ポーランド・ラジオ・テレビ・スタジオ、カトヴィツェ セッション録音

作曲家自身の指揮。オーケストラの演奏もよく、録音もよいCDです。ルトスワフスキのオーケストラ作品集(CD3枚組)の中の1枚です。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!








テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR