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ベルリン・フィルは永遠なり キリル・ペトレンコの最高の指揮で聴くシンフォニア・ドメスティカ バティアシヴィリのミステリアスで魅惑に満ちたシマノフスキ@ベルリン・フィルハーモニー(配信) 2024年2月16日19時(ベルリン時間)

ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールの最後かもしれない鑑賞記です。昨年8月から、サブスク契約して、7か月。遂に今月末で契約を打ち切ることにし、今日が最後の視聴になります。最後はほぼ10日前にベルリンで収録されたキリル・ペトレンコ指揮のコンサートを聴くことにしました。プログラムが最高に魅力的ですからね。リサ・バティアシヴィリのヴァイオリンも久々に聴けます。そして、何と言っても、R.シュトラウスのシンフォニア・ドメスティカ(家庭交響曲)がペトレンコ指揮のベルリン・フィルで聴けるのが楽しみです。実はライヴ配信で聴こうと思っていましたが、色々な事情で聴けなかったので、配信が始まるのを待っていたんです。

ベルリン・フィルの来日公演で首席指揮者キリル・ペトレンコの素晴らしい指揮でR.シュトラウスの交響詩の最高傑作《英雄の生涯》の演奏を聴いて以来、ペトレンコとベルリン・フィルにぞっこん惚れ込みました。そのコンビによるR.シュトラウスのシンフォニア・ドメスティカ(家庭交響曲というよりもシンフォニア・ドメスティカのほうが雰囲気がよいと思いませんか!)ですから、期待は高まりますが、その演奏は後半です。

まずは、ブラームスの悲劇的序曲。最初のトゥッティでいきなり、魅了されます。ペトレンコは強弱をつけた演奏で、ベルリン・フィルを巧みにドライブして、ブラームスの深い味わいを表現していきます。ベルリン・フィルは今日も役者が揃っています。コンサートマスターは我が樫本大進、フルートはエマニュエル・パユ、クラリネットはヴェンツェル・フックス、オーボエはアルブレヒト・マイヤー、ホルンはシュテファン・ドールというスーパースターが勢揃いです。ですから、管の独奏の表現も素晴らしく、まったく、隙のない演奏です。わずか15分ほどの音楽ですが、極め付きのブラームスが聴けました。でも、これはほんの序の口。

次は艶やかなリサ・バティアシヴィリが登場して、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番です。オーケストラがカチャカチャとファンタジックな音楽を細かいフレーズで速いテンポで奏でます。ベルリン・フィルの素晴らしい音響をたっぷりと味わいます。そして、そこにリサ・バティアシヴィリがゆったりとたゆたうばかりの飛びっきりの美音のヴァイオリンで異次元のような音楽を奏で始めます。美しい顔と美しいヴァイオリンで魅惑の音楽・・・これこそ、リサ・バティアシヴィリの魅力の世界です。さすがのぺトレンコとベルリン・フィルもたった一人のヴァイオリニストに主役の座を明け渡します。後期ロマン派を思わせるような魅力たっぷりのヴァイオリンに耳を傾けるのみです。たまに独奏ヴァイオリンも速いテンポでオーケストラと同調するような音楽も奏でますが、何と言ってもシマノフスキのヴァイオリン曲の魅力はミステリアスで魅惑に満ちたスローなバラードです。終始、リサ・バティアシヴィリの極美の世界に浸って、うつつの時を過ごしました。リサ・バティアシヴィリの最高のシマノフスキでした。今日はこれが聴けただけで満足でした。

しかし、後半のR.シュトラウスのシンフォニア・ドメスティカ。これが凄かったんです。やはり、ペトレンコのR.シュトラウスは素晴らしいです。もう、かつてのカラヤン時代のベルリン・フィルのR.シュトラウスは凌駕したと言っても過言ではないでしょう。英雄の生涯ほどの派手な曲ではありませんが、シンフォニア・ドメスティカはよりインティメットな魅力に満ちています。そして、その重層的な音の響きはR.シュトラウスの魅力にあふれていました。まったくもって、音楽的な充実度は圧倒的でした。一瞬とも気を抜けて聴けない緊張感に満ちた演奏にしびれました。ペトレンコの圧倒的な指揮も見事ですが、ベルリン・フィルのスーパースターたちの妙技も見事。それに弦楽アンサンブルの素晴らしい響き。家庭交響曲というと何かこじんまりした印象なので、これはやはり、シンフォニア・ドメスティカと言わねば、今日の素晴らしい演奏にそぐわない感じです。終曲の最後の高潮は圧倒的で、saraiは思わず、のけぞるほどの迫力でした。いくら賛美しても足りないのが、今日のシンフォニア・ドメスティカでした。
ところで前半はいなかったヴィオラの清水直子が後半から1列目に登場。こういうことってあるんですね。

今年はペトレンコ&ベルリン・フィルは来日しないようですが、こういうR.シュトラウスを生の迫力で聴きたいものです。

これでベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールは聴き納めですが、どうしてもというコンサートがあれば、また、1ヵ月のみのサブスク契約して、集中的に聴くつもりです。
ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールのサブスク契約解除で浮いた資金で、今度はApple Music(Apple Classical)のサブスク契約しました。これでほとんどのクラシックCDが聴き放題。ハイレゾの音源もあり、これが1ヵ月1080円はお得です。年契約したので、10800円と2か月分お得です。これで所有するほとんどのCDは不要になるとは、時代が変わったものです。これまで買い込んだ数千枚のCDはどうしてくれる!!


この日のプログラムは以下です。

  2024年2月16日19時(ベルリン時間)、ベルリン・フィルハーモニー

  指揮:キリル・ペトレンコ
  ヴァイオリン:リサ・バティアシヴィリ
  管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 ヨハネス・ブラームス
   悲劇的序曲ニ短調 op. 81
 カロル・シマノフスキ
   ヴァイオリン協奏曲第1番 op. 35
   
 《休憩》
 
 リヒャルト・シュトラウス
   シンフォニア・ドメスティカ(家庭交響曲) op. 53

  


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       バティアシヴィリ,        キリル・ペトレンコ,        ベルリン・フィル,  

日本で初めてタクトをとるピエール・ブリューズのリハーサル風景、サン=サーンスの交響曲 第3番「オルガン付き」とドビュッシー(ビュッセル編曲)の小組曲 東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2024.3.1

今日はアンサンブル・アンテルコンタンポラン(EIC)の音楽監督とデンマークのオーデンセ交響楽団の首席指揮者の重責を担うフランス人指揮者、ピエール・ブリューズの日本での指揮者でデビューとなる東響のコンサートの前日リハーサルを覗きました。日本の聴衆の前に姿を現すのはこれが初めての機会でしょう。実にくったくのない様子でひょいとステージに現れて、聴衆にも親しみのある挨拶をしてくれました。

まずはサン=サーンスの交響曲 第3番「オルガン付き」が入念にリハーサルされます。何度も途中で止めて、やり直しています。細かい指示は聴こえませんでしたが、saraiの感覚ではミスの指摘などではなく、響きの調整が主たるものであったようです。それと細かいリズムの取り方なども調整していました。これまでにsaraiが聴いたリハーサルの中でも、プロのリハーサルのイメージにぴったりの感じです。第1楽章のリハーサルだけでも1時間近くかかるという入念なものでした。もっとも、この曲は第1楽章は普通の第1楽章と第2楽章が合体したみたいなものです。通しでは20分ほどですから、2倍以上の時間をかけていました。お陰で、そんなに聴く機会のない曲が耳にしっかりとしみつきました。弦のアンサンブルとオルガンの精妙さが素晴らしいです。
休憩後の第2楽章も入念にリハーサルします。さすがに最後は意外にさらっと終わります。フィナーレのオルガンとオーケストラの高揚するところの迫力は素晴らしく、それも繰り返してのリハーサルなので、何か得をしたような感じです。まるで最後をアンコール演奏したみたいです。オルガンの大木麻理は素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

次に演奏する団員が少し入れ替わって、ドビュッシー(ビュッセル編曲)の小組曲のリハーサル。これはそこそこ、ちゃちゃっと終えます。東響の演奏のレベルが最初から高く、そんなに細かくチェックを入れる曲ではありませんね。とても美しい演奏です。有名な作品ですが、このオーケストラ編曲版は多分、実演では聴いたことがありません。いいものをリハーサルとは言え、聴けました。

ここで公開リハーサルはお終い。この後、多分、MINAMI (吉田 南)が独奏するサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲 第3番のリハーサルがあった筈です。本当はこれが聴きたかったんです。吉田 南のヴァイオリンは久し振りで、最近の彼女の成長ぶりをとても聴きたかったんです。まあ、本番のチケットを買えばよかったと言えば、それまでですが・・・。


今日のプログラムは以下です。

  ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集第195回 前日リハーサル

  指揮:ピエール・ブリューズ
  オルガン:大木麻理(ミューザ川崎シンフォニーホール ホールオルガニスト)
  管弦楽:東京交響楽団 コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」第1楽章

  《休憩》

  サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」第2楽章
  ドビュッシー(ビュッセル編曲):小組曲


最後に予習について、まとめておきます。(リハーサルとは言え、ちゃんと予習は欠かしません。)

サン=サーンスの交響曲 第3番「オルガン付き」を予習した演奏は以下です。

 サイモン・プレストン(org)、ジェイムズ・レヴァイン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1986年6月、ベルリン セッション録音
 
レヴァインの、ベルリン・フィルとの最初の録音です。実に音楽的精度の高い演奏です。


ドビュッシー(ビュッセル編曲)の小組曲を予習した演奏は以下です。

 エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 1961年2月22日 ジュネーヴ、ヴィクトリアホール セッション録音

かつて評価の高かったアンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の演奏のひとつです。現在、あまり話題に上りませんが、実に素晴らしい演奏です。また、再評価される日が来るでしょう。



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リストのピアノ・ソナタ ロ短調に熱く共鳴 ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール 2023.3.3

ユリアンナ・アヴデーエワは昨年に引き続いての来日公演。どうやら、日本での評価が高いようです。日本人の聴衆の耳が肥えていることに鼻が高い思いです。もっとも日本ではおおむね、ショパンコンクールの優勝者の人気が高いようですね。
かく言うsaraiもアヴデーエワの大ファンです。

今日は前半はショパンの本格的な作品をずらっと並べています。こんなにちゃんとショパンを弾いてくれるのは初めてのような気がします。saraiは決してショパンの音楽をそれほど好むわけではなく、同時代の作曲家では圧倒的にシューマンの音楽が好きです。しかし、アヴデーエワに関しては特例として、ショパンが最高に楽しみです。今日もその期待に応えてくれる圧巻の演奏でした。
最初の幻想ポロネーズは昨年も素晴らしい演奏でしたが、今年も左手の低音をベースとした暗い色調、そして、右手の高音域の煌めきを交え、ずっしりとした音楽を聴かせてくれました。
2曲目の舟歌も幻想ポロネーズ同様、ショパンの後期の作品です。軽く明るく始まる文字通り、舟歌も次第に深い味わいを見せて、気が付いてみれば、ショパンの内面の熱い情念を燃え上がらせるような圧巻の演奏になっていました。
3曲目の前奏曲 嬰ハ短調はさりげない旋律が少しずつ形を変えながら繰り返される落ち着いた表現で、前2曲の重たい音楽から少し開放される思いでリラックスして聴けました。こういうちょっとした曲でもアヴデーエワの類稀なるセンスが光ります。
4曲目は有名なスケルツォ第3番。高潮する音楽が見事が奏で上げられました。
5曲目は大曲のアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ。これは今日のショパンの曲のなかでは一番、若い頃の作品。序奏にあたるアンダンテ・スピアナートの後、ポロネーズが華やかに弾かれて、とても盛り上がります。管弦楽伴奏付きならば、もっと盛り上がったでしょう。
色んな時代のショパンの作品を聴いて、とても満足しました。それに重めの曲が多かったので、聴き応えがありました。

アヴデーエワのショパンがいいとい言っても、さすがにショパン尽くしではかないません。後半はリストです。
アヴデーエワらしく、最初に晩年の作品を2曲。
死のチャールダーシュはどこかハンガリー狂詩曲を想わせるような作品。アヴデーエワはガンガン弾きます。
暗い雲は題名通り、暗い作品。これもリストの一面ですね。
そして、いよいよ、今日の主役、ピアノ・ソナタ ロ短調。アヴデーエワほどのピアニストにこそ、ぴったりの作品です。
これは気持ちを集中して聴きましょう。第1部にあたるところから、抜群の演奏に息を呑みます。しかし、凄かったのは緩徐的な第2部です。右手で奏でる後期ロマン的な熱い熱情に翻弄されます。これでもか、これでもかと、熱いロマンの波が押し寄せてきます。ああ、これが音楽だ!と、しびれるような愛の吐息を感じます。第2部の長いこと・・・こんなに長かったのかと驚嘆します。そして、最高の第2部が終わり、第1部の音節に回帰して、第3部が始まります。そのフィナーレの高潮の凄いこと! 圧倒的です。そして、最後は静かに鐘が鳴り、低音の和音で終わります。期待通りの素晴らしい演奏でした。
かつて、エレーヌ・グリモーの実に官能的な演奏を聴いたのは、おとりおきとしても、今日のアヴデーエワは音楽的には優るとも劣らないと言っていい演奏でした。この曲は何故か、女流ピアニストに似合います。

アンコールはショパンのマズルカ。そして、リストのハンガリー狂詩曲です。妥当なところです。そして、何とも素晴らしい演奏でした。


今日のプログラムは以下です。

 ピアノ:ユリアンナ・アヴデーエワ

  ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
  ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
  ショパン:前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
  ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22

   《休憩》

  リスト:死のチャールダーシュ S.224
  リスト:暗い雲 S.199
  リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

   《アンコール》

    ショパン:マズルカ イ短調 Op.59-1
    リスト:ハンガリー狂詩曲第17番 ニ短調 S.244


最後に今回の予習について、まとめておきます。

  ショパン:ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想ポロネーズ」
   ユリアンナ・アヴデーエワ
  ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
   河村尚子
  ショパン:前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
   ユリアンナ・アヴデーエワ
  ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
   ユリアンナ・アヴデーエワ
  ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22
   イリーナ・メジューエワ

  リスト:死のチャールダーシュ S.224
   アルフレッド・ブレンデル
  リスト:暗い雲 S.199
   クリスチャン・ツィメルマン
  リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
   エレーヌ・グリモー

アヴデーエワのショパンは素晴らしいです。
グリモーのリストのピアノ・ソナタ ロ短調は実にセクシーな演奏で大変な高揚感です。



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       アヴデーエワ,  

上原彩子のピアニストとしての新たな出発・・・ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲に挑む@東京文化会館小ホール 2024.3.9

天才、上原彩子はラフマニノフ、チャイコフスキー、プロコフィエフなどのロシアもので比類ない演奏を聴かせてくれます。それで十分に満足できていました。それどころか、ラフマニノフのピアノ組全曲コンサートを聴きたいくらいです。
しかし、彼女はここにきて、ある意味、ピアノ音楽の王道とも言えるドイツ・オーストリア音楽に気持ちがシフトしてきたようです。ようやく、弾きこなしたモーツァルトに引き続き、遂にベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲に全力で挑戦することにしました。今日はその記念すべき1回目。これから、8年もかけて、ベートーヴェンという巨大な嶺に登ることになります。今日はその試金石になります。複雑な思いで今日のリサイタルを聴きます。もう高齢のsaraiはその演奏を聴き終えることができるかどうか、微妙です。しかし、そのsaraiの思いは今日の演奏で払拭されました。やはり、彼女は天才ではなく、超天才であることが確信できました。天才が努力と決意をもってすれば難関を超えることが実感できました。ベートーヴェンという一大障壁を乗り超えることができるということは、今日の素晴らしい演奏を聴けば、理解できました。無論、毎年、4曲程度の作品を心血を注いで、攻略していく努力は欠かせませんが、そういう内面の力と元々の天才的な実力を合わせれば、中期のアパッショナータまで、辿り着けそうに思えます。後期は別次元の世界なので、もう人間としての内面の充実ということになりそうですが、彼女ならば、新たな地平を見つけられるでしょう。
saraiが最後まで見届けるかどうかは問題ではなく、もう、楽観的な気持ちになっています。
しかし、ここで新たな問題が胸に去来します。ベートーヴェンを極めるのならば、次はシューベルトという次の大きな嶺があります。そして、さらにシューマン、ブラームスという道筋も見えてきます。田部京子に続いて、上原彩子もドイツ・オーストリア音楽を本格的に弾くことを精進してほしいと微かながら思ってしまいました。そのsaraiの期待に応えるように何と上原彩子はアンコールでブラームスの晩年の傑作、インテルメッツォをロマンティックに弾いてくれました。最高の演奏でした。ブラームス好きのsaraiが太鼓判を押せるような見事な演奏でした。ドイツ・オーストリア音楽を弾けて、ロシア音楽は超素晴らしいというピアニストの中のピアニストに上り詰めるかもしれないと心の底からの期待が芽生えました。そんな妄想に捉われて、ご機嫌なsaraiでした。

さて、今日の演奏です。ピアノは何とベーゼンドルファー。やはり、ウィーンの音楽はこれに限るかもしれません。オペラシティにあるアンドラーシュ・シフが選定したベーゼンドルファーも弾いてみてほしいですね。
最初はピアノ・ソナタ第1番。緊張して聴き始めましたが、とても素晴らしい演奏です。きっちりと指がまわっています。この後の演奏にも言えますが、ターンがさりげなく弾けていて、音階もスムーズ。古典派音楽の様式感が素晴らしく表現されています。よほど、練習したようです。何故か、この第1番はモーツァルト的な風情が少し感じられる演奏で、ベートーヴェン的な高邁さはそれほどではありません。それに高音域の響きがさらに美しければという課題も見えます。それは強いて言えばということですが、全体としては素晴らしい演奏です。

次は第2番。ここで上原彩子の演奏はぐっとギアがアップ。第1楽章から、見違えるような凄い演奏。saraiの緊張感も増して、集中して聴き入ります。第1番で課題と言ったことはすべてクリアーされています。完璧という表現は使いたくありませんが、そうも言いたくなるような演奏が続きます。上原彩子がラフマニノフを弾くときのような緊張感と集中力がこのベートーヴェンでも発揮されます。第2楽章の緩徐的な表現も素晴らしい。saraiの席からは上原彩子の鍵盤を叩く指がはっきりと見えますが、実に美しく動いています。高音域では右手の指がきっちり立っていて、鍵盤を素晴らしいタッチで叩いています。断っておきますが、saraiはピアノが弾けません。あまり、偉そうにピアノ演奏をどうのこうの言えませんが、耳では名人たちのピアノの音をたくさん聴いています。その基準で言って、とても素晴らしい演奏です。第3楽章は歯切れよく演奏し、これも完璧。そして、第4楽章の凄いこと! もう、あっけにとられるような凄まじい演奏に驚嘆しました。

休憩後、第19番と第20番が続けて演奏されます。いずれも2楽章構成の可愛い作品ですが、上原彩子が弾くと、格段の聴き映えがします。第3番と第4番の間に作曲された平易な作品でモーツァルト的な響きの作品です。今やモーツァルトを得意とする上原彩子は素晴らしい響きの演奏を聴かせてくれます。ト短調の第19番、ト長調の第20番、いずれも圧巻の演奏。第20番の第2楽章は有名なメロディーが楽しく聴けます。七重奏曲 Op.20の第3楽章のメヌエットと同じ主題です。

最後は第3番。これも先ほどの第2番と同様に素晴らしいレベルの演奏です。これまた、圧巻は第4楽章。凄いの、何のって、saraiの気持ちが高揚していきます。これだけ弾いてくれれば、何となく、中期のピアノ・ソナタの演奏も展望が開けてきます。きっと物凄い演奏になりそうな予感がします。

アンコールは第1番から第3番がハイドンに献呈されたので、まず、ハイドンを弾きますと上原彩子が語ってから、実に軽やかな演奏、それも超高速演奏でびっくりします。彼女はハイドンも弾きこなしたようです。そのうち、ハイドンの後期ソナタも披露してもらいたいものです。
次は何も語らず、いきなり弾き始めます。最初はこの聴き慣れた曲は何?と分かりません。あまりにベートーヴェンとかけ離れていたからです。しばらくして、ブラームスのインテルメッツォの1曲であることに思い至ります。素晴らしくロマン性の濃い演奏で、すっかり魅了されます。saraiの大好きなブラームスの晩年のピアノ曲でこのところ、アンドラーシュ・シフの素晴らしい演奏を立て続けに聴いています。今日の上原彩子の演奏はそのシフと同等レベルの素晴らしい演奏。これならば、機会をみて、ブラームスの晩年の傑作群、Op.116~Op.119をまとめて弾いてもらいたいものです。
アンコールにも大満足でした。

来年は3月上旬に第4番から第7番までの4曲が予定されています。まだまだ初期の作品群ですが、今日の演奏から判断して、かなりの聴き応えが期待できそうです。再来年は第8番《悲愴》や第10番など、有名作品が登場してきます。そして、2028年にはワルトシュタインやテンペスト、2029年には、アパッショナータという中期の傑作群が綺羅星の如く登場します。あと6年、何とか聴き続けたいものです。この中期の傑作群がこのチクルスの一つの頂点をなすことになるでしょう。無論、2032年の後期3ソナタが聴ければ僥倖です。

まあ、現実的には、来週末からのウィーンの大御所ブッフビンダーのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲チクルス(全7回)の連続コンサートを聴きます。コロナ禍でイリーナ・メジューエワのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲チクルスが流れたので、これがsaraiにとって、初の全曲チクルスになります。その次が今日からの上原彩子のチクルスになるのかな・・・


今日のプログラムは以下です。


 上原彩子 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 Vol.1

  ピアノ:上原彩子
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第1番 ヘ短調 Op.2-1
  第2番 イ長調 Op.2-2

   《休憩》

  第19番 ト短調 Op.49-1
  第20番 ト長調 Op.49-2
  第3番 ハ長調 Op.2-3

   《アンコール》
   ハイドン:ピアノ・ソナタ第38番ヘ長調Hob.23 Op.13-3より第1楽章
   ブラームス:6つの小品より間奏曲イ長調 Op.118-2


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、メジューエワの最新のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集から予習しました。CDも所有していますが、Apple Musicの配信で聴きました。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。

そのほか、来週のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲チクルスに向けて、ブッフビンダーの演奏も聴いています。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。



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       上原彩子,  

フランス人女性指揮者マリー・ジャコの目覚ましい指揮、そして、小曽根真によるノリのよいラヴェルのピアノ協奏曲 読売日本交響楽団@サントリーホール 2024.3.12

今日はフランス人女性指揮者マリー・ジャコの日本初登場。その指揮姿の何となくユニークなところに惹き付けられました。そこから湧き出る音楽の瑞々しいこと!
最初のプロコフィエフの歌劇「3つのオレンジへの恋」組曲全曲を聴くのは初めてですが、新古典主義らしい溌剌さが横溢していました。実に耳に心地よく響きます。マリー・ジャコの美しい指揮姿にも魅了されます。
まあ、ここまではよかったのですが、今日は実に疲れており、音楽の心地よさにこれ以降はほとんど寝落ちした次第…情けないですね!

ラヴェルのピアノ協奏曲ははっと気が付いたら、第2楽章後半のピアノと木管楽器(コールアングレやファゴット)の実に美しい対話が繰り広げられています。さすがにこれは寝てはいられません。何とも素晴らしい音楽に魅了されました。そのまま、第3楽章の活気のある演奏に聴き惚れます。小曽根真のピアノはリズムのノリもよく、そして、何と言っても、タッチが実に美しいです。あまりの美しさにまた、寝落ち。そして、最後に高潮するところはちゃっかり聴きました。素晴らしい締めでした。
アンコールは何とジャズナンバーの名曲、A列車で行こう。ベースと競演です。ここでも実にクリアーな音でピアノの魅力を発散してくれます。ジャズもクラシックもOKの稀有なピアニスト、小曽根真の真骨頂が発揮されました。


休憩後、後半はほとんど夢の中。プーランクの組曲「典型的動物」はフランスの古い白黒映画のような面持ちで、ノスタルジックな気分の作品です。夢の中とは言え、ほどほど聴いていました。プーランク自体、あまり聴きませんが、新古典的な雰囲気の音楽、ちょっと面白いですね。
続くヴァイルの交響曲第2番、充実した響きが印象的です。第1楽章はオスティナートのような音楽で、響きの変化を味わいます。しかし、こういう音楽は今日の状態では寝落ちに拍車をかけます。第2楽章は抒情的な味わいです。第3楽章はロンドで勢いがあります。最後の高潮はばっちり聴きました。マリー・ジャコの軽やかな指揮のもと、読響の明るいサウンドが炸裂します。

今日の主役は小曽根真。そして、マリー・ジャコは最近増えてきた女性指揮者の中でも若手で今後が嘱望されます。

今日は散々の状態での音楽鑑賞でしたが、今日から、日曜日まで、6日間連続のコンサート。そして、月曜日を1日置いて、また、4日間連続のコンサート。大丈夫かな・・・


今日のプログラムは以下です。

  指揮:マリー・ジャコ
  ピアノ:小曽根真
  管弦楽:読売日本交響楽団  コンサートマスター:長原幸太

  プロコフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」組曲 Op.33bis
  ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
   《アンコール》A列車で行こう(ピアノ:小曽根 真、コントラバス:大槻 健)

   《休憩》

  プーランク:組曲「典型的動物」
  ヴァイル:交響曲第2番
  

最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のプロコフィエフの歌劇「3つのオレンジへの恋」組曲は以下の演奏を聴きました。

 シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団 1992年10月 サン・トゥスタッシュ教会、モントリオール、カナダ セッション録音
 
デュトワの見事な演奏。


2曲目のラヴェルのピアノ協奏曲 ト長調は以下の演奏を聴きました。

 アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ、エットーレ・グラチス指揮フィルハーモニア管弦楽団 1957年 セッション録音

 
隠れた名盤。ミケランジェリのピアノが冴えていて、録音も上々。


3曲目のプーランクの組曲「典型的動物」は以下の演奏を聴きました。

 ジョルジュ・プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団 1966年 セッション録音

プレートルによる貴重な録音。


4曲目のヴァイルの交響曲第2番は以下の演奏を聴きました。

 マリン・オールソップ指揮ボーンマス交響楽団 2004年1月、イギリス、ドーセット、プーレ、ライトハウス・コンサートホール セッション録音

マリン・オールソップによる真摯に向かい合った演奏。



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メルニコフの夢のようなピアノ・リサイタル、とりわけ、シューマンの交響的練習曲の素晴らしさと言ったら!!@トッパンホール 2024.3.13

メルニコフのピアノ・リサイタル・・・聴こうか、どうか、躊躇しているうちにチケット発売日が過ぎてしまいました。しばらくして、トッパンホールのチラシが送られてきて、メルニコフのリサイタルに関する記事が載っていて、このリサイタルのプログラムは師リヒテルをオマージュしたものだということです。確かにプロコフィエフの束の間の幻影が印象的なプログラムです。俄かに聴きたくなってきました。空いている席をチェックすると、中央前列は埋まっています。そこそこの席がまだ空いているので、ポチっとチケットを購入しました。これが大正解でした。近年稀にみるような素晴らしいピアノ・リサイタルでした。とりわけ、前半のベートーヴェンとシューマンの素晴らしかったこと。実に考え抜かれた演奏です。楽譜から、こんなに充実した音楽を取り出したのは、メルニコフの才能と努力の成果で、それを実際、リサイタルで弾いてみせてくれたのは、よほどの緊張感と集中力のなせる業でしょう。もう、saraiは椅子から転げ落ちるほど、その素晴らしさ、ユニークさに驚愕しました。

最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番は有名な告別ソナタの後に書かれた曲で第1楽章の壮大さ、第2楽章のシューベルトとみまごうばかりの歌謡性はそれまでの作品になかったものです。ある意味、ここから、シューベルトに始まるロマン派の扉が開かれたと言える重要な作品です。メルニコフはその作品の価値を知らしめるべく、素晴らしい演奏を繰り広げました。第1楽章で深く感銘を受けましたが、第2楽章のロマンには魅了されるばかり。ここでこの作品を取り上げた意図がよく分かりました。そうそう、第1楽章の終わりは極めて弱音で閉じましたが、それは第2楽章へのつなぎという意味で素晴らしかったんです。

そのベートーヴェンのロマンはその次のシューマンの交響的練習曲に弾き継がれます。よく考えた構成です。
最初のテーマは驚くほど荘重な調子で始まります。そして、目くるめくようなシューマンワールドが展開されていきます。実はちゃんとプログラムを見ていなかったので、どこに遺作の変奏曲が挟まれるのか、分かっていませんでした。ただ、変奏曲ⅣとⅤが挟まれることはプログラムの解説で分かっていました。すると、練習曲Ⅶの後に遺作の変奏曲が弾かれ始めます。練習曲は強大な音で堂々たる演奏でしたが、無論、遺作の変奏曲はぐっと抑えて、実に抒情的に弾かれます。遺作の変奏曲5曲の中でも、今日弾かれるⅣとⅤは名曲中の名曲。ダイナミックな練習曲の谷間に美しいロマンの花が咲いたような情景が広がります。まさに感極まれりという思いです。また、練習曲Ⅷに戻り、強靭な音楽が展開され、練習曲Ⅺでは嬰ト短調に転調して、淡いロマンになり、終曲では長調に転じて、祝祭的とも言える雰囲気に盛り上がります。そして、最後はメルニコフが猛烈な勢いでピアノを叩き、まるで師リヒテルの爆演に迫るような音楽に高潮させます。まったくもって素晴らしいシューマンでした。こんなシューマンが聴けるとは想像だにしていませんでした。
休憩後、後半は期待していたプロコフィエフの束の間の幻影。これは期待が大き過ぎたのか、はたまた、予習で凄まじいリヒテルのカーネギーホールのライヴを聴いたせいか、もうひとつです。もっと思い切った演奏、クリアーな演奏を期待していました。悪くはありませんが、さきほどのシューマンのレベルではありません。
続くラフマニノフのショパンの主題による変奏曲も同様の印象です。

メルニコフはれっきとしたロシア人ですが、その感性はもう、ドイツ・オーストリア音楽にはまりこんでいるようです。同世代のロシア人のルガンスキーのラフマニノフには及ばない印象です。でも、モーツァルトも含め、ドイツ・オーストリア音楽をこれだけ弾ける人はいませんから、それはそれでいいのかもしれません。実に充実したピアノ・リサイタルを楽しみました。


今日のプログラムは以下です。


   ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ
  
  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 Op.90
  シューマン:交響的練習曲 Op.13《1852年版(ただし、練習曲ⅢとⅨは取り除かれていない)》
   Thema - Andante:嬰ハ短調(以下同様)
   Etüde I - Un poco più vivo (Variation I)
   Etüde II - Andante (Variation II)
   Etüde III - Vivace
   Etüde IV - Allegro marcato (Variation III)
   Etüde V - Scherzando (Variation IV)
   Etüde VI - Agitato (Variation V)
   Etüde VII - Allegro molto (Variation VI)
   Variation IV - Allegretto 遺作
   Variation V - Moderato 遺作
   Etüde VIII - Sempre marcatissimo (Variation VII)
   Etüde IX - Presto possibile
   Etüde X - Allegro con energia (Variation VIII)
   Etüde XI (Variation IX) - Andante espressivo :嬰ト短調
   Etüde XII (Finale) - Allegro brillante :変ニ長調(同主長調の異名同音)

   《休憩》

  プロコフィエフ:束の間の幻影 Op.22
  ラフマニノフ:ショパンの主題による変奏曲 Op.22

   《アンコール》
   ラフマニノフ:13の前奏曲 Op.32より 第5曲 ト長調
   ラフマニノフ:13の前奏曲 Op.32より 第10曲 ロ短調
   スクリャービン:2つの詩曲 Op.32より 第1曲 嬰ヘ長調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番は以下の演奏を聴きました。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。


2曲目のシューマンの交響的練習曲は以下の演奏を聴きました。

 伊藤恵 2000年1月12-14日 ベルフォーレ(坂東市民音楽ホール) セッション録音

伊藤恵はシューマニア・シリーズ13枚のCDで素晴らしいシューマンのピアノ独奏曲の全曲を聴かせてくれます。この曲はまあ、普通の出来でしょうか。


3曲目のプロコフィエフの束の間の幻影は以下の演奏を聴きました。

 アレクサンドル・メルニコフ 1996年1月24,25日 田園ホール,エローラ,埼玉 セッション録音
 スヴャトスラフ・リヒテル 1960年12月26日、ニューヨーク、カーネギー・ホール ライヴ録音
  第3曲:アレグレット/第4曲:アニマート/第5曲:モルト・ジョコーゾ/第6曲:コン・エレガンツァ/
  第8曲:コモド/第9曲:アレグレット・トランクイロ/
  第11曲:コン・ヴィヴィチタ/第14曲:フェローチェ/第15曲:インクイート/第18曲:コン・ウナ・ドルチェ・レンテッツァ
 上原彩子/プロコフィエフ作品集 2007年10月 ロンドン、アビー・ロード・スタジオ セッション録音

メルニコフはもうひとつ冴えない演奏。リヒテルは伝説的とも言える神がかった演奏。カーネギーホールに詰め掛けた聴衆の熱狂が感じられます。まあ、ありえないような演奏ですからね。上原彩子は2002年にチャイコフスキーコンクールで優勝した5年後、日本人として初めてEMIクラシックスと専属契約を結び、あのアビーロードスタジオでロシアンプログラムを録音。リヒテルの熱狂こそありませんが優るとも劣らない凄まじい演奏を聴かせてくれます。この勢いで世界制覇できなかったのは何故でしょう。


4曲目のラフマニノフのショパンの主題による変奏曲は以下の演奏を聴きました。

 ニコライ・ルガンスキー 2004年6月 セッション録音

ルガンスキーのラフマニノフは素晴らしい。この曲も圧倒的な演奏です。



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ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》 至上の愛と憧れを素晴らしく表出@新国立劇場 2024.3.14

時間を間違えて、2時間も早く行ってしまいました。ぼけたかな・・・。

その2時間も含め、実に長大なオペラになりました。まあ、本編のみだと4時間ほどです。家を12時前に出て、帰ってきたのは12時少し前。結局、12時間ほど費やしたことになります。その時間が惜しくないほど、素晴らしい出来のオペラでした。

何と言っても、ワーグナーの音楽が何とも素晴らしい。saraiにとって、すべてのオペラの中で5本の指に入ります。ワーグナーでは、パルジファルと並ぶ傑作だと思っています。子供の頃は意味も分からず、トリスタントイゾルデとどこで切るか分からず発音していました(トリスタント・イゾルデという一人の人の名前と思っていました)。何か未知の魔力を持った高尚な音楽だと恐れていました。
そして、いよいよ、初めて、生の舞台に接したのはsaraiが40代になってからです。1993年のベルリン・ドイツ・オペラの日本公演。トリスタンをルネ・コロが歌うというので、これは聴いておかねばと思い、大枚をはたいて、聴きました。日本でこのオペラが上演されたのは、これが6回目だったそうです。日本では滅多に聴けないオペラだったわけです。無論、字幕付きとは言え、まったく、音楽内容を理解していなかったと思います。バイロイト音楽祭の公演を記録したレーザー・ディスクでは予習していましたが、そんなに聴き込んでいませんでした。
そして、何回か聴いた後、6年前の2018年、夢だったバイロイト音楽祭でこのオペラを聴き、そのあまりの素晴らしさに大感動しました。ティーレマンの指揮でした。
 バイロイト_トリスタンとイゾルデ

今日の《トリスタンとイゾルデ》はそのバイロイト音楽祭以来です。無論、バイロイトには及びませんが、ほぼ、同程度のレベルで鑑賞できました。一番よかったのは、都響の素晴らしい音響、そして、シンプルな舞台演出です。
第1幕の前奏曲、のっけから響いてくるトリスタン和音にぞくぞくします。とても美しくロマンに満ちた前奏曲。目をつぶって聴いていました。寝落ちなしです。
【イゾルデ】役のリエネ・キンチャ、とても素晴らしい。上をみたらきりがありませんが、鑑賞上、これ以上ない歌唱を聴かせてくれました。オーケストラとイゾルデがよければ、sarai的にこのオペラは問題なしです。
その上、【ブランゲーネ】の藤村実穂子の声の響きの美しいこと、時々、イゾルデとブランゲーネの区別がつかなくなります。藤村実穂子のブランゲーネは20年以上前にバイエルン国立歌劇場で聴いていますが、その時の記憶では、これほどの歌唱ではなかったような気がします。今や最高のブランゲーネ歌いではないでしょうか。
【トリスタン】役のゾルターン・ニャリもなかなかの美声で見事なトリスタンを聴かせてくれました。

第1幕の愛の媚薬を飲んで恋に落ちたトリスタンとイゾルデの声なしでオーケストラが前奏曲を響かすところの素晴らしさ!

第2幕のトリスタンとイゾルデの官能の愛の音楽のロマンの美しいこと!

第3幕のイゾルデの愛の死には参りました・・・これ以上の音楽があるでしょうか!

今日はとても満足です。
今月はまた、ヤノフスキでこの《トリスタンとイゾルデ》を聴きます。ワクワクです。


今日のキャストは以下です。

  リヒャルト・ワーグナー
   トリスタンとイゾルデ
    全3幕

  【指 揮】大野和士
  【演 出】デイヴィッド・マクヴィカー
  【美術・衣裳】ロバート・ジョーンズ
  【照 明】ポール・コンスタブル
  【振 付】アンドリュー・ジョージ
  【再演演出】三浦安浩
  【舞台監督】須藤清香
  【合唱指揮】三澤洋史
  【合 唱】新国立劇場合唱団
  【管弦楽】東京都交響楽団 コンサートマスター:矢部達哉
  
  【トリスタン】ゾルターン・ニャリ
  【マルケ王】ヴィルヘルム・シュヴィングハマー
  【イゾルデ】リエネ・キンチャ
  【クルヴェナール】エギルス・シリンス
  【メロート】秋谷直之
  【ブランゲーネ】藤村実穂子
  【牧童】青地英幸
  【舵取り】駒田敏章
  【若い船乗りの声】村上公太
  

最後に予習について、まとめておきます。

 ・ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲
 
 イゾルデ:キルステン・フラグスタート
 トリスタン:ルートヴィッヒ・ズートハウス
 ブランゲーネ:ブランシュ・シーボム
 マルケ王:ヨーゼフ・グラインドル
 クルヴェナール:ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ
 メロート:エドガー・エヴァンス
 牧童:ルドルフ・ショック
 水夫:ルドルフ・ショック
 舵手:ローデリック・デイヴィーズ
 コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:ダグラス・ロビンソン)
 フィルハーモニア管弦楽団
 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

 録音:1952年6月10-21日、23日、ロンドン、キングズウェイ・ホール(モノラル)
  
フルトヴェングラー、畢生の名演。深く感動しました。何回も聴いていますけどね。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会は上々の開始@東京文化会館小ホール 2024.3.15

今日から7回にわたって、ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲を聴きます。

第1番から順番に演奏するのではなく、毎回、初期、中期を織り交ぜて演奏します。後期は第30番・第31番・第32番は最後にまとめて演奏します。第28番と第29番は初期、中期と一緒に演奏します。ですから、毎回、初期から中期までのソナタの変遷を味わうことができる構成になっています。

今日は比較的、初期に軸足を置いたプログラムになっています。中期はその時期の最初の2曲、作品27が演奏されます。最後に演奏される第14番 嬰ハ短調 op.27-2《月光》が注目されます。

ブッフビンダーもいつしか歳を重ね、現在、77歳という高齢ですが、ピアニストは80歳を超えてから味わいを深めることが多いので、まだまだ、これからでしょう。しかし、一般的にピアニストは歳とともに曲の解釈は同じでも、テンポが遅くなります。まあ、そこに味わいを深める場合が多いのですが、今日の演奏はどうでしょうね。

ステージに登場したブッフビンダーはしっかりした足取りで堂々たる体格です。saraiが以前聴いたのは、2016年のザルツブルク音楽祭のピアノ・リサイタルですから、8年前です。まだ、60代のブッフビンダーは圧巻のベートーヴェンを聴かせてくれました。今日も演奏するピアノ・ソナタ第10番と第23番《アパッショナート》が素晴らしい演奏でした。

 ブッフビンダー@ザルツブルク音楽祭
 
そのときに比べると、やや、体の動作が重い感じですが、第1番のソナタを弾き始めると、実に颯爽とした演奏で、テンポも遅くありません。指回りも完璧で見事な演奏です。

次は第10番、期待の曲目です。これは弱音の表現に重きを置いた演奏で、ちょっと物足りない感じ。まあ、これがウィーン風の演奏なのでしょう。

前半最後は第13番。中期の最初の曲。第3楽章の抒情味あふれた演奏に続き、第4楽章は圧倒的な演奏で見事でした。

ところで、ピアノはベーゼンドルファーだったのでしょうか。近くに寄ってみると、スタインウェイでした。なるほどね。

休憩後、後半は第4番。前半と打って変わって、とても力強い演奏です。第2楽章は緩徐楽章ですから、力を抜いた連綿たる演奏。第3楽章は素早いテンポのスケルツォ的な演奏。第4楽章はロンドで勢いのある演奏。さすがに初期の名作です。

最後は第14番《月光》。第1楽章はまさにルツェルンに降り注ぐ月の光のごとく、美しい演奏です。ブッフビンダーは右手の打鍵、中音域から高音域の響きが実に美しいです。これが彼の最大の美質ですね。圧巻だったのはやはり、第3楽章。熱い熱情が燃え上がります。まさに中期の到来を告げるような音楽がホールに響き渡りました。納得の演奏です。

明日は何と言っても、テンペストが楽しみです。どんな演奏を聴かせてくれるでしょう。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 I

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第1番 ヘ短調 op.2-1
  第10番 ト長調 op.14-2
  第13番 変ホ長調 op.27-1

   《休憩》

  第4番 変ホ長調 op.7
  第14番 嬰ハ短調 op.27-2《月光》

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 op.31-3 - II. Scherzo: Allegretto vivace


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会2回目 すべての曲が絶品!@東京文化会館小ホール 2024.3.16

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回のうち、2回目です。

前回の1回目は比較的、初期に軸足を置いたプログラムでしたが、上々の出来でした。しかし、今日は最初の曲から、脂が乗り切り、前回とは比較にならないほどのレベルの演奏で、これでこそ、ブッフビンダーだという素晴らしい演奏の連続に興奮を禁じ得ません。saraiが以前聴いた2016年のザルツブルク音楽祭のピアノ・リサイタルでの演奏を思い出しました。一気に実力を開放っていう感じです。次回からもこのレベルでの演奏が続くことを確信しています。


最初は第5番のソナタです。ベートーヴェンの運命の調、ハ短調のソナタです。第1楽章は上行音型が印象的に響き、圧巻の演奏です。まさに心に響いてきます。ブッフビンダーはのっけから、絶好調の演奏を聴かせてくれます。第2楽章のアダージョ・モルトは抒情的な調べが優しく響きます。第3楽章はまた、熱く激しく迫ってきます。初期では出色の演奏。これだけ弾いてくれれば、初期も中期も関係ありません。

次は第12番のソナタです。初期の最後を飾る曲ですが、ベートーヴェンは高きを目指し、第1楽章をソナタ形式でなく、変奏曲で始めます。後期のソナタを先取りした感もありますが、歌謡性にあふれ、なおかつ、ベートーヴェンらしい凛とした格調の高さがあります。それをブッフビンダーは最高の表現で我々を魅了してくれます。後期であればもっと長大な変奏が続くところですが、ほどほどで終わります。第2楽章はスケルツォで、ブッフビンダーのきびきびした表現が光ります。第3楽章は葬送行進曲。「ある英雄の死を悼む葬送行進曲」との副題がつけられており、そのことから、このソナタは《葬送》とも通称されています。付点のリズムの重々しい主題が繰り返し奏でられ、やがて、頂点に達します。トリオはトレモロが印象的なものです。再び、葬送行進曲の主題に復帰して、最後は最弱音で楽章を閉じます。素晴らしい演奏でした。なお、ベートーヴェンの葬儀ではこの葬送行進曲の管弦楽版が奏されたそうです。第4楽章は無窮動的なロンドで、構成としては意外性があります。とりとめのないような音楽ですが、ブッフビンダーは華々しく演奏します。勢いのある音楽は最後はピアニッシモで静かに閉じます。これも素晴らしい演奏でした。

前半最後は第22番。中期の傑作、《ワルトシュタイン》と《アパッショナータ》に挟まれた2楽章構成の小規模な作品です。ソナタ形式の楽章も持たない風変わりな作品ですが、いわゆる、傑作の森の時期に書かれました。まあ、謎のような作品で一般的に評価も低い作品です。第1楽章はメヌエットのテンポでロンドのような音楽が展開されます。第2楽章は英雄的なフレーズも含みますが、無窮動的に音楽は終始します。この激しい楽章は中期の特徴を表しています。ブッフビンダーの力強いタッチが冴え渡りました。


休憩後、後半は第17番《テンペスト》。「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた時期に作曲された作品31の3曲のうちの1曲で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でも人気の高い曲です。かく言うsaraiも大好きで、後期を除けば、一番好きな作品です。saraiが聴いたザルツブルク音楽祭のリサイタルでは、アンコールとして、この《テンペスト》の第3楽章が演奏されました。とても素晴らしい演奏でした。ブッフビンダーの演奏で《テンペスト》の全3楽章を聴くのは初めてで楽しみにしていました。
第1楽章は冒頭主題が幽玄に始まり、すぐに意思力に満ちた上行音型の主題がポジティブに奏でられます。ブッフビンダーの明確な打鍵と美しい響きで魅惑的な楽章が演奏されて、気持ちが高揚します。最後は弱音で曲を閉じます。第2楽章は美しいアダージョが瞑想的に歌われます。まるでベートーヴェンはピアノの詩人か哲学者という風情です。ブッフビンダーのピアノは優しく歌います。第3楽章はとても有名な楽章ですね。とりわけ、第1主題のメロディーがタラタラータラタラータラタラータラーと魅惑的に弱音で響きます。この主題が繰り返し現れて、曲は大きな盛り上がりを見せます。うーん、いいね。そして、そのまま、静謐な雰囲気で曲を閉じます。見事な演奏でした。

最後は第18番。《テンペスト》に続く作品31の3番目の曲です。ベートーヴェンが新しい創作意欲に燃えて、創意工夫をした作品で、はっきりと初期の作品とは一線を画する複雑な音楽に仕上がっています。第1楽章はちょっと捉えどころのないような音楽ですが、調性が定まらず、リタルダンドの多用など新しい試みが横溢しています。第2楽章は緩徐楽章ではなく、スケルツォ。スタッカートの音型が支配的で2拍子の音楽はごつごつした雰囲気です。第3楽章のメヌエットは一転して優美な雰囲気で緩徐的に感じてしまいます。楽章ごとの対比が目立ちます。第4楽章はソナタ形式の第1主題と第2主題の間に狩りを連想させる楽想が挿入され、この楽想はこの後も頻繁に顔を出します。そのため、このソナタは『狩』の愛称で呼ばれることもあります。楽章全体は左手が刻むタランテラの伴奏音型に支配され、展開部では両手でこのタランテラの伴奏音型を刻みながら、音量を下げていきます。ところが唐突にフォルテで再現部が始まります。コーダは今度は右手でタランテラの伴奏音型が刻まれながら、頂点を形作ります。最後は第1主題をユニゾンで力強く奏でて曲を閉じます。圧巻のフィナーレです。《テンペスト》に比べても大変、聴き応えのある音楽をブッフビンダーは素晴らしく演奏しました。

明日は、中期の終わりの第26番《告別》ソナタ、後期への架け橋となる第28番のソナタが楽しみです。ブッフビンダーはますますレベルの高い演奏を聴かせてくれそうです。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 II

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第5番 ハ短調 op.10-1
  第12番 変イ長調 op.26
  第22番 へ長調 op.54

   《休憩》

  第17番 ニ短調 op.31-2《テンペスト》
  第18番 変ホ長調 op.31-3

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第6番 へ長調 op.10-2 より第3楽章 Presto


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会3回目 ブッフビンダーは絶好調!@東京文化会館小ホール 2024.3.17

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回のうち、3回目です。

前回までは1回目から2回目に目を瞠るようなジャンプアップした演奏に驚嘆しましたが、今回は曲目がさらに後期寄りになったこともあり、ブッフビンダーの真の実力を堪能することのできる演奏が繰り広げられました。ブッフビンダーは本当にベートーヴェンを弾かせると非の打ちどころのないような音楽を聴かせてくれます。まず、指回りの確かさでかなりの高速演奏を聴かせてくれます。そして、何と言ってもピアノの響きの美しさが例えようもないものです。とりわけ、右手の奏でる高音域の響きの美しさと言ったら、ただ魅了されるだけです。無論、ベートーヴェンの音楽表現は曲目が後期寄りになるほど、その素晴らしさが実感できます。壮麗さや深い音楽表現など、ただ、納得して聴き入るばかりです。


最初は第3番のソナタです。初期のソナタですが、若きベートーヴェンの意欲に満ちた意思の力が充満する作品です。ブッフビンダーは鍵盤を上行、下行の音階で駆け巡りながら、ピアノ・ソナタとしては実に壮麗な音楽を築き上げます。ヴィルトゥオーゾ的ですが、品位を保ちながら、弾いていきます。華麗とも言える第1楽章に続き、第2楽章は優美なアダージオが響きます。諧謔的なスケルツォの第3楽章を経て、第4楽章は華やかに展開していき、ブッフビンダーの見事な技巧に魅了されつつ、堂々たるコーダで曲を締めくくります。初期とは思えない素晴らしい音楽を味わわせてくれました。

次は第19番のソナタです。番号は出版順に付けられたもので、実際に作曲されたのは、今演奏された第3番のソナタの後で、第20番とともにやさしいソナタとタイトルが与えられています。2楽章構成の短い作品ですが、中身は濃いものです。第1楽章はト短調の少し翳のある主題で始まり、格調の高い音楽になっています。ブッフビンダーは深さのある音楽表現で魅了してくれます。第2楽章は一転して、スタッカートの付けられた元気のよい音楽が展開され、爽やかに音楽が駆け抜けます。

前半最後は第26番《告別》です。中期の終わりの有名な作品です。冒頭の動機の3音Lebewohl(さようなら)が磨き抜かれた美しい音で奏でられます。この動機は以後、様々な作曲家が引用することになります。特にマーラーが交響曲第9番や大地の歌でこの世に別れを告げる音楽に引用しています。saraiはこの動機を聴くと様々な思いが脳裏に交錯します。
第1楽章の序奏の後、主部に入って、高邁な思想のような演奏になります。第2楽章は深い味わいの歌、後期ソナタのアリエッタにそのまま続いていくような錯覚を覚えます。もう中期の終盤で後期に足を踏み入れたような音楽です。そして、第3楽章は喜びにあふれた明るい音楽が横溢します。こういう有名な作品もブッフビンダーは格調高く演奏してくれます。


休憩後、後半は第7番のソナタです。初期のソナタですが、先ほどの第3番のソナタと同様に大きな構成の作品です。たっぷりした聴き応え。特に第2楽章のメストと題された哀し気な音楽はベートーヴェンの中でも稀有なもので、ある意味、後期ソナタに続くものかもしれません。その哀感を中心に癒しや憂鬱さの音楽が第4楽章まで続く印象深いものです。ブッフビンダーの音楽表現が深さを増します。

最後は第28番。中期の最後の作品で、もう、ほとんど、後期ソナタに足がかかっています。第1楽章は歌謡性のある音楽が優美に優しく響きます。第2楽章は付点のリズムのついた行進曲風の勢いのある音楽です。シューマンを予感させる音楽と言われていますが、なるほどね。第3楽章は寂漠としたゆったりとした音楽が序奏のように続き、第1楽章の主題が回想された後、主部とも言える溌剌とした音楽が展開されます。そして、対位法的な音楽が始まりますが、純然たるフーガではないそうです。ただ、素人の耳には後期ソナタのフーガを先取りしたもののように聴こえます。実に壮麗な音楽です。最後はいったん静まった後、強烈なフォルティシモで全曲を締めくくります。ブッフビンダーの渾身の演奏でした。

アンコールは何と悲愴ソナタ。見事な演奏でした。本編での演奏が楽しみです。


明後日は、《ハンマークラヴィーア》が最後に演奏されます。ブッフビンダーの渾身の演奏が聴けるでしょう。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 III

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第3番 ハ長調 op.2-3
  第19番 ト短調 op.49-1
  第26番 変ホ長調 op.81a《告別》

   《休憩》

  第7番 ニ長調 op.10-3
  第28番 イ長調 op.101

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 op.13《悲愴》 より 第3楽章 Rondo: Allegro


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会4回目 最初の高みに到達@東京文化会館小ホール 2024.3.19

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回のうち、4回目です。

前回まではどんどん1回目から2回目、そして、3回目へと演奏がレベルアップしていきましたが、今回は遂に後期ソナタの大曲《ハンマークラヴィア》に到達し、いったん、頂上を極めた感があります。ブッフビンダーはまさにベートーヴェン弾きの最後の生き残りのような巨匠です。高音域の響きの美しさを聴いていると、ため息の出る思いです。天国的な気持ちにさせてくれます。これ以上、何を望むものがあるでしょう。


最初は第6番のソナタです。もう、初期のソナタも残り少なくなってきました。このソナタも初期らしく、明快な音楽です。第1楽章はターンが印象的な明るい曲です。ブッフビンダーは弱音の美しさをいかした軽快な演奏を聴かせてくれます。スケルツォ的な第2楽章を経て、第3楽章は対位法を意識させるような音楽が展開されて、聴き応えのある楽章です。ブッフビンダーは颯爽と駆け抜けていきます。

次は第24番のソナタです。アパッショナータを書いてから4年ほど経過した時期に作曲され、伯爵令嬢テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックに捧げられたため本作は『テレーゼ』と通称されることもあります。その名前の通り、優美な雰囲気で始まりますが、さすがに中期のソナタらしく、次第に熱を帯びて、圧巻の演奏になります。2楽章構成の簡潔な作品をブッフビンダーはきっちりと弾き抜きます。

前半最後は第16番のソナタです。ハイリゲンシュタットの遺書を書いている苦しい時期に、新しいものを生み出そうという決意のもと、書かれた中期の作品31の3つのソナタの最初の作品です。次に書かれるのは《テンペスト》で、この作品も中期の傑作につながるような作品です。
第1楽章は冒頭のアウフタクトからの主題という新鮮な魅力に満ちています。ブッフビンダーもここからエンジン全開という感じで聴き応えがあります。第2楽章は歌謡性の高い音楽が抒情的に弾かれます。そして、第3楽章はロンドが明るく爽やかに進行し、最後は静かに曲を閉じます。


休憩後、第29番 op.106《ハンマークラヴィア》です。いよいよ、このチクルスでも後期作品の登場です。それにこの作品はベートーヴェンのソナタの中で一番の大曲で、演奏技巧も長さも特別なものです。第1楽章から壮大な音楽が始まります。ブッフビンダー、入魂の見事な演奏です。テンポはやや早め。第2楽章のスケルツォを経て、第3楽章は実に深い内容の緩徐楽章で、ブッフビンダーのピアノの響きの美しさに心を奪われます。高音域の美しさは天国的です。最後は安らぎにみちて、この長い楽章を閉じます。第4楽章は幽玄に開始されますが、すぐにフーガが形成されて、圧倒的な音楽が高まっていきます。そして、圧巻のコーダ。素晴らしい演奏でした。


明日は、《アパッショナータ》が最後に演奏されます。このチクルス、最大の山になるでしょう。ブッフビンダーの渾身の演奏を期待しましょう。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 IV

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第6番 へ長調 op.10-2
  第24番 嬰ヘ長調 op.78
  第16番 ト長調 op.31-1

   《休憩》

  第29番 変ロ長調 op.106《ハンマークラヴィア》

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調 op.2-3 より 第4楽章 Allegro assai


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会5回目 チクルス最高の頂点、燃え上がるようなアパッショナータ@東京文化会館小ホール 2024.3.20

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回のうち、5回目です。

もう気が付けば、これが5回目です。前回まではどんどん上り詰めて、遂に後期ソナタの大曲《ハンマークラヴィア》で最高の演奏。今回はブッフビンダーはベートーヴェンの中期ソナタの最高傑作《アパッショナータ》を美しく壮大に演奏してくれました。今回のチクルスの華となるでしょう。無論、最後の回で弾かれる後期3ソナタは別次元の音楽ですが、古典派のソナタは今日の演奏が極限のものであると疑いません。それにしても依然として衰えを知らない巨匠としてのブッフビンダーの颯爽として、風格のある演奏をここ日本で聴くことができて、幸せです。


今回の最初の曲は第2番のソナタです。初期のソナタを代表するような明快さを湛えた作品です。今回のチクルスでの最後の初期らしいソナタです。第1楽章は決然とした第1主題を中心にした明快な構造の作品でウィーンに出てきた若きベートーヴェンの自信と意気込みが伝わってきます。ブッフビンダーはこの曲でも弱音の美しさをいかした軽快な演奏を聴かせてくれます。アパッショナートと指示のある緩徐的な第2楽章はきっちりしたリズムを低音で刻み、ゆったりした歩みを想像させます。第3楽章はスケルツォの軽快な楽章です。第4楽章は優美さを湛えたロンド。ブッフビンダーの美しいピアノの響きが光る演奏でした。

次は第9番のソナタです。初期のソナタが簡潔な形で結実した本作はベートーヴェンの着実な進歩が現れています。第1楽章は爽やかに流れるような音楽が心地よく響きます。和声の美しさを堪能させてくれながら、最後は最弱音で曲を閉じます。もう初期の最初の頃に見られたような衒いはそこになく、確たる自信に裏付けられた音楽になっています。第2楽章はアレグレットで自然な音楽が駆け抜けます。第3楽章は勢いのあるロンド。溌剌とした音楽が歯切れよく奏でられます。ここでもブッフビンダーの美しい音色の演奏が光ります。

前半最後は第15番《田園》です。第14番《月光》と同時期に書かれた作品ですが、幻想的な作風で革新的に書かれた《月光》と異なり、形式的には古典的な形式を踏襲した作品になっています。次に飛躍するのは第17番《テンペスト》を待つことになりますが、本作でも中期の作品として、新しい音響の追求がなされています。
第1楽章は穏やかな自然の風景を感じさせる音楽が流れゆき、まさに田園風景を感じさせます。第2楽章は優美で歌謡性を感じさせる音楽がゆったりと弾かれます。この楽章はツェルニーによると、ベートーヴェンのお気に入りだったそうで、飽きることなく弾いていたそうです。なるほどね。第3楽章のスケルツォを経て、第4楽章はロンドで、ここでも田園情緒に満たされた音楽が流れます。ブッフビンダーの自然な演奏はこの音楽の真髄をゆくものです。


休憩後、第27番のソナタです。この頃、ベートーヴェンはスランプ期にはいっており、《告別》ソナタを書いて以来、4年の歳月が流れていました。もはや、中期のソナタは書き終えていた時期で、最後の後期に向けての準備中とも言える時期にさしかかっていました。古典派のソナタを確立した後、ソナタ形式から自由になろうという意思が芽生え、それはロマン派への志向ともいうべき歌謡性へのシフトでした。この作品はそういう意味で重要な意味がありますが、無論、ロマン派のソナタを確立するのはシューベルトの天才を待つことになります。
2楽章構成のこのソナタは第1楽章は強い打鍵による主和音に始まる明朗で情熱的な音楽が展開されます。最後は静かに曲を閉じます。第2楽章はロンドソナタ形式で、旋律的で歌うような音楽が展開されます。まるでシューベルト。無論、シューベルトがこのベートーヴェンのロマン派的傾向を継承したわけですけどね。ブッフビンダーの右手の美しい響きがこの曲にぴったりです。

最後はいよいよ、第23番 《アパッショナータ》です。ベートーヴェンの創作期は実り多い中期、いわゆる《傑作の森》に入ります。交響曲では第3番(英雄)、ヴァイオリンソナタでは第9番(クロイツェル)、ピアノソナタでは第21番(ワルトシュタイン)といった傑作が次々生み出され、ベートーヴェンの作風は大きく前進していきます。本作は歌劇《フィデリオ》、交響曲第5番《運命》と同時期に手がけられました。ベートーヴェンの偉大さが横溢する傑作です。これに匹敵するソナタは第21番(ワルトシュタイン)くらいでしょう。後期ソナタは別格としてですが・・・。
いやはや、この演奏について、何も言う言葉はありません。ブッフビンダーはベートーヴェンの偉大さを証明するような演奏をしたと言えば、十分でしょう。美しく、壮大にベートーヴェンの高邁な精神が表現されました。これを聴くためにベートーヴェンのピアノ・ソナタ全作を聴いてきたという思いが胸に去来します。ブッフビンダーもこの曲を弾くためにベートーヴェンのソナタを弾く修行を続けてきたのではないのでしょうか。難しい指回りを高齢のブッフビンダーが高速に実現している姿は神々しいものです。これが聴けただけで、今回のチクルスを聴いた甲斐がありました。

すると、アンコールで何と《月光》の第3楽章が演奏されます。今日は休日で聴衆席は満席。凄いサービスですね。《アパッショナータ》に劣らないような素晴らしい響きの音楽が演奏されます。初日の演奏を上回るような素晴らしいものでした。今日だけの聴衆は《アパッショナータ》と一部とはいえ《月光》まで聴けた幸運な聴衆ですね。


明日は、《悲愴》と《ワルトシュタイン》が演奏されます。今日の演奏に並ぶような演奏が聴けるでしょうか。ブッフビンダーの渾身の演奏が続きます。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 V

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第2番 イ長調 op.2-2
  第9番 ホ長調 op.14-1
  第15番 ニ長調 op.28《田園》

   《休憩》

  第27番 ホ短調 op.90
  第23番 ヘ短調 op.57《アパッショナータ(熱情)》

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2《月光》より 第3楽章 Prestissimo


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会6回目 高邁で凛としたワルトシュタイン@東京文化会館小ホール 2024.3.21

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回のうち、6回目です。

今回がこれが6回目となり、最後の回で最後に弾かれる後期3ソナタ以外はすべて弾かれました。中期の傑作《ワルトシュタイン》も意外にさらっと演奏されたという感じです。もはや、このレベルの演奏は当たり前という感覚になりました。前回の中期ソナタの最高傑作《アパッショナータ》ほどの壮大な演奏ではありませんでしたが、とても高レベルの素晴らしい演奏に魅了されました。今回もブッフビンダーが高齢であることは感じさせない高速演奏に驚愕しました。


今回の最初の曲は第11番のソナタです。初期のソナタの最後を飾るような作品ですが、これは実に古典的な響きが第1楽章、第2楽章と続きます。第3楽章に至って、実に典雅なメヌエットが美しく奏でられます。続く第4楽章も爽やかなロンドが耳を楽しませてくれます。後半の2楽章はとても好感を持てますが、ベートーヴェンが自信を持っていたというほどの作品には残念ながら思えません。前作の第10番までの発展がこの作品で後退したようにさえ思えます。ブッフビンダーも心なしか、指慣らしに弾いている(第1楽章、第2楽章)ように感じられました。

次は第20番のソナタです。番号は中期の番号ですが、実際に書かれたのは第19番と一緒に第4番のソナタの前で純然たる初期のソナタです。2楽章制の簡素な形式からしばしばソナチネとされることもあります。しかし、音楽内容的にはとても優れたものです。第1楽章はソナタ形式の美しくまとまった和声が響きます。小気味よく音楽が進行して、きっちりと曲を閉じます。第2楽章は付点のリズムが心地よく刻まれる有名なメヌエットの旋律で始まります。この旋律は「ウィーンの誰もが知る曲」と言っていいほどだったという「七重奏曲」(Op20)の第3楽章にも転用された旋律で、ベートーヴェンもお気に入りだったそうです。ブッフビンダーも美しい音色で気持ちよさそうに弾いていました。

前半最後は第8番《悲愴》です。第14番《月光》と並んで、一番有名な作品ですね。ともかく、ブッフビンダーの素晴らしい演奏で3つの楽章をたっぷり楽しみました。結構、素早い指使いのパッセージもありますが、ブッフビンダーはものともせずにインテンポで弾き抜きます。子供の頃からずっと聴き続けている曲なので、隅々まで知り抜いていますが、何の違和感もなく、するっと耳に入ってくるようなパーフェクトな演奏でした。とりわけ、第3楽章の素晴らしさといったら・・・。


休憩後、第25番のソナタです。ベートーヴェン自身はソナタとは呼ばずにやさしいソナタと言っており、実際、ソナチネとも呼ばれている小品です。
3楽章構成のこのソナタは第1楽章は軽快な音楽が流れていきます。展開部では、手の交差によるパッセージでカッコウの声が繰り返されます。このソナタはそのことから、《かっこう》と呼ばれることもあります。第2楽章はアンダンテで舟歌のように歌謡性の高い音楽が流れます。第3楽章は軽快なロンドですが、さすがにこの時期、小品とは言え、破格の音楽が展開されます。ブッフビンダーはこのソナタを颯爽と弾き抜きます。

最後はいよいよ、第21番 《ワルトシュタイン》です。ベートーヴェンは《傑作の森》という時期とは言え、難聴に苦しんでいました。そこにエラール社から新しいピアノが贈られました。最新の性能のピアノの音色は聞こえにくくなっていたベートーヴェンの耳を刺激するのに十分で、「これまでになく輝かしく壮麗」と評されるピアノソナタが生み出されることになりました。この曲によって、ベートーヴェンはピアノ・ソナタに新しい地平を拓くことになり、《アパッショナータ》も後の後期ソナタもこの曲なしにはありえなかったでしょう。
いやはや、この演奏も素晴らしかった。第1楽章の和音連打の壮烈さ、第3楽章の深い味わいの中、息継ぐ暇のないような音楽の連鎖。この曲でベートーヴェンは頂に達しました。交響曲で第3番《英雄》で交響曲の歴史を書き変えたのと同様です。ブッフビンダーはそのことを証明するような演奏をしてくれました。《アパッショナータ》と同様に美しく、壮大にベートーヴェンの高邁な精神が表現されました。これを持って、チクルスは完了という思いです。明日の後期3ソナタは別次元ですからね。

そう思っていると、ブッフビンダーはアンコールで何と《テンペスト》の第3楽章を弾き始めます。本編での演奏を凌駕するような見事な演奏に聴き入ってしまいました。何せ、saraiがもっとも愛する作品ですからね。何とも魅力にあふれた音楽、そして、演奏でした。明日はきっとアンコールはないでしょうから、最後のアンコールが《テンペスト》とは、何よりのプレゼントでした。


明日は、後期3ソナタ。最後の第32番のアリエッタは胸に迫るものがあるでしょう。ブッフビンダーは最後の持てる力をふりしぼった演奏を聴かせてくれるでしょう。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 VI

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第11番 変ロ長調 op.22
  第20番 ト長調 op.49-2
  第8番 ハ短調 op.13《悲愴》

   《休憩》

  第25番 ト長調 op.79
  第21番 ハ長調 op.53《ワルトシュタイン》

   《アンコール》
   ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 op.31-2《テンペスト》より 第3楽章 Allegretto


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会7回目 音楽と一つになれた喜び、感動のフィナーレ@東京文化会館小ホール 2024.3.22

ウィーンの巨匠ルドルフ・ブッフビンダーのベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会、今日は全7回の最終回です。

これまでは初期と中期、あるいは後期を組み合わせたプログラムでしたが、最終回は無論、後期の3つのソナタで締めます。それしかないでしょう。それに今回は休憩もなく、3つのソナタを一気に弾きます。何となく、ブッフビンダーの気概が見えたような気がしましたが、そんな生易しいものではありませんでした。
実はこれまでウィーンの巨匠として、美しい演奏を賛美してきましたが、どこか、自分の気持ちに余裕があるというか、全面的に音楽にのめりこんでいなくて、ちょっと遠くから演奏を聴いていました。それはブッフビンダーと自分の心が真に共鳴していなかったとも言えます。まあ、そんな音楽の聴き方もあるので、それはそれでよかったんです。然るに今日は全然違いました。もちろん、ブッフビンダーの演奏が今日はすべての余力をつぎこんだもので、saraiも体調がすこぶるよくて、ブッフビンダーとsarai、そして、ベートーヴェンの魂が完全に共鳴したんです。saraiの集中力がずっと持続して、ブッフビンダーの演奏、それもベートーヴェンの最高傑作の音楽のすべてを受け止めることができました。ベートーヴェンの作品でこの3曲に匹敵できるのは後期弦楽四重奏曲だけです。ブッフビンダーがこれほどの音楽を奏でることができるとは、正直思っていませんでした。巨匠のチカラをみくびっていたようです。心からお詫びを述べたいと思います。現代に生き残った真のベートーヴェン弾きであることを分からせられました。


もう、どの曲がどうだというような分かった風なことは書きたくありません。音楽が魂を揺さぶったというだけです。それも3曲、すべてを通してです。と言いつつ、今日の演奏を思い出してみましょう。

最初のは第30番のソナタは最初の一音から心に響いてきます。第1楽章はとてもソナタ形式に思えません。幻想曲、あるいは前奏曲のようにこの後に続く第31番、第32番の序奏のようにも聴こえます。ブッフビンダーの演奏がとても素晴らしく、こんな演奏を今までどこに隠していたのかと思うほどです。演奏が心に共鳴して、長く長く続きますが、突如終わり、そのまま、続けて、第2楽章にはいります。ここでもソナタ形式は感じられずにただ、幻想曲のような響きが心を高揚させます。そして、いったん、曲を閉じます。少し、間を取って、第3楽章が始まります。何と巨大な変奏曲なのでしょう。ここにこそ、このソナタの実体がありました。ただただ、心が高揚するだけです。もう、これ以上の音楽はありえないと思ってしまいます。音楽と自分の心がシンクロするのが分かります。一瞬、一瞬の音の響きに心が敏感に反応し、どんどん、心が研ぎ澄まされる思いです。果てしなく、変奏が続きます。いつまでも聴いていたくなる最高の音楽です。最後に原型の主題が回想されて、静かに曲を閉じます。圧巻の演奏でした。もう、今日はこれでコンサートが終わっても満足です。

次は第31番のソナタです。美し過ぎる第1楽章が始まり、もはや、先ほどの第30番の素晴らしさを凌駕する音楽であることを悟ります。ブッフビンダーの美しい音の響きは何でしょう。ただ、一音一音に耳を傾けるのみです。この音楽の素晴らしさを表現する言葉が見当たりません。saraiの高揚した心は澄み切っていきます。第2楽章のスケルツォはようやく、ほっと一息つく思いですが、すぐにまた高揚していき、そのまま、第3楽章に入ります。あー、この第3楽章・・・何と言う音楽でしょう。序奏的なレチタティーヴォに続き、《嘆きの歌》が切々と歌われていきます。その崇高さ、哀しさは心に沁み渡っていきます。そして、十分に心が震えたところで、タ、タ、タ、タンと終止します。この終止だけはいつも何か違和感がありますが、ともかく、それに続いて、フーガ、それも飛びっきりの凄いフーガが壮大に展開されます。圧倒的な迫力です。そして、また、再び、《嘆きの歌》が趣きをさらに深めて歌われます。ここで心が崩壊します。感動の極です。水をさすようにまた、タ、タ、タ、タンと終止します。フーガが圧倒的な勢いで展開され、すべてを粉砕して、圧巻の完結を果たします。もう、これで十分でしょう。これ以上の音楽はありえません。しかし・・

最後の第32番のソナタです。ハ短調の第1楽章が華々しく奏でられて、《ワルトシュタイン》、《アパッショナータ》という中期の大傑作を凌ぐ凄まじい情熱を爆発させたような圧倒的な音楽が響きます。これでベートーヴェンのソナタが完結したことが納得させられます。ブッフビンダーのここまで溜めていたチカラを一挙に開放するような勢いです。もう聴いているsaraiの心はずたずたになります。これでこそベートーヴェンです! 第1楽章は最後、ディミヌエンドしてハ長調で終止します。
ハ長調の第2楽章はアリエッタの主題とその変奏曲です。ハ短調⇒ハ長調というのは、交響曲第5番《運命》に代表される勝利の方程式ですが、ここではあまりに美しいアリエッタの変奏曲が流れ、心にカタルシスを覚えさせます。ブッフビンダーの美しい響きはもう、素晴らし過ぎます。そして、アリエッタは次第に高揚していき、心が震えます。最後は静謐に曲を完結させます。

ベートーヴェンの音楽の長い旅路を32曲のソナタを通して、堪能しましたが、この最終日の3つのソナタの凄過ぎる演奏は決して忘れることのないものです。ブッフビンダーのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会はもう日本で聴く機会はないでしょう。ブッフビンダーの素晴らしいプレゼント、ありがとう!!


あ、アンコールがありました。この後期3ソナタの後に弾く曲などないと思っていましたが、何とシューベルト! そうです。ベートーヴェンのピアノ・ソナタを継承するように素晴らしいピアノ・ソナタを書いたのはシューベルト。とりわけ、遺作の3つのソナタはベートーヴェンと並ぶ大きな嶺です。そのシューベルトに続き、シューマン、ブラームスとドイツ・オーストリア音楽の本流は継承されていきました。素晴らしいシューベルトの即興曲はこの本流の流れを示唆するもので、これ以上のアンコールはありませんでした。それにしても見事なシューベルトでした。ブッフビンダーのシューベルトのソナタは聴いたことがありませんが、どうなんでしょうね。


今日のプログラムは以下です。


 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 全曲演奏会 VII

  ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
  
 ベートーヴェン:ピアノソナタ

  第30番 ホ長調 op.109
  第31番 変イ長調 op.110
  第32番 ハ短調 op.111

   《休憩》なし

   《アンコール》
   シューベルト:4つの即興曲 op.90 D899 より 第4番 変イ長調


最後に予習について、まとめておきます。

すべて、ブッフビンダーとメジューエワの以下のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を聴きました。

 ルドルフ・ブッフビンダー ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集 2014年8月 ザルツブルク音楽祭 ライヴ録音

ウィーンの巨匠ブッフビンダー3回目のピアノ・ソナタ全集はザルツブルク音楽祭のライヴ録音です。ともかく、高音域の美しい響きに感銘を覚えました。そして、ベートーヴェンが初期から中期にかけて、音楽的に上り詰めていく様が見事に表現されています。後期は別世界です。

 イリーナ・メジューエワ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 2020年6月~7月、新川文化ホール(富山県魚津市) セッション録音

メジューエワの2回目のピアノ・ソナタ全集はコロナ禍の際に録音されました。予定していたチクルスが中止になったのを機に録音したものです。メジューエワらしい力強いタッチの演奏。まったく隙のない演奏です。



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ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》第2章 至上の愛と憧れに再び感動!@東京文化会館大ホール 2024.3.27

ワーグナーの長大な楽劇《トリスタンとイゾルデ》を2週間も置かずに再び鑑賞。前回は新国立劇場で鑑賞し、その後、ブッフビンダーのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会全7回を聴き、再び、ここ東京文化会館の東京・春・音楽祭での公演を鑑賞しました。ベートーヴェンも凄いし、ワーグナーも凄い! そう言えば、ワーグナーが最高に敬愛した作曲家はベートーヴェンでしたね。ワーグナーの聖地バイロイト祝祭劇場でワーグナー作品以外で唯一上演が認められているのはベートーヴェンの交響曲第9番《合唱付き》ですね。あ、脱線しました・・・。

今日も午後3時から始まった楽劇《トリスタンとイゾルデ》が終わったのは午後8時でした。時間的には長いですが、その音楽に聴き入っていると、長さをものともしない充実した内容に終止、魅了されました。楽劇《トリスタンとイゾルデ》を鑑賞するのはこれが6回目。この大傑作を生涯でたった6回しか鑑賞していないことは忸怩たる思いがあります。でも、モーツァルトのオペラ《フィガロの結婚》ですら、11回しか聴いていないことを考えれば、十分なのかな。プッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》に至ってはたった7回ですからね。ともあれ、バイロイト音楽祭で聴いた楽劇《トリスタンとイゾルデ》にも匹敵する内容の素晴らしい演奏に感動し、ウルウルでした。

冒頭の前奏曲、最初のトリスタン和音のあたりはさらっとしたものでしたが、前奏曲終盤の盛り上がりは鳥肌のたつような凄い演奏。ヤノフスキ指揮のN響、やりますね。弦と木管の美しさは素晴らし過ぎます。ヤノフスキが凄いのか、コンマス席にメトのベンジャミン・ボウマンが座ったN響の出来がよいのかは分かりません。ともかく、この後もずっと素晴らしい演奏で、ワーグナーの素晴らしさを満喫させてくれました。前回の新国の都響も素晴らしい演奏でしたし、日本のオーケストラのワーグナー演奏のレベルの高さに驚愕する思いです。
前奏曲が終わり、イゾルデとブランゲーネが登場します。イゾルデ役のビルギッテ・クリステンセンの歌唱に耳を奪われます。こんなところでの歌唱に魅了されたのは初めてです。低域の声もしっかり出ていて、何と言っても高域の輝かしい声は絶品! それにイゾルデ姫としての気品と気高さ、気の強さが見事に表現されています。そのまま第1幕の終幕、愛の媚薬の盃を飲み干すシーンに入り、イゾルデとトリスタンの恋愛に落ちるところはオーケストラ演奏も二人の歌唱も圧倒的です。ビルギッテ・クリステンセンとヘルデンテノールのスチュアート・スケルトンの輝かしい高音に聴き惚れてしまいます。そして、何と言ってもワーグナーの音楽の素晴らしさが光り輝きます。天才ワーグナーをもってしても一生に一回しか書けなかったような超絶的な音楽です。その真髄がようやく分かりかけてきました。それに音楽評論家の船木篤也氏による字幕の見事さ。こういうしっかりした字幕だと、難解なワーグナーの台本も読み解けそうです。もろもろあって、大感動の第1幕でした。あっ、書き忘れましたが、オーケストラ後方に陣取った男声合唱の怒涛のような凄い合唱も大迫力でした。

30分の休憩後、第2幕が始まります。コンサート形式ですから、幕は上がりませんけどね。まずは素晴らしい前奏曲に耳を傾けます。
そして、長大なトリスタンとイゾルデの愛と官能の2重唱が始まります。ワーグナーならではの愛の2重唱、ビルギッテ・クリステンセンとスチュアート・スケルトンの素晴らしい歌唱力で場を圧倒します。これこそ、楽劇《トリスタンとイゾルデ》の最高の聴きどころです。昼の光りや夜がどうかというような理屈をこね回すワーグナー流のセリフがありますが、次第に愛至上主義、そして、その果ての死に行き着く不穏とも言える2重唱は実に現代的、実存的なものに昇華していきます。聴いているほうもおかしくなっていきそうです。聴衆のみなさんが静かに聴いていられるのが不思議なくらいです。ここでも船木篤也氏による字幕の見事さが光ります。芸術家の心中事件はこういう意識の高まりから起こるかなとも、いらぬ連想を抱きます。
ブランゲーネの「見張りの歌」が2階の聴衆席後方から響いてきます。ブランゲーネ役のルクサンドラ・ドノーセが素晴らしい歌唱を聴かせます。立体的な響きが素晴らしいです。
そして、二人の蜜月は不意に終わります。裏切者メロートとマルケ王が踏み込んでくるんです。物語とは言え、実に残念。愛が成就して、死に至れば、どんなにいいかと思ってしまうからです。それに愛の2重唱はまだまだ続いて欲しいんです。
マルケ王役のフランツ=ヨゼフ・ゼーリヒが悲嘆にくれた歌唱を見事に歌い切ります。もっとも、あまりに常識的な内容は笑止千万とも思えます。あえて、ワーグナーはそのあたりを狙っているんでしょう。大芸術家ワーグナーはあくまでもトリスタンとイゾルデの現世を超越した愛と死のみを唯一の至上主義としています。ですから、トリスタンはマルケ王のあまりの現世的な問いに答えずに、イゾルデに死の国までも一緒についてきてくれるかとマルケ王を無視して問いかけます。イゾルデのどこまでもトリスタンに従いますという歌唱は実に感動的。これぞ芸術でしょう! イゾルデの優しさが全開します。これでトリスタンも救われます。聴いているsaraiも現世を離れ、芸術の中に身を置いて、ともにイゾルデの優しさに救われます。もう、このあたりはマーラーの音楽に直結しています。音楽のみがなしえる愛と死の昇華。ああ、何でもいいから、この素晴らしい音楽をいつまでも聴かせてと欲するばかりです。
こんな音楽を一般大衆に聴かせていいのかとも思ってしまう、現実超越の愛と死のしびれるような官能芸術に溺れてしまった第2幕でした。

また、30分の休憩後、第3幕が始まります。低弦が暗く響く前奏曲は最後、イングリッシュ・ホルン独奏による「嘆きの調べ」が長く続き、もう、ここは現世ではなく、黄泉の国かと思わせられます。
トリスタンは深手を負い、恍惚としながらの歌唱を聴かせて、イゾルデに再会した途端に息を引き取ります。スチュアート・スケルトンのヘルデンテノールとしての素晴らしい歌唱に深く魅了されます。
最後はイゾルデの有名な《愛の死》。ビルギッテ・クリステンセンの優しい歌声に癒されながら、幕。

書き洩らしたところは、クルヴェナール役のマルクス・アイヒェの素晴らしく響く声。さすがにウィーン国立歌劇場で活躍してきたバリトンです。第3幕での歌唱は見事でした。
メロート役に甲斐栄次郎を起用するほど、歌手陣が充実していました。

まあ、素晴らしかったのは重ねて言いますが、ビルギッテ・クリステンセン。声も素晴らしいですが、強い表現から柔らかい表現まで、イゾルデ役に必要な要素を備えており、その気品があり、美しい歌唱は素晴らしいものでした。次第にイゾルデと像が重なり、絶世の美女に思えてくるほどでした。真っ白な衣装が眩しく映りました。

最後にマレク・ヤノフスキの指揮、最高でした。これぞ、現代の楽劇《トリスタンとイゾルデ》。

2週間で2回聴く楽劇《トリスタンとイゾルデ》を満喫しました。


今日のキャストは以下です。

  リヒャルト・ワーグナー
   トリスタンとイゾルデ
    全3幕 演奏会形式

  指揮:マレク・ヤノフスキ
  トリスタン(テノール):スチュアート・スケルトン
  マルケ王(バス):フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
  イゾルデ(ソプラノ):ビルギッテ・クリステンセン
  クルヴェナール(バリトン):マルクス・アイヒェ
  メロート(バリトン):甲斐栄次郎
  ブランゲーネ(メゾ・ソプラノ):ルクサンドラ・ドノーセ
  牧童(テノール):大槻孝志
  舵取り(バリトン):高橋洋介
  若い水夫の声(テノール):金山京介
  管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ベンジャミン・ボウマン(MET管コンマス)、(ダブルコンマス隣席:郷古廉))
  合唱:東京オペラシンガーズ
  合唱指揮:エベルハルト・フリードリヒ、西口彰浩
  音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
  

最後に予習について、まとめておきます。

 ・ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲
 
 イゾルデ:キルステン・フラグスタート
 トリスタン:ルートヴィッヒ・ズートハウス
 ブランゲーネ:ブランシュ・シーボム
 マルケ王:ヨーゼフ・グラインドル
 クルヴェナール:ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ
 メロート:エドガー・エヴァンス
 牧童:ルドルフ・ショック
 水夫:ルドルフ・ショック
 舵手:ローデリック・デイヴィーズ
 コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:ダグラス・ロビンソン)
 フィルハーモニア管弦楽団
 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

 録音:1952年6月10-21日、23日、ロンドン、キングズウェイ・ホール(モノラル)
  
フルトヴェングラー、畢生の名演。深く感動しました。何回も聴いていますけどね。



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遂に聴けた!キアロスクーロ・カルテット@王子ホール 2024.3.28

アリーナ・イブラギモヴァの最近の演奏活動におおいに興味を抱くようになっています。その延長線上でアリーナ・イブラギモヴァが率いるキアロスクーロ・カルテットも興味津々で、CDを聴いてきました。そのハイドンの弦楽四重奏曲の演奏には大変感銘を覚えました。まだ、作品20/33/76しかリリースしていないのが残念です。

そのキアロスクーロ・カルテットの実演を聴きたいと念願していましたが、コロナ禍で来日キャンセルになり、じりじりしていましたが、ようやく、今日、念願を果たすことができました。

まずはバロックから始まります。イギリスのヘンリー・パーセルの4声のファンタジアから3曲。本来はヴィオールで演奏する曲でちょっとイメージが違って聴こえます。ブリティッシュ・バロックの響きが聴こえないのが残念。それに正直、全然、聴き込んでいないので、曲の魅力もあまり感じません。アリーナ・イブラギモヴァのヴァイオリンの響きだけを注目して聴いていました。

次はハイドンの弦楽四重奏曲 第38番 Op.33-2「冗談」。ハイドンが古典派様式の弦楽四重奏曲を確立したロシア四重奏曲の6曲セットの1曲です。活き活きとした表情、ふんわりとしたメロディー感、そして、ユーモア。どこをとっても見事なハイドンでした。アリーナ・イブラギモヴァのヴァイオリンが先導して、精妙なアンサンブルを構築しています。イブラギモヴァ・カルテットと名前を変えた方が分かりやすいですね。ベルチャ・カルテットみたいに。

後半はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第8番 「ラズモフスキー第2番」。ベートーヴェンの深い味わいが聴けました。しかし、イブラギモヴァならば、さらにもう一段上の演奏を期待したところでした。繊細な表現は素晴らしいです。後はベートーヴェンらしい高邁な気持ちでぐいぐい推進力のある演奏で圧倒してもらいたいと思います。

アンコールはさきほどのハイドンです。やはり、ハイドンは素晴らしいですね。

アリーナ・イブラギモヴァ単独のコンサートも聴きたいものですが、今回はなさそうですね。11月に再び来日してリサイタルを開くようです。楽しみです。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:キアロスクーロ・カルテット
   アリーナ・イブラギモヴァ vn  ベンジャミン・マーキーズ=ギルモア vn
   エミリエ・ヘーンルント va  クレール・ティリオン vc

  パーセル:4声のファンタジア
   第7番 ハ短調 Z738
   第8番 ニ短調 Z739
   第11番 ト長調 Z742

  ハイドン:弦楽四重奏曲 第38番 変ホ長調 Op.33-2, Hob.Ⅲ:38 「冗談」

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 Op.59-2 「ラズモフスキー第2番」

   《アンコール》
   ハイドン:弦楽四重奏曲 第38番 変ホ長調 Op.33-2, Hob.Ⅲ:38 「冗談」より 第2楽章


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のパーセルの4声のファンタジアは以下のCDを聴きました。

   チェリス・コンソート・オブ・ヴァイオルズ 2019年8月14-16日 ガートン・カレッジ・チャペル(ケンブリッジ、イングランド) セッション録音
    イブラヒム・アジズ(トレブル・ヴィオール)
    アリソン・キンダー(トレブル・ヴィオール、アルト・ヴィオール)
    ケイト・コンウェイ(テナー・ヴィオール)
    サム・スタドレン(テナー・ヴィオール、バス・ヴィオール)
    ジェニファー・ブロック(バス・ヴィオール)

古式ゆかしきイギリス・バロックを満喫できます。


2曲目のハイドンの弦楽四重奏曲 第38番 Op.33-2「冗談」は以下のCDを聴きました。

 キアロスクーロ四重奏団 2021年10月26-29日 イギリス、ユーディ・メニューイン音楽学校、メニューイン・ホール セッション録音
  アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン/Anselmo Bellosio, c.1780)
  パブロ・エルナン=ベネディ(ヴァイオリン/Andrea Amati, 1570)
  エミリー・ホーンルンド(ヴィオラ/Willems, c.1700)
  クレール・チリヨン(チェロ/Carlo Tononi, 1720)
  
ハイドンはリンゼイ四重奏団、アマデウス四重奏団の演奏を高く評価していますが、キアロスクーロ四重奏団の演奏もそれに迫る、あるいはフレッシュさでは上回る演奏を聴かせてくれます。


3曲目のベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第8番 「ラズモフスキー第2番」は以下のCDを聴きました。

 リンゼイ弦楽四重奏団 2001年11月21/22日 ホーリー・トリニティ教会、ウェントワース、ヨークシャー セッション録音
  ピーター・クロッパー(ヴァイオリン)
  ロナルド・バークス(ヴァイオリン)
  ロビン・アイルランド(ヴィオラ)
  バーナード・グレガー=スミス(チェロ)
 
リンゼイ弦楽四重奏団の2回目のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集からの1枚です。1回目の全集と演奏コンセプトは基本的には変わりませんが、より精密な演奏です。
ラズモフスキーセットはいずれも後期四重奏曲を見据えたような情緒の深い音楽になっています。
彼らは1965年に活動を始め、2005年に解散します。解散前にこの素晴らしい録音を残してくれたのが嬉しいですね。



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       イブラギモヴァ,  

聖金曜日に聴くマタイ受難曲は新鮮な歓びで最高! 鈴木優人指揮バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティコンサートホール 2024.3.29

2018年以来、聖金曜日(復活祭の2日前の金曜日)にバッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲を聴くのが習いになりました。この素晴らしいマタイ受難曲が極東の日本で聴けるのは幸せです。このマタイ受難曲を聴くたびにバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が日本にある幸せを噛みしめています。
saraiは生きているうちは毎年聴き続けるつもりです。その聖金曜日だけは俄かですが、クリスチャンでいましょう。あと5回ほどは聴けるでしょうか。

今日は何と指揮は鈴木雅明ではなく、鈴木優人。どんなマタイになるかと思いましたが、父親のマタイとは、まったく違うマタイを聴かせてくれました。表現・解釈は違っても演奏するのはBCJですから、やはり、途轍もなく素晴らしいマタイを聴かせてくれました。

冒頭の第1曲から、鈴木優人はとても遅い入りでびっくりです。最近の鈴木雅明はロマン的な表現が目立つようになりましたが、テンポは早いものでした。ともあれ、じっくりと管弦楽と合唱を聴かせてくれて、新鮮な気持ちでこの長大な作品に集中できます。
マタイ受難曲では、BCJの美しいコラールを聴くのが一番の楽しみです。心が癒される思いというか、1年間、汚れた魂がコラールを聴くことで浄化されます。今日のコラールは強い歌唱で、癒されるというよりも励まされるという感じです。しかし、後半になるといつものコラールになってきて、最後は癒され、魂が浄化されました。
こういう風に鈴木優人は彼なりの表現を聴かせてくれましたが、高い緊張感を保った演奏が最後まで続き、saraiも集中を切らさずに(寝落ちせずにw)、マタイ受難曲が持つ己の罪と向き合う時間をたっぷりと持つことができました。そうなんです。罪深い存在である自分の反省、そして、そんな自分でも優しくコラールが包み込んでくれるという得難い時間を過ごすことができました。バッハの作り出した音楽の中でも特別なもの、マタイ受難曲はヨーロッパ文明が作り出した最高の芸術です。その特別な音楽を余すところなく、鈴木優人とBCJ、素晴らしい歌手たちが奇跡のように演奏してくれました。

計5回演奏された受難のコラールが今日の演奏でも軸になりました。イエスが亡くなる前の4回目の受難のコラール(第54曲)は第1節と第2節が続きますが、音量を弱めた第2節の美しさは例えようもありません。BCJの最高の合唱です。そして、イエスが亡くなった後の5回目の受難のコラール(第62曲)はコラール「いつの日かわれ去り逝くとき」です。このフリギア旋法で歌われるコラールは弔いの歌にしか聴こえません。死すべき運命にあるすべての人々に優しく救いをもたらすようにしみじみと歌われます。頭を垂れて、目を閉じて、じっと聴き入りました。これもBCJの最高の音楽です。これを聴ければ、また、来年まで、心穏やかに生きていけるような気がします。

最高の名曲、第39曲の《エルバルメ・ディッヒErbarme dich、マイン・ゴットMein Gott(憐れみたまえ、我が神よ)》のアリアでは、寺神戸亮のオブリガートヴァイオリンの名演も相俟って、異次元のような音楽が成立します。カウンターテノールのアレクサンダー・チャンスがCT特有の澄み切った声で優しく歌います。saraiにとって、この曲だけは1958年録音のカール・リヒター盤のアルト歌手、ヘルタ・テッパー以上の歌唱はなかったのですが、今日のアレクサンダー・チャンスの歌唱はまた違った形で感動の歌唱を聴かせてくれます。

第49曲のソプラノのアリアも圧巻でした。菅きよみのフラウト・トラヴェルソのソロが主導して、アウス・リーベAus Liebe、ヴィル・マイン・ハイラント・シュテルベンWill Mein Heiland Sterben(愛故にわが救い主は死にたまわんとす)とソプラノのハナ・ブラシコヴァが澄み切った歌声で歌います。あえて、ステージの奥でひっそりと歌っていたのが印象的です。終盤に「アウス・リーベAus Liebe」(愛故に)が幾度も繰り返されるところの清澄さには胸を打たれました。菅きよみのフラウト・トラヴェルソの朴訥とした響きも心に響きました。

こう書いているときりがありません。すべての曲が素晴らしかったんです。1曲たりとも不足を感じた曲はありませんでした。

BCJの管弦楽も達人揃いで凄い演奏を聴かせてくれました。フラウト・トラヴェルソの菅きよみ、オーボエの三宮正満、ヴァイオリンの寺神戸亮、若松夏美、チェロの山本徹など、凄過ぎる演奏でした。

独唱者は、エヴァンゲリストのベンヤミン・ブルンスが出色の歌唱。少し奥に引っ込んで歌っていましたが、その張りのある声はどこまでも響きます。表現も練りに練った凄い歌唱。こんなエヴァンゲリストは聴いたことがありません。
松井亜希と櫻田 亮の新機軸のような歌唱にも感銘を覚えました。久保法之と加耒 徹も流石の歌唱。
ソプラノのハナ・ブラシコヴァ、アルトのアレクサンダー・チャンスは世界最高級の歌唱で言うことなし。

無論、主役はBCJの合唱隊。何という美しい合唱を聴かせてくれるんでしょう。

鈴木優人の指揮は素晴らしかったのですが、また、来年は鈴木雅明の登場をお願いしますね。


今日のプログラムは以下です。


  指揮、チェンバロ:鈴木優人
  エヴァンゲリスト:ベンヤミン・ブルンス
  ソプラノ:ハナ・ブラシコヴァ、松井亜希
  アルト:アレクサンダー・チャンス、久保法之
  テノール:ベンヤミン・ブルンス、櫻田 亮
  バス:加耒 徹(イエス)、マティアス・ヘルム(ピラト)
  合唱:バッハ・コレギウム・ジャパン
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン コンサートマスター:寺神戸亮、若松夏美
   フラウト・トラヴェルソ、リコーダー:菅きよみ、前田りり子  
   オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ:三宮正満、荒井豪 
   チェロ:山本徹、上村文乃
   オルガン:大塚直哉
   ヴィオラ・ダ・ガンバ:福澤宏


  J. S. バッハ:《マタイ受難曲》BWV 244 第1部

 《休憩》

  J. S. バッハ:《マタイ受難曲》BWV 244 第2部



最後に予習について、まとめておきます。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団
  エルンスト・ヘフリガー(エヴァンゲリスト)
  キート・エンゲン(イエス)
  イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
  ヘルタ・テッパー(アルト)
  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
  ミュンヘン少年合唱団
      1958年6~8月 セッション録音

原点に戻るつもりで、この決定盤といえる演奏を久しぶりに聴きました。やはり、美しい演奏です。それに歌手が凄い!



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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最後までレビューありがとうございます。最後は時間の都合がつかず視聴できず、非常に残念でした。

アンコールも含め好評のレビューを見てますます残念ですが、お陰様でど

04/02 12:33 

michelangeloさん

saraiです。大変、ご無沙汰しています。
このたびは過分なご評価いただき、恐縮しています。

よいコンサート、オペラを聴くと、興奮して、記事を書き過

03/31 01:42 sarai

sarai様

こんばんは。

3月に8回も《トリスタンとイゾルデ》公演が開催される東京は音楽都市です。再び御感想を拝読し、改めて感じるのはsarai様のクラシック音楽オペラ公

03/29 21:28 michelangelo

《あ》さん、saraiです。

結局、最後まで、ご一緒にブッフビンダーのベートーヴェンのソナタ全曲をお付き合い願ったようですね。
こうしてみると、やはり、ベートーヴェン

03/22 04:27 sarai

昨日は祝日でゆっくりオンライン視聴できました。

全盛期から技術的衰えはあると思いましたが、彼のベートーヴェンは何故こう素晴らしいのか…高齢のピアニストとは思えな

03/21 08:03 

《あ》さん、再度のコメント、ありがとうございます。

ブッフビンダーの音色、特に中音域から高音域にかけての音色は会場でもでも一際、印象的です。さすがに爪が当たる音

03/21 00:27 sarai

ブッフビンダーの音色は本当に美しいですね。このライブストリーミングは爪が鍵盤に当たる音まで捉えていて驚きました。会場ではどうでしょうか?

実は初めて聴いたのはブ

03/19 08:00 
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