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熱海散歩2024:来宮神社に初詣して、パワースポットの力を充填。驚きの大湯間歇泉の吹き上げる湯の勢い。

熱海の2日目です。

温泉に来たのだから、無論、朝の温泉を楽しみます。これで身も心もほっこりです。やはり、冬は温泉に限ります。

今回のお宿、熱海風雅は素泊まり。朝食はありません。ならば、ぐずぐずせずに出発です。
しかし、ここは山の上。来たときと同様にシャトルサービスを予約してあります。10時前に車に乗り込み、来宮駅ではなく、来宮神社に送ってもらいます。まだ、1月11日ですから、初詣もどきでよいでしょう。あっという間に神社前に着きます。3年前に来たときは熱海梅園からてくてくと歩きましたが、今日はらくちん。すぐ目の前が来宮神社の大きな鳥居です。

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参道を進み、本宮の前に出て、お参りします。

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ここは本宮よりもパワースポットの大楠が有名で、見落とせません。大楠は本宮の左横を抜けて、その奥にあります。さすがに巨大です。

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この樹齢2000年以上の大楠はその全貌がカメラでは捉えられない巨大さ。幹周りが23.9m、そして、高さは26mもあるんです。
本州1位の巨樹だそうです。ちなみに日本1は鹿児島県姶良郡蒲生町にある蒲生八幡神社の「蒲生の大楠」だそうです。高さ30mもあるそうですが、樹齢は1600年です。樹齢ではこの来宮神社の大楠が上ですね。
大楠の上の方を見ていると首が痛くなります。と、何やら、前はなかった変わったものがあります。大楠の見物席みたいなものです。空くのを待って、早速、saraiも体験。

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見物席というよりも寄りかかり台ですね。楽に大楠を眺められます。その眺めはこんな風です。

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さて、朝から何も食べていないので、ここで何かいただきましょう。
事前にホテルで次のようなセット券を購入しています。

【熱海風雅×来宮神社 パワースポット巡りとスイーツ付き(来福スイーツセット)】

来福スイーツセットとは・・・
珈琲、紅茶、お汁粉、橙サイダー(來宮オリジナル)、甘酒のうち選べるドリンク1杯+福こがし

敷地内の茶寮「報鼓」でこのスイーツセットをいただきます。朝食を食べていないので、ドリンクはお汁粉にしました。あっという間にお腹の中に消えていきました。これでちょっと朝食もどき。だんだん、席が混んできたので、早めに席を空けます。

本宮前を過ぎて、石段を下りて、鳥居に続く参道へ進みます。
参道に下りると、左手にもう一本の大楠があります。これも見逃せません。
その名は第2大楠。先ほど見たのは第1大楠と言うのだそうです。この第2大楠は樹齢1300年超の大木で、約300年前に落雷を受けたにもかかわらず、生き延びたとのことです。
巨大な幹の中身は落雷で空っぽになっています。そこが祠になって、祭られています。大楠自体が神社みたいになっています。自然の力の凄さを感じます。これも確かにパワースポットですね。
2本の大楠からパワーをいただきました。木の幹に手を当てて、パワーを体に充填するんです。

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来宮神社を後にします。神社前を走る伊東線のガードをくぐって、坂道を熱海の街のほうに下っていきます。
考えてみれば、3年前も同じ道を歩きましたが、その時は足の痛みで苦しむ前で、軽快とは言えなくても、ちゃんと歩いていました。まあ、今日も杖なしで歩けるように回復してきていますが、股関節の痛みは消え去っていません。それでも足の痛みがなかった頃の8割くらいの速度で歩けるようになっていますから、よしとしましょう。
税務署の前あたりでお腹がくるくるし、催してきます。困ったな・・・。と、熱海市立図書館があります。それっとばかりに駆け込んで用を足しました。ほっ。saraiが用を足す間に配偶者は図書館のスタッフから、ちゃんと有用な情報を聞き出していました。まったく、頼りになりますね。
これから、湯前神社に行きますが、そのルートは何と、この図書館のエレベータで1階まで降りていくといいんだそうです。この図書館の入口は4階と1階にあって、我々は今、4階。エレベータで一気に1階に降りると、坂道の下に出るそうです。
1階に降りて、スタッフに教えられたとおりの道を進むと、湯汲坂に出ます。湯前神社に続く道です。

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ここから見上げると、ちょうど正面に見えている白い建物が税務署、その右手のちょっとだけ見えるのが図書館です。

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湯汲坂の途中に熱海七湯 大湯間歇泉という岩石群があります。名前からすると、間歇泉(かんけつせん)のようです。

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かつては世界の三大間歇泉のひとつに数えられた有名な自噴泉だったようですが、関東大震災後に噴出量が衰えて、今は人工的に噴出させるようになったそうです。5分に1回、噴出するらしいので、しばらく、待ちます。どこから噴出するのか分かりませんが、当たりを付けて、見守っていると、一筋の細い水が吹き上がってきます。

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やがて、湯が激しく吹き上がり、もうもうたる蒸気も上がります。たいしたものですね。

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その間歇泉の隣にラザフォード・オールコック熱海訪問記念碑・愛犬トビーの墓があります。
イギリスの医師・外交官で同国の初代駐日総領事および駐日公使を務めたラザフォード・オールコックは念願の富士登山を外国人として、初めて成し遂げて、その帰路、熱海に立ち寄り、温泉を楽しんだそうです。彼がイギリスから連れてきた愛犬(オスのスコティッシュ・テリア)、トビーは清国で妻を亡くしたオールコックにとって、唯一の家族でした。その愛犬トビーが誤って大湯間歇泉の熱湯を浴びてしまい、重度の熱傷を受け、手当の甲斐なく亡くなってしまいました。トビーの墓をここに作るにあたって、熱海の人々の親切な心に触れたオールコックは強い感銘を受け、本国イギリスに「日本人を敵視すべきではない。誠に親切な国民である」と報告し、イギリス国内の対日感情がおおいに改善したそうです。
この逸話を語り継ぐ碑が立っています。

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さて、この間歇泉のすぐ先に湯前神社がありました。

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石段がありますが、今のsaraiはこれくらいは何のその。配偶者はスマホを操作していて、上がってきませんね。

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湯前神社の本殿はひなびたものですが、かえって、いい雰囲気です。

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熱海のぶらぶら散歩はまだまだ続きます。



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熱海散歩2024:糸川遊歩道で町おこしイベント、フランス洋菓子老舗 モンブラン

熱海の2日目です。

来宮神社にお詣りして、熱海散歩を開始。大湯間歇泉を見て、湯前神社をお詣りしたところです。
再び、間歇泉の前を通り過ぎます。目に留まったものがこれ。お洒落な公衆電話ボックスです。
実はこれは市外電話発祥の地を記念するものなんだそうです。

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ここが市外電話の発祥の地というのは意外な気がしますが、古くから熱海は温泉地として格が高く、政治家や政府高官が明治時代に訪れていました。特に、内務省の噏滊館(きゅうきかん)という入浴療法を行う温泉療養医学センターがあり、重要人物の患者が疾患を治療するために滞在していました。そのため、この場所にあった噏滊館と東京木挽町の東京電信局との間で、日本初の公衆用の市外通話が行われたそうです。今置かれている電話は現在の電話機で、電話ボックスも京橋にあったものを持ってきたそうです。
熱海の古い歴史が偲ばれますね。

少し歩くと、糸川沿いの道に出ます。
糸川は、その源を熱海市の北部に位置する岩戸山(標高約700m)に発して、来宮を経由して、熱海市街地を貫流して熱海港に注ぐ小さな川です。その延長はたったの2.9kmです。
ただし、このあたりでは糸川は、市内中心部を流れ、川沿いの300m程の遊歩道にあたみ桜が植えられています。現在、糸川沿いは、あたみ桜・ブーゲンビリアに統一し、より質の高い花の名所にする計画だそうです。あたみ桜は1月から1カ月以上も咲き続ける、日本列島では、最も早く咲く桜だそうです。

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そういうわけで、この糸川遊歩道を下っていきましょう。
ドラゴン橋までやってくると、大変な人ごみになっています。
ちなみにドラゴン橋はタイル張りでしたが、ちょうど、修復工事が完了し、木目調に変わりました。まだ、真新しいですね。ドラゴン橋の名前の由来は竜を題材にした迫力ある欄干があるからです。

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この人ごみになっているイベントはドラゴン橋の修復工事の第1期が完了したオープニングセレモニーとして、街の有志による鏡開き・餅つき会があったためでした。熱海あんぱくと称して、無料で飲み物とつきたてのお餅を配っているようです。

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これも最近はやりの町おこしのイベントですね。餅つきとか鏡開きは既に終わったようです。

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お餅を丸めて、配っています。長い行列になっています。是非、食べていってくださいと誘われ、その気になりそうになりましたが、ここで、飲食すると、この後の予定が狂ってしまいます。この後すぐにカフェに行こうとしているんです。この歳になると、そんなに食べられませんからね。うらめしく、お餅を眺めながら、素通りします。

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で、すぐそばにある目的のカフェに到着。フランス洋菓子 モンブラン内のカフェスペースです。ケーキのショーケースの横の壁には古ぼけた写真が飾ってあります。谷崎潤一郎です。彼がご贔屓にされていた老舗の洋菓子店なんです。

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店内には誰もいません。やがて、上品そうなマダムが接客にお出でになります。カフェスペースも空いているので、そこでケーキとコーヒーをいただくことにします。ケーキは谷崎潤一郎が愛好していたモカロールをいただくことにします。店名になっているモンブランも気になります。saraiは無類のモンブラン好きですからね。なにやら、ここのモンブランはなんと栗を使わないサバランのようなモンブランだそうです。モンブランの意味は白い山ですから、どうしても栗を使わないといけない筈はありませんね。
しばらく、時間がかかりますと言われて、待つことしばし。モカロールとコーヒーが奥から運ばれてきます。コーヒーにはミルクたっぷりとお願いしたら、追加のミルクまでたっぷりと持ってきてくれました。美味しいミルクコーヒーになりました。

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うーん、なにやら、本格的に美味しいフランス菓子ですね。初代は横浜のグランドホテルで修行した方だったようです。
見ていると、奥の厨房でケーキを作っているようで、時々、ショーケースに新しく作ったケーキが運ばれてきます。厨房には接客のマダム以外のお二人のマダムがケーキ制作にあたっているようです。次々と入ってくる客がケーキを買っていきます。現地の人に愛されているお店なんですね。奥の厨房からアップルパイが運ばれてきたのを見て、saraiもたまらず、配偶者におねだりして、自分のお土産にするために、アップルパイを例のマダムに包んでもらいます。自宅に帰って、美味しくいただきました。何とこのアップルパイはパイの中の林檎が林檎ジャムだったんです。こんなアップルパイは初めて食べました。
熱海に行ったら、このお店は外せませんよ。ただ、どのケーキが並んでいるかはそのとき次第のようです。


熱海のぶらぶら散歩はまだまだ続きます。



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《ヨハネ受難曲》BWV 245(第二稿) 合唱・管弦楽はもちろん、独唱も最高、とりわけ、ハナ・ブラシコヴァの美声にうっとり 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2024.2.4

鈴木雅明指揮のバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が《ヨハネ受難曲》BWV 245(第二稿)に挑みます。
saraiとしては第4稿のほうを好みます。特に終曲のコラールは第4稿(第1稿)のほうが好きです。
とは言え、そのsaraiの好みを吹き飛ばすほど、素晴らしい演奏でした。とりわけ、第2部 30曲のアルトのアリア《成し遂げられた!Es ist vollbracht !》以降、終曲のコラールまでの高潮した独唱、合唱、管弦楽はBCJのひとつの到達点を思わせるような究極のものでした。


今日の演奏を振り返ってみましょう。

第9曲のソプラノのアリア、私も同じように喜んであなたについて行きます、私の救い主よIch folge dir gleichfalls, mein Heiland。
管きよみの素晴らしいフラウト・トラヴェルソのオブリガートに乗って、ソプラノのハナ・ブラシコヴァがあり得ないような美しい歌唱を聴かせてくれます。何という美声でしょう。このアリアがこんなに素晴らしいとはこれまで気がつきませんでした。

第30曲のアルトのアリア、成し遂げられた!Es ist vollbracht !
福澤宏のヴィオラ・ダ・ガンバの美しい響きとともに、アルトの久保法之が実に感動的な歌唱を聴かせてくれました。この名曲を美しい声で期待以上の歌唱です。中間部の激しい部分も美しく聴かせてくれます。そして、再び、最初の抒情的なパートを歌い始めます。うっとりと聴き入るのみです。

第32曲のアリアとコラール、尊い救い主よ、お尋ねしてよろしいでしょうかMein teurer Heiland,lass dich fragen。
既に絶命したイエスに対して、問いを発するものです。バスのクリスティアン・イムラーの歌唱は素晴らしく、そのバックで合唱隊が低い音量で歌うコラールの何とも美しいことに感銘を覚えます。特にソプラノパートの美しいこと! この音楽はバッハの天才的な筆の冴えを感じます。鈴木雅明の指揮も見事です。

第35曲のソプラノのアリア、わが心よ、涙となって融け流れよZerfließe, mein Herze, in Fluten der Zähren。
これも素晴らしい演奏です。BCJの達人たちの実力が発揮されます。管きよみのフラウト・トラヴェルソ、三宮正満のオーボエ・ダ・カッチャ、鈴木優人のオルガンなどの素晴らしいアンサンブルをバックにソプラノのハナ・ブラシコヴァが聖なる歌声を聴かせてくれます。とても人間の歌唱と思えません。まさに天使の歌声です。

第39曲の合唱、安らかに眠ってください、聖なる骸よRuht wohl, ihr heiligen Gebeine。
マタイ受難曲の終曲と類似した音楽がより劇的な合唱で聴けます。ここにきて、合唱隊は持てる力をすべて出し尽くして、圧倒的な歌声をホールに響き渡らせます。BCJの管弦楽も素晴らしいです。ヴァイオリン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエの妙技に聴き入ります。バッハの合唱曲の中でも最高の作品です。

第40曲のコラール、キリスト、汝、神の小羊Christe, du Lamm Gottes。
ここだけは第4稿のああ主よ、愛しい天使にお命じになりAch Herr, laß dein lieb Engelein のコラールが好きなのですが、そういうsaraiの好みを払拭するようなBCJの美しい合唱が感銘を与えてくれます。

BCJの合唱の素晴らしさが今日の演奏の肝でした。それにソプラノのハナ・ブラシコヴァの素晴らしい歌唱。エヴァンゲリストの吉田志門もなかなかの熱演でした。無論、鈴木雅明の指揮が素晴らしかったのは言うまでもありません。左手を痛めて、肩から吊っていたので、ほぼ、右手1本と体の動作による渾身の指揮でした。何故、左手を痛めたのか、今日のプログラムの巻頭言で詳しく語られています。パリの北駅で転倒したそうです。大事に至らなくて、よかったです。我が愛するピアニスト、クララ・ハスキルはブリュッセル南駅の階段で転倒して、頭を打ち、帰らぬ人になりました・・・。ヨーロッパの駅の構内は危ないですね。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木雅明
  エヴァンゲリスト:吉田志門
  ソプラノ:ハナ・ブラシコヴァ
  アルト:久保法之
  バス:クリスティアン・イムラー、加耒 徹

  合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン コンサートマスター:若松夏美
   ヴァイオリンⅡ:高田あずみ
   ヴィオラ:成田寛
   ヴィオラ・ダ・ガンバ:福澤宏
   チェロ:山本徹
   ヴィオローネ:今野京
   チェンバロ:大塚直哉
   オルガン:鈴木優人
   フラウト・トラヴェルソ:菅きよみ、前田りり子  
   オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ:三宮正満、荒井豪


J. S. バッハ:
《ヨハネ受難曲》BWV 245(第二稿)
 第1部

 《休憩》
 
 第2部


最後に予習について、まとめておきます。

以下の演奏を聴きました。

 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ管弦楽団・合唱団 2001年4月23~27日 セッション録音
  マーク・パドモア(福音史家)
  ミヒャエル・フォレ(イエス)
  シルビア・ルーベンス
  アンドレアス・ショル
  セバスティアン・ノアク
   Apple Music Classical、ロスレス

Apple Music ClassicalのWindows版で聴きました。現在、無料試行中です。多分、このまま、サブスク契約しそうです。大変に音質がよく、ライブラリも膨大です。難を言えば、曲の検索にこつがいりそうです。
《ヨハネ受難曲》BWV 245(第二稿)の素晴らしい録音です。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

バルトーク、武満徹、ベートーヴェン  山田和樹、最高の演奏! 読売日本交響楽団@サントリーホール 2024.2.9

今日はともかく、プログラムが素晴らしい。saraiが20世紀最高の音楽と認めたバルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、そして、若きsaraiを魅了した武満徹のノヴェンバー・ステップス。とりわけ、武満徹のノヴェンバー・ステップスは実演で聴くのは初めてかもしれません。山田和樹はどんな音楽として聴かせてくれるんでしょう。ちなみにこの時点では最後に演奏されるベートーヴェンの交響曲第2番はノーマークでした。

まず、前半はバルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽です。実演で聴くのは3回目の筈です。以前も書きましたが、saraiの青春時代の思い出の詰まった曲です。
saraiが学生時代にLPレコードで初めて聴いて、大変な衝撃を受けた曲です。そのとき、バルトークの作品を聴いたのが初めてでしたが、それ以来、saraiにとって、バルトークは神のような存在になりました。その後、弦楽四重奏曲を聴いて、バルトークへの尊敬の念はさらに高まりました。西洋音楽はバッハからベートーヴェンを経て、20世紀はマーラーという高みを迎えましたが、孤高の天才バルトークによって、西洋音楽は未曽有の頂点に立つことができました。その記念碑的作品が《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》です。この作品は聴く者に大変な緊張感を与えずにはおかない音楽です。ある意味、音楽というジャンルを別次元の芸術に変容させたとも思えます。
今日の山田和樹と読響の演奏は真摯で誠実な演奏でした。正直、第1楽章の演奏はもっと厳しさを欲しいところでしたが、現代においては、これ以上の突っ込みは時代が与えてくれないのかもしれません。バルトークが作曲した当時の大戦前夜の限界状況はそのときでないと音楽として成立し得ないのかもしれません。山田和樹は無駄をそぎ落とし、弦楽による哀しさを湛えたオスティナートを静謐に表現していました。これで十分でしょう。音楽的頂点に達したときは背中がぞくぞくする思いに駆られました。
第2楽章は全楽章の主題をひきづりながら、強くうちかかってくるような勢いが圧巻です。暗い情念が支配的ですが、山田和樹がドライブする読響のアンサンブルの素晴らしいこと。
第3楽章は青ひげ公の城を想起させるような夜の音楽です。ここでも山田和樹の表現力の深さが見事です。
第4楽章は《中国の不思議な役人》を想起させる疾駆する音楽です。山田和樹、凄し!

後半、ステージからピアノが取り去られるだけで、左右に2群の弦楽器群が配置されたまま。うーん、同じような構成なんですね。
指揮者の前には、尺八の藤原道山と琵琶の友吉鶴心が鎮座しています。尺八は1尺8寸管ではなく、長い2尺4寸管。これでないとどすの効いた演奏が不可能です。昔は2尺4寸管は横山勝也の独壇場でしたが、尺八の第1人者と目される藤原道山がどこまで吹きこなすのでしょう。
演奏はまず、オーケストラパートから始まります。武満らしい音響空間が広がります。読響のアンサンブルは素晴らしいです。聴き惚れているうちに尺八と琵琶の独奏がはいってきます。尺八独特のむら息が炸裂します。琵琶の撥の音も凄まじく、2人の掛け合いで強烈な自我がこの場を支配していきます。オーケストラが創り出す西欧的な音響の場のなかに和楽器の表現する、融合することのない2つの実存が雄たけびをあげているようです。とりわけ、尺八のむら息の激しさとすすり泣くようなビブラートが特別な存在感を放ちます。ときおり、オーケストラと和楽器は融合しかかりますが、結局は別次元を生きる者同士。それぞれの領域を生きていきます。ベルクのヴァイオリン協奏曲は最後は高次元で融合しますが、武満のこの作品はそういう救済はなく、といって、悲惨な結末でもなく、それぞれ、強く生き抜くというメッセージが残ったように思えます。藤原道山の見事な演奏がとても印象的。記憶に残る横山勝也の演奏にも並ぶものです。
実はこの曲が初演されたとき、saraiは高校生。多感だった心に強い衝撃を受けました。それが忘れられず、大学では尺八のクラブに入ってしまいました。無論、そんなに腕は上がらずにこのノヴェンバー・ステップスは吹けませんでした。難曲ですからね。その代わり、クラブの活動のなかで知り合ったのが今の配偶者です。このノヴェンバー・ステップスなくして、saraiの今の人生はなかったんです。半世紀ぶりにこのノヴェンバー・ステップスに回帰して、感慨しきり。山田和樹始め、演奏者のみなさん、ありがとう。

最後はえらく普通の曲、ベートーヴェンの交響曲第2番。普通の筈でしたが、山田和樹は前2曲と同様に左右にオーケストラ群を分けた配置にして、特別バージョンのベートーヴェンです。もう、詳細に書く時間がありませんが、実に多彩、そして、豊満の響きの演奏が展開されました。読響のアンサンブルの鉄壁さにも感銘を受けます。何よりも山田和樹の音楽的な才能の豊かさに驚嘆するのみでした。地味な存在の第2番を光り輝かせました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:山田和樹
  尺八:藤原道山
  琵琶:友吉鶴心
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:林悠介

  バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 BB 114

   《休憩》

  武満徹:ノヴェンバー・ステップス
  ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op.36
  

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のバルトークの弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽は以下の演奏を聴きました。

 フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 1958年12月28-29日 セッション録音
 
本命中の本命の演奏です。saraiは学生時代にこのレコードを聴いて、バルトークにはまりました。
ハイレゾの優秀録音で聴けます。


2曲目の武満徹のノヴェンバー・ステップスは以下の演奏を聴きました。

 横山勝也(尺八)、鶴田錦史(琵琶)、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ 1989年9月15日 ベルリン,イエス・キリスト教会 セッション録音
 
指揮の小澤征爾、尺八の横山勝也、薩摩琵琶の鶴田錦史は初演のメンバーで、日本を代表するサイトウ・キネン・オーケストラがヨーロッパ公演の際、ベルリンで録音したこの演奏は決定盤とも思える内容です。くしくも今日、小澤征爾の訃報を聞きました。


3曲目のベートーヴェンの交響曲第2番は以下の演奏を聴きました。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1964年 クリーヴランド、セヴェランス・ホール セッション録音

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団はここでも引き締まった鉄壁のアンサンブルを聴かせてくれます。



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オペラ・ブッファの楽しさが満載された《ドン・パスクワーレ》 ミケーレ・ペルトゥージが新国オペラに堂々の初登場@新国立劇場 2024.2.10

ドニゼッティのオペラはセリアもブッファもどれも聴いていて感動したり、楽しかったり、イタリアオペラの真髄を究めるものばかりです。そして、オペラ歌手がその実力を発揮できる美しいアリアや重唱が満載されています。そのドニゼッティのオペラの中で何故か、これまで縁がなかったのが今日の《ドン・パスクワーレ》。遂にこのオペラを鑑賞できました。これで主要なオペラで聴いていないのは『ルクレツィア・ボルジア』くらいになりました。これまで、『ランメルモールのルチア』、『アンナ・ボレーナ』、『愛の妙薬』、『連隊の娘』は素晴らしい歌手で聴くことができ、思い出深いものです。とりわけ、ネトレプコとガランチャが競演したウィーン国立歌劇場の『アンナ・ボレーナ』の素晴らしかったこと!
 ネトレプコ+ガランチャ《アンナ・ボレーナ》@ウィーン国立歌劇場 2011.4.11https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-486.html
 
そうそう、ドレスデンで聴いたグルヴェローヴァの絶好調の『ランメルモールのルチア』も忘れ難いものです。
 ゼンパーオーパーでグルヴェローヴァが迫真のルチアを熱唱・・・ただただ感動!https://sarai2551.blog.fc2.com/blog-entry-4758.html

てなことを考えながら、今日のオペラを鑑賞しました。何とも楽しいオペラ。それに主要キャストの4人の歌手の好調な歌唱。オペラ好きにはたまらないですね。思わず、頬をゆるめ、ただただ、聴き入ります。オーソドックスな演出で舞台装置も美しく、場面転換が早くて、ストーリー展開がスムーズなのも興を深めます。終わってみれば、満足の笑みが胸いっぱいに広がりました。ドニゼッティらしい美しいメロディーが頭の中に刻み付けられます。アリアも重唱もオペラ・ブッファとは思えない素晴らしさでした。ミケーレ・ペルトゥージのさすがの歌唱と新進気鋭のソプラノ、ラヴィニア・ビーニの素晴らしい歌唱が最高でした。
無論、新国立劇場合唱団の合唱は今日も見事。東響は残念ながら、ドニゼッティの節回しに十分にフィットしていない感じ。こういうイタリアものはあまり経験していないですものね。しかしながら、2022年の新国での《愛の妙薬》では素晴らしい演奏だったので、指揮のレナート・バルサドンナとの息が合わなかったのかもしれません。

4人の歌手たちの印象を綴ってみましょう。
タイトルロールの【ドン・パスクワーレ】役のミケーレ・ペルトゥージは世界的に実績のある歌手。saraiは2014年のザルツブルグ精霊降臨音楽祭でのロッシーニ・ガラ・コンサートで聴いたのみです。このガラコンサートはロッシーニ歌いの著名歌手のみが出演するもので、ペルトゥージは《泥棒かささぎ》から代官のカヴァティーナ「用意はできた」Il mio piano e preparatoで素晴らしい喉を聴かせてくれました。今日は喜劇の主人公で硬直した考えの老人の役ですが、彼の声や演技からは格調の高さが垣間見える魅力的な人間像が創り上げられていました。難しい役どころを見事に歌いこなしたのはさすがの実力です。
そのドン・パスクワーレをこてんぱんにやりこめる【ノリーナ】役のラヴィニア・ビーニはスープレットのちょっと強めの声ですが、透明で美しい声を存分に駆使して、聴衆を魅惑してくれました。第1幕のカヴァティーナ《騎士はその眼差しに》でいきなり、聴衆の心をつかみます。以後、重唱で素晴らしい歌唱を聴かせてくれて、このオペラを実質、支配する活躍ぶりでした。今後が期待できる若手ソプラノです。フィガロのスザンナあたりを聴いてみたい気もします。
【マラテスタ】役の上江隼人は、まるでイタリア人歌手のような練れた歌唱を聴かせてくれました。第3幕のドン・パスクワーレとの2重唱《静かにいますぐに》は、世界のペルトゥージを相手に一歩も引かない素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。こんな素晴らしい日本人バリトンがいるんですね。
【エルネスト】役のフアン・フランシスコ・ガテルはとても好感の持てるテノール。誠実さがにじみ出るようなアリアは素晴らしい出来でした。

久々に聴いたドニゼッティと思いましたが、新国ではほぼ、毎シーズン、ドニゼッティ作品を演奏してるので、まあまあ聴いています。ドニゼッティのオペラはどれを聴いても、オペラ三昧にふけることができます。今日もとても満足です。


今日のキャストは以下です。

  ガエターノ・ドニゼッティ
   ドン・パスクワーレ
    全3幕

  【指 揮】レナート・バルサドンナ
  【演 出】ステファノ・ヴィツィオーリ
  【美 術】スザンナ・ロッシ・ヨスト
  【衣 裳】ロベルタ・グイディ・ディ・バーニョ
  【照 明】フランコ・マッリ
  【振 付】エドワルド・スミルノフ
  【合唱指揮】冨平恭平
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン
  
  【ドン・パスクワーレ】ミケーレ・ペルトゥージ
  【マラテスタ】上江隼人
  【エルネスト】フアン・フランシスコ・ガテル
  【ノリーナ】ラヴィニア・ビーニ
  

最後に予習について、まとめておきます。

 ドニゼッティ:歌劇《ドン・パスクワーレ》 全3幕
 
  2010年11月/アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク メトロポリタン歌劇場
  
  【ノリーナ】アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
  【エルネスト】マシュー・ポレンザーニ(テノール)
  【マラテスタ】マリウシュ・クヴィエチェン(バリトン)
  【ドン・パスクワーレ】ジョン・デル・カルロ(バス・バリトン)
  メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
  ジェイムズ・レヴァイン(指揮)

  演出:オットー・シェンク
  
ネトレプコが突出して目立っています。健康面の問題をかかえながらも見事な指揮をしていたレヴァインが印象的です。全体によいプロダクションだと思います。



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熱海散歩2024:熱海の海岸、そして、豪勢なお鮨のランチで完了!

熱海の2日目です。

フランス洋菓子老舗のモンブランを出て、熱海の海岸に向かいます。
やがて、広い砂浜に出ます。熱海サンビーチです。夏は海水浴客で賑わうビーチも冬は閑散としています。
目前には熱海港の海が広がっていて、気持ちよいこと、この上なし。

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突堤の上には、水鳥が見えています。羽を休めていますね。

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おっ、飛び立ちました。遠い突堤の上には、この水鳥がずらっと並んでいます。遠くてはっきりしませんが、どうやら、ユリカモメのようです。日本の海岸に飛来した冬鳥なんですね。

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熱海の海岸を散歩すると言ったら、やはり、貫一お宮は外せませんね。尾崎紅葉の小説「金色夜叉」の登場人物です。

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このあたりで熱海散歩を切り上げます。
お昼時ですから、最後にランチでもいただきましょう。熱海の海岸から市内バスに乗って、熱海駅前に向かいます。
駅前の仲見世通りにある磯丸 仲見世通り店でお鮨をいただくことに当初から決めていました。お店に着くと、何と本日休店になっています。ガガーン! このあたりには、別のお鮨屋さんはありません。そう言えば、磯丸のもう一軒の支店がありますが、休店日は一緒でしょう。ところが配偶者はそれは分からないから、行ってみましょうと提案。saraiも別の案もないので、とりあえず、行ってみることにします。
これが大当たり! 磯丸 平和通り店に行くと、何と営業中です。大通り側の裏口から入れそうです。中に入ると、結構、混み合っていますが、小上がりのテーブル席に案内されます。ここは平和通り側の入口からは一番奥の席で、大通りに面しています。
お店の奥から、お店を眺めますが、見通せませんね。
せっかく、お鮨を食べられることになったので、豪勢に注文することにしましょう。

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待つこと、しばし。美味しそうなにぎりがテーブルいっぱいに並べられます。目玉は真ん中のまぐろのにぎり。
一人、15貫ほどは食べることになります。それでは・・・

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いやあ、満腹です。もう、夕食はいりませんね。実に美味しいお鮨でした。
熱海はうなぎとお鮨に限ります。

心おきなく、熱海を後にしました。これでお正月モードも完了。



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R.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」の颯爽とした響きに感銘  山田和樹&読売日本交響楽団@サントリーホール 2024.2.13

今日は山田和樹の読響の首席客演指揮者の最後の演奏でチケットは完売。

まず、最初のR.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」の輝かしい響きで魅了されます。いやはや、何とも素晴らしいR.シュトラウスに圧倒されました。最前列で聴いていたので、終始、読響の響きに感銘を受け続けていました。山田和樹の音楽表現も見事の一語。ここにいるのは女たらしのドン・ファンではなく、颯爽とした騎士ドン・ファンでした。ウィーン・フィル、ベルリン・フィルにも優るとも劣らずという演奏にsaraiの気持ちが高揚しました。これが今日一番の演奏でした。

続くブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は初聴きのヴァイオリニスト、シモーネ・ラムスマのなかなか魅力的なヴァイオリンの響きに聴き入りました。正統派で音楽的にも聴くべきものがありました。山田和樹指揮の読響のサポートも立派です。
アンコール曲のイザイも素晴らしい演奏でした。テクニックも十分なものを持っていますね。これから、ラムスマに注目していきましょう。

休憩後、今日のメインの曲、フランクの交響曲 ニ短調です。読響の明るい響きを活かして、山田和樹の音楽力を発揮した素晴らしい演奏でした。山田和樹の首席客演指揮者としての最後の演奏にふさわしいものでした。第3楽章の後半の盛り上がりは最高でした。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:山田和樹
  ヴァイオリン:シモーネ・ラムスマ
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:長原幸太(ダブルコンマス 林悠介)

  R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」 Op.20
  ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
   《アンコール》イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番より第4楽章

   《休憩》

  フランク:交響曲 ニ短調
  

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のR.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」は以下の演奏を聴きました。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1957年3月29日&30日 セッション録音
 
セルのR.シュトラウスは実に素晴らしいです。


2曲目のブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は以下の演奏を聴きました。

 ヤッシャ・ハイフェッツ、マルコム・サージェント指揮新ロンドン交響楽団 1962年 セッション録音
 エリカ・モリーニ、フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団 1958年 セッション録音

 
ハイフェッツの硬質の響きの演奏もよく、さらに初聴きのエリカ・モリーニの情感あふれる演奏も素晴らしい。


3曲目のフランクの交響曲 ニ短調は以下の演奏を聴きました。

 オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1973年11月1日 アムステルダム、コンセルトヘボウ ライヴ録音

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の響きが素晴らしい。



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88歳の誕生日にインバルはショスタコーヴィチとバーンスタインを会心の演奏 東京都交響楽団@サントリーホール 2024.2.16

ほぼ、毎シーズン、都響を振ってきたインバルも今日は88歳の誕生日。まったく衰えを知らない指揮で得意のショスタコーヴィチとバーンスタインの素晴らしい演奏を聴かせてくれました。このところ絶好調の都響は名指揮者インバルを迎えて、ますます見事なアンサンブルの演奏を聴かせてくれました。来週から開始する3回目のマーラー・チクルスも期待するばかりです。

前半はショスタコーヴィチの交響曲第9番。インバルはその高齢を少しも感じさせない小気味よい指揮で新古典主義的な音楽を素晴らしく整ったアンサンブルと切れのよいテンポで気持ちよく聴かせてくれました。とりわけ、アップテンポな楽章がノリノリで、ただただ、気分よく音楽を楽しめました。この交響曲第9番は暗いところのまったくないショスタコーヴィチらしからぬ音楽ですが、こういう爽快な演奏で聴くと気分が高揚します。実に不思議な作品です。

休憩後は、バーンスタインの交響曲第3番《カディッシュ》です。同じインバルの指揮で8年前の2016年に聴いています。そのときはホロコーストの生き残りのサミュエル・ピサールが書き起こしたナチス強制収容所の生々しい描写の語りのピサール版で聴きましたが、今回は当初の予定のピサール版から変更になり、バーンスタインの書いた語りのオリジナル版での演奏になりました。
冒頭は神への性急とも言える祈りで始まります。そして、人間が起こした災いに満ちた行為、その行為を黙認したかのごとき"神"への不信の念が語られます。宗教も持たないsaraiのような人間にとっては"神"というのは、人類が共通に心の中に持っているはずの倫理観・人間性と置き換えてもいいのかもしれません。延々とこの"神"の黙認行為を攻め続けながら、信仰を失っていく気持ちが語られていきます。バースタインの音楽はその上にそれを補強するように鮮烈に響き渡ります。インバルが都響の全機能をフルに活用して、パーフェクトとも思える音楽、あるいは響きをリアルな形で表現していきます。何という作品でしょう。これは音楽芸術の名を借りて、我々自身に向けられた鋭い刃です。なぜなら、人間が犯したいかなる行為は我々人類全体が背負うべき十字架だからです。その犯罪的な行為に直接・間接に責任のない人間もこの重い罪を自分自身の罪として自覚せよとバーンスタインの音楽は迫ってきます。昨今の大量虐殺、そして、現在も発生している残虐行為も決して、自分と関係ない問題ではないということ・・・この音楽が語る本質です。世界で進行している戦争拡大への道などはたとえ自分が反対の立場であるにせよ、責任は免れるものではありません。戦争行為こそ、倫理観・人間性を根こそぎ駆逐してしまう最たるものです。そういう強烈なメッセージを受け止めながら、被告席に座る人間のようにして、バーンスタインのメッセージ音楽をうなだれて聴くのみです。無論、シオニズム推進派だったバーンスタイン自身もガザの残虐行為に対しては己への刃も甘んじて受け入れなければならないでしょう。第2楽章の後半では攻撃的な音楽が一転して、ソプラノの冨平安希子が美しい声で子守歌を歌い始めます。子供たちが戦争で命を奪われる・・・その子供たちへの子守歌です。美しい旋律ですが、戦慄を覚えます。ある意味、ぞっとするような音楽です。
ここからバーンスタインは性急とも思えるように強引に"神"との和解、信仰の再生に突き進みます。しかし、こんなに深刻な"神"喪失から、音楽の力で立ち直れるでしょうか。本音で言えば、立ち直りたい・・・それはsaraiが人類の倫理観・人間性を信じていきたいという希求でもあります。壮大なフィナーレの音楽が鳴り響き、大いなる感銘を受けました。それは神の再生だったのか・・・

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エリアフ・インバル
  語り:ジェイ・レディモア
  ソプラノ:冨平安希子
  合唱:新国立劇場合唱団 指揮:冨平恭平
  児童合唱:東京少年少女合唱隊 指揮:長谷川久恵
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:山本友重

  ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 Op.70
   
   《休憩》
   
  バーンスタイン:交響曲第3番《カディッシュ》
   

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のショスタコーヴィチの交響曲第9番を予習した演奏は以下です。

 キリル・ペトレンコ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2020年10月31日 ベルリン、フィルハーモニー ライヴ録音

切れ味鋭い素晴らしい演奏です。


2曲目のバーンスタインの交響曲第3番《カディッシュ》を予習したCDは以下です。

 モンセラート・カバリエ、マイケル・ワガー、ウィーン・ジュネス合唱団、ウィーン少年合唱団、レナード・バーンスタイン指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 1977年8月26日 マインツ、ラインゴルトハレ セッション録音
 クレア・ブルーム、ケリー・ナシーフ、メリーランド少年合唱団、ワシントン合唱団、マリン・オールソップ指揮ボルティモア交響楽団 2012年9月28-30日 ジョゼフ・マイヤーホフ・シンフォニー・ホール、ボルティモア、メリーランド州、米国 セッション録音


バーンスタイン&イスラエル・フィルは決定盤。バーンスタインの愛弟子の女性指揮者オールソップも実に見事な演奏。



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マーラーの遺言のような慟哭が聴ける交響曲第10番(クック版)の終楽章に我が心は千々に乱れけり インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2024.2.22

88歳を迎えたインバルが最初に選んだマーラーは最も得意とする交響曲第10番(デリック・クック補筆版)。無論、5楽章版です。
補筆版とは言え、終楽章はマーラーの交響曲の掉尾を飾る最高の音楽。インバルの見事な指揮で都響の素晴らしいアンサンブルが感銘に満ちた演奏を聴かせてくれました。これがマーラーが書き上げた最後の、そして、最高の音楽です。saraiの胸に去来するのはマーラーの交響曲群のここまでの長い道のりです。小説に例えれば、大長編ロマンの最終章。すべての交響曲が描いてきた自己と自然、そして、愛と死、それらの深い響きがここで収束します。

インバルはこれから、都響との第3次マーラー・シリーズを開始するそうですが、その幕開けのこの音楽で、既にシリーズを完結したようにsaraiは錯覚します。実際、来シーズンの予定にはインバルのマーラーは予定されていないし、この交響曲第10番でインバルのマーラーは完結したのではないでしょうか。

ともかく、今日の演奏は第1楽章のアダージョの儚い夢のような音楽を聴いただけで、十分にマーラーを満喫した思いに駆られ、そして、第5楽章の中盤以降の美しい弦楽アンサンブルの深く、繊細な響きに感動を抑え聴けない心の震えがありました。
何と言う音楽、何と言う演奏でしょうか。マーラーのすべての思いを詰め込んだような世界が広がり、そして、消え去っていきました。音楽も人生も何と無情なんでしょう・・・。マーラーの慟哭はすべての人が胸に抱く人生の儚さを描き切ったような恐いようで、それでいて、何とも優しいものです。この世の世界を突き抜けて、あの世で奏でる美しい響き・・・そのように感じ入りました。
これ以上は何も書くことがありません。


今日のプログラムは以下のとおりです。

  【インバル/都響第3次マーラー・シリーズ①】

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉

  マーラー:交響曲第10番 嬰へ長調(デリック・クック補筆版)
   
   《休憩》なし
   
   
最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第10番(デリック・クック補筆版)を予習した演奏は以下です。

 エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団 2014年7月20,21日 東京、サントリーホール ライヴ録音
   ~ワンポイント・レコーディング・ヴァージョン

素晴らしい録音でかつて聴いたときの感動がありありと思い出されました。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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